GNOME 2.0 システム管理 (Solaris 版)

第 1 章 GConf の使用方法

この章では、GConf を使用してユーザーの設定を管理する方法について説明します。

GConf の概要

GConf は、GNOME デスクトップ環境におけるユーザーの設定の管理を簡素化します。システム管理者は、GConf を使用して次のことが可能になります。

設定値がローカルに、またはネットワークを介して変更されると、GConf はアプリケーションに設定値の変更を通知します。このため、設定を変更すると、その設定を使用するすべてのアプリケーションが直ちに更新されます。

GConf には、次のコンポーネントがあります。

GConf リポジトリ

GConf リポジトリ内の各設定は、キーと値のペアで構成されます。GConf 設定キーは、アプリケーション設定に対応するリポジトリ内の要素です。たとえば、/apps/gnome-session/options/show_splash_screen 設定キーは、セッション設定ツールの 「ログイン時にスプラッシュ画面を表示する」 オプションに対応します。 GNOME ユーザーインターフェイスには、GConf リポジトリ内のすべての設定キーが含まれるわけではありません。たとえば、セッション設定ツールには、/apps/gnome-session/options/splash_screen_text キーに対応するオプションがありません。

リポジトリは、単純な階層のファイルシステムとして構成されています。リポジトリには、次のものが含まれます。

通常、設定キーは、文字列、整数、または文字列と整数のリストなどの単純な値を持ちます。リポジトリ内の設定キーの形式は、リポジトリの読み取りに使用されるバックエンドモジュールに依存します。以下は、リポジトリの読み取りに XML (Extensible Markup Language) が使用される場合の /desktop/gnome/interface/font_name 設定キーの例です。

<entry name="font_name" mtime="1038323555" muser="user123" type="string">
<stringvalue>avantgarde 10</stringvalue></entry>

注 –

このマニュアルでは、設定キーを示すときに、キーの名前とそのパスを示します。たとえば、/desktop/gnome/interface サブディレクトリ内の font_name 設定キーは、/desktop/gnome/interface/font_name と示されます。


GConf 構成ソース

GConf リポジトリは、「構成ソース」と呼ばれる一連の保存場所を含んでいます。 構成ソースは、「GConf パスファイル」に記述されます。GConf パスファイルの場所は、/etc/gconf/version_number/path です。各ユーザーは、パスファイルを持っています。パスファイル内の各行は、次の情報を指定します。

デフォルトでは、GConf パスファイルの内容は以下のようになります。

xml:readonly:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory
include "$(HOME)/.gconf.path"
xml:readwrite:$(HOME)/.gconf
xml:readonly:/etc/gconf/gconf.xml.defaults

GConf が設定値を検索する場合、GConf は、パスファイル内で指定された順に構成ソースを読みます。以下の表は、パスファイル内の構成ソースです。

構成ソース 

説明 

必須 

この構成ソースのアクセス権は、読み取り専用に設定されます。ユーザーは、このソースの値を上書きすることができません。したがって、そのソースの設定は必須です 

ユーザー 

この構成ソースは、ユーザーのホームディレクトリ内の .gconf ディレクトリに格納されます。ユーザーが環境を設定すると、新しい設定情報がこの場所に追加されます

デフォルト 

この構成ソースには、デフォルトの設定が含まれています 

パスファイル内の構成ソースの順序では、必須の設定がユーザーの設定よりも優先されます。また、デフォルト設定よりもユーザーの設定が優先されます。つまり、GConf は、次の優先順位で設定を適用します。

  1. 必須の設定

  2. ユーザー指定の設定

  3. デフォルトの設定

ユーザーは、GConf パスファイル内の include 指示を使って、別の構成ソースを使用できます。別の構成ソースを使用するには、ユーザーは、構成ソースの場所を指定する必要があります。ユーザーは、構成ソースの場所をホームディレクトリ内の .gconf.path というファイルに指定します。

GConf スキーマ

GConf スキーマ」は、「GConf スキーマキー」と「GConf スキーマオブジェクト」の総称です。以下の表は、スキーマキー、スキーマオブジェクト、およびこれらの項目と設定キーとの関連性について説明しています。

項目 

説明 

設定キー 

アプリケーション設定に対応する GConf リポジトリ内の要素

スキーマキー 

設定キー用のスキーマオブジェクトを格納するキー 

スキーマオブジェクト 

以下のような設定キー用の情報を含む構成ソース内の要素 

  • 設定キーを使用するアプリケーションの名前

  • 設定キーに必要な値の型 (たとえば、整数、int、bool など)

