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iPlanet Application Server インストールガイド



付録 A   iPlanet Application Server の設定


この付録では Windows および Solaris® プラットフォームで iPlanetTM Application Server を設定する方法について説明します。

この付録には次のトピックがあります。



ポート番号の設定

指定するポートはすべてリスナポートです。有効なポート番号は、許容範囲内 (Windows の場合は 1 〜 65535、Solaris の場合は 1025 〜 32768) にあり、固有の (システムのほかのアプリケーションで使われていない) 番号でなければなりません。

デフォルトのポート番号は次のとおりです。

  • Administration Server (KAS) の場合は 10817

  • Executive Server (KXS) の場合は 10818

  • Windows のJava サーバ (KJS) の場合は 10819。Solaris では、このポートは CGI から Executive Server (KXS) への通信に使われる

  • Windows の C++ サーバ (KCS) の場合は 10820。Solaris では、このポートは Java サーバ (KJS) に使われる

  • Solaris の C++ サーバ (KCS) の場合は 10821

  • CXS エンジンによる IIOP の場合は 9010

  • PointBase データベースの場合は 9092

  • ディレクトリサーバの場合は 389

ほとんどの場合、デフォルト値を受け入れます。デフォルトは、複数の Java および C++ サーバ を設定する場合 (追加の Java および C++ エンジンにそれぞれ固有のポート番号が必要) を除いて、ほとんどの場合は、インストールプログラムによって提示されるデフォルトのポート番号を使ってください。



Web サーバの設定



iPlanet Application Server と同じマシンで、サポートされているいずれかの Web サーバを使う場合、コネクタプラグインの設定は自動的に行われます。

Solaris 上で、iPlanet Application Server が接続する Web サーバをインストールした同じユーザ、または同じグループのメンバーとして iPlanet Application Server をインストールします。

iPlanet Application Server を NFS マウントファイルシステムにインストールする場合、次のディレクトリに対して、Web サーバをインストールしたユーザと同じ読み書きパーミッションがあることを確認してください。

  • gxlib

  • APPS

  • レジストリ

  • kdb

これらは iPlanet Application Server のインストールディレクトリにあるサブディレクトリです。


手動による Web サーバの設定

iPlanet Application Server をインストールすると、Web サーバが Web Connector プラグイン用に自動的に設定されます。つまり、Web サーバ上の必要なディレクトリと設定がすべて更新されます。

iPlanet Application Server と Web サーバ間の接続に問題がある場合は、Web Connector プラグインをインストール後、手動で Web サーバを再設定する必要があります。

詳細については、『iPlanet Application Server 管理者ガイド』を参照してください。


Web なしインストール

Web なしインストールでは、Web サーバと iPlanet Application Server は別々のマシンに存在します。そのため、ファイアウォールの設定に関するセキュリティ問題を考慮する必要があります。iPlanet Application Server マシンと Web サーバマシンの間にファイアウォールが存在する場合は、Web なしインストールを行う前にセキュリティ管理者に相談してください。Executive Server (KXS) と Web Connector プラグイン間で通信ができるように、ファイアウォールの必要なポートが開いていることを確認してください。



Web Connector プラグインのインストール



Web Connector プラグインは、Web サーバからのリクエストを iPlanet Application Server に渡します。iPlanet は、次の Web サーバに Web Connector プラグインを提供します。

  • iPlanet Web Server

  • Microsoft Internet Information Server (Windows のみ)

iPlanet Application Server を、Web サーバが存在するマシンとは別のマシンにインストールする場合は、iPlanet Application Server の「Web なしインストール」と呼ばれるインストールを設定します。この場合は、iPlanet Application Server Web Connector プラグインを、Web サーバマシンにインストールする必要があります。

Web Connector プラグインをインストールする前に、次の操作を行ってください。

  1. iPlanet Application Server 6.5 Web Connector プラグインがすでにインストールされているかどうか確認します。インストールされている場合は、Web サーバインスタンスがすでに iPlanet Application Server 用に設定されているので、プラグインをインストールし直す必要はありません。

