Solaris for ISPs は特別な構造のディレクトリ情報ツリー (DIT) を必要とします。このディレクトリ構造は、Solaris for ISPs をインストールして構成するときに作成されます。Solaris for ISPs のディレクトリ構造は、2 つの命名コンテキスト、つまり OSI (Open Systems Interconnection) ツリーと DC (Domain Component) ツリーで構成されます。各ツリーの構成要素は並列に存在しています。この並列構造により、DNS 要求におけるドメイン名を DC ツリーを介して OSI ツリー内の実コンテンツエントリに簡単にマップできます。
OSI ツリーには Solaris for ISPs の実エントリ、つまり、コンポーネントサービス、各サービスの管理者、および各サービスの加入者のエントリが入っています。OSI ツリーの構造を図 5-1 に示します。
OSI ツリーでは、sun.com というドメインのエントリが、o=sun、c=us という識別名で示されています。このエントリをルートドメインといい、Solaris for ISPs ユーザーの組織全体を表します。ルートドメイン名はディレクトリサービスのインストール時に指定します。
ルートドメインの下には、次の 4 つの organizationalUnit エントリがあります。この 4 つのエントリは必須エントリです。
Administrators には、Sun Internet Administrator の管理者エントリが入ります。管理者エントリは、GUI を使用して管理者を登録するときに作成されます。
People には、各 ISP サービスの加入者エントリが含まれます。顧客に関するエントリは、コマンド行から、または Deja ツールで作成します。
Groups には、アクセス制御のために加入者エントリをグループ化するエントリが含まれます。グループエントリは必要に応じてコマンド行から、または Deja ツールで作成します。
Services には、Solaris for ISPs の各種サービスに対するエントリが入ります。ここにエントリを作成するのは、新しいサービスを統合するときと、Sun Internet FTP Server 専用の仮想ホスト構成を行うときだけにしてください。詳細は、Sun Internet FTP Server と Sun Internet Administrator のオンラインヘルプを参照してください。
People、Groups、Services の 3 つのノードは、ユーザーが定義する各ドメインエントリの下にも必ず存在します。Administrators ノードは、ルートドメインの下にだけ存在します。
各組織ユニットエントリの下に作成される一連のエントリ例を図 5-2 に示します。
図 5-2 における organizationalUnit エントリの eng は、ドメインエントリです。ドメインエントリは、この ISP の法人顧客です。あるいは、この ISP で仮想ドメインホストサービスを提供する顧客の場合もあります。各ドメインには必ず 2 つのエントリがあります。1 つはこの OSI ツリーのドメインエントリで、もう 1 つはドメイン名マップのための DC ツリーのエントリです。これらのエントリを作成する方法については、「ドメインエントリの作成」を参照してください。
ルートドメインと同様に、各ドメインにも必須の organizationalUnit エントリがあります。ルートの下に作成された各ドメインには、図 5-3 に示すように People、Groups、Services の 3 種類のエントリが必要です。
OSI ツリーにドメインエントリを作成するときは、その下に People、Groups、Services の 3 種類のエントリを作成する必要があります。このドメインのサービスを構成するときは、ou=Services の下にサービスエントリを作成します。このドメインの加入者情報は、ou=People の下に ispSubscriber エントリとして作成します。
現バージョンの Solaris for ISPs では、管理者エントリはルートドメインの下にだけ作成されます。管理者エントリは、GUI から管理者を指定したときに Sun Internet Administrator によって作成されます。
DC (ドメインコンポーネント) ツリーは、sun.com のようなドメイン名形式を OSI ツリー内の対応する識別名にマップします。一般に DC ツリーは、図 5-4 に示すように、OSI ツリーより単純で平面的な構造になります。
図 5-4 では、dc=sun、dc=com というエントリが、OSI ツリー内の o=sun、c=us というエントリに対応します。また、eng ドメインは、eng.sun.com という DNS 形式に対応付けられます。
これら 2 つのツリーにドメインエントリを作成する方法については、「ドメインエントリの作成」を参照してください。