Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)

第 2 章 重要な概念 - ハードウェアサービスプロバイダ

この章では、Sun Cluster 構成のハードウェアコンポーネントに関連する重要な概念について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

Sun Cluster システムのハードウェアおよびソフトウェアコンポーネント

ここで示す情報は、主にハードウェアサービスプロバイダを対象としています。これらの概念は、サービスプロバイダが、クラスタハードウェアの設置、構成、またはサービスを提供する前に、ハードウェアコンポーネント間の関係を理解するのに役立ちます。またこれらの情報は、クラスタシステムの管理者にとっても、クラスタソフトウェアをインストール、構成、管理するための予備知識として役立ちます。

クラスタは、次のようなハードウェアコンポーネントで構成されます。

Sun Cluster ソフトウェアを使用すると、これらのコンポーネントを各種の構成に組み合わせることができます。これらの構成については、次の節で説明します。

2 ホストクラスタの構成例については、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』「Sun Cluster のハードウェア環境」を参照してください。

クラスタノード

Solaris 10 OS より前にリリースされた Solaris OS 上で動作するクラスタの場合、ノードはクラスタメンバーシップに参加する「物理的なマシン」であり、定足数デバイスではありません。Solaris 10 OS 上で動作するクラスタでは、ノードの概念が変更されました。この環境でのノードは、クラスタに関連付けられている Solaris ゾーンです。また、「Solaris ホスト」(単純に「ホスト」とも呼ばれます) は、Solaris OS および個別のプロセスが実行される、次のハードウェア構成またはソフトウェア構成のいずれかです。

プラットフォームに応じて、Sun Cluster ソフトウェアは次の構成をサポートします。

一般的に Solaris ホストは、1 つまたは複数の多重ホストデバイスに接続されます。多重ホストデバイスに接続されていないホストは、クラスタファイルシステムを使用して多重ホストデバイスにアクセスします。たとえば、スケーラブルサービスを 1 つ構成することで、ホストが多重ホストデバイスに直接接続されていなくてもサービスを提供することができます。

さらに、パラレルデータベース構成では、複数のホストがすべてのディスクへの同時アクセスを共有します。

クラスタ内のノードはすべて、共通の名前 (クラスタ名) によってグループ化されます。この名前は、クラスタのアクセスと管理に使用されます。

パブリックネットワークアダプタは、ホストとパブリックネットワークを接続して、クラスタへのクライアントアクセスを可能にします。

クラスタメンバーは、1 つまたは複数の物理的に独立したネットワークを介して、クラスタ内のほかのホストと通信します。物理的に独立したネットワークの集合は、クラスタインターコネクトと呼ばれます。

クラスタ内のすべてのノードは、別のノードがいつクラスタに結合されたか、またはクラスタから切り離されたかを認識します。さらに、クラスタ内のすべてのノードは、ほかのクラスタノードで実行されているリソースだけでなく、ローカルに実行されているリソースも認識します。

同じクラスタ内の各ホストの処理、メモリー、および入出力機能が同等で、パフォーマンスを著しく低下させることなく処理を継続できることを確認してください。フェイルオーバーの可能性があるため、すべてのホストには、バックアップまたは二次ホストとしてすべてのホストの作業負荷を引き受けるのに十分な予備容量が必要です。

各ホストは、独自のルート (/) ファイルシステムを起動します。

クラスタハードウェアメンバー用のソフトウェアコンポーネント

Solaris ホストがクラスタメンバーとして動作するためには、ホストに次のソフトウェアがインストールされていなければなりません。

次の図は、Sun Cluster 環境を構成するソフトウェアコンポーネントとその関係の概要を示しています。

図 2–1 Sun Cluster ソフトウェアコンポーネントとその関係の概要

図 : この図については、前の本文中で説明しています。

クラスタメンバーの FAQ については、第 4 章よくある質問を参照してください。

多重ホストデバイス

多重ホストデバイスとは、一度に複数の Solaris ホストに接続できるディスクのことです。Sun Cluster 環境では、多重ホスト記憶装置によってディスクの可用性を強化できます。2 ホストクラスタでは、Sun Cluster ソフトウェアは定足数を確立するために多重ホスト記憶装置を必要とします。3 ホストより大きなクラスタでは、定足数デバイスを必要としません。定足数についての詳細は、「定足数と定足数デバイス」を参照してください。

