次の場合は定足数デバイスを構成する必要はありません。
Sun Cluster ソフトウェアの構成時に自動定足数構成を選択した場合
単一ノードクラスタをインストールした場合
ノードを既存のクラスタに追加し、十分な定足数投票を割り当て済みの場合
代わりに、「定足数構成とインストールモードを確認する」に進みます。
次の手順は、クラスタが完全に形成された後に一度だけ実行します。この手順で定足数投票を割り当て、クラスタのインストールモードを解除します。
定足数サーバーまたは NAS デバイスを定足数デバイスとして構成するために次の準備を実行します。
定足数サーバーを定足数デバイスとして構成するには、次の手順を実行します。
定足数サーバーのホストコンピュータに Sun Cluster 定足数サーバー ソフトウェアをインストールして、定足数サーバーを起動します。定足数サーバーのインストールと起動についての詳細は、「定足数サーバーソフトウェアをインストールして構成する」を参照してください。
クラスタノードに直接接続されているネットワークスイッチが次の基準を満たすことを確認します。
スイッチは RSTP (Rapid Spanning Tree Protocol) をサポートしています。
スイッチ上で高速ポートモードが有効になっています。
クラスタノードと定足数サーバー間ですぐに通信できるようにするには、これらの機能の 1 つが必要です。この通信がスイッチによって大幅に遅延すると、クラスタはこの通信の中断を定足数デバイスが失われたものと解釈します。
次の情報を用意します。
構成された定足数デバイスの名前
定足数サーバーのホストコンピュータの IP アドレス
定足数サーバーのポート番号
NAS (network-attached storage) デバイスを定足数デバイスとして構成するには、次の手順を実行します。
NAS デバイスのハードウェアとソフトウェアをインストールします。NAS ハードウェアおよびソフトウェアの要件およびインストール手順については、『Sun Cluster 3.1 - 3.2 With Network-Attached Storage Devices Manual for Solaris OS』 およびデバイスのマニュアルを参照してください。
Network Appliance NAS デバイスの場合、次の情報も指定します。
NAS デバイスの名前
NAS デバイスの LUN ID
定足数サーバーを定足数デバイスとして使用するには、クラスタを定足数サーバーと通信するように準備します。
定足数サーバー構成ファイル (/etc/scqsd/scqsd.conf) を編集します。
Sun Cluster ソフトウェアをインストールすると、デフォルトの構成ファイルである /etc/scqsd/scqsd.conf が作成されます。このファイルには 1 つのデフォルトの定足数サーバーに関する情報が含まれています。/etc/scqsd/scqsd.conf ファイルの各行は、次のような形式になっています。
/usr/cluster/lib/sc/scqsd [-d quorumdirectory] [-i instancename] -p port |
Sun Cluster ソフトウェアをインストールした場所へのフルパスです。この値は、/usr/cluster/lib/sc/scqsd である必要があります。
定足数サーバーが定足数データを格納できるディレクトリへのパスです。
クラスタ固有の定足数情報を格納するために、定足数サーバープロセスはこのディレクトリに 1 クラスタにつき 1 つのファイルを作成します。デフォルトでは、このオプションの値は /var/scqsd です。このディレクトリは、ユーザーが構成する各定足数サーバーに対して一意にします。
定足数サーバーインスタンスに対してユーザーが選択する一意の名前です。
定足数サーバーがクラスタからの要求を待機するポート番号です。デフォルトのポートは 9000 です。
インスタンス名はオプションです。定足数サーバーに対して名前を指定する場合、その名前はシステム内のすべての定足数サーバー間で一意にします。インスタンス名のオプションを省略した場合は、定足数サーバーが待機するポートにより定足数サーバーを参照します。
パブリックネットワークで可変長サブネット化 (CIDR (Classless Inter-Domain Routing) とも呼ばれる) を使用している場合は、各ノードで次のファイルを変更します。
クラスフルサブネットを使用する場合は、これらの手順を実行する必要はありません。
定足数サーバーの IP アドレスがクラスタの各ノードの /etc/inet/hosts または /etc/inet/ipnodes ファイルに含まれていることを確認します。
ネームサービスを使用する場合は、定足数サーバーがネームとアドレスのマッピングに含まれていることを確認します。
1 つのノードで、スーパーユーザーになります。
共有 SCSI ディスクを定足数デバイスとして使用するには、デバイスのクラスタノードへの接続を確認し、構成するデバイスを選択します。
クラスタの 1 つのノードから、システムがチェックするすべてのデバイスの一覧を表示します。
このコマンドを実行するために、スーパーユーザーとしてログインする必要はありません。
phys-schost-1# cldevice list -v |
出力は次のようになります。
DID Device Full Device Path ---------- ---------------- d1 phys-schost-1:/dev/rdsk/c0t0d0 d2 phys-schost-1:/dev/rdsk/c0t6d0 d3 phys-schost-2:/dev/rdsk/c1t1d0 d3 phys-schost-1:/dev/rdsk/c1t1d0 … |
出力にクラスタノードとストレージデバイス間のすべての接続が表示されていることを確認します。
定足数デバイスとして構成する各共有ディスクのグローバルデバイス ID 名を決定します。
共有ディスクを選択した場合は、その共有ディスクが定足数デバイスとして使用する権限を持つ必要があります。定足数デバイスの選択の詳細については、「定足数デバイス」を参照してください。
手順 a の scdidadm コマンドの出力を使用して、定足数デバイスとして構成する各共有ディスクのデバイス ID 名を識別します。たとえば、手順 a の出力はグローバルデバイス d2 が phys-schost-1 と phys-schost-2 によって共有されていることを示しています。
phys-schost# clsetup |
「初期クラスタ設定」画面が表示されます。
代わりに「メインメニュー」が表示された場合は、クラスタの初期設定はすでに正しく行われています。手順 9 に進みます。
「定足数デバイスを追加しますか?」というプロンプトに答えます。
定足数デバイスとして構成するデバイスの種類を指定します。
定足数デバイスの種類 |
説明 |
---|---|
scsi |
Sun NAS デバイスまたは共有 SCSI ディスク |
quorum_server |
定足数サーバー |
netapp_nas |
ネットワークアプライアンス NAS デバイス |
定足数デバイスとして構成するデバイスの名前を指定します。
「「Install mode」をリセットしますか?」というプロンプトで、「Yes」を入力します。
clsetup ユーティリティーによって、クラスタの定足数構成と投票数が設定されたあと、「クラスタの初期化は完了しました。」というメッセージが表示されます。ユーティリティは、「メインメニュー」に戻ります。
clsetup ユーティリティーを終了します。
定足数構成とインストールモードが無効になっていることを確認します。「定足数構成とインストールモードを確認する」に進みます。
中断された clsetup 処理 - 定足数設定プロセスが中断されるか、完了に失敗した場合は、clsetup をもう一度実行してください。
定足数票カウントへの変更 - 後で定足数デバイスに接続したノードの数を増やしたり、減らしたりした場合、定足数票カウントは自動的には再計算されません。各定足数デバイスを一度に 1 つずつ取り外してもう一度構成に追加することにより、正しい定足数投票をもう一度確立できます。2 ノードクラスタの場合、定足数デバイスを取り外して、もとの定足数デバイスに戻す前に一時的に新しい定足数デバイスを追加します。次に一時的に追加した定足数デバイスを取り外します。『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の第 6 章「定足数の管理」の「定足数デバイスのノードリストを変更する」の手順を参照してください。