C++ クラスライブラリとは、再利用可能なコードをモジュール単位で集めたものです。クラスライブラリを使用すると、既存のテスト済みコードをプログラムに組み込むことができます。
C++ ライブラリは、1 つ以上のヘッダーファイルと 1 つのオブジェクトファイルで構成されています。ヘッダーファイルには、クラスの定義など、ライブラリ関数を使用するのに必要なさまざまな定義が入っています。オブジェクトファイルには、コンパイル済みの関数とデータが入っており、それをユーザーが作成したプログラムとリンクすることで実行可能プログラムが作成されます。
本書では、C++ コンパイラで提供される次の 2 つのクラスライブラリについて説明します。
複素数ライブラリ ― 第 2 章「複素数ライブラリ」で説明します。
iostream ライブラリ ― 第 3 章「iostream ライブラリ」で説明します。
共有ライブラリと静的ライブラリの構築方法、ライブラリの使用方法については、『C++ ユーザーズガイド』を参照してください。
今回のリリースでは、従来の複素数ライブラリと iostream ライブラリに加えて、C++ 標準ライブラリ、Tools.h++ ライブラリ、Sun WorkShop Memory Monitor ライブラリが含まれています。
C++ 標準ライブラリ (libCstd) は、RogueWave(TM) の標準 C++ ライブラリのバージョン 2.0 に基づいています。この C++ 標準ライブラリは、コンパイラのデフォルトモード (-compat=5) でのみ使用できます。-compat または -compat=4 を指定した場合は使用できません。詳細は、『標準 C++ ライブラリ・ユーザーズガイド』、『Standard C++ Class Library Reference』を参照してください。
Tools.h++ は、RogueWave の C++ 基礎クラスライブラリです。このリリースにはバージョン 7.0 の Tools.h++ ライブラリが含まれています。このライブラリをコンパイラのデフォルトモードで使用する方法については、『C++ ユーザーズガイド』を参照してください。
Tools.h++ライブラリの詳細については、次のマニュアルを参照してください。
『Tools.h++ 7.0 ユーザーズガイド』
『Tools.h++ 7.0 クラスライブラリ・リファレンスマニュアル』
このマニュアルで説明するライブラリに関連するマニュアルページは、次の場所にあります。
install-directory/SUNWspro/man/man3
install-directory/SUNWspro/man/man3cc4
install-directory/SUNWspro/man/man3c++
install-directory はインストールディレクトリです。デフォルトでは /opt です。
上記のマニュアルページを参照するには、MANPATH の指定に install-directory/SUNWspro/man が含まれていなければなりません (『Sun WorkShop クイックインストール』を参照してください)。
Sun WorkShop Compiler C++ 4.2 ライブラリのマニュアルページを表示するには、次のように入力します (library-name には、ライブラリ名を入力します)。
% man -s 3CC4 library-name
Sun WorkShop Compiler C++5.0 ライブラリのマニュアルページを表示するには、次のように入力します (library-name には、ライブラリ名を入力します)。
% man library-name
Sun WorkShop Memory Monitor には、メモリーリークやメモリーの断片化、メモリーの早期解放の問題を自動的に報告し、解決する機能があります。Sun WorkShop Memory Monitor には、次の 3 つの操作モードがあります。
デバッグ
実装
ガベージコレクション
使用されるモードは、アプリケーションのリンク先のライブラリによって決まります。
Sun WorkShop Memory Monitor の構成要素は次のとおりです。
libgc - ガベージコレクションと実装モードで使用されるライブラリ
libgc_dbg - デバッグモードで使用されるライブラリ
gcmonitor - デバッグモードで使用されるデーモン
Sun WorkShop Memory Monitor のマニュアル一覧は、 install-directory/SUNWspro/SC5.0/htmldocs/locale/ja/gc/index.html にあります。install-directory は、通常は /opt です。
Sun WorkShop Memory Monitor のマニュアルページは、次の場所にあります。
install-directory/SUNWspro/man/man1
install-directory/SUNWspro/man/man3
install-directory は、デフォルトでは /opt です。