多重ホストデバイスには、次の特徴があります。

ボリュームマネージャーは、ミラー化された構成または RAID-5 構成を提供することによって、多重ホストデバイスのデータ冗長性を実現します。現在、Sun Cluster はボリュームマネージャーとして Solaris Volume Managerおよび Veritas Volume Manager をサポートし、また、いくつかのハードウェア RAID プラットフォームでは RDAC RAID-5 ハードウェアコントローラをサポートします。

多重ホストデバイスをミラー化したディスクやストライプ化したディスクと組み合わせると、ホストの障害や個々のディスクの障害から保護できます。

多重ホスト記憶装置の FAQ については、第 4 章よくある質問を参照してください。

多重イニシエータ SCSI

この項は、多重ホストデバイスに使用されるファイバチャネル記憶装置ではなく、SCSI 記憶装置にのみ適用されます。

クラスタ化されていないスタンドアロンホストでは、ホストが、このホストを特定の SCSI バスに接続する SCSI ホストアダプタ回路によって、SCSI バスのアクティビティーを制御します。この SCSI ホストアダプタ回路は、SCSI イニシエータと呼ばれます。この回路は、この SCSI バスに対するすべてのバスアクティビティーを開始します。Sun システムの SCSI ホストアダプタのデフォルト SCSI アドレスは 7 です。

クラスタ構成では、多重ホストデバイスを使用し、複数のホスト間で記憶装置を共有します。クラスタ記憶装置が SCSI デバイスまたは Differential SCSI デバイスで構成される場合、その構成のことを「多重イニシエータ SCSI」と呼びます。この用語が示すように、複数の SCSI イニシエータが SCSI バスに存在します。

SCSI 仕様では、SCSI バス上のデバイスごとに一意の SCSI アドレスが必要 (ホストアダプタも SCSI バス上のデバイス) です。多重イニシエータ環境では、デフォルトのハードウェア構成は、すべての SCSI ホストアダプタがデフォルトの 7 になっているので、衝突が生じます。

この衝突を解決するには、各 SCSI バスで、SCSI アドレスが 7 の SCSI ホストアダプタを 1 つ残し、ほかのホストアダプタには、未使用の SCSI アドレスを設定します。これらの未使用の SCSI アドレスには、現在未使用のアドレスと最終的に未使用となるアドレスの両方を含めるべきです。将来未使用となるアドレスの例としては、新しいドライブを空のドライブスロットに設置することによる記憶装置の追加があります。

ほとんどの構成では、二次ホストアダプタに使用できる SCSI アドレスは 6 です。

これらのホストアダプタ用に選択された SCSI アドレスを変更するには、次のツールのいずれかを使用して、scsi-initiator-id プロパティーを設定します。

このプロパティーは 1 つのホストに対して、広域的にまたはホストアダプタごとに設定できます。SCSI ホストアダプタごとに一意の scsi-initiator-id を設定する手順は、『Sun Cluster 3.1 - 3.2 With SCSI JBOD Storage Device Manual for Solaris OS』に記載されています。

ローカルディスク

ローカルディスクとは、単一の Solaris ホストにのみ接続されたディスクを表します。したがって、ローカルディスクはホストの障害から保護されません。つまり、可用性が低いということです。ただし、ローカルディスクを含むすべてのディスクは広域的名前空間に含まれ、広域デバイスとして構成されています。したがって、ディスク自体はすべてのクラスタホストから参照できます。

ローカルディスク上のファイルシステムをほかのホストから使用できるようにするには、それらのファイルシステムを広域マウントポイントに置きます。これらの広域ファイルシステムのいずれかがマウントされているホストに障害が生じると、すべてのホストがそのファイルシステムにアクセスできなくなります。ボリュームマネージャーを使用すると、これらのディスクがミラー化されるため、これらのファイルシステムに障害が発生してもアクセス不能になることはありません。ただし、ホスト障害をボリュームマネージャーで保護することはできません。

広域デバイスについての詳細は、「グローバルデバイス」を参照してください。

リムーバブルメディア

クラスタでは、テープドライブや CD-ROM ドライブなどのリムーバブルメディアがサポートされています。通常、これらのデバイスは、クラスタ化していない環境と同じ方法でインストール、構成し、サービスを提供できます。これらのデバイスは、Sun Cluster で広域デバイスとして構成されるため、クラスタ内の任意のノードから各デバイスにアクセスできます。リムーバブルメディアのインストールと構成については、『Sun Cluster 3.1 - 3.2 Hardware Administration Manual for Solaris OS』を参照してください。