    プラグインがインストールされていない場合は、手順 2 を続行します。

  2. Web サーバインスタンスの実行を中止します。

  3. iPlanet Application Server Web Connector プラグインをインストールする前に管理者権限を持つユーザとしてログオンします。

    Solaris では、ルートユーザとしてログオンするか、または Web Connector プラグインをインストールする前に iPlanet Application Server をインストールしたルートユーザと同じグループのユーザとしてログオンします。

    以上の手順では、iPlanet Application Server と Directory Server がすでにインストールされていることを前提としています。

Apache でのプラグインのインストールおよび設定方法の詳細については、『iPlanet Application Server 管理者ガイド』を参照してください。


Solaris で Web Connector プラグインをインストールするには

  1. Web なしインストールで iPlanet Application Server のインストールを終了後、インストール CD-ROM を Web サーバのホストとなるマシンに挿入し、インストールプログラムを実行します。

  2. インストールプログラムの指示に従います。

    インストール手順の詳細については、第 4 章「Windows での iPlanet Application Server の簡易インストール」を参照してください。

  3. プロンプトが表示されたら、インストールするコンポーネントとして「iPlanet Servers」を選択します。

  4. インストールのタイプとして「Typical」を選択します。

  5. インストール対象ディレクトリを指定します。パス名にはスペースを入れないでください。

  6. インストールするコンポーネントを尋ねるプロンプトが表示された場合は、「iPlanet Application Server」だけのインストールを選択します。

  7. iPlanet Application Server コンポーネントをインストールするかどうかを尋ねるプロンプトが表示された場合は、「iPlanet Application Server Web Connector Component」を選択します。

  8. インストールプログラムの指示に従います。

iPlanet Application Server Web コネクタコンポーネントの詳細は、『iPlanet Application Server 管理者ガイド』および配置ツールオンラインヘルプシステムに記載されています。


Windows で Web Connector プラグインをインストールするには

  1. Web なしインストールで iPlanet Application Server のインストールを終了後、インストール CD-ROM を Web サーバのホストとなるマシンに挿入し、インストールプログラムを実行します。

  2. プロンプトが表示されたら、インストールするコンポーネントとして「iPlanet Servers」を選択します。

    インストール手順の詳細については、第 4 章「Windows での iPlanet Application Server の簡易インストール」を参照してください。

  3. インストールのタイプとして「Typical」を選択します。

  4. インストール対象ディレクトリを指定します。パス名にはスペースを入れないでください。

  5. インストールするコンポーネントを尋ねるプロンプトが表示された場合は、「iPlanet Application Server 6.5」コンポーネントだけを選択します。

  6. 「Change」ボタンをクリックします。

    iPlanet Application Server「subcomponent」画面が表示されます。

  7. サブコンポーネントのリストから「Web Connector Plug-in Component」と「Core Server Components」を選択します。

  8. インストールプログラムの指示に従います。

  9. 最後のダイアログで「OK」を選択してコンピュータを再起動すると、新しい設定が有効になります。

iPlanet Application Server Web コネクタコンポーネントの詳細については、『iPlanet Application Server 管理者ガイド』および配置ツールオンラインヘルプを参照してください。


Windows 2000 で動作する IIS 5.0 へのプラグインの登録

IIS 5.0 を使って Windows 2000 を実行するシステムでは、Web Connector プラグインは In-process IIS 5.0 サービスとして登録する必要があります。デフォルトで、プラグインは Out-of-process IIS サービスとして登録されます。

IIS 5.0 の In-process サービスとして Web Connector プラグインを登録するには、次の手順を実行します。


IIS 5.0 でプラグインを登録するには

  1. 「スタート」>「設定」>「コントロールパネル」>「管理ツール」>「コンピュータの管理」の順に移動します。

    「コンピュータの管理」ウィンドウが開きます。

  2. 左のペインで、+ 記号をクリックして「サービスとアプリケーション」>「インターネットインフォーメションサービス」>「既存の Web サイト」の順にクリックします。

