metassist コマンドを使用すれば、1 つのコマンドで Solaris ボリュームマネージャのトップレベルのボリューム構成を作成できます。 metassist コマンドには、ボリュームのサイズや、冗長性レベル (ボリュームにおけるデータコピーの数)、ボリュームに対するデータパスの数 (ボリュームにアクセスするコントローラの数)、ホットスペアパーティションを使用するかどうか、を指定します。この場合、ボリュームに使用するハードウェアコンポーネントを指定する必要はありません。 ボリュームの指定は、コマンド行オプションや、コマンド行に指定する入力ファイルを使って、サービス品質に基づいて行うことができます。 ボリュームの名前、サイズ、およびコンポーネントを詳細に指定したい場合は、入力ファイルを使用します。
metassist コマンドでは、ボリュームの特性をサービス品質に基づいて指定できます。 指定できるサービス品質特性は次のとおりです。
サイズ
冗長性 (データコピーの数)
データパス
障害回復 (ボリュームとホットスペア集合を関連付けるかどうか)
ボリュームの特性 (あるいは、ボリュームの作成に適用する制約) をより詳細に定義する必要がある場合は、次の特性も指定できます。
ボリュームのタイプ (たとえば、RAID 0 (連結方式) または RAID 0 (ストライプ方式))
特定のボリュームで使用するコンポーネント
使用できるコンポーネントと使用できないコンポーネント
使用するコンポーネントの数
作成するボリュームのタイプに特有の特性 (ストライプの飛び越し値やミラーの読み取りポリシーなどの特性)
さらに、システム管理者は、このコマンドが特定のディスクやパスを使用する (あるいは、使用できない) ように指定できます。
metassist コマンドは、Solaris ボリュームマネージャのディスクセットを使って、トップダウン作成に使用するボリュームや使用可能なディスクを管理します。 トップダウン作成では、構成要素となるすべてのディスクが、ディスクセットに属しているか、ディスクセットに追加可能であることが必要です。 トップダウン処理では複数のディスクセットに複数のボリュームを作成できますが、使用可能なディスクやコンポーネントの数はディスクセットの機能に依存します。
クラスタ環境以外で metassist コマンドを使用してディスクセットを作成すると、自動取得機能がデフォルトで有効になります。 自動取得機能の詳細については、「自動取得ディスクセット」を参照してください。
ボリュームのトップダウン作成処理は柔軟で、完全に自動化されたエンドツーエンドの処理と、よりきめ細かでブレークポイントを持つ処理とが可能です (図 241 を参照)。前者の処理では、必要な制約を指定すれば、コマンドの終了時に必要なボリュームが作成されます。後者のブレークポイントでは、XML ベースのファイルを出力できます。
metassist コマンドは、コマンド行またはファイルからの入力に基づくエンドツーエンドの処理と、システム管理者がファイルベースのデータを指定したりボリューム特性をチェックしたりできる部分処理との、両方をサポートします。
介入が不要な自動ボリューム作成では、コマンド行から必要なサービス品質属性を指定すれば、 metassist コマンドが必要なボリュームを作成してくれます。 次に簡単な例を示します。
# metassist create -s storagepool -S 10Gb |
このコマンドは、ディスクセット storagepool で利用可能な記憶領域を使用して、10G バイトのストライプ方式ボリュームをディスクセット storagepool に作成します。
あるいは、ボリューム要求ファイルにボリュームの特性を定義し、metassist コマンドを実行してこれを実装することもできます。
図 241 でわかるように、システム管理者は、ボリューム仕様ファイルを出力することによって、意図する実装になっているかどうかを確認したり、必要に応じてこのファイルを編集できます。 このボリューム仕様ファイルは以後、metassist コマンドへの入力として使用できます。
図 241 に示すコマンドファイルは、 metassist コマンドで指定した Solaris ボリュームマネージャのデバイス構成を実装するシェルスクリプトです。 システム管理者は、このファイルを使って同じ特性のボリュームを繰り返し作成したり、必要に応じてこのファイルを編集したりすることができます。あるいは、この手順を完全にスキップして、ボリュームを直接、作成することもできます。