この節では、Sun Cluster の構成上の制限事項について説明します。
サービスとアプリケーションに関する次の制限事項に注意してください。
Sun Cluster は、それ自身が提供するデータサービスあるいは Sun Cluster データサービス API を使用して構成されたデータサービスに対してのみサービスを提供できます。
Sun Cluster 環境で sendmail(1M) はサポートされていないため、Sun Cluster のノードをメールサーバーとして構成しないでください。Sun Cluster のノードにメールディレクトリが存在してはなりません。
Sun Cluster システムをルーター (ゲートウェイ) として構成しないでください。システムが停止した場合、クライアントが代替ルーターを探して、回復することはできません。
Sun Cluster システムを NIS または NIS+ サーバーとして構成しないでください。ただし、NIS または NIS+クライアントとして構成することはできます。
Sun Cluster 構成を使用して、クライアントシステムに可用性の高い起動サービスあるいはインストールサービスを提供することはできません。
Solaris のインタフェースグループ機能はスイッチオーバーやフェイルオーバーの動作に悪影響を与えるため、Sun Cluster ではサポートされません。したがって、すべてのクラスタノードで Solaris インタフェースグループを無効にする必要があります。詳細は、「Solaris のインタフェースグループの無効化」を参照してください。
Sun Cluster では、内部で使用するために一定のポート番号が予約されています。これらのポート番号は clustername.cdb ファイルに格納されています。構成やデータサービス、アプリケーションを計画するときには、次の予約済みポート番号に注意してください。
さらに、Solaris では、UNIX Distributed Lock Manager (UDLM) のためにポート番号 6000〜6031 が予約されています。UDLM は、Oracle Parallel Server 構成で使用されます。
表 2-4 Sun Cluster の予約済みポート番号
ポート番号 |
ポート番号 |
---|---|
5556 |
Cluster Membership Monitor |
5568-5599 |
VERITAS Volume Manager のクラスタ機能 (vxclust) |
5559 |
VERITAS Volume Manager のクラスタ機能 (vxkmsgd) |
5560 |
VERITAS Volume Manager のクラスタ機能 (vxconfigd) |
603 |
sm_configd と smad (TCP および UDP 用) |
sm_configd と smad の場合を除き、これらのポート番号を変更することはできません。sm_configd または smad によって使用されるポート番号を変更する場合は、すべてのノードの /etc/services ファイルを編集します。これらのファイルはすべてのノードで同一でなければなりません。sm_configd と smad 以外の場合は、アプリケーションで使用されているポート番号を変更する必要があります。
Sun Cluster HA for NFS に関する次の制限事項に注意してください。
Sun Cluster ノード上で、Sun Cluster HA for NFS にローカルにアクセスするアプリケーションを実行しないでください。たとえば、NFS によってエクスポートされた Sun Cluster ファイルシステムに Sun Cluster システムからローカルにアクセスしないでください。これは、ローカルロックによって、lockd(1M) の終了と再起動ができなくなるためです。終了して、再起動するまでの間に、ブロックされたローカルプロセスにロックが付与され、これにより、クライアントマシンがロックを再利用できなくなります。
Sun Cluster で、Sun Cluster HA for NFS リソースのクロスマウントを行うことはできません。
Sun Cluster HA for NFS では、NFS クライアントは必ずハードマウントする必要があります。
Sun Cluster HA for NFS では、論理ホストに対してホスト名の別名を使用しないでください。NFS クライアントが論理ホストのホスト名の別名を使用して HA ファイルシステムをマウントすると、statd ロックの回復で問題が発生することがあります。
Sun Cluster は、Secure NFS および、NFS での Kerberos の利用をサポートしていません。具体的には、share_nfs(1M) に対して secure や kerberos オプションを使用することできません。
ハードウェアに関する次の制限事項に注意してください。
Sun Cluster ノードのペアには、少なくとも 2 つの多重ホストディスク格納装置が必要です。これに対する例外は、Sun StorEdge A3x00 ディスクを使用する場合であり、この場合、拡張装置は 1 つだけでかまいません。
