ATOK12 ユーザーズガイド

第 1 章 ATOK12 の日本語処理

この章では、ATOK12 の日本語処理の特長を紹介します。

「それ」がわかる ATOK

文脈解析変換

ATOK12 は、入力された文章の分野を自動的に判断し、文脈情報に基づいて同音語処理を行います。

文脈情報に基づいた、同音異義語処理の例を示しています。

指示詞の照応関係の解析

文脈解析変換をさらに強化し、文章中の指示詞 (「これ」、「それ」、「あれ」、「この」、「その」、「あの」など) と、それらが指し示す言葉との関係を適切に判断して、同音語を正しく識別します。

例文:今日の授業の問題で一つだけとても難しいものがありました。はじめにそれを解いたのは私の友人でした。

「それ」が「授業の問題」を指すことを認識し、「解いた」に正しく変換します。

例文:来年度中に大幅な減税が実施される予定です。その政策で国民の負担は多少は軽くなるはずです。

「その」が「大幅な減税」を指すことを認識し、「政策」に正しく変換します。

例文:車の窓から遠くに姫路城が見えます。あの城はどれくらい有名なのでしょうか。

「あの」が「姫路城」を指すことを認識し、「城」に正しく変換します。

快適な変換を実現する高度な日本語処理技術

格フレーム処理

文章の差異による同音語の違いを的確に判断して変換します。

例文:その制服が彼女に合う。その先生が彼女に会う。2つの文章の差異から「あう」という同音異義語を的確に変換しています。

係り受け関係の解析

それぞれの文節が文章の中でどのような係り受け関係になっているかを解析し、高い変換効率を実現しています。

例文:窓を 夜が 明けるまでに 開けておきました。

「窓を」が「開けておきました」に、「夜が」が「明けるまでに」に係っているのを正しく認識します。

文節区切りの判断

構文意味解析により、判断しづらい文節の区切りも的確に判断します。

例文:今日は歯を磨いた。 今日母を訪ねた。

「磨いた」と「訪ねた」の動詞の違いにより、文節の区切りを正しく判断しています。

数詞交じりの文章の判断

数詞交じりの文章で、前後の関係から助数詞の表記を的確に判断します。

たとえば、次のような数字交じりの文章もより正確に変換できるようになりました。

例文:ミュージカルの第1次選考会が午後1時より始まります。ホテルの2階で第2回懇親会が開かれます。