広域デバイスについての詳細は、「グローバルデバイス」を参照してください。

クラスタインターコネクト

クラスタインターコネクト」は、クラスタ内の Solaris ホスト間のクラスタプライベート通信とデータサービス通信の転送に使用される物理的な装置構成です。インターコネクトは、クラスタプライベート通信で拡張使用されるため、パフォーマンスが制限される可能性があります。

クラスタ内のホストだけがクラスタインターコネクトに接続できます。Sun Cluster セキュリティーモデルは、クラスタホストだけがクラスタインターコネクトに物理的にアクセスできるものと想定しています。

1 つのクラスタでは、1 つから 6 つまでのクラスタインターコネクトを設定できます。クラスタインターコネクトを 1 つだけ使用すると、プライベートインターコネクトに使用されるアダプタポートの数が減り、同時に冗長性がなくなり、可用性が低くなります。また、1 つのインターコネクトに障害が発生すると、クラスタについて自動回復を実行しなければならないリスクが高くなります。可能な限り、クラスタインターコネクトは 2 つ以上インストールしてください。冗長性とスケーラビリティーが提供されるので、シングルポイント障害が回避されて可用性も高くなります。

クラスタインターコネクトは、アダプタ、接続点、およびケーブルの 3 つのハードウェアコンポーネントで構成されます 。次に、これらの各ハードウェアコンポーネントについて説明します。

クラスタインターコネクトの FAQ については、第 4 章よくある質問を参照してください。

パブリックネットワークインタフェース

クライアントは、パブリックネットワークインタフェースを介してクラスタに接続します。各ネットワークアダプタカードは、カードに複数のハードウェアインタフェースがあるかどうかによって、1 つまたは複数のパブリックネットワークに接続できます。

複数のパブリックネットワークインタフェースカードを持つ Solaris ホストをクラスタに設定することによって、次の機能を実行できます。

いずれかのアダプタに障害が発生すると、IP ネットワークマルチパス ソフトウェアが呼び出され、障害のあるインタフェースが同じグループの別のアダプタにフェイルオーバーされます。

パブリックネットワークインタフェースのクラスタ化に関連する特殊なハードウェアについての特記事項はありません。

パブリックネットワークの FAQ については、第 4 章よくある質問を参照してください。

クライアントシステム

クライアントシステムには、パブリックネットワークによってクラスタにアクセスするマシンやほかのホストが含まれます。クライアント側プログラムは、クラスタ上で動作しているサーバー側アプリケーションが提供するデータやサービスを使用します。

クライアントシステムの可用性は高くありません。クラスタ上のデータとアプリケーションは、高い可用性を備えています。

クライアントシステムの FAQ については、第 4 章よくある質問を参照してください。

コンソールアクセスデバイス

クラスタ内のすべての Solaris ホストにはコンソールアクセスが必要です。

コンソールアクセスを取得するには、次のうちの 1 つのデバイスを使用します。

サポートされている唯一の端末集配信装置は、Sun から提供されています。サポートされている Sun の端末集配信装置の使用は任意です。端末集配信装置を使用すると、TCP/IP ネットワークを使用して、各ホストの /dev/console にアクセスできます。この結果、ネットワークの任意の場所にあるリモートマシンから、各ホストにコンソールレベルでアクセスできます。

システムサービスプロセッサ (System Service Processor、SSP) は、Sun Enterprise E10000 サーバーへのコンソールアクセスを提供します。SSP とは、Sun Enterprise E10000 サーバーをサポートするように構成された Ethernet ネットワーク上のマシンのプロセッサカードのことです。SSP は、Sun Enterprise E10000 サーバーの管理コンソールです。Sun Enterprise E10000 サーバーのネットワークコンソール機能を使用すると、ネットワーク上のすべてのマシンからホストコンソールセッションを開くことができます。