  • 設定キーのデフォルト値

  • 設定キーについての簡単な記述

以下の表は、設定キー、スキーマキー、およびスキーマオブジェクトの例を示しています。

項目 

例 

設定キー 

/desktop/gnome/interface/font_name

スキーマキー 

/schemas/desktop/gnome/interface/font_name

スキーマオブジェクト 

<schema>
  <applyto>/desktop/gnome/interface/font_name</applyto>
  <key>/schemas/desktop/gnome/interface/font_name</key>
  <owner>gnome</owner>
  <type>string</type>
  <default>Sans 10</default>
  <locale name="C">
    <short>Default font</short>
      <long>Name of the default font used by gtk+.</long>
  </locale>
</schema>

設定キーにスキーマキーを関連付けることができます。たとえば、/desktop/gnome/interface/font_name キーは次のスキーマキーを含んでいます。

<entry name="font_name" mtime="1034873859" 
schema="/schemas/desktop/gnome/interface/font_name"/>

設定キーにスキーマキーを関連付けると、設定は、そのスキーマキーのスキーマオブジェクト内で指定されている推奨値を使用します。推奨値は、スキーマオブジェクトの <default> 要素に含まれています。 デフォルトでは、デフォルト構成ソース内のすべての設定キーが、スキーマキーと関連付けられます。

通常、スキーマはデフォルト構成ソースに格納されます。

GConf スキーマ定義ファイル

スキーマは、「スキーマ定義ファイル」から生成されます。 スキーマ定義ファイルは、特定のアプリケーションにおけるすべてのキーの特性を定義します。スキーマ定義ファイルには、.schemas 拡張子が付きます。

スキーマ定義ファイルは、/etc/gconf/schemas ディレクトリに含まれています。スキーマ定義ファイルを使用して、新しい構成ソースを作成できます。

いくつかのスキーマ定義ファイルは、GNOME ユーザーインターフェイスの一部と緊密に対応しています。たとえば、system_http_proxy.schemas は、ネットワークプロキシ設定ツールに対応します。ほかのスキーマ定義ファイルは、GNOME ユーザーインターフェイスにはない設定キーを含んでいます。たとえば、/apps/gnome-session/options/splash_screen_text キーは、ユーザーインターフェイスにはありません。

GNOME ユーザーインターフェイスのいくつかは、複数のスキーマ定義ファイルの設定キーを表す設定を含んでいます。たとえば、キーボードショートカット設定ツールは、panel-global-config.schemas および metacity.schemas ファイルのキーを表す設定を含んでいます。

GConf デーモン

GConf デーモンは、gconfd-2 です。GConf デーモンは、設定の値が変更されると、アプリケーションに通知します。たとえば、メニューとツールバー設定ツールでツールバーのアイコンのみを表示するように選択するとします。設定ツールでこのオプションを選択すると、直ちに、開いているすべてのアプリケーションのツールバーが更新されます。GConf デーモンは、ローカルでも、ネットワークを介してでも動作することができます。

GConf デーモンのインスタンスは、各ユーザーごとに起動されます。GConf デーモンは、認証やデータ機密保護などの複雑な問題を処理する必要がありません。GConf デーモンは、起動するときにGConf パスファイルを読み取ります。GConf デーモンは、アプリケーションと構成ソース間のすべてのアクセスを管理します。

アプリケーションが設定キーの値を要求すると、デーモンは次のようにして構成ソースを検索します。

  1. パスファイルに指定された順に、各構成ソース内の設定キーの値を検索します。値が見つかると、その値を返します。

  2. 値が見つからない場合は、パスファイルに指定された順に、各構成ソース内の設定キーに対応するスキーマキーを検索します。

  3. スキーマキーが見つかると、スキーマキーの値を調べます。

  4. スキーマキーの値がスキーマオブジェクトの場合、そのスキーマオブジェクトの <default> 要素内の推奨値を返します。

GConf デーモンは、設定キーの値をキャッシュに入れます。すべてのアプリケーションがこのキャッシュを使用するため、アプリケーションが構成ソースにアクセスするのは一度だけです。

