Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)

Procedureマウント解除できるファイルシステムをミラー化する

次の手順を使用し、マウント解除できるユーザー定義ファイルシステムをミラー化します。この手順では、ノードを再起動する必要はありません。


注 –

この手順では、長い形式の Sun Cluster コマンドを紹介します。ほとんどのコマンドには、短い形式もあります。これらのコマンドは、コマンド名の形式以外は同一です。コマンドの一覧および短い形式については、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の付録 A「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。


  1. スーパーユーザーになります。

  2. ミラー化するファイルシステムをマウント解除します。

    そのファイルシステム上で実行中のプロセスがないことを確認します。


    phys-schost# umount /mount-point
    

    詳細は、umount(1M) のマニュアルページおよび『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の第 19 章「ファイルシステムのマウントとマウント解除 (手順)」を参照してください。

  3. マウント解除できるユーザー定義ファイルシステムが存在するスライスを、単一スライス(1 方向) 連結にします。

    ディスクスライスの物理ディスク名を指定します (cNtXdYsZ)。


    phys-schost# metainit -f submirror1 1 1 diskslice
    
  4. 2 番目の連結を作成します。


    phys-schost# metainit submirror2 1 1 submirror-diskslice
    
  5. 1 つのサブミラーを使用して 1 方向のミラーを作成します。


    phys-schost# metainit mirror -m submirror1
    

    注 –

    このミラーのボリューム名は、クラスタ全体で一意である必要はありません。


  6. ミラー化するマウント可能な各ファイルシステムで手順 1から手順 5 までを繰り返します。

  7. 各ノードで 、ミラー化した各ファイルシステムの /etc/vfstab ファイルエントリを編集します。

    device to mount および device to fsck 列の名前を実際のミラー名に変更してください。


    phys-schost# vi /etc/vfstab
    #device        device        mount    FS     fsck    mount    mount
    #to mount      to fsck       point    type   pass    at boot  options
    #
    /dev/md/dsk/mirror /dev/md/rdsk/mirror /filesystem ufs 2 no global
  8. 2 番目のサブミラーをこのミラーに接続します。

    このように接続することで、サブミラーの同期が開始されます。


    phys-schost# metattach mirror submirror2
    
  9. 手順 8 で開始したミラーの同期が完了するまで待機します。

    metastat(1M) コマンドを使用してミラー状態を参照します。


    phys-schost# metastat mirror
    
  10. ユーザー定義ファイルシステムのミラー化に使用されるディスクが物理的に複数のノードに接続されている (多重ホスト化されている) 場合は、デバイスグループのノードリストにノードが 1 つしか含まれず、localonly プロパティーが有効になっていることを確認してください。

    デバイスグループが以下の要件を満たすことを確認してください。

    • raw ディスクデバイスグループは、そのノードリストに構成された唯一のノードである必要があります。

    • raw ディスクデバイスグループの localonly プロパティーが有効になっている必要があります。localonly プロパティーは、ブートデバイスが複数のノードに接続されている場合に、ブートデバイスからのノードが不意に停止するのを防ぎます。

    1. 必要に応じて、cldevice コマンドを使用して、raw ディスクデバイスグループの名前を調べます。


      phys-schost# cldevice show node:/dev/rdsk/cNtXdY
      

      ヒント –

      このディスクに物理的に接続されているノードからコマンドを発行する場合は、ディスク名をデバイスのフルパス名の代わりに cNtXdY で指定することができます。


      次の例では、raw ディスクデバイスグループ名 dsk/d2 は DID デバイス名の一部です。


      === DID Device Instances ===                   
      
      DID Device Name:                                /dev/did/rdsk/d2
        Full Device Path:                               phys-schost-1:/dev/rdsk/c1t1d0
        Full Device Path:                               phys-schost-3:/dev/rdsk/c1t1d0
      …