これ以外のコンソールアクセス方式には、ほかの端末集配信装置、別ホストおよびダム端末からの tip シリアルポートアクセスがあります。


注意 – 注意 –

基本サーバープラットフォームでキーボードまたはモニターがサポートされている場合、クラスタホストにキーボードまたはモニターを接続できます。ただし、このキーボードまたはモニターはコンソールデバイスとして使用できません。コンソールはシリアルポートにリダイレクトする必要があります。マシンによっては、適切な OpenBoot PROM パラメータを設定して、システムサービスプロセッサ (System Service Processor、SSP) およびリモートシステム制御 (Remote System Control、RSC) にコンソールをリダイレクトする必要があります。


管理コンソール

管理コンソールと呼ばれる専用のマシンを使用して動作中のクラスタを管理できます。通常は、Cluster Control Panel (CCP) や Sun Management Center 製品の Sun Cluster モジュール (SPARC ベースクラスタのみ) などの管理ツールソフトウェアを管理コンソールにインストールして実行します。CCP で cconsole を使用すると、一度に複数のホストコンソールに接続できます。CCP の使用法についての詳細は、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の第 1 章「Sun Cluster の管理の概要」を参照してください。

管理コンソールはクラスタホストではありません。管理コンソールは、パブリックネットワークを介して、または任意でネットワークベースの端末集配信装置を経由して、クラスタホストへのリモートアクセスに使用します。

クラスタが Sun Enterprise E10000 プラットフォームで構成されている場合は、次の作業を行います。

通常、ホストはモニターなしで構成します。そして、管理コンソールから telnet セッションを使用して、ホストのコンソールにアクセスします。管理コンソールは端末集配信装置に接続され、端末集配信装置から当該ホストのシリアルポートに接続されます。Sun Enterprise E1000 サーバーの場合は、システムサービスプロセッサから接続します。詳細は、「コンソールアクセスデバイス」を参照してください。

Sun Cluster では専用の管理コンソールは必要ありませんが、専用の管理コンソールを使用すると、次のような利点があります。

管理コンソールの FAQ については、第 4 章よくある質問を参照してください。

SPARC: Sun Cluster トポロジ

トポロジとは、Sun Cluster 環境で使用されている記憶装置プラットフォームにクラスタ内の Solaris ホストを接続するための接続スキーマをいいます。Sun Cluster ソフトウェアは、次のガイドラインに従うトポロジをサポートします。

Logical Domains (LDoms) ゲストドメインおよび LDoms I/O ドメインを仮想 Solaris ホストとして構成できます。つまり、物理マシン、LDoms I/O ドメイン、および LDoms ゲストドメインの任意の組み合わせで構成される、クラスタペア、ペア +N 構成、N+1 構成、および N*N 構成のクラスタを作成できます。また、LDoms ゲストドメインのみ、LDoms I/O ドメインのみ、またはこれら 2 つの組み合わせで構成されるクラスタを作成することもできます。

Sun Cluster ソフトウェアでは、特定のトポロジを使用するようにクラスタを構成する必要はありません。次のトポロジには、クラスタの接続スキーマを説明するときに使用する用語を示します。これらのトポロジは典型的な接続スキーマです。

次の各項では、それぞれのトポロジを図で示しています。

SPARC: クラスタペアトポロジ

クラスタペアトポロジとは、単一のクラスタ管理フレームワークのもとで動作する複数の Solaris ホストペアをいいます。この構成では、ペアの間でのみフェイルオーバーが発生します。ただし、すべてのホストがクラスタインターコネクトによって接続されていて、Sun Cluster ソフトウェア制御のもとで動作します。このトポロジを使用する場合、1 つのペアでパラレルデータベースアプリケーションを実行し、別のペアでフェイルオーバーまたはスケーラブルなアプリケーションを実行できます。

クラスタファイルシステムを使用すると、2 ペア構成も可能になります。アプリケーションデータが格納されているディスクにすべてのホストが直接接続されていない場合でも、複数のホストがスケーラブルサービスまたはパラレルデータベースを実行できます。

次の図は、クラスタペア構成を示したものです。

図 2–2 SPARC: クラスタペアトポロジ

図 : この図については、前の本文中で説明しています。

SPARC: ペア +N トポロジ

ペア +N トポロジには、次のものに直接接続された Solaris ホストのペアが含まれています。

次の図は、4 つのホストのうち 2 つ (ホスト 3 とホスト 4) がクラスタインターコネクトを使用して記憶装置にアクセスする、1 つのペア +N トポロジを示したものです。この構成を拡張し、共有記憶装置には直接アクセスしない追加ホストを追加することができます。