GConf デーモンを終了するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --shutdown

GConf コマンドラインツール

GConf は、コマンドラインツールの gconftool-2 を含んでいます。gconftool–2 コマンドを使用して、次の作業を実行できます。

たとえば、次のコマンドを使用して /desktop/gnome ディレクトリおよびサブディレクトリ内のすべてのキー値を表示することができます。

# gconftool-2 --recursive-list /desktop/gnome

表 1–1 は、gconftool-2 コマンドに使用できるオプションを示しています。

表 1–1 gconftool-2 コマンドオプション

オプション 

機能 

--all-dirs

指定したディレクトリ内のすべてのサブディレクトリをリストする 

--all-entries

指定したディレクトリ内のすべてのキー値を表示する 

--config-source= configuration_source

--direct オプションと共に使用して、使用する構成ソースを指定する。このオプションで構成ソースを指定しない場合、パスファイル内のすべての構成ソースでコマンドが実行される

--direct

--config-source オプションと共に使用して、構成ソースに直接アクセスする。このオプションを使用する場合、GConf はサーバーを省略する。このオプションを使用する前に、GConf デーモンの gconfd-2 が実行されていないことを確認する必要がある

--get

指定した設定キーの値を表示する。また、指定したスキーマキーのスキーマオブジェクト内の要素の値も表示する 

--help

gconftool-2 コマンドに関するヘルプメッセージと、gconftool-2 コマンドに使用できるオプションを表示する

--long-desc= description

--set-schema オプションと共に使用して、スキーマキーの長い説明を指定する

--makefile-install-rule

スキーマ定義ファイルをアプリケーションにインストールする 

--owner= owner

--set-schema オプションと共に使用して、スキーマキーの所有者を指定する

--recursive-list

指定したディレクトリ内のすべてのサブディレクトリにあるすべての設定キーの値を表示する 

--recursive-unset

ディレクトリ内のすべてのサブディレクトリで、ユーザー設定からデフォルト構成ソースの設定までを含む、すべての設定キーの値をリセットする 

--set

設定キーの値を設定し、その値をユーザー構成ソースに書き込む。--type オプションは --set オプションと共に使用して、設定する値のデータ型を指定する。たとえば、以下のコマンドは、ユーザー構成ソースの /apps/gnome-terminal/profiles/Default/background_color キーの値を設定する

# gconftool-2 --set "/apps/gnome-terminal/profiles/Default/background_color" --type string "#000000"

--direct オプションと --config-source オプションを --set オプションと共に使用して、値を別の構成ソースに書き込むこともできる

--set-schema

スキーマキーの属性の値を設定し、その値をデフォルト構成ソースに書き込む 

次のオプションを --set-schema オプションと共に使用して、更新する属性を指定する

  • --type

  • --short-desc

  • --long-desc

  • --owner

次のコマンドは /apps/gnome-terminal/profiles/Default/background_color キーに対して、スキーマキーの短い説明を設定する

# gconftool-2 --set-schema "/schemas/apps/gnome-terminal/profiles/Default/background_color" --short-desc "Default background color of terminal"

--short-desc= description

--set-schema オプションと共に使用して、スキーマキーの短い説明を指定する

--shutdown

GConf デーモンを終了する

--type= data_type

設定キーの値を設定する場合にデータ型を指定する。スキーマキーの属性値を設定する場合にもこのオプションを使用できる。以下のような有効なデータ型がある  

  • bool

  • float

  • int

  • list

  • pair

  • string

--unset

ユーザー設定からデフォルト構成ソースの設定までを含む、設定キーの値をリセットする 

--usage

gconftool-2 コマンドに関する簡単なヘルプメッセージと、gconftool-2 コマンドに使用できるオプションを表示する

設定値の設定

設定キーに対して、必須値またはデフォルト値を設定できます。ユーザーの必須設定値またはデフォルト設定値を変更する前に、GConf デーモンがどのユーザーに対しても実行されていないことを確認する必要があります。また、すべてのユーザーがログアウトしていることを確認してから、ユーザーの設定値を変更してください。

設定キーの必須値またはデフォルト値を設定するには、gconftool-2 コマンドを次のように使用します。

# gconftool-2 --direct --config-source configuration_source --type data_type --set preference_key value

たとえば、wwwproxy.xyz.com を必須の HTTP プロキシホストとして設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /system/http_proxy/host wwwproxy.xyz.com

ユーザーは、この設定値を変更できません。

gconftool-2 コマンドを使用して、デフォルト値を設定することもできます。たとえば、ワークスペースのデフォルト数を 5 に設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type int --set /apps/metacity/general/num_workspaces 5

ユーザーは、この設定値を変更できます。


注意 – 注意 –

ユーザーの必須設定値またはデフォルト設定値を変更する前に、すべてのユーザーがログアウトしていることを確認してください。


一般的な環境の設定

この節では、必須値またはデフォルト値を一般的な設定に割り当てる方法を説明します。

HTTP プロキシの設定

HTTP プロキシを設定するには、/system/http_proxy/ の設定キーの値を変更します。たとえば、HTTP プロキシホストに必須値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /system/http_proxy/host proxy_name

