この節では、Sun Cluster HA for Netscape のデータサービス用の構成ファイルを作成するときに hadsconfig(1M) コマンドに供給する情報について説明します。hadsconfig(1M) コマンドはテンプレートを使用して、構成ファイルを作成します。このテンプレートには、デフォルト値を持つパラメータや値が明示的に指定されたパラメータ、値が指定されていないパラメータが含まれています。値が指定されていないパラメータに対しては、必ず値を指定する必要があります。
障害検証パラメータは特に、Sun Cluster HA for Netscape のデータサービスの性能に影響することがあります。検証間隔値を小さくしすぎると (障害検証の回数の増加により)、システム性能が低下することがあり、その結果として、システムが単に遅くなっただけでも、誤ったテイクオーバーが発生したり、再起動が試みられたりすることがあります。
障害検証のパラメータは、Sun Cluster HA for Netscape HTTP、Sun Cluster HA for Netscape News、Sun Cluster HA for Netscape LDAP に対して設定できます。Sun Cluster HA for Netscape Mail に障害検証のパラメータを設定することはできません。
Sun Cluster HA for Netscape のデータサービスのどれについても、テイクオーバーフラグを設定する必要があります。テイクオーバーフラグは、Sun Cluster による部分的フェイルオーバーの処理方法を指定します。このフラグに設定できる値は次の 2 つです。
-y (yes) - Sun Cluster は、他のマスターへの論理ホストのスイッチオーバーを試みますが、スイッチオーバーに失敗した場合、論理ホストは元のマスターに留まります。
-n (no) - Sun Cluster は、データサービスに問題を検出したときでも、別のマスターに論理ホストを移動しません。また、論理ホスト上のデータサーバーあるいはデータベースに障害が発生した場合でも、何の処置も行いません。
表 8-4 で説明しているオプションを指定することによって、hadsconfig(1M) の入力書式に列挙されている Sun Cluster HA for Netscape News 用のパラメータを設定してください。
表 8-4 Sun Cluster HA for Netscape News に対する構成パラメータ
パラメータ |
説明 |
---|---|
インスタンス名 |
インスタンスの識別子として使用される名前タグ。Sun Cluster HA for Netscape News が生成するログメッセージでは、この名前タグが参照される。hadsconfig(1M) コマンドは、ここで指定された値の前にパッケージ名を付ける。たとえば nsnews_119 を指定すると、SUNWscnew_nsnews_119 が生成される。 |
論理ホスト |
Sun Cluster HA for Netscape News のこのインスタンスにサービスを提供する論理ホスト名 |
製品をインストールしたベースディレクトリ |
Netscape News をインストールした、多重ホストディスク上の位置を示すルート付きのパス名。このパスは、インスタンスのパスである (例: /hahost1/news-hahost1)。 |
検証間隔 |
障害検証を行う時間間隔 (秒単位)。デフォルトの間隔は 60 秒。 |
検証タイムアウト |
障害検証をタイムアウトにする時間 (秒単位)。デフォルトのタイムアウト値は 20 秒。 |
Sun Cluster HA for Netscape News のこのインスタンス専用のポート。ns-setup コマンドに指定した「Server Port」値を指定する。 |
|
テイクオーバーフラグ |
このデータサービスインスタンスで障害が発生した場合に、関連付けられている論理ホストのテイクオーバーまたはフェイルオーバーのどちらを行うかを指定する。指定できる値は、-y (yes) または -n (no) のいずれかである。 |
Sun Cluster HA for Netscape HTTP のインストールのベースディレクトリに HA 管理ファイルシステムを使用しないでください。vfstab.logicalhost ファイルを参照して、選択したベースディレクトリが HA 管理ファイルシステムではないことを確認してください。
表 8-5 で説明しているオプションを指定することによって、hadsconfig(1M) 入力書式に列挙されている Sun Cluster HA for Netscape HTTP 用のパラメータを設定してください。
表 8-5 Sun Cluster HA for Netscape HTTP に対する構成パラメータ
パラメータ |
説明 |
---|---|
インスタンス名 |
