大規模な開発プロジェクトでは、共通ファイルや相互依存ファイルを使用して、大勢のプログラマの作業を総合的に調整する必要があります。けれども、このような情報の追跡は非常に複雑なので、ソースコード管理システム (SCCS) を利用すると、時間がかかるばかりでなく、負荷も大きくなってしまいます。Sun WorkShop TeamWare コード管理ツールを使用すると、この問題を解決することができます。
Sun TeamWare は、ソースコードのバージョン制御、リリース統合、リリース管理などを行うグラフィカルなツールセットです。このツールセットで、Sun WorkShop コンパイラ C++ 言語処理系、Sun WorkShop コンパイラ C 言語処理系、 Sun Visual WorkShop C++ の機能を拡張することができます。
Sun WorkShop TeamWare コード管理ツールには、次の機能があります。
ソフトウェアのプロジェクトとリリースを GUI を使って追跡・統合する機能
ASCII ファイル、バイナリファイルのバージョンを追跡する機能
ソースファイルの部分部分をすべて追跡する機能
1 台の Solaris ホスト上で構築ジョブの並列処理を行うことによって、大規模プロジェクトの構築に必要な時間を大幅に短縮する機能
共通ファイルや相互依存ファイルを調整する作業は、非常に複雑です。この作業の単純化には、ワークスペース管理ツールが役立ちます。ここで、ツールの使用手順を簡単に説明します。まず、コマンド行インタフェース (CLI) かグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) を選択して、中央のワークスペースから自分のワークスペースにプロジェクトファイルをコピーします。次に、このファイルを使用することを他のチームメンバーに通知して、ファイルを変更します。最後に、変更した内容を中央のワークスペースにコピーして、作業完了です。
ワークスペース管理ツールには、次の機能があります。
重要なコードを管理する作業の高速化、ソースファイルのバージョンの追跡、リリースの統合と構築、グラフィカルツールによる旧リリースの再作成
GUI を利用した開発ワークスペースの操作、マップ開発、階層形式のワークスペースのテストとリリース
プロジェクトの統合の高速化、ソースファイルのドラッグ&ドロップによるワークスペース間での転送
複数リリースでの同時並行作業、作業を中断しないで新規プロジェクトの作業を開始
プロジェクトの条件変更への応答、ワークスペース階層の再編成
「ファイルマージ」では、同じソースファイルから作成された 2 種類のバージョンのファイルをマージしたり、この 2 種類のファイルを元のファイルと比較して、矛盾のない新しいファイルを作成したりします。このツールは、比較する 2 つのファイルを横に並べて表示し、変更のあった個所は色で示します。変更個所を自動または手作業でマージすると、作成された新しいファイルが、編集可能なウィンドウに表示されます。
ファイルマージでは、複数のディレクトリやファイルのマージもできます。この機能は、内容が大幅に異なる 2 種類のバージョンのプログラムを 1 つにまとめる必要がある場合に便利です。
ソースコード管理システム (SCCS) のグラフィカルインタフェース -- 「バージョン管理」ツール -- を使用して、ファイルを操作したり、SCCS 関数を実行することができます。この方法では、履歴ブランチの表示や別の履歴への移動、ファイルへのチェックアウトやチェックインに、SCCS コマンドの知識が必要ありません。
バージョン管理ツールには、次の機能があります。
SCCS 管理下にファイルをチェックインする
ファイルのバージョンをチェックアウトしてロックし、編集する
SCCS 履歴からファイルの特定のバージョンのコピーを検出する
SCCS 履歴ファイルのブランチを調査する
チェックアウトしたコピーへの変更を取り消す
ファイルの編集を行えるかどうかを照会する
ファイルマージを使用して、選択したバージョン間の相違を照会する
実行されたコマンドを集計したバージョンログを表示する
ソフトウェア開発の過程では、重要な場面で作業の「フリーズポイント」を作成することが必要です。このフリーズポイントをプロジェクトのスナップショットとして保存し、重要な開発ポイントでのプロジェクトの状態を後から再現することができます。フリーズポイント用ツールでは、特定のソフトウェアリリースに関連するすべてのソースファイルを登録したファイルが作成されます。
「フリーズポイント」ツールには、次の機能があります。
ワークスペースに含まれていた各ファイルとそのバージョンのリストを作成する機能
旧バージョンのソースファイルを作成し直す機能
名前が変更されたファイルを追跡し、ユーザーに警告する機能