Sun Cluster 2.2 API 開発ガイド

多重ホームホスト

多重ホームホストとは、複数のパブリックネットワーク上にあるホストのことです。このようなホストは複数 (つまり、ネットワークごとに 1 つ) のホスト名/IP アドレスのペアを持ちます。Sun Cluster は、1 つのホストが複数のネットワーク上に存在できるように設計されています。1 つのホストが単一のネットワーク上に存在することも可能ですが、このような場合は「多重ホームホスト」とは呼びません。物理ホスト名が複数のホスト名/IP アドレスのペアを持つように、各論理ホストも複数 (つまり、パブリックネットワークごとに 1 つ) のホスト名/IP アドレスのペアを持ちます。慣習上、ペアのセットのホスト名 1 つには、論理ホストと同じホスト名を持つペアが存在します。Sun Cluster が論理ホストをある物理ホストから別の物理ホストに移動するとき、その論理ホストに対するホスト名/IP アドレスのペアもすべて移動します。

Sun Cluster の各論理ホストにおいて、ホスト名/IP アドレスのペアのセットは Sun Cluster 構成データの一部であり、Sun Cluster を初めてインストールおよび構成するときに管理者により指定されます。Sun Cluster のデータサービス API には、ペアのセットを照会する機能があります。hads(3HA)haget(1M) のマニュアルページにある names_on_subnets フィールドを参照してください。

ほとんどの市販のデータサービスデーモンは Solaris 用に書かれており、多重ホームホストを適切に処理できます。ネットワーク通信を行うとき、多くのデータサービスは Solaris のワイルドカードアドレス INADDR_ANY にバインドします。すると、INADDR_ANY は、すべてのネットワークインタフェースのすべての IP アドレスを自動的に処理します。INADDR_ANY は、現在マシンに構成されているすべての IP アドレスに効率的にバインドします。一般的に、INADDR_ANY を使用するデータサービスデーモンを変更しなくても、Sun Cluster の論理ホストの IP アドレスを処理できます。