clquorum(1CL) コマンドを使用すると、定足数の管理手順をすべて実行できます。また、clsetup(1CL) 対話型ユーティリティーや Sun Cluster Manager GUI を使用しても、いくつかの管理手順を実行できます。この章の管理手順は、可能なかぎり clsetup ユーティリティーを使用して説明してあります。GUI を使用して定足数手順を実行する方法については、Sun Cluster Manager のオンラインヘルプを参照してください。定足数デバイスを使用して作業する際は、次のガイドラインに注意してください。
Solaris 10 OS を実行している場合、すべての定足数コマンドは大域ゾーンで実行する必要があります。
clquorum コマンドが中断または失敗すると、定足数の構成情報は、クラスタ構成データベースで矛盾することになります。このような矛盾が発生した場合は、このコマンドを再度実行するか、clquorum reset コマンドを実行して定足数構成をリセットします。
クラスタの可用性を最高にするには、定足数デバイスによる合計の投票数が、ノードによる合計の投票数よりも少なくなるようにします。少なくなければ、すべてのノードが機能していても、すべての定足数デバイスを使用できない場合、そのノードはクラスタを形成できません。
現在定足数デバイスとして構成されているディスクは、Solaris ZFS ストレージプールには追加しないでください。構成済みの定足数デバイスを Solaris ZFS ストレージプールに追加すると、ディスクは EFI ディスクとしてラベルが変更され、また定足数構成情報が失われ、ディスクはクラスタへの定足数投票を提供しなくなります。ディスクがストレージプール内に入ると、そのディスクは定足数デバイスとして構成できます。または、ディスクの構成を解除したり、ディスクをストレージプールに追加し、そのディスクを定足数デバイスとして再構成することができます。
clsetup コマンドは、ほかの Sun Cluster コマンドに対する対話型インタフェースです。clsetup の実行時、このコマンドは適切な固有のコマンドを生成します。今回の場合は、clquorum コマンドです。これらのコマンドは、各説明の後にある例の中で示しています。
定足数構成を表示するには、clquorum show を使用します。clquorum list コマンドは、クラスタ内の定足数デバイスの名前を表示します。clquorum status コマンドは、状態と投票数の情報を提供します。
表 6–1 作業リスト : 定足数の管理
作業 |
参照先 |
---|---|
clsetup(1CL) を使用することで、定足数デバイスをクラスタに追加する | |
clsetup を使用する (clquorum を生成する) ことにより、クラスタから定足数デバイスを削除する | |
clsetup を使用する (clquorum を生成する) ことにより、クラスタから最後の定足数デバイスを削除する | |
追加と削除の手順を使用することで、クラスタ内の定足数デバイスを交換する | |
追加と削除の手順を使用することで、定足数デバイスのリストを変更する | |
clsetup を使用する (clquorum を生成する) ことにより、定足数デバイスを保守状態にする (保守状態にある場合、定足数デバイスは定足数確立の投票に参加しません。) | |
clsetup を使用する (clquorum を生成する) ことにより、定足数構成をデフォルト状態にリセットする | |
clquorum(1CL) コマンドを使用することで、定足数デバイスと投票数を一覧表示する |
クラスタ内の定足数デバイス上で動的再構成 (DR) を実行するときには、いくつかの問題を考慮する必要があります。
Solaris の DR 機能の説明で述べられているすべての必要条件、手順、制限は Sun Cluster の DR サポートにも適用されます (オペレーティングシステムでの休止操作をしない場合を除く)。したがって、Sun Cluster ソフトウェアで DR 機能を使用する前に、必ず、Solaris の DR 機能についての説明を参照してください。特に、DR Detach 操作中に、ネットワークに接続されていない入出力デバイスに影響する問題について確認してください。
Sun Cluster は、定足数デバイス用に構成されたインタフェースが存在する場合 DR 削除操作を実行できません。
DR 操作がアクティブなデバイスに影響する場合、Sun Cluster はその操作を拒否して、その操作から影響を受けるデバイスを識別します。
定足数デバイスを削除するには、次の手順をその順番どおりに行います。
表 6–2 作業マップ: 定足数デバイスへの動的再構成
作業 |
参照先 |
---|---|
1. 削除する定足数デバイスと交換する、新しい定足数デバイスを有効に設定 | |
2. 削除する定足数デバイスを無効に設定 | |
3. 削除する定足数デバイス上で DR 削除操作を実行 |
「Solaris 9 on Sun Hardware」コレクションと「Solaris 10 on Sun Hardware」コレクションの『Sun Enterprise 10000 DR 構成マニュアル』と『Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration リファレンスマニュアル』) |