Sun ONE Application Server 7 インストールガイド |
第 5 章
Sun ONE Application Server ソフトウェアのアップグレードこの章では、すでにインストールされている SunTM Open Net Environment (Sun ONE) Application Server ソフトウェアを Update リリースにアップグレードする手順について説明します。
ここでは次の項目について説明します。
アップグレードの準備Sun ONE Application Server のアップグレードプログラムを使用すると、すでにインストールされている Sun ONE Application Server 7 をアップグレードできるので、製品全体をインストールし直す必要がありません。アップグレード機能は、パッケージベースでインストールされた製品と、tar または zip でインストールされた製品で使用できます。必要に応じてオペレーティングシステム固有のメカニズムが利用されます。
この節では次の項目について説明します。
アップグレードコンポーネント
Sun ONE Application Server 7 アップグレードは、フルインストールの一部としてバンドルされています。アップグレードに必要なファイルは、フルインストールの「upgrade」ディレクトリにあります。
要件と制限事項
- 管理サーバーとインスタンス : アップグレード処理の進行中、管理サーバーとアプリケーションサーバーインスタンスは停止している必要があります。実行中の場合は、アップグレードプログラムによって停止されます。
- 設定ファイル : アップグレードの処理中に Sun ONE Application Server 設定ファイルを変更しないでください。設定ファイルを変更しても、設定ファイルがそのインストール先にコピーされる時に上書きされます。
- JDK : 既存の Java Developers Kit (JDK) は、アップグレードプログラムではアップグレードされません。これは共有リソースと見なされるため、必要な場合は個別にアップグレードを行う必要があります。
- NSS/NSPR パッケージ : アップグレードでは、既存の Sun ONE Application Server の一部として Netscape Security Services (NSS) パッケージと Netscape Portable Runtime (NSPR) パッケージが存在することが前提となっています。NSS パッケージと NSPR パッケージがインストールされていない場合は、アップグレードを実行しないでください。Sun ONE Application Server がインストールされていないか、壊れています。どちらの場合も、Sun ONE Application Server ソフトウェア全体をインストールする必要があります。
- アップグレード処理の実行中は、次のファイルを変更しないでください。
- アップグレードの中断 : 必要な場合はアップグレードを中断し、あとで中断した時点から再開できます。ただし、アップグレード途中のサーバーインスタンスは不整合な状態になるので、いったんアップグレードを開始したら完了する必要があります。
アップグレードプログラムの動作アップグレードプログラムは Perl スクリプトであり、パッケージリストファイルを使ってアップグレードのパラメータを決定します。アップグレードする必要のあるパッケージのリストが package-list ファイルに記述されます。
アップグレード処理には、バックアップ、インストール、再設定という 3 つのフェーズがあります。アップグレード処理の監視とトラブルシューティングに役立つように、これらのフェーズそれぞれにログファイルが作成されます。
この節では次の項目について説明します。
バックアップフェーズ
注
バックアップフェーズは、Solaris のパッケージベースでないインストール (zip ベースの評価用) にのみ関係します。このフェーズは、Solaris のパッケージベースのバンドル版またはアンバンドル版インストール、または Linux RPM ベースのインストールにはありません。その場合、関連するファイルは自動的に保存されます。
Microsoft Windows 環境での評価版のインストールの場合は、アップグレード処理の開始時に、Sun ONE Application Server の設定ファイルが別の場所にコピーされます。これは、アップグレード処理によって変更されないようにするためです。アップグレード処理の最後の再設定フェーズで、これらの設定ファイルは再び元の場所にコピーされます。
Solaris のパッケージベースのインストールの場合は、クラスアクションスクリプトによって設定ファイルのコピーが行われます。
