Sun Cluster 2.2 ソフトウェアのインストール

SAP とデータベースのインストールと構成

この節では、SAP をインストールして、構成する方法を説明します。

SAP とデータベースをインストールするには

  1. 「SAP 環境の準備」に示したすべての準備作業を完了していることを確認します。

  2. すべてのノードがクラスタ内で動作していることを確認します。

  3. インストールする SAP とデータベースが存在するノードに全論理ホストをスイッチオーバーします。

    # scadmin switch clustername phys-hahost1 CIloghost DBloghost ...
    
  4. SAP インストールディレクトリを作成して、SAP のインストールを開始します。

    詳細は、SAP のマニュアルの「R/3 Installation on UNIX」を参照してください。


    注 -

    SAP のインストールを開始する前に、SAP のすべての OSS に関する注意事項を参照してください。


    1. 中央インスタンスとデータベースインスタンスの論理ホストをマスターしているノードに中央インスタンスとデータベースインスタンスをインストールします。

      (SAP 3.1x のみ) R3INST を使用して SAP をインストールする場合は、「Database Server」のプロンプトが表示されたときに、データベースの論理ホストの現在のマスターとなっている物理ホスト名を指定してください。インストールを終えたら、さまざまなファイルを手動で編集して、データベースが存在する論理ホストを参照するように設定する必要があります。

      (SAP 4.0x のみ) R3SETUP を使用して SAP をインストールする場合は、CENTRDB.SH スクリプトを選択して、インストール用のコマンドファイルを作成してください。

    2. SAP のインストールを継続して、中央インタンスのインストールと、データベースの作成および読み込み、すべてのレポートの読み込み、R/3 Frontend (GUI) のインストールを行います。

クラスタ内で SAP が動作できるようにするには

  1. SAP の中央インスタンス管理環境を設定します。

    SAP のインストールでは、SAP 中央インスタンスがインストールされるサーバーに、物理ホスト名を使用するファイルとシェルスクリプトが作成されます。次の手順に従って、すべての物理ホスト名を論理ホスト名に置き換えてください。


    注 -

    次の手順を開始する前に、すべてのファイルのバックアップコピーを作成してください。


    まず、次のコマンドを使用して、SAP の中央インスタンスとデータベースを停止します。

    # su - <sapsid>adm
    $ stopsap all
    ...
     # su - ora<sapsid>
    $ lsnrctl stop
    

    注 -

    ファイルの編集を開始する前に <sapsid>adm ユーザーになってください。


    1. <sapsid>adm ホームディレクトリ内の .cshrc ファイルを編集します。

      SAP の中央インスタンスをインストールするサーバー上の .cshrc ファイルには、Sun Cluster の物理ホスト名を含む別名が含まれています。.cshrc ファイル内の物理ホスト名をすべて中央インスタンスの論理ホスト名に置き換えてください。

      (For SAP 3.1x のみ) 編集後の .cshrc ファイルは、次の例のようになります。この例の CIloghost が中央インスタンスを含む論理ホスト、DBloghost がデータベースを含む論理ホストです。中央インスタンスとデータベースが同じ論理ホスト上に存在する場合は、すべての置換部分にその論理ホスト名を使用します。

      # aliases
       alias			startsap					"$HOME/startsap_CIloghost_00"
       alias			stopsap					"$HOME/stopsap_CIloghost_00"
      
       # RDBMS environment
       if (-e $HOME/.dbenv_DBloghost.csh) then
          source $HOME/.dbenv_DBloghost.csh
       else if (-e $HOME/.dbenv.csh) then
          source $HOME/.dbenv.csh
       endif

      (For SAP 4.0x のみ) 編集後の .cshrc ファイルは、次の例のようになります。この例の CIloghost が中央インスタンスを含む論理ホスト、DBloghost がデータベースを含む論理ホストです。中央インスタンスとデータベースが同じ論理ホスト上に存在する場合は、すべての置換部分にその論理ホスト名を使用します。

      if ( -e $HOME/.sapenv_CIloghost.csh ) then
          source $HOME/.sapenv_CIloghost.csh
       else if ( -e $HOME/.sapenv.csh ) then
          source $HOME/.sapenv.csh
       endif
      