HTTP プロキシホストにデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type string --set /system/http_proxy/host proxy_name

ほかの HTTP プロキシ関連の環境を設定することもできます。ほかの HTTP プロキシ設定に関する情報については、system_http_proxy.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。

印刷マネージャの設定

印刷マネージャを設定するには、/apps/gnome-print-manager の設定キーの値を変更します。たとえば、ユーザーがほかのユーザーの印刷ジョブを表示しないように設定するには、必須値を次のように設定します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type bool --set /apps/gnome-print-manager/show_all_jobs false

この設定にデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type bool --set /apps/gnome-print-manager/show_all_jobs false

ほかの印刷マネージャ環境を設定することもできます。ほかの印刷マネージャ設定に関する情報については、gnome-print-manager.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。

ワークスペース数の設定

ワークスペースの必須の数を設定するには、次のコマンドを使用します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type int --set /apps/metacity/general/num_workspaces integer

ワークスペースのデフォルトの数を設定するには、次のコマンドを使用します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type int --set /apps/metacity/general/num_workspaces integer

ほかのウィンドウマネージャの環境を設定することもできます。ほかのウィンドウマネージャの設定に関する情報については、metacity.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。

キーボードアクセシビリティの設定

キーボードアクセシビリティを設定するには、 /desktop/gnome/accessibility/keyboard の設定キーの値を変更します。たとえば、キーボードアクセシビリティ機能が有効になるように必須値を設定したい場合は、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type bool --set /desktop/gnome/accessibility/keyboard/enable true

この設定にデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type bool --set desktop/gnome/accessibility/keyboard/enable false

ほかのキーボードアクセシビリティ環境を設定することもできます。ほかのキーボードアクセシビリティ設定に関する情報については、desktop_gnome_accessibility_keyboard.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。

キーボードショートカットの設定

キーボードショートカットを設定するには、2 つの場所にある設定キーの値を変更します。以下の表は、変更する設定キーの場所と、その場所に対応するユーザーインターフェイス部分を示しています。

GConf の場所 

ユーザーインターフェイスコンポーネント 

/apps/panel/global

キーボードショートカット設定ツールの「デスクトップ」セクション

/apps/metacity/general

キーボードショートカット設定ツールの「ウィンドウ管理」セクション

たとえば、「プログラムを実行」ダイアログを開くときに、ユーザーが Alt + F3 キーボードショートカットのみを使用するように設定したい場合があります。この必須値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /apps/panel/global/run_key '<Alt>F3'

ウィンドウを最大化するときに、デフォルトでユーザーが Alt + F11 を使用するように設定したい場合があります。このデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type string --set /apps/metacity/window_keybindings/maximize '<Alt>F11'

ほかのキーボードショートカット環境を設定することもできます。ほかのキーボードショートカット設定に関する情報については、panel-global-config.schemas および metacity.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。

グローバルパネルの設定

パネルのグローバル環境を設定するには /apps/panel/global の設定キーの値を変更します。たとえば、ユーザーがパネルアニメーションを使用しないように設定する場合は、必須値を次のように設定します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type bool --set /apps/panel/global/enable_animations false

この設定にデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type bool --set /apps/panel/global/enable_animations false

ほかのグローバルパネル環境を設定することもできます。ほかのグローバルパネル設定に関する情報については、 panel-global-config.schemas スキーマ定義 ファイルを参照してください。

パネルおよびパネルオブジェクトの環境を個別に設定

panel-per-panel-config.schemas スキーマ定義ファイルは、デスクトップ上のパネルについて次のような詳細を指定します。

パネルおよびパネルオブジェクトを個別に設定するのは、複雑な作業になります。パネルおよびパネルオブジェクトを個別に設定するには、まず、panel-per-panel-config.schemas スキーマ定義ファイルの構造を理解する必要があります。panel-per-panel-config.schemas スキーマ定義ファイルの詳細については、次の節を参照してください。

パネルおよびパネルオブジェクトの環境を個別に設定するには、構成ソース内の多数の設定値を設定する必要があります。多数の設定値を設定する簡単な方法として、スクリプトの使用があります。パネルおよびパネル上のオブジェクトの環境を設定するサンプルスクリプトについては、パネル設定を個別に設定するためのサンプルスクリプトを参照してください。

