CIM API - アプリケーションがすべての基本的な CIM 要素を表現するために使用する、共通のクラスとメソッド
クライアント API - アプリケーションが CIM Object Manager との間でデータ転送を行うために使用するメソッド
プロバイダ API - CIM Object Manager とオブジェクトプロバイダが相互通信のために使用するインタフェース
次の表で、CIM API パッケージ内のインタフェースについて説明します。
表 5-1 CIM クラス
クラス |
説明 |
---|---|
CIMClass |
CIM クラス。共通の型をサポートする CIM インスタンスの集まり (プロパティとメソッドのセットなど) を記述するオブジェクト。このインタフェースは、開発者が作成するオブジェクトグループに必要な CIM 値を入力するテンプレートを作成する |
CIMDataType |
CIM のデータ型 (CIM 仕様の定義にもとづく) |
CIMDateTime |
CIM の日時表記 |
CIMElement |
CIM 要素。管理されるシステム要素の基底クラス |
CIMFlavor |
CIM 修飾子フレーバ。修飾子の特性の 1 つであり、修飾子を派生クラスまたは派生インスタンスに伝達できるかどうか、および派生クラスまたは派生インスタンスが修飾子の本来の値をオーバーライドできるかどうかを指定する規則を記述する |
CIMInstance |
CIM データの単位。このインタフェースは、特定のクラスに属する管理対象オブジェクトの記述に使用される。インスタンスには実際のデータが含まれる |
CIMMethod |
メソッド名、戻り値のデータ型、およびパラメータを含む宣言 |
CIMNameSpace |
CIM ネームスペース。ほかのネームスペース、クラス、インスタンス、修飾子のデータ型、および修飾子を含むことができるディレクトリに似た構造を持つ |
CIMObjectPath |
CIM オブジェクトのパス名。オブジェクト名は、2 つの部分、ネームスペースとモデルパスから構成される。モデルパスは、ネームスペース内のオブジェクトを個々に識別する |
CIMParameter |
CIM パラメータ。呼び出し側メソッドから CIM メソッドに渡される値 |
CIMProperty |
CIM クラスのインスタンスの特性を示す値。プロパティは、プロパティ値を設定する機能と、そのプロパティ値を返す機能の組み合わせと考えることができる。プロパティは、名前と 1 つのドメイン (そのプロパティを所有するクラス) を持つ |
CIMQualifier |
クラス、インスタンス、メソッド、またはプロパティを記述する修飾子。このクラスは、管理対象オブジェクトの属性の変更に使用される (たとえば、ディスクに読み取り権だけを追加するなど)。修飾子は、2 つのカテゴリ、Common Information Model (CIM) によって定義されるものと、開発者によって定義されるものに分類される |
CIMQualifierType |
CIM 修飾子の型。CIM 修飾子を作成するテンプレート |
CIMQuery |
CIM クエリ。インジケーション登録のフィルタ、および CIM Object Manager からの CIM 要素検出のフィルタを指定する |
CIMScope |
CIM スコープ。これは、修飾子を使用できる CIM オブジェクトを示す修飾子属性である。たとえば、修飾子 ABSTRACT は Scope (Class Association Indication) を持つが、これは、ABSTRACT がクラス、関連、およびインジケーションにだけ使用できることを意味する |
CIMValue |
CIM 値。これはプロパティ、参照、および修飾子に割り当てることができる値である。CIM 値は、データ型 (CIMDataType) と実際の値を持つ |
UnsignedInt8 |
符号なし 8 ビット整数 |
UnsignedInt16 |
符号なし 16 ビット整数 |
UnsignedInt32 |
符号なし 32 ビット整数 |
UnsignedInt64 |
符号なし 64 ビット整数 |
例外クラスは、Sun WBEM SDK クラスで起こり得るエラー状態を記述します。CIMException クラスは、CIM 例外の基底クラスです。CIM のほかの例外クラスはすべて、CIMException クラスのサブクラスです。
次の表で、CIM の例外クラスについて説明します。
表 5-2 例外クラス
クラス |
説明 |
---|---|
CIMClassException |
CIM クラスで発生する意味上の例外。MOF コンパイラ (mofcomp) は、このクラスを使用してコンパイル時に見つかる意味上のエラーを処理する |
CIMException |
例外的な CIM の状態。これは、CIM 例外の基底クラスである |
CIMInstanceException |
CIM インスタンスで発生する意味上の例外 |
CIMMethodException |
CIM メソッドで発生する意味上の例外 |
CIMNameSpaceException |
CIM ネームスペースで発生する意味上の例外 |
CIMPropertyException |
CIM プロパティで発生する意味上の例外 |
CIMProviderException |