       # RDBMS environment
       if ( -e $HOME/.dbenv_DBloghost.csh ) then
          source $HOME/.dbenv_DBloghost.csh
       else if ( -e $HOME/.dbenv.csh ) then
          source $HOME/.dbenv.csh
       endif
    2. (For SAP 4.0x のみ) .sapenv_physicalhost.csh ファイルの名前を .sapenv_CIloghost.csh に変更してから、テキストエディタで開いて、物理ホスト名をすべて論理ホスト名に置き換えます。

      最初に、物理ホスト名の部分を中央インスタンスの論理ホスト名に変更することによって、ファイル名を変更します。

      $ mv .sapenv_physicalhost.csh .sapenv_CIloghost.csh
      

      次にファイル内の別名を変更します。たとえば、次のようにします。

      alias startsap "$HOME/startsap_CIloghost_00"
       alias stopsap "$HOME/stopsap_CIloghost_00"
    3. .dbenv_physicalhost.csh ファイルの名前を変更します。

      .dbenv_physicalhost.csh ファイルの名前を .dbenv_DBloghost.csh に変更してください。中央インスタンスとデータベースが同じ論理ホスト上に存在する場合は、置換部分にその論理ホスト名を使用します。

      $ mv .dbenv_physicalhost.csh .dbenv_DBloghost.csh
      
    4. (For SAP 4.0x のみ) .dbenv_DBloghost.csh ファイルをテキストエディタで開き、ORA_NLS 環境変数に、/var/opt/oracle 内のデータベースクライアント構成ファイル用の適切なサブディレクトリを示す値を設定します。また、TNS_ADMIN 環境変数に、/var/opt/oracle ディレクトリを示す値を設定します。

      .dbenv_DBloghost.csh ファイルは、<sapsid>adm ホームディレクトリに存在します。

      #setenv ORA_NLS /oracle/<SAPSID>/ocommon/NLS_723/admin/data
       setenv ORA_NLS /var/opt/oracle/ocommon/NLS_723/admin/data
      
       #setenv ORA_NLS32 /oracle/<SAPSID>/ocommon/NLS_733/admin/data
       setenv ORA_NLS32 /var/opt/oracle/ocommon/NLS_733/admin/data
      
       #setenv ORA_NLS33 /oracle/<SAPSID>/ocommon/NLS_804/admin/data
       setenv ORA_NLS33 /var/opt/oracle/ocommon/NLS_804/admin/data
      
       ...
      
       # setenv TNS_ADMIN @TNS_ADMIN@
       setenv TNS_ADMIN /var/opt/oracle
       ...
    5. <sapsid>adm ホームディレクトリ内の、SAP インスタンスの startsapstopsap シェルスクリプトの名前を変更して、編集します。

      SAP の中央インスタンスをインストールするサーバー上の <sapsid>adm ホームディレクトリには、物理ホスト名を含むシェルスクリプトが含まれています。物理ホスト名を論理ホスト名に置き換えることによって、これらのシェルスクリプト名を変更してください。次の例では、CIloghost が中央インスタンスの論理ホスト名です。

      $ mv startsap_physicalhost_00 startsap_CIloghost_00
      $ mv stopsap_physicalhost_00 stopsap_CIloghost_00
      

      startsap_CIloghost_00stopsap_CIloghost_00 シェルスクリプトは START_PROFILE パラメータの物理ホスト名を指定します。両方のファイルで、START_PROFILE パラメータの物理ホスト名を中央インスタンス論理ホスト名に置き換えてください。

      ...
       START_PROFILE="START_DVEBMGS00_CIloghost"
       ...
    6. SAP 中央インスタンスのプロファイルファイルを編集します。

      SAP のインストール中、SAP 中央インスタンスがインストールされるサーバーには、物理ホスト名を使用する 3 つのプロファイルファイルが作成されます。次の手順に従って、すべての物理ホスト名を論理ホスト名に置き換えてください。これらのファイルを編集するには、<sapsid>adm ユーザーになり、profile ディレクトリに移動する必要があります。

      • START_DVEBMGS00_physicalhost および<SAPSID>_DVEBMGS00_physicalhost プロファイルファイルの名前を変更します。