Linux RPM ベースのインストールの場合は、インストール後のメカニズムの特性のため、設定ファイルを別の場所にコピーする必要はありません。
このバックアップディレクトリは、アップグレードファイルを解凍して展開したディレクトリの下に置かれます。
インストールフェーズ
インストールフェーズでは、関連するパッケージをアップグレードするために十分なディスク容量があることが確認された後、アップグレードコンポーネントがシステムにインストールされます。
インストールフェーズが失敗した場合、アップグレードスクリプトを起動すると、インストールが正常に完了した最後のパッケージの次のパッケージからインストールが再開されます。アップグレードプログラムは監査ファイルを参照して、どこでアップグレード処理が中断されたかを判断し、適切に再開します。たとえば、5 つのパッケージのうち 3 つがすでにインストールされ、4 つ目のパッケージのインストール中にエラーが発生した場合は、再開すると 4 つ目のパッケージ全体のインストールが始まります。
再設定フェーズ
再設定フェーズでは、元の Sun ONE Application Server 設定ファイルが適切なインストール先に再びコピーされます。これは、Microsoft Windows 環境でのインストールと評価版のインストールにのみ関係します。
アップグレード中に他のユーザーが Sun ONE Application Server 設定ファイルを変更しないように、ユーザー自身で処理を行なってください。アップグレードプログラムにはこれを防止するメカニズムはありません。
ログファイル
アップグレードプログラムのイベント、エラー、およびステータスのログは、次のファイルに記録されます。
アップグレードのログファイル
アップグレードのイベントとエラーは、アップグレード処理の進行中に upgrade.log ファイルに取り込まれます。よく見られるエラーについては、最も代表的な対処方法がこのファイルに記述されます。
監査ファイル
アップグレードの状態を保持するために upgrade_state という監査ファイルが使用されます。障害が発生してアップグレード処理が再開された場合に、このファイルが必要となります。監査ファイルを使用することで、インストールが正常に完了した最後のコンポーネントの次のコンポーネントからアップグレード処理を再開できます。
この監査ファイルは、アップグレードファイルを解凍して展開したディレクトリの下に置かれます。
Sun ONE Application Server のアップグレードこの節では、インストールされている Sun ONE Application Server をアップグレードする手順について説明します。
- 「要件と制限事項」の情報を確認します。
- インストールファイルを解凍したディレクトリに移動します。
- アップグレードスクリプトを次のようにして起動します。
./upgrade
注
Microsoft Windows の場合 : Microsoft Windows エクスプローラを使って、ファイルを解凍したディレクトリに移動し、perl upgrade を実行してアップグレード処理を開始できます。
- ユーザーが選択したアップグレードの種類に応じて、質問が表示されます。
これらの質問に回答してください。
- アップグレードが完了したら、管理サーバーとアプリケーションサーバーインスタンスを起動します。手順については、『Sun ONE Application Server 管理者ガイド』を参照してください。
- asadmin version コマンドを実行して、アップグレードが成功したことを確認します。アップグレードされていれば、Sun ONE Application Server の新しくアップグレードされたバージョンが表示されます。
トラブルシューティングこの節では、アップグレード処理の間に発生する可能性のある問題について説明し、いくつかの解決策を示します。
アップグレードを再開または中断するには
エラー状況
- システム固有のエラーの場合 : たとえば、パッケージベースのインストールが失敗しがちなときは、パッケージインストールのログを確認します。
- バックアップ用として指定されている場所に固有のエラーの場合 : 指定されているディレクトリに対するアクセス権を確認します。
- ユーザー ID に固有のエラーの場合 (tarball インストールのとき) : インストールディレクトリとバックアップディレクトリに対するアクセス権を確認します。
- バックアップフェーズで発生するエラーの場合 : アップグレードスクリプトを再起動します。このフェーズで最もよく発生するエラーは、容量制限に関連するものです。問題をすべて解決した後、中断した時点からアップグレードプログラムを再開できます。
- 再設定フェーズでエラーが発生する場合 : 通常はシステムクラッシュやその他の中断が原因です。問題をすべて解決した後、中断した時点からアップグレードプログラムを再開できます。