図 2–3 ペア +N トポロジ

図 : この図については、前の本文中で説明しています。

SPARC: N+1 (星形) トポロジ

N+1 トポロジには、複数の主 Solaris ホストと 1 つの二次ホストが含まれます。主ホストと二次ホストを同等に構成する必要はありません。主ホストは、アプリケーションサービスをアクティブに提供します。二次ホストは、主ホストに障害が生じるのを待機する間、アイドル状態である必要はありません。

二次ホストは、この構成ですべての多重ホスト記憶装置に物理的に接続されている唯一のホストです。

主ホストで障害が発生すると、Sun Cluster はそのリソースの処理を二次ホストで続行します。リソースは自動または手動で主ホストに切り換えられるまで二次ホストで機能します。

二次ホストには、主ホストの 1 つに障害が発生した場合に負荷を処理できるだけの十分な予備の CPU 容量が常に必要です。

次の図は、N+1 構成を示したものです。

図 2–4 SPARC: N+1 トポロジ

図 : この図については、前の本文中で説明しています。

SPARC: N*N (スケーラブル) トポロジ

N*N トポロジを使用すると、クラスタ内のすべての共有ストレージデバイスをクラスタ内のすべての Solaris ホストに接続できます。このトポロジを使用すると、高可用性アプリケーションはサービスを低下させずに、あるホストから別のホストにフェイルオーバーできます。フェイルオーバーが発生すると、新しいホストはプライベートインターコネクトではなく、ローカルパスを使用して、記憶装置にアクセスできます。

次の図に、N*N 構成を示します。

図 2–5 SPARC: N*N トポロジ

図 : この図については、前の本文中で説明しています。

SPARC: LDoms ゲストドメイン: ボックス内クラスタトポロジ

この Logical Domains (LDoms) ゲストドメイントポロジでは、クラスタと、そのクラスタ内のすべてのノードは同じ Solaris ホスト上に存在します。各 LDoms ゲストドメインノードは、クラスタ内の Solaris ホストと同じように動作します。定足数デバイスを含める必要をなくすために、この構成には 2 つのノードのみではなく、3 つのノードが含まれます。

このトポロジでは、プライベートネットワークの仮想スイッチ (vsw) 間の通信のみが必要であるため、各仮想スイッチを物理ネットワークに接続する必要はありません。このトポロジでは、すべてのクラスタノードが同じホスト上に置かれるため、クラスタノードは同じストレージデバイスを共有することもできます。クラスタ内の LDoms ゲストドメインおよび LDoms I/O ドメインの使用法とインストールのガイドラインに関する詳細は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』「Sun Logical Domains ソフトウェアをインストールしてドメインを作成する」を参照してください。

このトポロジでは、クラスタ内のすべてのノードが同じホスト上に置かれるため、高可用性は提供されません。ただし、開発者と管理者にとっては、テストや運用面以外の作業を行うのにこのトポロジが役立つ場合があります。このトポロジは、「ボックス内クラスタ」とも呼ばれます。

次の図はボックス内クラスタ構成を示したものです。

図 2–6 SPARC: ボックス内クラスタトポロジ

図 : この図については、前の本文中で説明しています。

SPARC: LDoms ゲストドメイン: 2 つのホストにわたる単一クラスタトポロジ

この Logical Domains (LDoms) ゲストドメイントポロジでは、単一クラスタは 2 つの異なる Solaris ホストにわたり、それぞれのクラスタは各ホスト上で 1 つのノードを構成します。各 LDoms ゲストドメインノードは、クラスタ内の Solaris ホストと同じように動作します。クラスタ内の LDoms ゲストドメインおよび LDoms I/O ドメインの使用法とインストールのガイドラインに関する詳細は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』「Sun Logical Domains ソフトウェアをインストールしてドメインを作成する」を参照してください。

次の図は、2 つのホストにわたる単一クラスタの構成を示したものです。

図 2–7 SPARC: 2 つのホストにわたる単一クラスタ

図 : この図については、前の本文中で説明しています。

SPARC: LDoms ゲストドメイン: 2 つのホストにわたる複数のクラスタトポロジ

この Logical Domains (LDoms) ゲストドメイントポロジでは、各クラスタは 2 つの異なる Solaris ホストにわたり、それぞれのクラスタは各ホスト上で 1 つのノードを構成します。各 LDoms ゲストドメインノードは、クラスタ内の Solaris ホストと同じように動作します。ここの構成では、両方のクラスタで同じインターコネクトスイッチが共有されるため、各クラスタ上で別のプライベートネットワークアドレスを指定する必要があります。プライベートネットワークアドレスを変えずに、インターコネクトスイッチを共有するクラスタ上で同じプライベートネットワークアドレスを指定すると、構成に障害が発生します。