        /sapmnt/<SAPSID>/profile ディレクトリ内の物理ホスト名を論理ホスト名に置き換えてください。次の例では、 <SAPSID>HA1 です。

      $ cdpro; pwd
      /sapmnt/HA1/profile
       $ mv START_DVEBMGS00_physicalhost START_DVEBMGS00_CIloghost
      $ mv HA1_DVEBMGS00_physicalhost HA1_DVEBMGS00_CIloghost
      
      • START_DVEBMGS00_CIloghost プロファイルファイル内のすべての pf= 引数の物理ホスト名を論理ホスト名に置き換えます。

        次の例では、<SAPSID> は HA1 です。

      ...
       Execute_00 =local $(DIR_EXECUTABLE)/sapmscsa -n ¥
       pf=$(DIR_PROFILE)/HA1_DVEBMGS00_CIloghost
      Start_Program_01   =local $(_MS) pf=$(DIR_PROFILE)/HA1_DVEBMGS00_CIloghost
      Start_Program_02   =local $(_DW) pf=$(DIR_PROFILE)/HA1_DVEBMGS00_CIloghost
      Start_Program_03   =local $(_CO) -F pf=$(DIR_PROFILE)/HA1_DVEBMGS00_CIloghost
      Start_Program_04   =local $(_SE) -F pf=$(DIR_PROFILE)/HA1_DVEBMGS00_CIloghost
      ...
      • <SAPSID>_DVEBMGS00_CIloghost ファイルをテキストエディタで開いて、SAPLOCALHOST パラメータ用の新しいエントリを追加します。

        このエントリは、中央インスタンスのプロファイル用のみ追加してください。SAPLOCALHOST パラメータに中央インスタンスの論理ホスト名を設定します。このパラメータにより、外部アプリケーションサーバーは、論理ホスト名を使用して中央インスタンスを探し出すことができます。

      ...
       SAPLOCALHOST		 	 	 	 	 	 		=CIloghost
      ...
      • DEFAULT.PFL ファイルをテキストエディタで開いて、物理ホスト名を論理ホスト名に置き換えます。

        すべての rdisp/パラメータの物理ホスト名を中央インスタンスの論理ホスト名に置き換えてください。SAPDBHOST パラメータには、データベースの論理ホスト名を入力します。中央インスタンスとデータベースが同じ論理ホスト上に存在する場合は、中央インスタンスの論理ホスト名を入力します。データベースが別の論理ホスト上に存在する場合は、そのデータベースの論理ホスト名を使用します。次の例では、CIloghost が中央インスタンスの論理ホスト名、DBloghost がデータベースの論理ホスト名を表します。HA1<SAPSID> です。

      ...
       SAPDBHOST	 	 	 	 	 	 	 		=DBloghost
      rdisp/mshost	 	 	 	 	 	 	 	 	=CIloghost
      rdisp/sna_gateway	 	 	 	 		 =CIloghost
      rdisp/vbname	 	 	 	 	 	 	 	 	=CIloghost_HA1_00
       rdisp/enqname	 	 	 	 	 	 	 	 	=CIloghost_HA1_00
       rdisp/btcname	 	 	 	 	 	 	 	 	=CIloghost_HA1_00
       ...
    7. TPPARAM トランスポート構成ファイルを編集します。

      トランスポート構成ファイルを含むディレクトリに移動します。

      # cd /usr/sap/trans/bin
      

      データベースの物理ホスト名をデータベースの論理ホスト名に置き換えてください。次の例では、DBloghost がデータベースの論理ホスト名を表します。HA1 は <SAPSID> です。

      ...
       HA1/dbhost = DBloghost
      ...
    8. (For SAP 4.0x のみ) TPPARAM ファイル内の /var/opt/oracle にデータベースクライアント構成ファイルの格納場所を設定します。

      ...
       HA1/dbconfpath = /var/opt/oracle
       ...
  2. SAP データベース用の環境を変更します。

    SAP のインストールでは、Sun Cluster の物理ホスト名を使用する Oracle ファイルが作成されます。次の手順に従って、すべての物理ホスト名を論理ホスト名に置き換えてください。


