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iPlanet Web Server, Enterprise Edition 管理者ガイド



第 6 章   サーバクラスタの管理


この章では、iPlanet Web Server のクラスタリングの概念を解説し、クラスタを使用してサーバ間で構成を共有する方法について説明します。

この章には、次の節が記述されています。



クラスタについて

クラスタとは、1 つの Administration Server から管理することができる、複数の iPlanet Web Server で構成されたグループのことです。各クラスタには、管理サーバとして指定された 1 つのサーバを組み込む必要があります。複数のクラスタを使用している場合、1 つの「マスター」 Administration Server から、すべてのクラスタを管理できます。このマスター管理サーバは、クラスタに関するすべての情報を取得して、クラスタを構成する iPlanet Web Server を管理するためのインタフェースを提供します。

サーバをクラスタ構成にすると、次のようなタスクを実行できるようになります。

  • すべての iPlanet Web Server を集中して管理する

  • 1 つ、または複数の構成ファイルをサーバ間で共有する

  • 1 つの「マスター」Administration Server から、すべてのサーバの起動または停止を行う

  • 指定したサーバの、アクセスログやエラーログを表示する

iPlanet Web Server をクラスタリングすることで、マスター Administration Server を指定して、すべてのクラスタを管理することができます。



個々のサーバは、ネットワーク内の任意のコンピュータにインストールできますが、「マスター」として指定する Administration Server は、クラスタを構成するすべてのサーバの情報を持っており、クラスタ内のすべての Administration Server にアクセスできるように設定する必要があります。





サーバクラスタの使用に関するガイドライン



クラスタを構成する際、すべてのクラスタの情報を持つマスター Administration Server は、クラスタの各 Administration Server と通信します。クラスタの各 Administration Server には、マスター Administration Server と同じ管理ユーザ名とパスワードを登録しておく必要があります。

クラスタを構成する場合は、事前にそのクラスタに含めるすべてのサーバへのインストールを完了しておく必要があります。たとえば、1 クラスタあたり 5 つの iPlanet Web Server を組み込んだ、合計 3 つのクラスタを設置する場合、次の手順を行います。

  1. コンピュータにすべてのサーバをインストールし、各サーバが、マスター Administration Server と同じ管理ユーザ名とパスワードを使用して実行できるように設定します。

  2. 各クラスタに、1 つの iPlanet Web Server を Administration Server として構成します。

  3. クラスタに含まれる管理サーバのうち 1 つを選択し、すべてのクラスタに対するマスター Administration Server として構成します。マスター Administration Server として選択するのは、どの Administration Server でもかまいません。

    注意

    クラスタは、同じプラットフォームのものでなければなりません。クラスタ内のすべてのサーバは、UNIX または NT のいずれかで統一されていなければなりません。同一のクラスタの中に UNIX と NT のサーバが混在していると、ハングアップやクラッシュを引き起こす可能性があります。



次に、サーバのグループで複数のクラスタを構成する際のガイドラインを示します。

  • クラスタの作成に先立って、クラスタに組み込むサーバをすべてインストールしておきます。

  • クラスタ内のサーバがすべて、iPlanet Web Server version 6.0 であることを確認します。

  • すべてのクラスタに固有の Administration Server が、マスター Administration Server と同じユーザ ID とパスワードを持っていることを確認します。分散管理の機能を使用して、各 Administration Server に複数の管理者を設定することもできます。

  • ネットワーク内のすべてのコンピュータに、サーバをインストールします。ただし、1 つのクラスタ内のすべてのコンピュータは、NT または UNIX のいずれかで統一する必要があります。

  • クラスタ固有の任意の Administration Server を、マスター Administration Server に指定することができます。

  • マスター Administration Server がクラスタ固有の各 Administration Server にアクセスできることを確認します。マスター Administration Server は、すべてのインストールされている iPlanet Web Server に関する情報を取得します。

  • Administration Server はすべて、iPlanet Web Server version 6.0 であること、また、同じプロトコル (HTTP または HTTPS) を使用していることを確認します。クラスタへの追加をサポートしているのは iPlanet Web Server version 6.0 だけです。