個々のパネルおよびパネルオブジェクトのスキーマ定義ファイル

スキーマ定義ファイルの panel-per-panel-config.schemas には、小、中、および大画面のためのパネルおよびパネルコンテンツを指定するセクションがあります。このマニュアルの発行時点では、小画面および大画面用のセクションは機能していません。パネルおよびパネルオブジェクトの設定キーについて学習するには、中画面のセクションのみを参照してください。

ファイル panel-per-panel-config.schemas の中画面のセクションは、次のように構成されています。

  1. デスクトップ上のパネル、アプレット、および他のパネルオブジェクトの一般的な構造を指定する設定キー。次のキーは、デスクトップ上に現れるパネル、アプレット、および他のパネルオブジェクトの数を指定します。

    • /apps/panel/default_profiles/medium/general/panel_id_list

    • /apps/panel/default_profiles/medium/general/applet_id_list

    • /apps/panel/default_profiles/medium/general/object_id_list

    これらのキーは、各パネル、アプレット、およびパネルオブジェクトに識別子も割り当てます。たとえば、panel-per-panel-config.schemas からの次の抜粋は、2 つのパネルがデスクトップ上に表示されることを指定します。

    <key>/schemas/apps/panel/default_profiles/medium/
    general/panel_id_list</key>
    .
    .
    .
    <default>[00000001,00000002]</default>

    panel-per-panel-config.schemas 内の識別子 00000001 はボトムエッジパネルを識別し、識別子 00000002 はメニューパネルを識別します。

  2. パネルのプロパティを指定する設定キー。パネル設定キーは、次のように構成されています。

    /apps/panel/default_profiles/medium/panels/panel_number/panel_property_key
    

    たとえば、/apps/panel/default_profiles/medium/panels/00000001/screen_edge は、ボトムエッジパネルが表示されるディスプレイのエッジを指定します。

    ボトムエッジパネルのプロパティを指定するキーは、最初にリストされます。メニューパネルのプロパティを指定するキーは、panel-per-panel-config.schemas の medium セクションの末尾にリストされます。

  3. パネルオブジェクト、パネルオブジェクトプロパティ、およびオブジェクトが存在するパネルをリストする設定キー。たとえば、panel-per-panel-config.schemas からの次の抜粋では、オブジェクト 00000001 を指定しています。

    <key>/schemas/apps/panel/default_profiles/medium/
    objects/00000001/object_type</key>
    .
    .
    .
    <default>launcher-object</default>
    .
    .
    .
    <key>/schemas/apps/panel/default_profiles/medium/
    objects/00000001/launcher_location</key>
    .
    .
    .
    <default>applications:///nautilus.desktop</default>
    .
    .
    .
    <key>/schemas/apps/panel/default_profiles/medium/
    objects/00000001/panel_id</key>
    .
    .
    .
    <default>00000002</default>

    オブジェクトは、Nautilus ファイルマネージャを起動するランチャーです。このランチャーは、メニューパネルに含まれています。

  4. アプレット、アプレット設定、およびアプレットが存在するパネルをリストする設定キー。たとえば、panel-per-panel-config.schemas からの次の抜粋では、アプレット 00000001 を指定しています。

    <key>/schemas/apps/panel/default_profiles/medium/
    applets/00000001/object_type</key>
    .
    .
    .
    <default>bonobo-applet</default>
    .
    .
    .
    <key>/schemas/apps/panel/default_profiles/medium/
    applets/00000001/panel_id</key>
    .
    .
    .
    <default>00000001</default>
    .
    .
    .
    <key>/schemas/apps/panel/default_profiles/medium/
    applets/00000001/bonobo_iid</key>
    .
    .
    .
    <default>OAFIID:GNOME_TasklistApplet</default>

    アプレットは、ウィンドウリストアプレットです。このアプレットは、ボトムエッジパネルにあります。

パネル設定を個別に設定するためのサンプルスクリプト

この節では、次のような主要な特性を持つパネルに対して、環境を設定するサンプルスクリプトについて説明します。

このサンプルスクリプトでは、ほかのマイナーな設定も設定しています。設定はすべて、必須値ではなくデフォルト値を持っています。

サンプルスクリプトは、次のようになります。

# 使用法: set_key <タイプ> <キー> <値> <追加オプション (必要な場合)>

function set_key() 
{
  TYPE="$1"
  shift
  KEY="$1"
  shift
  VALUE="$1"
  shift
  OTHER_ARGS="$*"
  gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults
--owner=panel $OTHER_ARGS --type "$TYPE" --set "$KEY" "$VALUE"
}

