Sun Cluster ソフトウェアをインストールするには、同じバージョンの Solaris オペレーティング環境 (Solaris 2.6 または Solaris 7) を使用して、クラスタ内のすべてのノードをインストールする必要があります。クラスタノードに Solaris をインストールするときは、この節で説明する一般的な規則に従ってください。
すべての Sun Cluster ノードに全体ディストリビューション Solaris ソフトウェアパッケージをインストールします。
Sun Enterprise 10000 以外のプラットフォームには、Solaris オペレーティング環境のソフトウェアパッケージとして、少なくとも全体ディストリビューションをインストールする必要があります。Sun Enterprise 10000 システムには、全体ディストリビューションプラス OEM が必要です。
Solaris オペレーティング環境のインストールを完了したら、最新のパッチをインストールする必要があります。Solaris 2.6 または Solaris 7 オペレーティング環境用の必須パッチの最新リストについては、ご購入先にお問い合わせください。
以前のバージョンの Solaris オペレーティング環境からアップグレードする場合は、次の規則に従ってください。
オペレーティング環境を再インストールするのではなく、Solaris 対話式インストールプログラムのアップグレードオプションを使用する必要があります。また、ルート (/) と /usr スライスのサイズを大きくして、Solaris 環境を収容する準備をしておく必要があります。
Solaris 対話式インストールプログラムのアップグレードオプションには、現在のファイルシステムにアップグレード用の十分な空間がない場合に、ディスク空間を割り当てる機能が用意されています。デフォルトでは、自動配置機能によって、アップグレードが成功するようにディスク空間を再割り当てする方法が試されます。自動配置機能がディスク空間の再割り当て方法を決定できない場合は、移動または変更できるファイルシステムを手動で指定して、再度自動配置機能を実行する必要があります。
はじめて Sun Cluster をインストールする場合は、次の規則に従ってください。
すべての Sun Cluster ノードをスタンドアロンとして構成してください。この構成は、Solaris インストールプログラムから質問に応答することによって行います。
エクスポート済みファイルシステムを定義しないでください。HA-NFS ファイルシステムは、/export にはマウントされません。HA-NFS ファイルシステムのみ、Sun Cluster ノード上で NFS により共有します。
Solaris の電源管理の自動停止機能は無効にしてください (Sun Cluster 構成内のノードに該当する場合)。詳細は、pwconfig(1M) および power.conf(4) のマニュアルページを参照してください。
Solaris 2.6 オペレーティング環境には、インタフェースグループという新機能が追加されています。この機能は、Solaris 2.6 ではデフォルトの動作として実装されていますが、以降のリリースでは、オプションです。
ifconfig(1M) のマニュアルページで説明しているように、インタフェース (論理または物理のいずれか) が別のインタフェースと IP 接頭辞を共有する場合、それらインタフェースは 1 つのインタフェースグループにまとめられます。発信元アドレスが指定されていない場合、IP はインタフェースグループを使用して、発信元アドレスを交替で選択し、同じグループに複数の物理インタフェースがある場合は、IP の宛先ごとに異なる IP アドレスにまたがってトラフィックを配信します (IP の宛先別の情報については、netstat(1M) を参照)。
インタフェースグループ機能を有効にすると、論理ホストのスイッチオーバーで問題が発生します。すなわち、RPC タイムアウトが発生して、スイッチオーバーで問題が発生し、論理ホストが現在のホスト上でマスターされたままになります。
あらゆるクラスタノードについて、インタフェースグループは無効にしてください。インタフェースグループの状態は、/etc/system ファイルの ip_enable_group_ifs の値によって決まります。
このパラメータの値は、次の ndd コマンドで確認できます。
# ndd /dev/ip ip_enable_group_ifs |
値として 1 (有効) が返された場合は、次のコマンドを実行することによってインタフェースグループを無効にしてください。
set ip:ip_enable_group_ifs=0 |
/etc/system ファイルを編集した場合は、必ずシステムを再起動してください。
Solaris 2.6 または Solaris 7 をインストールすると、システムディスクは、ルート (/) や /usr、その他標準のファイルシステム用のスライスにパーティション分割されます。Sun Cluster および使用するボリュームマネージャに求められる条件を満たすには、このパーティション構成を変更する必要があります。この後の説明に従って、ディスク空間を割り当ててください。
表 2-1 に、スライス番号、内容、およびファイルシステム、スワップ空間、スライスに推奨する空間割り当て量を示します。JumpStartTM を使用して Solaris をインストールすると、デフォルトでこれらの値が使用されますが、Sun Cluster で、この構成が必須というわけではありません。
表 2-1 ファイルシステム用スライス
番号 |
内容 |
割り当て量 (M バイト) |
---|---|---|
0 |
ルート (/) |
80 |
1 |
スワップ |
50 |
3 |
/var |
残りの空き領域 (他の割り当て量によって変化) |
5 |
/opt |
300 |
6 |
/usr |
300 |
Solstice DiskSuite を使用する場合は、上記とは別に、メタデバイス状態データベースの複製用としてシステムディスクに 10M バイトを確保する必要があります。複製についての詳細は、Solstice DiskSuite のマニュアルを参照してください。
SSVM または CVM を使用する場合は、上記とは別に、2 つのパーティションと、SSVM または CVM が管理する各多重ホストディスク上に、rootdg ディスクグループ用として少量の空き領域 (1024 セクター分) を確保する必要があります。この空き領域は各ディスクの先頭または最後の部分に確保します。各ディスクの先頭または最後の部分は、スライスに割り当てないでください。詳細は、「Sun StorEdge Volume Manager と Cluster Volume Manager に関する注意事項」を参照してください。
ローカルディスクのルート (/) スライスには、各種ファイルおよびディレクトリ用の領域のほかに、/devices のデバイス i ノードと /dev のシンボリックリンク用の領域も存在する必要があります。
また、ルートスライスには、以下を格納できる十分な大きさである必要があります。
Solaris システムソフトウェア
Sun Cluster、使用するボリューム管理ソフトウェアの一部コンポーネント、サン以外のソフトウェアパッケージ
ディスク装置およびボリュームマネージャに対する /dev 内シンボリックリンク用データ空間
Sun Cluster は、root プロセスを実行するさまざまなシェルスクリプトを使用します。このため、root ユーザー用の /.cshrc* および /.profile ファイルは空にしておくか、クラスタノードに存在しないようにします。
大量のディスクドライブで構成される場合は、大きなルートファイルシステムが必要になることがあります。
空き領域が不足した場合は、すべてのクラスタノードにオペレーティング環境を再インストールして、ルートスライス内の空き領域を追加する必要があります。ルートスライスの全空間の少なくとも 20% を空き領域として確保してください。
/usr スライスは、ユーザーファイルシステムを保持します。/var スライスは、システムログファイルを保持します。/opt スライスは、Sun Cluster とデータサービスソフトウェアパッケージを保持します。Solaris をインストールするときの割り当て値の変更についての詳細は、『Solaris のインストール (上級編)』を参照してください。