最高の可用性を得るには、ローカルディスク上のルート (/)、/usr、/var、/opt、swap をミラー化してください。VERITAS Volume Manager では、このことは、ルートディスクをミラー化し、生成されたサブディスクをミラー化することを意味します。ただし、Sun Cluster では、ルートディスクのミラー化が必須というわけではありません。
リスク、複雑さ、コスト、保守時間の面からルートディスクに関するさまざまな方法を検討してください。どの構成にも当てはまるものはありません。ルートをミラー化するかどうかを決定するにあたっては、ご購入先に相談してください。
ルートのミラー化方法については、ボリュームマネージャのマニュアルを参照してください。
ルートファイルシステムをミラー化するかどうかを決定するにあたっては、次のことを考慮してください。
ルートをミラー化すると、システム管理の複雑さが増し、シングルユーザーモードでの起動が複雑になります。
ルートをミラー化するかどうかに関係なく、ルートは定期的にバックアップしてください。ミラー化だけで、管理上の誤りが防げるわけではありません。誤って変更あるいは削除したファイルは、バックアップによってのみ復元できます。
Solstice DiskSuite の構成で、メタデバイス状態データベースの定足数が失われるという障害が発生した場合は、保守を行わない限り、システムを再起動できなくなります。
Solstice DiskSuite のマニュアルのメタデバイス状態データベースとメタデバイス状態データベースの複製の説明を参照してください。
独立したコントローラにルートをミラー化するという方法は、最高の可用性を得る手段の 1 つです。
兄弟ノードをミラーと見なし、ローカルディスクドライブに障害が発生した場合にテイクオーバーが行われるようにすることができます。この場合は、ディスクが回復したときに、兄弟ノードのルートディスクからデータをコピーして、復元できます。
ただし、Sun Cluster ソフトウェアに即時テイクオーバーを保証する機能はないことに注意してください。実際問題として、テイクオーバーがまったく行われないことも考えられます。たとえば、ディスクの一部セクターが不良で、特定のデータサービスに不可欠のファイルのユーザーデータ部分が存在すると仮定します。その場合、データサービスは起動して入出力エラーになりますが、Sun Cluster ノードは動作を継続します。
ミラーを起動可能なルートディスクに設定して、主起動ディスクで問題が発生した場合に、そのミラーから起動が行えるようにすることができます。
ミラー化されたルートがあると、主ルートディスクで問題が発生しても、二次 (ミラー) ルートディスクで動作を継続することができます。
電源を入れ直したために、あるいは一時的に入出力エラーであったために、後で主ルートディスクが正常に戻った場合、以降の起動は、OpenBootTM PROM の -boot-device フィールドに指定された主ルートディスクを使用して行われます。このとき、Solstice DiskSuite の再同期は行われません。再同期をするには、ドライブが正常に戻ったときに手作業が必要になります。
この状況では、手動の修復作業はありません。ドライブが単に、起動できる状態になっただけです。
二次 (ミラー) ルートディスク上のファイルに変更が加えられている場合、起動中に、その変更が主ルートデバイスに反映されることはなく、サブミラーは無効になります。たとえば、/etc/system に対する変更が失われることがあります (主ルートディスクが休止している間に、一部の Solstice DiskSuite 管理コマンドによって、/etc/system が変更されることがあります)。
起動プログラムは、起動がミラーまたは元の物理デバイスのどちらから行われているのかを検出しません。起動プロセスの途中 (メタデバイスが読み込まれた後) でミラー化はアクティブになります。これより前の時点では、サブミラーが無効になる問題が発生しやすくなっています。
ボリューム管理ソフトウェアを使用してルートをミラー化している状態で Solaris 環境を新しいバージョンにアップグレードするには、現在の Solaris のマニュアルには記載されていない作業が必要になります。現在の Solaris のアップグレード方法を、Sun Cluster が使用するボリューム管理ソフトウェアに対して使用することはできません。このため、Solaris をアップグレードする前に、ルートのミラーを 1 方向のミラーに変更する必要があります。また、使用しているボリュームマネージャごとに、別の作業が必要になります。詳細は、使用しているボリューム管理ソフトウェアのマニュアルを参照してください。