Sun Cluster 2.2 を Solaris 2.6 で使用する場合に限り、SPARCserver 1000 および SPARCcenter 2000 を使用することができます。これは、Solaris 2.6 以降のバージョンで SFE 1.0 の be(7D) ドライバがサポートされなくなったためです。SFE 1.0 be(7D) ドライバは、SS1000 および SC2000 マシン上のクラスタインターコネクトに使用されます。
同じ入出力ボードで UDWIS/DWIS コントローラと SCI コントローラを混在させることはできません。
次の制限事項は、Ultra 2 シリーズの構成にだけ適用されます。
別の基本ハードウェア構成に移行するには、Sun Cluster ノードをインストールし直す必要があります。たとえば、FC/S カード 3 つと SQEC カード 1 つの構成から、FC/S カード 2 つと SQEC カード 1 つ、SFE または SunFDDITM カード 1 つの構成に移行するには、Sun Cluster ノードをインストールし直す必要があります。
FC/S カードに対するデュアル FC/OM は、SFE または SunFDDI カードと組み合わせる場合にのみサポートされます。
SFE または SunFDDI 0 カードの構成でデュアル FC/OM FC/S カードに障害が発生した場合は、ミラー化あるいはホットスペア処理によってではなく、フェイルオーバーによって回復モードになります。
Sun Cluster 2.2 のハードウェアに関する考慮点と手順ついては、『Sun Cluster 2.2 Hardware Site Preparation, Planning, and Installtion Guide』と『Sun Cluster 2.2 Hardware Service Manual』も参照してください。
Solstice DiskSuite に関する次の制限事項に注意してください。
メディエータを使用する Solstice DiskSuite の構成では、ディスクセットに設定するメディエータホスト数は偶数である必要があります。
VxVM が動作する 2 ノードのクラスタでは共有 CCD がオプション機能ですが、Solstice DiskSuite の構成では共有 CCD は使用できません。
sccconf(1M) の +D オプションは、Solstice DiskSuite では使用できません。
Solstice DiskSuite 製品の RAID5 機能を使用することはできません。RAID5 は、VERITAS Volume Manager でサポートされます。Sun StorEdge A3x00 ディスク拡張装置を使用した場合は、ハードウェア方式の RAID5 もサポートされます。
クラスタ全体を停止させる電源障害が発生した場合、クラスタを再起動するには、管理者が介入する必要があります。管理者は、/var/adm/messages の内容を調べることによって最後に停止したノードを特定し、そのノードに対して scadmin startcluster を実行する必要があります。その他のクラスタノードに対しては scadmin startnode を実行して、クラスタをオンラインに戻します。
Sun Cluster ノード上でクライアントアプリケーションを実行しないでください。ローカルのインタフェースグループ構文のため、論理ホストのスイッチオーバーまたはフェイルオーバーによって、TCP (telnet/rlogin) 接続が切断されることがあります。クラスタのサーバーホストによって開始された接続だけでなく、クラスタ外部のクライアントホストによって開始された接続も切断されます。
Sun Cluster ノード上でシェルを使って /logicalhost ディレクトリにアクセスしないでください。スイッチオーバーまたはフェイルオーバーが試みられているときに /logicalhost ディレクトリにシェル接続すると、スイッチオーバーまたはフェイルオーバーができなくなります。
Solstice DiskSuite の growfs(1M) コマンドを使用して、Sun Cluster HA 管理ファイルシステムを大きくすることはできません。
論理ネットワークインタフェースは、Sun Cluster 用に予約されます。
Sun Prestoserve はサポートされていません。Prestoserve は、そのホストシステム内でのみ動作します。このことは、スイッチオーバーが発生した場合、Sun Cluster の兄弟ホストからは、Prestoserve メモリー上のいかなるデータも利用できなくなることを意味します。
be FastEthernet デバイスドライバは使用されなくなったため、Solaris 7 や Solaris 8 オペレーティング環境ではサポートされません。したがって、Solaris 7 または Solaris 8 で動作する Sun Cluster 2.2 では、クラスタ相互接続に be ドライバを使用する SPARCserver 1000 と SPARCcenter 2000 はサポートされません。これらのサーバーは、Solaris 2.6 で動作する Sun Cluster 2.2 でのみサポートされます。
ユーザー定義スクリプト clustername.reconfig.user_script は、Sun Cluster 2.2 ではサポートされません。