  3. 「Cgi-bin」を右クリックして、「プロパティ」を選択します。

  4. 「仮想ディレクトリ」タブを選択します。

  5. 「アプリケーションの設定」の下の「作成 (E)」をクリックします。

  6. 「アプリケーションの保護」の隣のプルダウンメニューをクリックします。

  7. 低 (IIS プロセス)」を選択します。

  8. 「OK」をクリックします。



PointBase の実行

ORDBMS パッケージ - PointBase Network 3.5 は、iPlanet Application Server に含まれます。PointBase を使うと、運用レベルのデータベースをインストールしたりアクセスしたりせずにアプリケーションをテストできます。

PointBase は、インストール時に使用可能なアプリケーションサーバのコアコンポーネントのオプションの一つです。PointBase をインストールするかどうかを選択するには、「PointBase DataBase Server」オプションを選択します。

PointBase データベースサーバおよびサードパーティの JDBC ドライバは、自動的に Administration Server に登録されます。また、e-Store、J2EEGuide、データベース、および Bank サンプルアプリケーションのサンプルデータベースも登録されます。

データベースドライバと配置アプリケーションの登録方法については、『iPlanet Application Server 管理者ガイド』を参照してください。


PointBase を起動するには

Solaris では、<iASInstallDir>/pointbase/network/bin ディレクトリに移動し、次のコマンドを入力します。

pointbaseServer start

終了するには次のコマンドを入力します。

pointbaseServer stop

この手順は Windows でも同じです。

Windows では、「スタート」をクリックし、「プログラム」>「PointBase Network 3.5」>「PointBase Server」を選択して、PointBase アプリケーションを起動します。

シャットダウンするには、PointBase 管理コンソールの「Shutdown」オプションを使います。



  • iPlanet Application Server のインストールが完了すると、PointBase サーバは自動的に起動します。

  • Solaris では、インストールが完了すると PointBase データベースパッケージの管理コンソールが表示されます。エラーメッセージが表示され、ダイアログボックスが表示されない場合は、DISPLAY 端末変数を X に設定してください。



デフォルトでは、PointBase はポート 9092 で動作します。このため、ほかのサービスがポート 9092 で動作していないことを確認してから、iPlanet Application Server をインストールしてください。各 PointBase サーバがデフォルトでポート 9092 を使うため、特定のマシン上で実行できる PointBase のインスタンスは、常に 1 つだけです。

また、ほかの iPlanet Application Server サービスがポート 9092 を使っていないことも確認してください。


PointBase を管理するには

PointBase Network 3.5 では、GUI ベースの Pointbase Console と、コマンドラインユーティリティの PointBase Commander の 2 つの管理ユーティリティを利用できます。

これらのツールは次の場所にあります。


Windows の場合

  • <iASInstallDir>¥pointbase¥client¥examples¥batch¥windows¥startconsole

  • <iASInstallDir>¥pointbase¥client¥examples¥batch¥windows¥startcommander

管理ツールは、「スタート」メニューからもアクセスできます。

「スタート」に移動し、「プログラム」>「PointBase Network 3.5」を選択し、「PointBase Console」または「PointBase Commander」を選択します。


Solaris の場合

  • startconsole を実行するには、 <iASInstalDir>/pointbase/client/examples/batch/unix/startconsole に移動します。

  • startcommander を実行するには、 <iASInstallDir>/pointbase/client/examples/batch/unix/startcommander に移動します。



    警告

    <iASInstallDir>¥pointbase¥client にある PointBase Console および Commander は、iPlanet Application Server インストール用に最適化されていないので、使わないでください。





iPlanet Application Server のクラスタの設定

簡単なクラスタ設定は、iPlanet Developer's Web サイトに手順が示されています。この非常に単純化されたクラスタ設定は実際の運用設定のサンプルではありませんが、iPlanet Application Server の動作を確認できます。