  • 1 つのクラスタ内の1 つの Administration Server のプロトコルを変更する場合は、すべての残りの Administration Server のプロトコルも同様に変更する必要があります。その場合、「Modify Server」のインタフェースを使用して、クラスタの個々のサーバの設定を変更できます。



クラスタの設定

iPlanet Web Server のクラスタを設定するには、次の手順を実行します。

  1. iPlanet Web Server を、クラスタに含めるすべてのコンピュータにインストールします。

    各クラスタの Administration Server が、マスター Administration Server が認証に使用できるユーザ名とパスワードを持っていることを確認します。これを行うには、デフォルトのユーザ名とパスワードを使用するか、または分散管理を設定します。

  2. マスター Administration Server に使用するサーバをインストールします。ユーザ名とパスワードが、手順 1 で設定したものと一致していることを確認します。

  3. サーバをクラスタリストに追加します。

  4. リモートサーバの管理は、クラスタフォームから Server Manager フォームにアクセスするか、または、同じクラスタ内のサーバの構成ファイルを別のサーバにコピーして行います。



    リモートサーバの構成を変更したら、リモートサーバを再起動します。





クラスタへのサーバの追加

クラスタにサーバを追加する際は、そのクラスタを管理している Administration Server とポート番号を指定します。追加する Administration Server が複数のサーバ情報を持っている場合、すべてのサーバが、そのクラスタに追加されます。個々のサーバは、後から削除することができます。



リモート Administration Server がクラスタの情報を持っている場合、このリモートクラスタの中のサーバは追加されません。マスター Administration Server に追加するサーバは、リモートコンピュータに物理的にインストールされているサーバだけです。



クラスタにリモートサーバを追加するには、次の手順を実行します。

  1. マスター Administration Server が起動していることを確認します。

  2. マスター Administration Server にアクセスして、「Cluster Mgmt」タブを選択します。

  3. 「Add Server」リンクをクリックします。

  4. リモート Administration Server が使用するプロトコルを選択します。

    • http (通常の Administration Server の場合)

    • https (セキュリティ保護された Administration Server の場合)

  5. 「Admin Server Hostname」フィールドに、リモートサーバの magnus.conf ファイルに表示されているように、絶対パスによるドメイン名を入力します。

    例: jodib.iplanet.com

  6. リモート Administration Server のポート番号を入力します。

  7. 「OK」をクリックします。

    これで、マスター Administration Server は、リモートサーバへの通信を試みます。この処理には、 2、3 分かかります。その後、サーバがクラスタに追加されたという確認メッセージが表示されます。

  8. 「OK」をクリックします。

    異なるコンピュータに組み込んでいる複数のサーバで、同じ識別子を使用している場合は、各コンピュータのサーバ識別子とホスト名が表示されます。サーバ識別子とホスト名が両方とも同じサーバが存在する場合には、ポート番号も表示されます。





サーバ情報の変更

「Modify Server」オプションは、スレーブサーバ上で、スレーブ管理ポート情報が変更されたあと、その情報を更新するときだけに使用します。クラスタ内のリモート Administration Server のポート番号を変更したときは、そのクラスタに格納されている Administration Server の情報も変更する必要があります。スレーブ Administration Server に対するその他の変更の場合は、一旦そのサーバを削除し、変更が終わったら、元のようにクラスタに追加する必要があります。

リモート Administration Server は、マスタークラスタデータベースが変更されても、関連のファイルがCluster Control を経由して転送されていない限り、影響を受けません。