      詳細については、cldevice(1CL) のマニュアルページを参照してください。

    2. raw ディスクデバイスグループのノードリストを表示します。


      phys-schost# cldevicegroup show dsk/dN
      

      デバイスグループ dsk/d2 の出力は次のようになります。


      Device Group Name:                              dsk/d2
      …
        Node List:                                      phys-schost-1, phys-schost-3
      …
        localonly:                                      false
    3. ノードリストに複数のノード名が含まれる場合、ルートディスクをミラー化したノードを除くすべてのノードをノードリストから削除します。

      ルートディスクをミラー化したノードだけが raw ディスクデバイスグループのノードリストに残るはずです。


      phys-schost# cldevicegroup remove-node -n node devicegroup
      
      -n node

      デバイスグループのノードリストから削除するノードを指定します。

    4. raw ディスクデバイスグループの localonly プロパティーが有効になっていない場合は、これを有効にします。

      localonly プロパティが有効になった時点で、raw ディスクデバイスグループはそのノードリスト内のノードだけに使用されるようになります。これにより、起動デバイスが複数のノードに接続されている場合に、不意にノードがその起動デバイスから使用できなくなることが防止されます。


      phys-schost# cldevicegroup set -p localonly=true devicegroup
      
      -p

      デバイスグループプロパティーに値を設定します。

      localonly=true

      デバイスグループの localonly プロパティーを有効にします。

      localonly プロパティーの詳細については、cldevicegroup(1CL) のマニュアルページを参照してください。

  11. ミラー化したファイルシステムをマウントします。


    phys-schost# mount /mount-point
    

    詳細は、mount(1M) のマニュアルページおよび『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の第 19 章「ファイルシステムのマウントとマウント解除 (手順)」を参照してください。


例 4–5 マウント解除できるファイルシステムのミラー化

次の例に、ミラー d4 を作成し、c0t0d0s4 上に存在する /export をミラー化する方法を示します。ミラー d4 は、パーティション c0t0d0s4 上のサブミラー d14 とパーティション c2t2d0s4 上のサブミラー d24 で構成されています。/export 用の /etc/vfstab ファイルエントリは、ミラー名 d4 を使用するように更新されます。デバイス c2t2d0 は多重ホストディスクなので、localonly プロパティが有効に設定されています。


phys-schost# umount /export
phys-schost# metainit -f d14 1 1 c0t0d0s4
d14: Concat/Stripe is setup
phys-schost# metainit d24 1 1 c2t2d0s4
d24: Concat/Stripe is setup
phys-schost# metainit d4 -m d14
d4: Mirror is setup
phys-schost# vi /etc/vfstab
#device        device        mount    FS     fsck    mount    mount
#to mount      to fsck       point    type   pass    at boot  options
#
# /dev/md/dsk/d4 /dev/md/rdsk/d4 /export ufs 2 no    global
phys-schost# metattach d4 d24
d4: Submirror d24 is attached
phys-schost# metastat d4
d4: Mirror
       Submirror 0: d14
          State: Okay
       Submirror 1: d24
          State: Resyncing
       Resync in progress: 15 % done
…
phys-schost# cldevice show phys-schost-3:/dev/rdsk/c2t2d0
…
DID Device Name:                                /dev/did/rdsk/d2
phys-schost# cldevicegroup show dsk/d2
Device Group Name:                              dsk/d2
…
  Node List:                                      phys-schost-1, phys-schost-2
…
  localonly:                                      false
phys-schost# cldevicegroup remove-node -n phys-schost-3 dsk/d2
phys-schost# cldevicegroup set -p localonly=true dsk/d2 
phys-schost# mount /export

次の手順

ディスクセットを作成する必要がある場合は、次のうちの 1 つに進みます。

必要十分なディスクセットを持っている場合は、次のうちの1 つに進みます。

注意事項

このミラー化のいくつかの手順において、metainit: dg-schost-1: d1s0: not a metadevice のようなエラーメッセージが出力されることがあります。このようなエラーメッセージは危険ではなく、無視してもかまいません。