設定は 2 台のマシンから構成されています。マシンにはそれぞれ Web サーバインスタンスと iPlanet Application Server インスタンスがインストールされています。また 1 台のマシンには、次の図に示すように、両方のマシンのアプリケーションサーバが使う Directory Server のインスタンスがあります。

図 A-1    簡単な iPlanet Application Server クラスタ設定

この簡単なクラスタでは、設定データはマシン 1 の Directory Server に保存されます。2 番目のアプリケーションサーバのインストールでは、同じ Directory Server の設定情報を使います。すべてのサーバと Web コネクタ間で同じ設定情報を共有できるように、Directory Server で同じデータツリーを使うことをお勧めします。

2 番目のアプリケーションサーバのインストール時に、クラスタ名とグローバル設定名には、最初のアプリケーションサーバのインストール時に指定した値と同じ値を入力する必要があります。

この例では、Web サーバは iPlanet Application Server と同じマシン上にあります。Web サーバがマシンの別々の層に置かれた場合は、Web コネクタのインストール時に同じグローバル設定名およびクラスタ名を入力します。Windows または Solaris マシンにこの簡単なクラスタをインストールして設定するための詳細な手順については、次のサイトに掲載されている「iPlanet Application Server Samples」を参照してください。


Windows

http://developer.iplanet.com/appserver/samples/cluster/docs/nt-cluster.html


Solaris

http://developer.iplanet.com/appserver/samples/cluster/docs/unix-cluster.html


これは運用設定ではありません。運用設定では、ほとんどの場合、異なるマシンに Web サーバがあり、最初の Directory Server のバックアップとして機能するように設定された 2 番目の Directory Server があります。iPlanet Directory Server のレプリケーションおよびフェールオーバーを設定する方法については、次のサイトに掲載されている 『iPlanet Directory Server インストールガイド』を参照してください。http://docs.iplanet.com




クラスタとデータ同期化

分散データの同期化によって、複数の iPlanet Application Server マシンで共有する情報の一貫性を保つことができます。これは、複数の iPlanet Application Server マシンで管理されるパーティション分割された分散アプリケーションにとって重要です。

クラスタは複数の iPlanet Application Server インスタンスから成り、各インスタンスは別々のマシンにインストールされています。クラスタは、ステートデータとセッションデータの同期化にグループとして加わることができます。クラスタ内の各サーバは役割の一部を果たします。このインストールの説明で最も重要なことは、Sync Primary、Sync Backup、および Sync Alternate サーバを含む Sync Server のカテゴリです。

Sync Primary は、主要なデータストアで、それに対して、クラスタ内のほかのすべてのサーバが最新の分散データ情報を通信します。

Sync Backup は、Sync Primary の情報をミラーリングし、元の Sync Primary が故障すると、Sync Primary の役割を引き継ぎます。

Sync Alternate は Sync Backup になることができます。Sync Backup の数が、設定した最大数を下回ると、ほかの Sync Alternate と比較して優先度のもっとも高い Sync Alternate が Sync Backup に昇格します。


設定が 1 つの iPlanet Application Server インスタンスだけで構成されている場合、クラスタ計画は不要です。



クラスタを設定するときは、Sync Primary になる可能性のあるサーバをいくつにするかを検討してください。最大数は、ネットワークにある iPlanet Application Server マシンの数です。

Sync Primary は、どのマシンにもっとも高い優先順位が割り当てられたかによって決まるのではなく、すべてのサーバがインストールされてからどのマシンを最初に起動するかによって決まります。

クラスタ内の iPlanet Application Server マシンに割り当てた優先順位を書き留めておいてください。クラスタ内に iPlanet Application Server をインストールするたびに、クラスタ内のすべてのサーバの IP アドレス、KXS ポート番号、および優先順位を入力し直す必要があります。