クラスタ内のサーバに関する情報を変更するには、次の手順を実行します。

  1. マスター Administration Server にアクセスして、「Cluster Mgmt」タブを選択します。

  2. 「Modify Server」リンクをクリックします。

    一意のサーバ識別子でリストされた、すべてのサーバが表示されます。

  3. 次のどちらかで、変更するサーバを 1 つまたは複数選択します。

    • 特定のサーバにチェックマークを付ける

    • 「Select All」をクリックする

    すべての選択を元に戻すときは「Reset」をクリックします。

  4. 新しいポート番号を入力します。

  5. 「OK」をクリックします。



クラスタからのサーバの削除

クラスタからサーバを削除するには、次の手順を実行します。

  1. マスター Administration Server にアクセスして、「Cluster Mgmt」タブを選択します。

  2. 「Remove Server」リンクをクリックします。

  3. 次のどちらかで、削除するリモートサーバを 1 つまたは複数選択します。

    • 特定のサーバにチェックマークを付ける

    • 「Select All」を選択する

    選択を元に戻すときは「Reset Selection」をクリックします。

  4. 「OK」をクリックします。

サーバがクラスタから削除されることを確認するメッセージが表示されます。削除したサーバには、そのクラスタからはもうアクセスできません。アクセスできるのは、そのサーバの Administration Server からのみとなります。



サーバクラスタの制御



iPlanet Web Server 6.0 を使用すると、クラスタ内のリモートサーバを、次のように制御することができます。

  • リモートサーバを起動または停止する

  • アクセスログやエラーログを閲覧する

  • 構成ファイルをサーバに転送する

    注意

    クラスタは、同じプラットフォームのものでなければなりません。クラスタ内のすべてのサーバは、UNIX または NT のいずれかで統一されていなければなりません。構成ファイルを異なるプラットフォームから転送すると、サーバがハングアップしたり、クラッシュしたりする可能性があります。



クラスタ内のサーバを制御するには、次の手順を実行します。

  1. マスター Administration Server の「Server Manager」にアクセスして、「Cluster Mgmt」タブを選択します。

  2. 「Cluster Control」リンクをクリックします。

  3. 次のいずれかにより、制御するサーバを、1 つまたは複数、選択します。

    • 特定のサーバにチェックマークを付ける

    • 「Select All」を選択し、そのクラスタ内のサーバをすべて選択する

    選択を元に戻すときは「Reset Selection」をクリックします。

  4. ドロップダウンメニューから、「Start remote servers」または「Stop remote servers」を選択します。

  5. ドロップダウンメニューから、「View Access log records」または「View Error log records」 を選択し、表示したい行の番号を入力します。

  6. 構成ファイルを転送するには、次のいずれかを行います。

    1. ドロップダウンメニューから、転送する構成ファイルを選択します。

    2. ドロップダウンメニューから、構成ファイルの転送元であるサーバを選択します。

    3. 「Transfer」をクリックします。



変数の追加

変数は、クラスタ内のサーバに複数の異なる値を構成する必要がある場合に使用されます。この値は、異なるポート番号を使用してスレーブを定義するためのマクロであったり、異なる shlib パスを定義するためのプラグインであったりします。

変数の追加は、マスタークラスタデータベースにだけ影響します。関連ファイルが Cluster Control 経由で転送されている場合を除き、リモート Administration Servers は影響を受けません。変数が定義されると、Administration Server は独立して稼動することができなくなります。

クラスタ内のリモートサーバに変数を追加するには、次の手順を実行します。

  1. マスター Administration Server から、「Cluster Mgmt」タブを選択します。

  2. 「Add Variables」リンクをクリックします。

  3. 変数を追加したい特定のサーバにチェックマークを付けます。

  4. 「Name」フィールドに、追加する変数のタイプを入力します。

    例: Port

  5. 「Value」フィールドに、追加する値を入力します。

    たとえば、「Name」フィールドに「Port」と入力した場合、この値はポート番号となります。

  6. 「OK」をクリックします。

    サーバ変数が追加されたという確認メッセージが表示されます。

  7. 「OK」をクリックします。

この変数は、スレーブに転送するサーバの構成ファイルにも追加する必要があります。次に例を示します。

SERVERPORT $Port (ポートの変数が追加された場合)

構成ファイルで、各スレーブに対して異なる値を持つ複数の変数を設定することができます。

一旦追加した変数は、「Add Variables」ページでドロップダウンの「Option」リストを使用して、編集したり削除したりできます。


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Last Updated October 17, 2001