ネットワーク情報サービス (NIS) は、ネットワーク内のユーザーやリソースを識別したり、その位置を確認したりするためのネーミングサービスです。
Sun Directory Services の NIS サーバーでは、従来の NIS ネーミングサービスが持ついくつかの制限が除かれています。
従来の NIS サーバーは、更新だけでなくテーブル全体を伝播していた。
従来の NIS サーバーでは、非常に大きなテーブル、たとえば 50,000 から 60,000 エントリからなるテーブルは処理できなかった。
Sun Directory Services の NIS サーバー構成要素は、既存の NIS サーバーを置き換えることで既存の NIS ネットワークに容易に統合できます。そのためには、NIS サーバーの NIS テーブルに格納されている情報を LDAP ディレクトリデータベースに移動する必要があります。そうすることで、ユーザーとホストの情報をいくつかのデータベースに重複して持たなくてすみます。
NIS テーブルのすべての情報は、LDAP のオブジェクトクラスと属性にマップされます。このマッピングは、特定の環境に合わせて構成できます。
Sun Directory Services の NIS サーバー機能は dsservd デーモンにより実行されます。この構成要素は、ユーザーアプリケーションからの NIS 要求に応答します。たとえば rlogin の際、この構成要素はホスト名をリモートマシンの IP アドレスに変換します。
標準の NIS 環境と同じように、ユーザーは passwd コマンドでパスワードを変更できます。
dsservd デーモンは NIS マスターまたは NIS スレーブとして動作します。マスターの場合は、NIS テーブルをスレーブ NIS サーバーに伝播します。スレーブの場合は、NIS サーバーからの伝播要求を受け取ります。
LDAP/NIS サーバーと従来の NIS サーバーとの間の複製は、dsypxfrd デーモンを使って行います。NIS 複製が Sun Directory Services でどのように行われるかについては、「NIS テーブルの伝達」を参照してください。
Sun Directory Services を既存の NIS ネットワークに統合する方法と NIS から LDAP への情報のマッピングについては、第 6 章「ディレクトリを NIS サーバーとして使用する」で説明します。