Sync Primary にする iPlanet Application Server インスタンスに最高の優先順位を付け、そのマシンを最初に起動してください。次に高い優先順位を Sync Backup に割り当て、残りのマシンは Sync Alternate に割り当て、希望の優先順位を付けます。

各インストールで優先順位とアプリケーションサーバ識別情報に一貫性があれば、優先順位と同じ順序でサーバをインストールする必要はありません。

分散データ同期化の設定については、『iPlanet Application Server 管理者ガイド』を参照してください。



複数のインスタンスをインストールする理由



iPlanet Application Server の複数のインスタンスをインストールすると、開発環境と運用環境で多くの利点があります。次のトピックは、複数のインスタンスを実行した場合の利点と問題点について説明します。


コードの分離

開発チームの開発者が共有システムで効率よく作業するには、ある開発者のコード内のバグがチーム全体の開発環境に波及することがないように、Java コードの Java Virtual Machine (JVM) のように別々のプロセスでコードを実行することが重要です。iPlanet Application Server の現在の実装では、アプリケーションコンポーネントをアプリケーションサーバの個々のインスタンスに分離できますが、インスタンス内では JVM に分解できません。したがって、コンピュータリソースを共有する開発者は、複数のアプリケーションサーバインスタンスを共有システムにインストールする必要があります。開発用インストールでは、複数のインスタンスのインストールには独立した Web 、アプリケーションサーバ、およびディレクトリインスタンスが含まれている必要があります。

運用環境では通常、サーバを止めずにアプリケーションのリリースを更新する必要があります。それには、iPlanet Application Server に複数の JVM があって、JVM プロセスごとに停止 / 起動する必要があります。1 つのアプリケーションの更新が残りのアプリケーションに及ぼす影響を小さくするために、複数のアプリケーションサーバインスタンスによって、関係のないアプリケーションコンポーネントを配置するための複数のプラットフォームを提供できます。これにより、1 つのインスタンスを停止 / 起動して特定のアプリケーションを更新できます。


スケーラビリティの向上

プロセッサを追加するたびに、リソースの競合によってパフォーマンスの向上度が小さくなります。複数のインスタンスをインストールし、プロセッサを互いに結合することによって、1 つの大規模なシステムが多数の小さな仮想システムのようになります。このようにリソースを分割すると、リソースの競合が削減され、システムの全体的なパフォーマンスを向上させることができます。


フェールオーバー関連の問題

iPlanet Application Server のクラスタでは、Sync Primary と呼ばれるクラスタ内のサーバにステート情報とセッション情報を保存し、Sync Backup と呼ばれるクラスタ内の別のサーバにコピーすることによって、高可用性 (HA) を実現します。Sync Primary と Sync Backup は、アプリケーションサーバインスタンスの起動順序によって決まります。クラスタ内で最初に起動するインスタンスが Sync Primary になり、次に起動するインスタンスが Sync Backup になります。

クラスタのインスタンスが同じシステム上にある場合は、Sync Primary と Sync Backup が両方とも同じコンピュータシステム上に置かれる可能性がきわめて高くなります。1 台のコンピュータの故障がクラスタ全体に波及する可能性があります。この問題を回避するには、サーバ上の各インスタンスと、別のサーバ上にある 1 つ以上のほかのインスタンスをクラスタ化してください。つまり、運用サイトを複数のクラスタで構成します。クラスタの数は、1 台のサーバ上で作成されるインスタンスの最大数となります。パフォーマンスを最大限に高めるには、クラスタをインスタンスのペアで構成してください。


複数のクラスタに関連する問題

Web サーバの故障後、リクエストを正しく転送するには、複数のクラスタをインストールするトポロジにより特定の Web サーバを各クラスタに割り当てる必要があります。このため、クラスタの設定情報は同じ iPlanet Directory Server の別のサブツリーかまたは別の iPlanet Directory Server になければなりません。

