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iPlanet Application Server 移行ガイド



第 6 章   NetDynamics アプリケーションの実行


この章は、NetDynamics で作成されたアプリケーションを移行するための計画ガイドです。

この章は次の節に分かれています。



概要

これまでは、NetDynamics 3.x、4.x、および 5.x アプリケーションを iPlanet Application Server 6.5 対応の J2EE に移行するために多数のオプションを用意してきました。オプションによっては、NetDynamics 5.x にアップグレードしてから J2EE にアップグレードするという手順を実行していました。

J2EE が普及し、完成度が高まるにつれて、また、新しく利用可能になった自動ツールを使うと NetDynamics の以前のバージョン (バージョン 3.x および 4.x) で作成されたアプリケーションを簡単に変換できるため、NetDynamics 5.x への移行を経ずに、NetDynamics 3.x および 4.x アプリケーションを J2EE に直接移行することをお勧めします。

この章では、NetDynamics から J2EE への移行作業を計画する際の注意事項について説明します。特に、アプリケーションの移行に必要な作業に影響を与える可能性があるいくつかの問題と、J2EE への全面的な移行を妨げるいくつかの要因について検討します。

さらにこの章では、iPlanet Migration Toolbox (iMT) を紹介します。iMT を使うと、NetDynamics アプリケーションを自動的に iPlanet Application Server J2EE 環境へ移行できます。

移行されたアプリケーションでは、iPlanet J2EE Assisted Take-Off (JATO) アプリケーションフレームワークを利用します。このフレームワークは NetDynamics アプリケーションフレームワークから J2EE へのアプリケーションの直接的な移行に対応するだけでなく、将来の J2EE 開発のベースとなるスタンドアロンアプリケーションフレームワークとしても機能します。JATO はソースコードの全面的な所有権とともに iMT カスタマに提供されています。

iMT および JATO の包括的な説明については、この章の適用対象外です。iMT に関してより詳しい情報が必要な場合は、御社 iPlanet 担当までお問い合わせください。



移行計画の注意事項



驚くべきことではありませんが、移行作業の範囲を決めるのは非常に厳しいタスクです。NetDynamics 環境は開発において柔軟性に富んでいました。NetDynamics アプリケーションの構成、開発の標準、個々の開発者のスタイル、カスタムエクステンションと機能強化などは、NetDynamics アプリケーションの特定のセットを J2EE に移行するための作業のレベルに大きな影響を与える可能性があります。

iPlanet Migration Toolbox には、移行見積もり作業に取りかかるための基本的なツールがいくつか含まれています。NDProjectPeeker ツールでは、NetDynamics プロジェクトオブジェクトの一覧表を生成し、プロジェクトのサイズおよび構成について見当をつけることができます。現在開発中の別のツールでは、NDProjectPeeker ツールの出力を利用して、移行作業の基本的な見積もりを生成します。これらのツールによって収集された情報を利用して最初の見積もりが生成されますが、この章で説明する解析を組み込むことによってその見積もりを修正します。

この節には次のトピックがあります。


移行方法

一般には、以前の NetDynamics アプリケーションを iPlanet Application Server 6.5 対応の J2EE に直接移行することをお勧めしますが、NetDynamics 3.x および 4.x アプリケーションを NetDynamics 5.x にアップグレードする方が適切な場合もあります。それには次のような理由があります。

  • 特定のアプリケーションについて NetDynamics 5.x へのアップグレードが比較的速やかに実行できると判断され、そのアプリケーションが 2002 年 12 月 31 日の NetDynamics 5.x 製品のサポート終了時までに使われなくなる予定である

さらに、今後 J2EE に移行するのが不可能になる問題がいくつかあります。

  • アプリケーションで、NetDynamics 環境でしか動作しないカスタムコンポーネントまたはサードパーティコンポーネントを使っている

  • アプリケーションが、NetDynamics だけが提供できる機能に依存している

ただし、一般には、J2EE への直接移行がより望ましいと確信しています。

  • アプリケーションの予想耐用年数が 2 年を越える場合は、一般的に J2EE に移行してください。

  • NetDynamics 5.x へのアップグレードには多くの作業が必要になる可能性があります。特にテストなどのタスクを考慮すると、以前の NetDynamics アプリケーションから NetDynamics 5.x へのアップグレードに必要な作業は、iMT を有効にして iAS 対応の J2EE に移行する場合と同程度の作業になることがあります。

  • NetDynamics のサポートは段階的に廃止されるため、NetDynamics への依存性を解決する必要があります。

  • NetDynamics でトレーニングを受けた担当者のチームは今後数年間で縮小される予定です。


移行の計画と見積もり

iPlanet Migration Toolbox 計画ツールによって、NetDynamics から J2EE への移行作業の大きさについて見当をつけることができますが、移行するアプリケーション本体に固有の一連の要因を解析することで、意味のある見積もりを作成することができます。NetDynamics アプリケーションの移行に必要な作業を見積もる際に検討すべきいくつかの要因は次のとおりです。