    注 -

    ファイルの編集を開始する前に ora<sapsid> ユーザーになってください。


    1. ora<sapsid> ホームディレクトリ内の .cshrc ファイルを編集します。

      SAP の中央インスタンスをインストールしたサーバー上の .cshrc ファイルには、Sun Cluster の物理ホスト名を含む別名が含まれています。.cshrc ファイル内の物理ホスト名をすべて論理ホスト名に置き換えてください。

      (For SAP 3.1x のみ) 編集後の .cshrc ファイルは、次の例のようになります。この例の CIloghost が中央インスタンスの論理ホスト、DBloghost がデータベースの論理ホストを表します。中央インスタンスとデータベースが同じ論理ホスト上に存在する場合は、置換部分に中央インスタンスの論理ホスト名を使用します。

      # aliases
       alias			startsap					"$HOME/startsap_CIloghost_00"
       alias			stopsap					"$HOME/stopsap_CIloghost_00"
      
       # RDBMS environment
       if (-e $HOME/.dbenv_DBloghost.csh) then
          source $HOME/.dbenv_DBloghost.csh
       else if (-e $HOME/.dbenv.csh) then
          source $HOME/.dbenv.csh
       endif

      (For SAP 4.0x のみ) 編集後の .cshrc ファイルは、次の例のようになります。この例の CIloghost が中央インスタンスを含む論理ホスト、DBloghost がデータベースを含む論理ホストです。中央インスタンスとデータベースが同じ論理ホスト上に存在する場合は、すべての置換部分に中央インスタンスの論理ホスト名を使用します。

      if ( -e $HOME/.sapenv_CIloghost.csh ) then
          source $HOME/.sapenv_CIloghost.csh
       else if ( -e $HOME/.sapenv.csh ) then
          source $HOME/.sapenv.csh
       endif
      
       # RDBMS environment
       if ( -e $HOME/.dbenv_DBloghost.csh ) then
          source $HOME/.dbenv_DBloghost.csh
       else if ( -e $HOME/.dbenv.csh ) then
          source $HOME/.dbenv.csh
       endif
    2. (SAP 4.0x のみ) .sapenv_physicalhost.csh ファイルの名前を .sapenv_CIloghost.csh に変更します。

      次の例では、CIloghost が中央インスタンスの論理ホスト名を表します。

      $ mv .sapenv_physicalhost.csh .sapenv_CIloghost.csh
      
    3. .dbenv_physicalhost.csh ファイルの名前を変更します。

      .dbenv_physicalhost.csh というファイル名の物理ホスト名の部分をデータベースの論理ホスト名に変更してください。中央インスタンスとデータベースが同じ論理ホスト上に存在する場合は、置換部分に中央インスタンスの論理ホスト名を使用します。次の例では、DBloghost がデータベースの論理ホスト名です。

      $ mv .dbenv_physicalhost.csh .dbenv_DBloghost.csh
      
    4. (SAP 4.x のみ) .dbenv_DBloghost.csh ファイルをテキストエディタで開き、ORA_NLS 環境変数に、/var/opt/oracle 内のデータベースクライアント構成ファイル用の適切なサブディレクトリを示す値を設定します。また、TNS_ADMIN 環境変数に、/var/opt/oracle ディレクトリを示す値を設定します。

      .dbenv_DBloghost.csh ファイルは、ora<sapsid> ホームディレクトリに存在します。

      #setenv ORA_NLS /oracle/<SAPSID>/ocommon/NLS_723/admin/data
       setenv ORA_NLS /var/opt/oracle/ocommon/NLS_723/admin/data
      
       #setenv ORA_NLS32 /oracle/<SAPSID>/ocommon/NLS_733/admin/data
       setenv ORA_NLS32 /var/opt/oracle/ocommon/NLS_733/admin/data
      
       #setenv ORA_NLS33 /oracle/<SAPSID>/ocommon/NLS_804/admin/data
       setenv ORA_NLS33 /var/opt/oracle/ocommon/NLS_804/admin/data
      
       ...
      