# パネルの数、ランチャーの数、およびアプレットの数を定義する
set_key list /apps/panel/default_profiles/medium/general
/panel_id_list [00000001] --list-type string
set_key list /apps/panel/default_profiles/medium/general
/object_id_list [00000001,00000002] --list-type string
set_key list /apps/panel/default_profiles/medium/general
/applet_id_list [00000001] --list-type string

# パネルの特性を定義する
set_key string /apps/panel/default_profiles/medium/panels
/00000001/panel_type edge-panel
set_key string /apps/panel/default_profiles/medium/panels
/00000001/panel_size panel-size-x-small
set_key string /apps/panel/default_profiles/medium/panels
/00000001/screen_edge panel-edge-bottom
set_key bool /apps/panel/default_profiles/medium/panels
/00000001/hide_buttons_enabled false
set_key string /apps/panel/default_profiles/medium/panels
/00000001/panel_background_type no-background

# 最初のランチャーを定義する
set_key string /apps/panel/default_profiles/medium/objects
/00000001/object_type launcher-object
set_key string /apps/panel/default_profiles/medium/objects
/00000001/launcher_location 'applications:///nautilus.desktop'
set_key string /apps/panel/default_profiles/medium/objects
/00000001/panel_id 00000001
set_key int /apps/panel/default_profiles/medium/objects
/00000001/position 20

# 2 番目のランチャーを定義する
set_key string /apps/panel/default_profiles/medium/objects
/00000002/object_type launcher-object
set_key string /apps/panel/default_profiles/medium/objects
/00000002/launcher_location 'applications:///System/gnome-terminal.desktop'
set_key string /apps/panel/default_profiles/medium/objects
/00000002/panel_id 00000001
set_key int /apps/panel/default_profiles/medium/objects
/00000002/position 25

# アプレットを定義する
set_key string /apps/panel/default_profiles/medium/applets
/00000001/object_type bonobo-applet
set_key string /apps/panel/default_profiles/medium/applets
/00000001/bonobo_iid OAFIID:GNOME_TasklistApplet
set_key string /apps/panel/default_profiles/medium/applets
/00000001/panel_id 00000001
set_key int /apps/panel/default_profiles/medium/applets
/00000001/position 25

ルック&フィールの設定

この節では、ルック&フィールの設定に必須値またはデフォルト値を割り当てる方法を説明します。

フォントの設定

フォントを設定するには、2 つの設定キーの値を変更します。以下の表は、変更するキーと、そのキーに対応するユーザーインターフェイス部分を示しています。

GConf の場所 

ユーザーインターフェイスコンポーネント 

/desktop/gnome/interface/font_name 

フォント設定ツールの「アプリケーション用フォント」セクション

/apps/nautilus/preferences/desktop_font 

フォント設定ツールの「デスクトップ用フォント」セクション

たとえば、Sans 12 を必須アプリケーション用フォントとして設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /desktop/gnome/interface/font_name “Sans 12”

palatino 12 をデフォルトのデスクトップ用フォントとして設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type string --set /apps/nautilus/preferences/desktop_font “palatino 12”

デスクトップ背景の設定

デスクトップ背景を設定するには、 /desktop/gnome/background の設定キーの値を変更します。たとえば、デスクトップ背景に必須イメージを設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /desktop/gnome/background/picture_filename filename.png

この設定にデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type string --set /desktop/gnome/background/picture_filename filename.png

ほかのデスクトップ背景を設定することもできます。ほかのデスクトップ背景設定に関する情報については、desktop_gnome_background.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。

スプラッシュイメージの設定

スプラッシュイメージを設定するには、/apps/gnome-session/options/ の設定キーの値を変更します。たとえば、スプラッシュイメージを表示しないように設定するには、必須値を次のように設定します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type bool --set /apps/gnome-session/options/show_splash_screen false

この設定にデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type bool --set /apps/gnome-session/options/show_splash_screen false

ほかのスプラッシュイメージを設定することもできます。ほかのスプラッシュイメージ設定に関する情報については、gnome-session.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。

デフォルト設定値の復元

ユーザーのデフォルト設定値を復元するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source user_configuration_source --recursive-unset

user_configuration_source は、ユーザーのホームディレクトリにある .gconf ディレクトリ内の構成ソースに置き換えます。

このコマンドは、すべてのサブディレクトリで、ユーザー設定からデフォルト構成ソースの設定までを含むすべての設定キーの値をリセットします。