インスタンスの識別子として使用される名前タグ。Sun Cluster が生成するログメッセージでは、この名前タグが参照される。hadsconfig(1M) コマンドは、ここで指定された値の前にパッケージ名を付ける。たとえば nshttp_80 を指定すると、SUNWschtt_nshttp_80 が生成される。 |
論理ホスト |
Sun Cluster HA for Netscape HTTP のこのインスタンスにサービスを提供する論理ホスト名 |
製品をインストールしたベースディレクトリ |
製品をインストールしたベースディレクトリに、サーバーの種類とサーバーポート番号を加えたもの (例: /hahost1/https-hahost)。 |
検証間隔 |
障害検証を行う時間間隔 (秒単位)。デフォルトの間隔は 60 秒。 |
検証タイムアウト |
障害検証をタイムアウトにする時間 (秒単位)。デフォルトのタイムアウト値は 20 秒。 |
サーバーポート番号 |
Sun Cluster HA for Netscape HTTP のこのインスタンス専用のポート。ns-setup コマンドに指定した「Server Port」値を指定する。 |
テイクオーバーフラグ |
このデータサービスインスタンスで障害が発生した場合に、関連付けられている論理ホストのテイクオーバーまたはフェイルオーバーのどちらを行うかを指定する。指定できる値は、-y (yes) または -n (no) のいずれかである。 |
Sun Cluster HA for Netscape HTTP のインストール先のベースディレクトリに HA 管理ファイルシステムを使用しないでください。vfstab.logicalhost ファイルを参照して、選択したベースディレクトリが HA 管理ファイルシステムではないことを確認してください。
表 8-6 で説明しているオプションを指定することによって、hadsconfig(1M) 入力書式に列挙されている Sun Cluster HA for Netscape Mail 用のパラメータを設定してください。
表 8-6 Sun Cluster HA for Netscape Mail に対する構成パラメータ
パラメータ |
説明 |
---|---|
インスタンス名 |
インスタンスの識別子として使用される名前タグ。Sun Cluster が生成するログメッセージでは、この名前タグが参照される。hadsconfig(1M) コマンドは、ここで指定された値の前にパッケージ名を付ける。たとえば nsmail を指定すると、SUNWscnsm_nsmail が生成される。 |
論理ホスト |
Sun Cluster HA for Netscape Mail のこのインスタンスにサービスを提供する論理ホスト名 |
テイクオーバーフラグ |
このデータサービスインスタンスで障害が発生した場合に、関連付けられている論理ホストのテイクオーバーまたはフェイルオーバーのどちらを行うかを指定する。指定できる値は、-y (yes) または -n (no) のいずれかである。 |
表 8-7 で説明しているオプションを指定することによって、hadsconfig(1M) 入力書式に列挙されている Sun Cluster HA for Netscape LDAP 用のパラメータを設定してください。
表 8-7 Sun Cluster HA for Netscape LDAP に対する構成パラメータ
パラメータ |
説明 |
---|---|
インスタンス名 |
インスタンスの識別子として使用される名前タグ。Sun Cluster が生成するログメッセージでは、この名前タグが参照される。hadsconfig(1M) コマンドは、ここで指定された値の前にパッケージ名を付ける。たとえば nsldap を指定すると、SUNWhansm_nsldap が生成される。 |
論理ホスト |
Sun Cluster HA for Netscape LDAP のこのインスタンスにサービスを提供する論理ホスト名 |
製品をインストールしたベースディレクトリ |
製品をインストールしたベースディレクトリ。論理ホスト名の前に ns-slapd__を付けて指定する (例: /hahost1/d1/ns-home/ns-slapd_hahost1/)。指定したディレクトリに start スクリプトが含まれていることを確認すること。 |
サーバーポート番号 |
Sun Cluster HA for Netscape LDAP のこのインスタンス専用のポート。ns-setup コマンドに指定した「Server Port」値を指定する。デフォルト値は 389。 |
テイクオーバーフラグ |
このデータサービスインスタンスで障害が発生した場合に、関連付けられている論理ホストのテイクオーバーまたはフェイルオーバーのどちらを行うかを指定する。指定できる値は、-y (yes) または -n (no) のいずれかである。 |
検証間隔 |
障害検証を行う時間間隔 (秒単位)。デフォルトの間隔は 60 秒。 |
検証タイムアウト |
障害検証をタイムアウトにする時間 (秒単位)。デフォルトのタイムアウト値は 30 秒。 |