       # setenv TNS_ADMIN @TNS_ADMIN@
       setenv TNS_ADMIN /var/opt/oracle
       ...
  3. Oracle SQL*Net 構成ファイルをテキストエディタを開いて、その中の物理ホスト名をデータベースの論理ホスト名に置き換えます。

    中央インスタンスとデータベースが同じ論理ホスト上に存在する場合は、置換部分に中央インスタンスの論理ホスト名を使用してください。

  4. SQL*Net 構成ファイルがすべての潜在的マスターからローカルにアクセスできるようにします。

    次の手順を使用してください。

    1. listener.ora および tnsnames.ora ファイル内のすべての物理ホスト名を論理ホスト名に置き換えます。

      (SAP 3.1x のみ) listener.ora ファイルは、/etc/listener.ora にあります。tnsnames.ora ファイルは、/usr/sap/trans/tnsnames.ora にあります。

      (SAP 4.0x のみ) listener.ora ファイルは、/oracle/<SAPSID>/network/admin/listener.oraにあります。tnsnames.ora ファイルは、/oracle/<SAPSID>/network/admin/tnsnames.ora にあります。

    2. データベースをインストールするノード上の SQL*Net 構成ファイルを移動します。

      (SAP 3.1x のみ) インストール中、listener.ora ファイルは、インストールが行われているノードのローカル/etc ディレクトリに置かれ、/usr/sap/trans にシンボリックリンクが作成されます。この listener.ora ファイルを /var/opt/oracle ディレクトリに移動して、/usr/sap/trans 内のシンボリックリンクがその新しい移動先を示すように再設定してください。また、tnsnames.ora および sqlnet.ora ファイルも/var/opt/oracle ディレクトリに移動してください。

      $ su
      # mv /etc/listener.ora /var/opt/oracle
      # rm /usr/sap/trans/listener.ora
      # ln -s /var/opt/oracle/listener.ora /usr/sap/trans
      # mv /usr/sap/trans/tnsnames.ora /var/opt/oracle
      # ln -s /var/opt/oracle/tnsnames.ora /usr/sap/trans
      # mv /usr/sap/trans/sqlnet.ora /var/opt/oracle
      # ln -s /var/opt/oracle/sqlnet.ora /usr/sap/trans
      

      (SAP 4.0x のみ) listener.ora ファイルは、$ORACLE_HOME/network/admin の下のデフォルトのディレクトリに置かれます。次の手順に従って、listener.ora ファイルを /var/opt/oracle に移動し、元のディレクトリ内のソフトリンクがその新しい移動先を示すように再設定してください。他のすべての SQL*Net ファイルも新しい移動先に移動して、シンボリックリンクが新しい場所を示すように再設定してください。

      $ su
      # mv /oracle/<SAPSID>/network/admin/listener.ora /var/opt/oracle
      # ln -s /var/opt/oracle/listener.ora /oracle/<SAPSID>/network/admin
      # mv /oracle/<SAPSID>/network/admin/tnsnames.ora /var/opt/oracle
      # ln -s /var/opt/oracle/tnsnames.ora /oracle/<SAPSID>/network/admin
      # mv /oracle/<SAPSID>/network/admin/sqlnet.ora /var/opt/oracle
      # ln -s /var/opt/oracle/sqlnet.ora /oracle/<SAPSID>/network/admin
      # mv /oracle/<SAPSID>/network/admin/protocol.ora /var/opt/oracle
      # ln -s /var/opt/oracle/protocol.ora /oracle/<SAPSID>/network/admin
      
    3. (SAP 4.0x のみ) Oracle クライアント構成ファイルを同じく /var/opt/oracle ディレクトリにコピーします。

      # cd /var/opt/oracle; mkdir  rdbms ocommon lib
      # cd /var/opt/oracle/rdbms; cp -R /oracle/<SAPSID>/rdbms/mesg .
      # cd /var/opt/oracle/ocommon; cp -R /oracle/<SAPSID>/ocommon/NLS* .
      # cd /var/opt/oracle/lib; cp /oracle/<SAPSID>/lib/libclntsh.so.1.0 .
      