各 Web サーバはプラグインを使って iPlanet Application Server にリクエストを転送します。Web コネクタと呼ばれるこのプラグインは、クラスタの共有ディレクトリサーバ内のエントリ全体で、クラスタ内で使用可能なアプリケーションサーバを識別します。

あるクラスタ内で開始し、そのすぐあとで別のクラスタにロードバランスが実行されたセッションでは、前のリクエストによって生成されたステート / セッション情報にアクセスできないため、問題が発生します。この状況を回避するには、特定のセッションに関連するすべてのリクエストにスティッキーロードバランシングを適用できるように Web サーバのロードバランサの性能が十分に高くなければなりません。

ロードバランシングソリューションでは一般に、2 つの方法でセッションにスティッキーロードバランシングを実行します。すなわち、セッション ID が含まれている cookie をベースとしてスティッキーロードバランスを実行する方法と、リクエストのソース IP アドレスをベースとして実行する方法があります。SSL で暗号化されたセッションの場合、ロードバランサは cookie の内容を読み込めないので、ソース IP アドレスが使われます。残念ながら、一部の ISP は顧客の Web ブラウザセッションにプロキシを使います。これらのプロキシ間ではセッションのロードバランスを実行できるので、リクエストが同じセッションに属している場合でも、リクエストのソース IP アドレスが変わることがあります。

現在、その解決策は 3 つあります。

  • インターネットと Web 階層のロードバランサ間に SSL アプライアンスを使って cookie をデコードします。

  • ロードバランシングソリューションを使い、ネットワーク管理者が既知の ISP プロキシアドレスを入力し、常に特定のクラスタに転送できるようにします。

  • クラスタ間で共有のリソース (データベースなど) にステート情報とセッション情報を保存します。


リソース関連の問題

この節では、リソースの活用に影響を与える iPlanet Application Server クラスタでのリソースの共有および設定オプションについて説明します。トピックは次のとおりです。


固有のネットワークポート

iPlanet Application Server はインストール時に、その個々のサービスのために特定のネットワークポート上で通信するように設定する必要があります。これらのポートをデフォルト以外の値に設定するには、カスタムインストールを使います。1 台のサーバに複数のインスタンスをインストールする場合にリソースの競合を回避するには、インスタンスごとに異なるネットワークポートを選択する必要があります。

たとえば、通常、Administration Server プロセスはポート 10817 にインストールし、Executive Server プロセスはポート 10818 にインストールし、最初の Java サービスはポート 10820 にインストールします。最初のインスタンスをこれらのデフォルトでインストールした場合、2 つ目の Administration Server プロセスは 11817 にインストールし、Executive Server プロセスはポート 11818 にインストールし、最初の Java サービスはポート 11820 にインストールします。


共有ディレクトリ設定ツリー

管理を容易にし、iPlanet Application Server インスタンス全体にわたって最適なロードバランシングを実行するために、もっとも簡単な設定では共通の設定ツリーを持つ共通のディレクトリサーバを共有します (デフォルトは iasconfig)。「複数のクラスタに関する問題」の節で説明した障害の可能性に備えて、特定の ISP プロキシのサービスに割り当てられたクラスタに関連付けられているすべてのインスタンスを、別の設定ツリーに分離してください。Web サーバインスタンスのサブセットもそのクラスタに割り当てられます。


ログイン

サーバ上のインスタンスごとに個別のログインを作成してください。インストール時に、iPlanet Application Server プロセスは、関連付けられているログインによって所有される必要があります。各インスタンスのオーナシップを別々にすることにより、起動およびシャットダウンのスクリプトが明確になります。


