Solaris ボリュームマネージャの管理

ルート (/) のミラー化に関する特殊な考慮事項

ルート (/) をミラー化する作業は、マウント解除できない他のファイルシステムをミラー化する場合の作業と同じです。ただし、ルートのミラー化では、/etc/vfstab ファイルを手動で編集する代わりに、metaroot コマンドを実行する必要があります。 「ファイルシステムから RAID 1 ボリュームを作成するには」を参照してください。 次の各項では、ルート (/) ファイルシステムのミラー化に関する特殊な考慮事項と問題点について説明します。

起動時の警告

ルート (/) ファイルシステムをミラー化すると、エラーメッセージがコンソールに表示され、(/etc/syslog.conf での定義に従って) システムログに記録されます。 これらのメッセージは問題を意味するものではありません。現在使用していないデバイスタイプすべてに対して表示されます。使用していないモジュールは強制的にロードできないからです。 次のようなエラーメッセージが表示されます。


Jul 13 10:17:42 ifr genunix: [ID 370176 kern.warning] WARNING: forceload of 
    misc/md_trans failed
Jul 13 10:17:42 ifr genunix: [ID 370176 kern.warning] WARNING: forceload of 
    misc/md_raid failed
Jul 13 10:17:42 ifr genunix: [ID 370176 kern.warning] WARNING: forceload of 
    misc/md_hotspares failed

このような警告メッセージは無視してかまいません。

代替起動デバイスへのパスを記録するには

ルート (/) をミラー化する場合は、一次デバイスに障害が発生したときのために代替起動デバイスへのパスが必要になります。 代替起動デバイスを検出および記録する方法は、システムのアーキテクチャによって異なります。 「SPARC: 例 代替起動デバイスへのパスを記録する」または 「x86: 例 代替起動デバイスへのパスを記録する」を参照してください。

SPARC: 例 代替起動デバイスへのパスを記録する

この例では、代替ルートデバイスへのパスを調べます。そのためには、ルート (/) ミラーに 2 番目のサブミラーとして接続されているスライスに対して ls -l コマンドを実行する必要があります。


# ls -l /dev/dsk/c1t3d0s0
lrwxrwxrwx 1  root root  55 Mar 5 12:54  /dev/rdsk/c1t3d0s0 -> \ 
../../devices/sbus@1,f8000000/esp@1,200000/sd@3,0:a

ここで、/devices ディレクトリに続く次の文字列を記録しておきます。 /sbus@1,f8000000/esp@1,200000/sd@3,0:a

この文字列を編集して、メジャー名 (この場合は sd) を disk に変更し、「/sbus@1,f8000000/esp@1,200000/disk@3,0:a」のようにします。 システムが IDE バスを使用している場合、オリジナルのフルパスは次のようになります。


$ ls -l /dev/dsk/c0t0d0s0 
lrwxrwxrwx 1 root root 38 Mar 13 15:03 /dev/dsk/c0t0d0s0 -> \
../../devices/pci@1f,0/ide@d/dad@0,0:a

メジャー名 daddisk に変更すると、「/pci@1f,0/ide@d/disk@0,0:a」のようになります。

OpenBootTM Prom の nvalias コマンドを使用すると、二次ルート (/) ミラー用の「バックアップルート」デバイス別名を定義できます。 たとえば、次のように指定します。


ok  nvalias backup_root /sbus@1,f8000000/esp@1,200000/disk@3,0:a

次に、boot-device 別名が一次サブミラーと二次サブミラーの両方を参照するようにこの別名を再定義し、構成を保存します。サブミラーは、指定された順に使用されます。


ok printenv boot-device
boot-device =         disk net
ok setenv boot-device disk backup-root net
boot-device =         disk backup-root net
ok nvstore

一次ルートディスクに障害が発生すると、システムは 2 番目のサブミラーから自動的に起動されます。 自動起動ではなく、手動で起動する場合は、次のように入力します。


ok  boot backup_root

x86: 例 代替起動デバイスへのパスを記録する

この例では、代替起動デバイスへのパスを調べます。そのためには、ルート (/) ミラーに 2 番目のサブミラーとして接続されているスライスに対して ls -l コマンドを実行する必要があります。


# ls -l /dev/dsk/c1t0d0s0
lrwxrwxrwx 1  root root  55 Mar 5 12:54  /dev/rdsk/c1t0d0s0 -> ../.
./devices/eisa/eha@1000,0/cmdk@1,0:a

ここで、/devices ディレクトリに続く次の文字列を記録しておきます。 /eisa/eha@1000,0/cmdk@1,0:a

代替起動デバイスからの起動

ミラー化されたルート (/) の一次サブミラーに障害が発生した場合は、他のサブミラーからシステムを起動する必要があります。 ミラーの 2 番目のサブミラーから自動的に起動するように構成することもできますし、2 番目のサブミラーから手動で起動するように構成することも可能です。

『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 10 章「システムのブート (手順)」を参照してください。