    4. 中央インスタンスおよびデータベースインスタンスのすべての潜在的マスターに SQL*Net 構成ファイルを配布します。

      当初データベースをインストールしたノードから、中央インスタンスおよびデータベースインスタンスのすべての潜在的マスターに、SQL*Net 構成ファイルをコピーまたは転送してください。次の例の physicalhost2 は、バックアップ物理ホストの名前です。

      $ su
      # tar cvf - /var/opt/oracle | rsh physicalhost2 tar xvf -
      

      注 -

      構成ファイルに変更を加えた場合は、HA-DBMS の保守の一環として、必ずすべての潜在的マスターノード上の構成ファイルを同期させる必要があります。


  5. すべての潜在的マスター上の /etc/services ファイルを更新して、新しい SAP サービスのエントリを含めます。

    /usr/sap/tmp ファイルの内容は、すべてのノード上で同じである必要があります。

  6. すべてのノードに /usr/sap/tmp ディレクトリを作成します。

    saposcol プログラムは、このディレクトリに依存します。

  7. インストールした SAP をテストします。

    手動で SAP を停止してから、潜在的マスターノード間で手動で論理ホストを切り替え、同じく手動でバックアップノードから SAP を起動することによって、インストールした SAP をテストします。 このテストによって、カーネルパラメータ、サービスポートのエントリ、ファイルシステムとマウントポイント、ユーザーおよびグループアクセス権が、論理ホストのすべての潜在的マスター上で正しく設定されているかどうかを確認します。

    1. 中央インスタンスおよびデータベースを起動します。

      # su - ora<sapsid>
      $ lsnrctl start
      ...
       # su - <sapsid>adm
      $ startsap all
      
    2. GUI を実行して、SAP が正しく起動することを確認します。

      次の例の 3200 は、ディスパッチャーポート番号です。

      # su - <sapsid>adm
      $ setenv DISPLAY your_workstation:0
      $ sapgui /H/CIloghost/S/3200
      
    3. SAP がデータベースに接続できることを確認します。

      # su - <sapsid>adm
      $ R3trans -d
      
    4. saplicense ユーティリティを実行して、現在のノードの CUSTOMER KEY を取得します。

      中央インスタンスの論理ホストのすべての潜在的マスターに対する SAP ライセンスが必要です。

    5. SAP とデータベースを停止します。

      # su - <sapsid>adm
      $ stopsap all
      ...
       # su - ora<sapsid>
      $ lsnrctl stop
      
  8. 中央インスタンスの論理ホストの潜在的マスターである残りの各ノードについて、中央インスタンスの論理ホストをそのノードに切り替え、手順 7 で説明したテストシーケンスを繰り返します。

    # scadmin switch clustername phys-hahost2 CIloghost
    

HA-DBMS を構成するには

  1. SAP およびデータベースを停止します。

    # su - <sapsid>adm
    $ stopsap all
    ...
     # su - ora<sapsid>
    $ lsnrctl stop
    
  2. (SAP 3.1x のみ) init<SAPSID>.ora ファイル内の Oracle の警告ファイルパラメータを調整します。

    デフォルトでは、SAP は init<SAPSID>.ora ファイルに含まれている接頭辞の「?/...」を使用して、$ORACLE_HOME からの相対パスを表します。Sun Cluster の障害モニターは、この接頭辞を解析することができないため、警告ファイルへの完全名が必要になります。このため、/oracle/<SAPSID>/dbs/init<SAPSID>.ora ファイルを手動で編集して、次のようにダンプの出力先パラメータを定義する必要があります。

    background_dump_dest = /oracle/<SAPSID>/saptrace/background
  3. データベースを登録して、起動します。

    1 つのノードからだけ hareg(1M) コマンドを実行してください。Oracle の場合は次のようになります。

    # hareg -s -r oracle -h DBloghost
     # hareg -y oracle
    
  4. データベースインスタンスを設定します。

    詳細は、第 5 章「Sun Cluster HA for Oracle の構成と管理」を参照してください。

    Oracle の場合は次のようになります。

    # haoracle insert <SAPSID> DBloghost 60 10 120 300 ¥
     user/password /oracle/<SAPSID>/dbs/init<SAPSID>.ora LISTENER
    
  5. 設定したデータベースインスタンスに対する障害監視を開始します。

    # haoracle start <SAPSID>
    
  6. HA-DBMS のスイッチオーバーのテストをします。

    # scadmin switch clustername phys-hahost2 DBloghost