CIM Object Manager のプロバイダで発生し得る例外状態 |
CIMQualifierTypeException |
CIM 修飾子のデータ型で発生し得る例外状態 |
CIMRepositoryException |
CIM レポジトリで発生し得る例外状態 |
CIMSemanticException |
CIM 要素で発生し得る意味上の例外。この例外は、通常、CIM Object Manager が CIM 要素の追加、変更、または削除を試みる場合と、CIM の仕様に準拠しない不正な状況が発生する場合に送出される |
CIMTransportException |
CIM トランスポートインタフェース (RMI と XML) で発生する例外状態 |
クライアント API パッケージには、クライアントアプリケーションと CIM Object Manager 間でデータを転送するクラスとメソッドが含まれています。アプリケーションは、CIMClient クラスを使用して CIM Object Manager に接続します。また、次の表に示す、CIMClient クラスのメソッドを使用して、CIM Object Manager との間でデータ転送を行います。
表 5-3 Client メソッド
メソッド |
説明 |
---|---|
close |
CIM Object Manager へのクライアント接続を閉じる。このインタフェースは、クライアントセッションに使用されているリソースを解放する |
createNameSpace |
CIM ネームスペース (クラスとインスタンスが入ったディレクトリ) を作成する。クライアントアプリケーションは、CIM Object Manager に接続する場合、ネームスペースを指定する。その後の処理はすべて、CIM Object Manager ホスト上のそのネームスペース内で発生する |
deleteNameSpace |
指定されたホスト上の指定されたネームスペースを削除する |
deleteClass |
指定されたクラスを削除する |
deleteInstance |
指定されたインスタンスを削除する |
deleteQualifierType |
指定された、修飾子のデータ型を削除する |
enumClass |
CIM Object Manager から指定されたクラス (1 つまたは複数) を検出する |
enumInstances |
指定されたクラス (1 つまたは複数) のインスタンスのリストを取得する |
enumNameSpace |
ネームスペースのリストを取得する |
enumQualifierTypes |
指定されたクラス (1 つまたは複数) の、修飾子のデータ型を取得する |
getClass |
指定された CIM オブジェクトパスの CIM クラスを取得する |
getInstance |
指定された CIM オブジェクトパスの CIM インスタンスを取得する |
getQualifierType |
指定された CIM オブジェクトパスの修飾子型を取得する |
invokeMethod |
指定されたオブジェクトに対して指定されたメソッドを実行する。メソッドは、メソッド名、戻り値のデータ型、およびメソッド内のパラメータを含む宣言である |
setClass |
指定されたネームスペースに指定された CIM クラスを追加するため、このクライアント上で CIM Object Manager を起動する |
setInstance |
指定されたネームスペースに指定された CIM インスタンスを追加、あるいは更新するため、CIM Object Manager を起動する |
setQualifierType |
指定されたネームスペースに指定された修飾子型を追加するため、CIM Object Manager を起動する |
プロバイダ API は、CIM Object Manager とオブジェクトプロバイダが相互通信のために使用するインタフェースです。プロバイダは、これらのインタフェースを使用して CIM Object Manager に対し動的データを提供できます。
クライアントアプリケーションが CIM Object Manager に動的なデータを要求する場合、CIM Object Manager はこれらのインタフェースを使用して要求をプロバイダに渡します。プロバイダは、CIM Object Manager の要求に応答して次に示す機能を実行するクラスです。
次の表で、Provider パッケージ内のインタフェースについて説明します。
表 5-4 Provider インタフェース
インタフェース |
説明 |
---|---|
CIMProvider |
すべてのプロバイダによって実装される基底インタフェース |
InstanceProvider |
インスタンスプロバイダによって実装される基底インタフェース。インスタンスプロバイダは、クラスの動的インスタンスを提供する |
MethodProvider |
メソッドプロバイダによって実装されるインタフェース。メソッドプロバイダは、CIM クラスの全メソッドの実装を提供する |
PropertyProvider |
プロパティプロバイダによって実装されるインタフェース。プロパティプロバイダは、動的プロパティの検出と更新に使用される。動的データは、CIM Object Manager Repository には格納されない |