この節では、Simple Network Management Protocol (簡易ネットワーク管理プロトコル、SNMP) イベント Management Information Base (管理情報ベース、MIB) を作成、設定、および管理する方法を説明します。またこのセクションでは、Sun Cluster SNMP イベント MIB を有効化、無効化、および変更する方法も説明します。
Sun Cluster ソフトウェアでは現在、イベント MIB という MIB を 1 つサポートしています。SNMP マネージャーソフトウェアがクラスタイベントをリアルタイムでトラップします。有効な場合、SNMP マネージャー はトラップ通知を clsnmphost コマンドによって定義されているすべてのホストに自動的に送信します。MIB には、最新の 50 イベントの読み取り専用のテーブルが保持されます。クラスタは多数の通知を生成するので、重要度が warning 以上のイベントだけがトラップ通知として送信されます。この情報は、リブートが実行されると消失します。
SNMP イベント MIB は、sun-cluster-event-mib.mib ファイルで定義されており、/usr/cluster/lib/mib ディレクトリにあります。この定義を使用して、SNMP トラップ情報を解釈できます。
イベント SNMP モジュールのデフォルトのポート番号は 11161 で、SNMP トラップのデフォルトのポートは 11162 です。これらのポート番号は、共通エージェントコンテナのプロパティーファイル ( /etc/cacao/instances/default/private/cacao.properties) を変更することによって変更できます。
Sun Cluster SNMP イベント MIB の作成、設定、および管理には次の作業が含まれます。
表 8–4 作業マップ: Sun Cluster SNMP イベント MIB の作成、設定、および管理
作業 |
参照先 |
---|---|
SNMP イベント MIB の有効化 | |
SNMP イベント MIB の無効化 | |
SNMP イベント MIB の変更 | |
MIB のトラップ通知を受信するホストリストへの SNMP ホストの追加 | |
SNMP ホストの削除 | |
SNMP ユーザーの追加 | |
SNMP ユーザーの削除 |
この手順では、SNMP イベント MIB を有効にする方法を示します。
この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。
スーパーユーザーになるか、solaris.cluster.modify RBAC の承認を提供する役割になります。
SNMP イベント MIB を有効にします。
phys-schost-1# clsnmpmib enable [-n node] MIB |
有効にするイベント MIB がある node を指定します。ノード ID またはノード名を指定できます。このオプションを指定しないと、デフォルトで現在のノードが使用されます。
有効にする MIB の名前を指定します。この場合、MIB 名は event にしてください。
この手順では、SNMP イベント MIB を無効にする方法を示します。
この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。
スーパーユーザーになるか、solaris.cluster.modify RBAC の承認を提供する役割になります。
SNMP イベント MIB を無効にします。
phys-schost-1# clsnmpmib disable -n node MIB |
無効にするイベント MIB がある node を指定します。ノード ID またはノード名を指定できます。このオプションを指定しないと、デフォルトで現在のノードが使用されます。
無効にする MIB の種類を指定します。この場合、event を指定してください。
この手順では、SNMP イベント MIB のプロトコルを変更する方法を示します。
この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。
スーパーユーザーになるか、solaris.cluster.modify RBAC の承認を提供する役割になります。
SNMP イベント MIB のプロトコルを変更します。
phys-schost-1# clsnmpmib set -n node -p version=value MIB |
変更するイベント MIB がある node を指定します。ノード ID またはノード名を指定できます。このオプションを指定しないと、デフォルトで現在のノードが使用されます。
MIB で使用する SNMP プロトコルのバージョンを指定します。value は次のように指定します。
version=SNMPv2
version=snmpv2
version=2
version=SNMPv3
version=snmpv3
version=3
サブコマンドが適用される単数または複数の MIB の名前を指定します。この場合、event を指定してください。
この手順では、ノード上の SNMP ホストを、MIB のトラップ通知を受信するホストのリストに追加する方法を説明します。
この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。
スーパーユーザーになるか、solaris.cluster.modify RBAC の承認を提供する役割になります。
ホストを、別のノード上のコミュニティーの SNMP ホストリストに追加します。
phys-schost-1# clsnmphost add -c SNMPcommunity [-n node] host |
ホスト名とともに使用される SNMP コミュニティー名を指定します。
ホストを public 以外のコミュニティーに追加する場合は、コミュニティー名 SNMPcommunity を指定してください。add サブコマンドを -c オプションなしで使用すると、このサブコマンドは public をデフォルトのコミュニティー名として使用します。
指定されたコミュニティー名が存在しない場合、このコマンドはそのコミュニティーを作成します。
クラスタ内の SNMP MIB に対するアクセス権を付与されている SNMP ホストの node の名前を指定します。ノード名またはノード ID を指定できます。このオプションを指定しないと、デフォルトで現在のノードが使用されます。
クラスタ内の SNMP MIB に対するアクセス権が付与されたホストの名前、IP アドレス、または IPv6 アドレスを指定します。
この手順では、ノード上の SNMP ホストを、MIB のトラップ通知を受信するホストのリストから削除する方法を説明します。
この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。
スーパーユーザーになるか、solaris.cluster.modify RBAC の承認を提供する役割になります。
指定のノード上のコミュニティーの SNMP ホストリストからホストを削除します。
phys-schost-1# clsnmphost remove -c SNMPcommunity -n node host |
指定のノードから指定の SNMP ホストを削除します。
SNMP ホストを削除する SNMP コミュニティーの名前を指定します。
構成から削除される SNMP ホストの node の名前を指定します。ノード名またはノード ID を指定できます。このオプションを指定しないと、デフォルトで現在のノードが使用されます。
構成から削除されるホストの名前、IP アドレス、または IPv6 アドレスを指定します。
指定の SNMP コミュニティー内のすべてのホストを削除するには、-c オプション付きの host に正符号 (+) を使用します。すべてのホストを削除するには、host に正符号 + を使用します。
この手順では、ノード上の SNMP ユーザー構成ファイルに SNMP ユーザーを追加する方法を示します。
この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。
スーパーユーザーになるか、solaris.cluster.modify RBAC の承認を提供する役割になります。
SNMP ユーザーを追加します。
phys-schost-1# clsnmpuser create -n node -a authentication \ -f password user |
SNMP ユーザーが追加されるノードを指定します。ノード ID またはノード名を指定できます。このオプションを指定しないと、デフォルトで現在のノードが使用されます。
ユーザーの承認に使用する認証プロトコルを指定します。認証プロトコルの値は SHA または MD5 です。
SNMP ユーザーパスワードを含むファイルを指定します。新しいユーザーを作成する際にこのオプションを指定しないと、コマンドはパスワードを求めるプロンプトを表示します。このオプションは、add サブコマンドとだけ有効です。
ユーザーパスワードは、次の形式で、独立した行の上に指定します。
user:password
パスワードには次に示す文字または空白文字を含めることはできません。
; (セミコロン)
: (コロン)
\ (バックスラッシュ)
\n (復帰改行)
追加する SNMP ユーザーの名前を指定します。
この手順では、ノード上の SNMP ユーザー構成から SNMP ユーザーを削除する方法を示します。
この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。