クラスタ内の LDoms ゲストドメインおよび LDoms I/O ドメインの使用法とインストールのガイドラインに関する詳細は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』「Sun Logical Domains ソフトウェアをインストールしてドメインを作成する」を参照してください。

次の図は、2 つのホストにわたる 2 つ以上のクラスタの構成を示したものです。

図 2–8 SPARC: 2 つのホストにわたる複数のクラスタ

図 : この図については、前の本文中で説明しています。

SPARC: LDoms ゲストドメイン: 冗長 I/O ドメイン

この Logical Domains (LDoms) ゲストドメイントポロジでは、I/O ドメインで障害が発生した場合に、複数の I/O ドメインにより、ゲストドメインまたはクラスタ内のノードが動作し続けることを保証します。各 LDoms ゲストドメインノードは、クラスタ内の Solaris ホストと同じように動作します。

このトポロジでは、ゲストドメインは、2 つのパブリックネットワーク (1 つは各 I/O ドメインから) にわたって IP ネットワークマルチパス化 (IP network multipathing、IPMP) を実行します。また、ゲストドメインは、異なる I/O ドメインにわたってストレージデバイスをミラー化します。クラスタ内の LDoms ゲストドメインおよび LDoms I/O ドメインの使用法とインストールのガイドラインに関する詳細は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』「Sun Logical Domains ソフトウェアをインストールしてドメインを作成する」を参照してください。

次の図は、I/O ドメインで障害が発生した場合に、冗長 I/O ドメインにより、クラスタ内のノードが動作し続けることを保証する構成を示したものです。

図 2–9 SPARC: 冗長 I/O ドメイン

図 : この図については、前の本文中で説明しています。

x86: Sun Cluster トポロジ

トポロジとは、クラスタノードと、クラスタで使用される記憶装置プラットフォームを接続する接続スキーマをいいます。Sun Cluster は、次のガイドラインに従うトポロジをサポートします。

Sun Cluster では、特定のトポロジを使用するようにクラスタを構成する必要はありません。次のクラスタペアトポロジは、x86 ベースのホストから成るクラスタで可能なトポロジです。このトポロジを示すことによって、クラスタの接続スキーマを表す用語を紹介します。このトポロジは代表的な接続スキーマです。

次の項では、トポロジを図で示しています。

x86: クラスタペアトポロジ

クラスタペアトポロジとは、単一のクラスタ管理フレームワークのもとで動作する 2 つの Solaris ホストをいいます。この構成では、ペアの間でのみフェイルオーバーが発生します。ただし、すべてのホストがクラスタインターコネクトによって接続されていて、Sun Cluster ソフトウェア制御のもとで動作します。このトポロジを使用する場合、ペアでパラレルデータベース、フェイルオーバー、またはスケーラブルアプリケーションを実行できます。

次の図は、クラスタペア構成を示したものです。

図 2–10 x86: クラスタペアトポロジ

図 : この図については、前の本文中で説明しています。

x86: N+1 (星形) トポロジ

N+1 トポロジには、複数の主 Solaris ホストと 1 つの二次ホストが含まれます。主ホストと二次ホストを同等に構成する必要はありません。主ホストは、アプリケーションサービスをアクティブに提供します。二次ホストは、主ホストに障害が生じるのを待機する間、アイドル状態である必要はありません。

二次ホストは、この構成ですべての多重ホスト記憶装置に物理的に接続されている唯一のホストです。

主ホストで障害が発生すると、Sun Cluster はそのリソースの処理を二次ホストで続行します。リソースは自動または手動で主ホストに切り換えられるまで二次ホストで機能します。

二次ホストには、主ホストの 1 つに障害が発生した場合に負荷を処理できるだけの十分な予備の CPU 容量が常に必要です。

次の図は、N+1 構成を示したものです。

図 2–11 x86: N+1 トポロジ

図 : この図については、前の本文中で説明しています。