この節では、Sun Ray 1 enterprise appliance の PROM に記録されているファームウェアの管理オプションについて説明します。サーバーと各 appliance のファームウェアのバージョンの同期には、主に utfwadm コマンドを使用します。このコマンドは、以下の機能をサポートしています。
DHCP バージョン変数の設定と設定解除
一部またはすべての appliance のアップグレード
一部またはすべてのサブネットのアップグレード
DHCP バージョンの変数を定義していれば、新規に接続した appliance のファームウェアとサーバーのファームウェアのバージョンが一致しない場合は、appliance のファームウェアはサーバーのファームウェアのバージョンに置き換えられます。
utfwadm を実行するには、スーパーユーザー権限が必要です。このコマンドは、アップグレードする appliance の選択に使用します。選択は、各 appliance に個別でも、サブネット単位でも行えます。
表 5-1 utfwadm コマンドのオプション
オプション |
説明 |
---|---|
-A |
アップグレードする appliance のリストに指定した appliance を追加し、適切な DHCP バージョン変数を設定します。 |
-D |
アップグレードする appliance のリストから、指定した appliance を削除します。また、適切な DHCP バージョン変数を設定解除します。ただし、この場合でも appliance のアップグレードは実行されます。 |
-a |
すべての appliance を指定します。 |
-e 完全な Ethernet アドレス (MAC アドレス) |
特定の appliance に Ethernet アドレスを割り当てます。入力されたアドレスは 16 進数として解釈されます。 |
-n interface_name |
appliance を接続するサブネットを指定します。複数のインタフェースの場合は、-n interface_name エントリを連続して指定します。すべてのインタフェースを指定する場合は、-n all を使用します。 |
-f パス |
アップグレードファイルがある場所のパスを指定します。 -f を使用しない場合、アップグレードはデフォルトのファームウェアファイルを使って行われます。これらのファイルは、次の場所にあります。 /opt/SUNWut/lib/firmware |
詳細については、utfwadm(1m) のマニュアルページを参照してください。
hme1 インタフェース上のすべての appliance を更新するには、以下のように入力します。
# /opt/SUNWut/sbin/utfwadm -A -a -n hme1 |
サーバーは再起動してください。ファームウェアを強制的にアップグレードするには、Sun Ray 1 appliance の電源を再投入する必要があります。
Ethernet (MAC) アドレスが 08:00:20:4c:12:1f である appliance を更新するには、次のように入力します。
# utfwadm -A -e 0800204c121f -n hme1 |
アドレスが 08:00:20:4c:12:1c、08:00:20:4c:12:1d、08:00:20:4c:12:1e である各 appliance をアップグレードするには、次のように入力します。
# utfwadm -A -e 0800204c121c -n hme1 # utfwadm -A -e 0800204c121d -n hme1 # utfwadm -A -e 0800204c121e -n hme1 |
すべてのユーザーに強制的に、同じバージョンのファームウェアを使用させるには、この値を false に設定します。この設定により utload コマンドは使用不可になり、ユーザーはファームウェアを appliance にダウンロードできなくなります。
/etc/opt/SUNWut/auth.props ファイルをテキストエディタで開きます。
ファイルの末尾近くにある Allow Firmload Download セクションで、エントリのコメントを解除し、値を false に設定します。
allowFWLoad = false |
デフォルト値は true です。ただし、ダウンロードを可能にする必要がある場合は、以下の手順を実行します。