期待されるパフォーマンス上のメリット

多数の可能な設定に関するパフォーマンスの評価は複雑なプロセスです。評価にはパフォーマンスツールを使います。可能なパフォーマンス向上の例として、2 台の 12-way E4500 サーバのクラスタのパフォーマンスを、同じハードウェアを使った複数のインスタンスの配置(それぞれ 2 つのインスタンスからなる 12 のクラスタ) と比較します。複数のインスタンスの配置では、パフォーマンスが最初の設定の 2 倍の速さになるはずです。



トラブルシューティング



インストールの問題に関する以下のリストは、iPlanet Application Server のインストール中またはインストール後に直面する一般的なエラーを示します。


インストール前

iPlanet Application Server のインストールを行う前に、次の問題について検討してください。

  • 必要なオペレーティングシステムのパッチを参照してください。『リリースノート』を参照して、必要なパッチを決めてください。

    インストール時の問題に対する対策については、次の Web サイトに掲載されている最新の『リリースノート』を参照してください。

    http://docs.iplanet.com/docs/manuals/ias.html

  • iPlanet Application Server のインストール可能ファイルが、空白文字や特殊文字が含まれているディレクトリに置かれていると、Windows でのインストールおよびアップグレードが失敗します。

    iPlanet Application Server のインストール可能ファイルは、空白文字や特殊文字が含まれていないディレクトリに置いてください。

  • カスタムインストールモードで、ディレクトリサーバにエントリを入力するかどうかを確認するプロンプトが表示されたときに「None」を選択すると、エントリが作成されません。

    したがって、インストール後、LDAP 情報内にユーザが存在しないため、サーバへの接続が失敗します。

    「None」を選択せずに、「Suggest」オプションを選択する必要があります。

  • リモートユーザディレクトリ内に管理者ユーザのエントリを作成するとき、そのディレクトリが読み取り専用の場合は作成に失敗します。

    iPlanet Application Server Administration Tool (iASAT) を使ってサーバを登録するには、管理者ユーザのエントリがユーザ LDAP ディレクトリ内に存在する必要があります。

    iPlanet Application Server がリモートユーザディレクトリサーバに対して認証できるようにするには、インストールを完了して次の手順を実行します。

    1. 次のエントリを使って adminuser.ldif ファイルを作成します。

      dn: uid=iasadmin., ou=People, o=iplanet.com

      changetype: add

      cn: Nas Administrator

      sn: Nas Administrator

      givenname: iAS admin

      objectclass: top

      objectclass: person

      objectclass: inetorgperson

      ou: People

      uid iasadmin

      userpassword:パスワード

    2. ladapmodify コマンドを実行します。

    ldapmodify iASInstallDir/shared/bin> -D "cn=Directory Manager" -p < ldap_PortNo.> -w <password> -a -f adminuser.ldif.


インストール後

iPlanet Application Server のインストール後、次の問題について検討してください。

  • iPlanet Application Server を Windows マシンに新規インストールすると、KXS クラッシュが発生します。

    インストール後にマシンを再起動してください。

  • iPlanet Application Server をインストール後、iPlanet Application Server gxlib ディレクトリ (install directory/ias/gxlib) とレジストリディレクトリ (install directory/ias/registry) が Web サーバのオーナーとユーザによってアクセスできることを確認してください。

  • 「CGI ファイルタイプ」が Web サーバで有効になっていることを確認します。iPlanet Web Server については、「サーバ管理者」ページを参照してください。Programs フォルダの中で、CGI ファイルタイプについて「Yes」をクリックします。

  • 複数のアプリケーションを実行しているとき、iPlanet Application Server Class Loader が SYSTEM_JAVA パラメータ (CLASSPATH と GX_CLASSPATH 設定の両方を持つレジストリパラメータ) を使って AppLogic クラスファイルを見つけることができなかった場合、そのリクエストは JAVA Class Loader に渡され、そのクラスファイルを探すため、CLASSPATH 環境変数が読み込まれます。ユーザ CLASSPATH が指定されていなくても、AppLogics および Servlet はこの操作を実行します。


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最新更新日 2002 年 3 月 12 日