Sun GlassFish Enterprise Server 2.1 管理ガイド

パスワードのセキュリティー管理

Enterprise Server では、特定のドメインの仕様が収められるファイル domain.xml 内に、Message Queue ブローカのパスワードが、あらかじめ平文で格納されています。このパスワードを収めた domain.xml ファイルの要素は、jms-host 要素の admin-password 属性です。このパスワードはインストール時には変更不可能なので、セキュリティーに重大な影響は与えません。

ただし、管理コンソールを使用してユーザーやリソースを追加し、そのユーザーやリソースにパスワードを割り当てた場合、パスワードの中には、たとえばデータベースにアクセスするためのパスワードなど、平文で domain.xml ファイルに記述されるものもあります。このようなパスワードを平文で domain.xml ファイルに保持すると、セキュリティー上の危険を引き起こす可能性があります。admin-password 属性やデータベースパスワードを含む domain.xml のすべてのパスワードを暗号化できます。セキュリティーパスワードを管理する手順は、次のトピックを参照してください。

domain.xml ファイル内のパスワードの暗号化

domain.xml ファイル内のパスワードを暗号化するには、次の手順を実行します。

  1. domain.xml ファイルが格納されているディレクトリ (デフォルトでは domain-dir/config) から、次の asadmin コマンドを実行します。


    asadmin create-password-alias --user admin alias-name
    

    次に例を示します。


    asadmin create-password-alias --user admin jms-password

    パスワードプロンプトが表示されます。この場合は admin です。詳細については、create-password-aliaslist-password-aliasesdelete-password-alias コマンドのマニュアルページを参照してください。

  2. domain.xml のパスワードの削除および置き換えを行います。これは、asadmin set コマンドを使用して行います。このような目的での set コマンドの使用例は、次のとおりです。


    asadmin set --user admin server.jms-service.jms-host.
    default_JMS_host.admin-password='${ALIAS=jms-password}'

    注 –

    エイリアスのパスワードは、例に示すように単一引用符で囲みます。


  3. 該当するドメインの Enterprise Server を再起動します。

エンコード化されたパスワードを含むファイルの保護

ファイルの中にはエンコード化されたパスワードを含むものがあり、ファイルシステムのアクセス権を使用しての保護が必要になります。これらのファイルには次のものが含まれます。

マスターパスワードの変更

マスターパスワード (MP) とは、全体で共有するパスワードです。これを認証に使用したり、ネットワークを介して送信したりすることは決してありません。このパスワードはセキュリティー全体の要なので、ユーザーが必要に応じて手動で入力したり、またはファイルに隠蔽したりすることができます。これは、システムで最高の機密データです。ユーザーは、このファイルを削除することで、強制的にマスターパスワードの入力を要求できます。マスターパスワードが変更されると、Java JCEKS タイプのキーストアであるマスターパスワードキーストアに再保存されます。

マスターパスワードの変更手順は次のとおりです。

  1. ドメインの Enterprise Server を停止します。新旧のパスワードの入力を促す asadmin change-master-password コマンドを使用して、依存するすべての項目を再暗号化してください。次に例を示します。


    asadmin change-master-password>
    Please enter the master password>
    Please enter the new master password>
    Please enter the the new master password again>
  2. Enterprise Server を再起動します。


    注意 – 注意 –

    この時点で、実行中のサーバーインスタンスを再起動してはいけません。対応するノードエージェントの SMP が変更されるまでは、決して実行中のサーバーインスタンスを再起動しないでください。SMP が変更される前にサーバーインスタンスを再起動すると、起動に失敗します。


  3. 各ノードエージェントおよび関連するサーバーを 1 つずつ停止します。asadmin change-master-password コマンドをもう一度実行してから、ノードエージェントおよび関連するサーバーを再起動してください。

  4. すべてのノードエージェントで対応が終了するまで、次のノードエージェントで同様の作業を継続します。このようにして、継続的な変更作業が完了します。

マスターパスワードとキーストアの操作

マスターパスワードは、セキュリティー保護されたキーストアのパスワードです。新しいアプリケーションサーバードメインが作成されると、新しい自己署名付き証明書が生成されて、関連キーストアに格納されます。このキーストアは、マスターパスワードでロックされます。マスターパスワードがデフォルトではない場合、start-domain コマンドにより、マスターパスワードが要求されます。正しいマスターパスワードが入力されると、ドメインが起動します。

ドメインに関連付けられたノードエージェントが作成されると、ノードエージェントはデータをドメインと同期化させます。その間に、キーストアも同期化されます。このノードエージェントによって制御されるサーバーインスタンスは、キーストアを開く必要があります。このストアは、ドメイン作成処理で作成されたストアと基本的に同一であるため、同一のマスターパスワードでのみ開くことができます。マスターパスワード自体は、同期化されることはなく、同期中にノードエージェントには転送されません。しかし、ローカルでノードエージェントが利用できるようにする必要があります。このため、ノードエージェントの作成または起動、あるいはその両方の場合に、マスターパスワードが要求され、かつドメインの作成や起動のときに入力したパスワードと同じものを入力する必要があるのです。マスターパスワードがドメインで変更された場合は、ドメインと関連付けられている各ノードエージェントでも同じ手順で変更する必要があります。

管理パスワードの変更

管理パスワードの暗号化については、「パスワードのセキュリティー管理」を参照してください。管理パスワードの暗号化は強く推奨されています。管理パスワードを暗号化する前に変更する場合は、change-admin-password コマンドを使用してください。

管理コンソールを使用して管理パスワードを変更する手順については、管理コンソールのオンラインヘルプを参照してください。