Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理

パートナーシップの作成と変更

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでは、クラスタ間でパートナーシップを形成し、災害に対する相互的な保護を提供することが可能です。パートナーシップ内のクラスタ同士は、シングルクラスタのノード同士の場合と同じ方法で、相互にハートビートメッセージを送信し合うことによって互いを監視します。ローカルクラスタとは異なり、パートナーシップ内のクラスタは公開ネットワークを使用してこれらのメッセージを送信しますが、追加のプラグインメカニズムもサポートしています。

2 つの特定のクラスタ間でただ 1 つのパートナーシップを作成するには、geops(1m) コマンドを使用します。パートナーシップの作成が終わると、このコマンドを使用してパートナーシップのプロパティーを変更できます。

パートナーシップを作成するときは、パートナーシップ内のすべてのクラスタの名前を必ず一意にしてください。たとえば、ドメイン .france の内部に完全に収まるクラスタの場合は、parisgrenoble などのホスト名を使用できます。ただし、クロスドメインクラスタの場合は、ネットワーク上のホストを識別できるほど十分に限定されたホスト名を指定する必要があります。paris および munich をホスト名 paris.france および munich.germany とリンクし、クラスタ名を paris および munich のままにしておくことができます。

クラスタ paris.france および paris.texas の間にパートナーシップを作成することはできません。クラスタ名 paris と衝突するからです。

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアによって管理されるアプリケーションリソースグループの名前は、両方のパートナークラスタで同じでなければいけません。これらのリソースグループ名は、手動で設定することも、scsnapshot コマンドを使用して設定することもできます。

scsnapshot コマンドには、リソースグループ、リソースタイプ、およびリソースが構成されていないクラスタ上に構成データを複製する機能があります。scsnapshot コマンドを実行すると、実行したクラスタから構成データが取得され、scriptfile という名前のスクリプトが生成されます。このスクリプトを編集して、構成データを複製したいクラスタに固有な特徴に合わせます。たとえば、スクリプトに含まれている IP アドレスやホスト名を必要に応じて変更しなくてはならない場合があります。このスクリプトを、構成データを複製したい任意のクラスタノードから実行します。このコマンドの使用法については、scsnapshot(1M) のマニュアルページを参照してください。

2 つの特定のクラスタ間で定義できるパートナーシップは 1 つだけです。1 つのクラスタが、異なるクラスタとのほかのパートナーシップに参加することができます。

Procedureパートナーシップを作成する方法

始める前に

次の条件が満たされているか確認します。

  1. クラスタノードの 1 つにログインします。

    この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。

  2. パートナーシップを作成します。


    # geops create -c remotepartnerclustername [-h heartbeatname] \
    [-p propertysetting [-p...]] partnershipname
    
    -c remoteclustername

    パートナーシップに参加するリモートクラスタの名前を指定します

    この名前は、リモートクラスタ上の Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーで使用されている論理ホスト名と一致します。

    -h heartbeatname

    パートナークラスタの可用性を監視するために、パートナーシップ内で使用するカスタムハートビートを指定します。

    このオプションを省略した場合、Sun Cluster Geographic Edition のデフォルトのハートビートが使用されます。

    カスタムハートビートは特殊な用途向けであり、構成時には注意が必要です。使用中のシステムでカスタムハートビートを使用する必要がある場合は、Sun の技術担当者に問い合わせてください。カスタムハートビートの構成方法については、第 6 章「ハートビートの管理」を参照してください。

    カスタムハートビートを作成する場合は、パートナーシップが縮退モードのままになるのを防ぐため、プラグインを 1 つ以上追加する必要があります。

    geops コマンドを実行する前に、このオプションで提供されているカスタムハートビートを構成する必要があります。


    注 –

    カスタムハートビートが存在すると、パートナーシップを作成している間、デフォルトのハートビートは使用されません。パートナーシップでデフォルトのハートビートを使用するには、geops create コマンドの実行前にカスタムハートビートを削除する必要があります。


    -p propertysetting

    文字列 property=value のように対をなす文で、パートナーシップのプロパティー値を指定します。

    Description プロパティーを使用してパートナーシップの説明を指定します。

    ハートビート喪失通知は、Notification_emailaddrs プロパティーと Notification_actioncmd プロパティーを使用して構成できます。ハートビート喪失通知を構成する方法の詳細は、「ハートビート喪失通知の構成」を参照してください。

    設定できるプロパティーについての詳細は、付録 A 「Sun Cluster Geographic Edition の標準プロパティー」を参照してください。

    partnershipname

    パートナーシップの名前を指定します。

    Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされる名前と値については、付録 B 「Sun Cluster Geographic Edition エンティティーに使用できる名前と値」を参照してください。

    geopg コマンドについては、geops(1M) のマニュアルページを参照してください。

  3. パートナーシップが作成されたことと、そのパートナーシップの状態を確認します。


    # geoadm status

例 5–1 パートナーシップの作成

この例では、cluster-paris クラスタ上で paris-newyork-ps パートナーシップを作成する方法を示します。


# geops create -c cluster-newyork -p Description=Transatlantic \
-p Notification_emailaddrs=sysadmin@companyX.com paris-newyork-ps 
# geoadm status

参照

パートナーシップの構成方法とパートナーシップへの参加方法の例については、例 5–4を参照してください。

Procedureパートナーシップのプロパティーを変更する方法

  1. クラスタノードの 1 つにログインします。

    この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。

  2. パートナーシップのプロパティーを変更します。


    # geops set-prop -p propertysetting [-p...] partnershipname
    
    -p propertysetting

    文字列 property=value のように対をなす文で、パートナーシップのプロパティー値を指定します。

    Description プロパティーを使用してパートナーシップの説明を指定します。

    ハートビート喪失通知は、Notification_emailaddrs プロパティーと Notification_actioncmd プロパティーを使用して構成できます。ハートビート喪失通知を構成する方法の詳細は、「ハートビート喪失通知の構成」を参照してください。

    設定できるプロパティーについての詳細は、付録 A 「Sun Cluster Geographic Edition の標準プロパティー」を参照してください。

    partnershipname

    パートナーシップの名前を指定します。

    Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされる名前と値については、付録 B 「Sun Cluster Geographic Edition エンティティーに使用できる名前と値」を参照してください。

    geopg コマンドについては、geops(1M) のマニュアルページを参照してください。

  3. 変更内容に間違いがないことを確認します。


    # geops list

例 5–2 パートナーシップのプロパティーの変更

この例では、cluster-paris クラスタの通知電子メールアドレスを変更する方法を示します。


# geops set-prop -p Notification_emailaddrs=operations@companyX.com \
paris-newyork-ps
# geops list