  • 移行チームの持つ技術とアプリケーションに関する知識

    • J2EE

    • NetDynamics

    • 移行するアプリケーションのドメインに関する知識

  • 移行する必要がある NetDynamics プロジェクトおよびページの数

  • NetDynamics API が使われていた範囲

    • イベントメソッドをコーディングするために NetDynamics API が幅広く使われていたか

    • 既存の Enterprise JavaBeans および他のビジネスロジックは、NetDynamics API に依存しないように記述されていたか

  • アプリケーションの構造

    • アプリケーションは表示、ビジネス、およびデータに慎重に分けられているか

    • 移行すべきカスタムクラスがあるか。これらのカスタムクラスが NetDynamics にどの程度依存しているか

  • アプリケーションの構成

    • アプリケーションは多数の小さい NetDynamics プロジェクトで構成されているか、あるいは少数の大きいプロジェクトで構成されているか

    • 構成内の異なるアプリケーションが相互依存している度合い

NetDynamics プロジェクトが大きい集合の場合は、解析時にいくつかのタスクを追加することを検討する必要があります。

  • アーキテクチャの概要

  • カスタムクラスとその使い方についての詳細な解析

  • NetDynamics プロジェクトの代表的なサンプルの詳しい調査

  • 試験的な移行



iPlanet Migration Toolbox および J2EE Assisted Take-Off (JATO)

この節には次のトピックがあります。


iPlanet Migration Toolbox

iPlanet Migration Toolbox (iMT) には、NetDynamics から J2EE への自動移行を行うためのツールセットが含まれています。

  • NetDynamics Extraction Tool: このツールは NetDynamics プロジェクトから XML 記述ファイルに宣言情報と Java コードを抽出します。

  • Application Translation Tool: このツールは XML 記述ファイルを使って JATO フレームワーク内で NetDynamics プロジェクトの J2EE 互換バージョンを構築します。

  • その他のツール: iPlanet Migration Toolbox には、変換されたプロジェクトをコンパイルしてまとめるための便利なツールも含まれています。

iMT は、NetDynamics アプリケーションをできるだけ完全に J2EE に移行するように設計されています。その主な機能は、NetDynamics 構成子および機能をサポートする新しいアプリケーション環境に、アプリケーション構成を移行する機能です。さらに、iMT はすべての宣言によるアプリケーション機能をこの新しいアプリケーションフレームワークに移行します。NetDynamics ウィザードによって提供されていたこれらの機能の大部分は J2EE に移行されます。

自動移行プロセスが完了したら、以前のアプリケーションから移行したカスタムコードの適合性を評価する必要があります。NetDynamics アプリケーションのカスタムコードを変換して、J2EE 環境で正しく機能させる確実な方法はありません。手動でのコード変換を簡単に行うには、元のコードのコメントを削除し、適切なモジュールおよびメソッドに移動します。このタスクの量は少なくありませんが、一般に、移行開発者が JATO J2EE コンポーネントのクラスおよびメソッドの知識を持っている場合は、簡単に実行できるはずです。

一般に、移行開発者はアプリケーション上で iMT を試行して、プロジェクトに必要な手動での移行作業のレベルを評価します。iMT では、手動でのコード移植過程で評価および変更が必要となるコードレベルアイテムの一覧表が生成されます。この変更一覧表を使って、移行作業計画を改善してください。


JATO のアプリケーションフレームワーク

J2EE Assisted Take-Off (JATO) は、J2EE アプリケーションを一貫性のある効率的な方法で作成するための基盤を、開発者に提供するように構築されたアプリケーションフレームワークです。JATO では、アプリケーションおよびアプリケーションをサポートする基盤の作成方法を開発しなくても、アプリケーションの作成をすぐに始めるためのプロシージャとサポート基盤が用意されています。つまり、NetDynamics で得られた生産性メリットの一部を再び得ることができます。さらに、標準的なフレームワークが利用できるので、企業は時間が経っても社内で開発の一貫性を確保できるだけでなく、新しいチームメンバが専用の社内 J2EE アプリケーションフレームワークを使うためにトレーニングを受けなければならない可能性も小さくなります。

JATO は NetDynamics から J2EE にジャンプするための単なる踏み台ではなく、NetDynamics アプリケーションを移行したあと、長期間にわたって J2EE アプリケーションを構築できるフレームワークとして設計されています。


iMT/JATO コミュニティ

iPlanet Migration Toolbox チームは、http://www.egroups.com/group/iPlanet-JATO のオンライン iMT/JATO 討論コミュニティのモデレータを務めています。


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最新更新日 2002 年 3 月 6 日