この節では、次の作業の手順について説明します。
データ複製を使用しない保護グループも作成できます。データ複製サブシステムを使用しない保護グループを作成するには、geopg コマンドを使用するときに、-d datareplicationtype オプションを省略します。geoadm status コマンドを実行すると、データ複製の状態が NONE と表示されます。
次の条件が満たされているか確認します。
ローカルクラスタがパートナーシップのメンバーである。
既存の保護グループとこれから作成する保護グループが重複しない。
保護グループ名は Sun Cluster Geographic Edition のグローバルネームスペース内で一意です。同じシステム上にパートナーシップが 2 つ存在する場合、これらに同じ保護グループ名を付けることはできません。
保護グループの既存の構成は、リモートクラスタからローカルクラスタに複製することもできます。詳細は、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループの構成をパートナークラスタに複製する」を参照してください。
クラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
geopg create コマンドを実行して新しい保護グループを作成します。
このコマンドを実行すると、ローカルクラスタのすべてのノードに、保護グループが 1 つずつ作成されます。
# geopg create -s partnershipname -d avs \ -o localrole [-p property [-p...]] \ protectiongroupname |
パートナーシップの名前を指定します。
Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 ソフトウェアを使用して保護グループのデータを複製するように指定します。
この保護グループのローカルクラスタでの役割を指定します (primary または secondary)。
保護グループのプロパティーを指定します。
次のプロパティーを指定できます。
Description – 保護グループについて説明する。
Timeout – 保護グループのタイムアウト間隔を秒単位で指定する。
Enable_volume_set – true に設定した場合、保護グループの作成時にボリュームセットを自動的に有効にする。
ボリュームセットを自動的に有効にする方法については、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 ボリュームセットの有効化」を参照してください。
Nodelist – 保護グループ内でデバイスグループの主クラスタとなりえるマシンのホスト名を表示する。
設定できるプロパティーについては、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 A「Sun Cluster Geographic Edition の標準プロパティー」を参照してください。
保護グループの名前を指定します。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされている名前と値については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 B「Sun Cluster Geographic Edition エンティティーに使用できる名前と値」を参照してください。
geopg コマンドの詳細は、geopg(1M) のマニュアルページを参照してください。
保護グループを作成する前に、構成内容が正しいかどうかがデータ複製層によって検証されます。
検証に成功した場合、ローカルの Configuration 状態が OK、Synchronization 状態が Error に設定されます。
検証に失敗した場合、保護グループは作成されません。
この例では、主クラスタとして設定されている cluster-paris クラスタ上に Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを作成する方法を示します。
phys-paris-1# geopg create -s paris-newyork-ps -d avs -o primary \ -p Nodelist=phys-paris-1,phys-paris-2 avspg |
変更する保護グループがローカルに存在することを確認します。
クラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
保護グループの構成を変更します。
パートナークラスタ上に同じ名前の保護グループが含まれている場合、geopg set-prop コマンドは、パートナークラスタにも新しい構成情報を伝達します。
# geopg set-prop -p property[-p...] protectiongroupname |
保護グループのプロパティーを指定します。
設定できるプロパティーについては、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 A「Sun Cluster Geographic Edition の標準プロパティー」を参照してください。
保護グループの名前を指定します。
geopg set-prop コマンドは、新しい構成情報で保護グループを再検証します。ローカルクラスタ上で検証に失敗した場合、保護グループの構成は変更されません。成功した場合、Configuration 状態はローカルクラスタで OK に設定されます。
ローカルクラスタ上で Configuration 状態が OK になっていても、パートナークラスタ上で検証に失敗した場合、パートナークラスタ上の Configuration 状態が Error に設定されます。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされている名前と値については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 B「Sun Cluster Geographic Edition エンティティーに使用できる名前と値」を参照してください。
geopg コマンドの詳細は、geopg(1M) のマニュアルページを参照してください。
この例では、例 2–2 で作成した保護グループの timeout プロパティーを変更する方法を示します。
# geopg set-prop -p Timeout=300 avspg |
geoadm status コマンドの出力で保護グループの Configuration 状態が Error と表示された場合、geopg validate コマンドを使用して構成を検証できます。このコマンドは、保護グループとそのエンティティーの現在の状態を検査します。
保護グループとそのエンティティーが有効であれば、保護グループの Configuration 状態は OK に設定されます。構成ファイル内にエラーが見つかると、geopg validate コマンドはそのエラーについてのメッセージを表示し、構成はエラー状態にとどまります。この場合、ユーザーは構成内のエラーを修正し、geopg validate コマンドをもう一度実行できます。
このコマンドで検証されるのは、ローカルクラスタ上の保護グループの構成だけです。パートナークラスタ上の保護グループ構成を検証するには、次のコマンドをパートナークラスタでもう一度実行します。
保護グループの構成を検証する前に、検証する保護グループがローカルに存在していることと、パートナーシップの関係にある両方のクラスタの全ノードで共通エージェントコンテナがオンライン状態であることを確認します。
クラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
保護グループの構成を検証します。
このコマンドで検証されるのは、ローカルクラスタ上の保護グループの構成だけです。
# geopg validate protectiongroupname |
単一の保護グループを識別する一意の名前を指定します
この例では、保護グループを検証する方法を示します。
# geopg validate avspg |
保護グループの検証時には、Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 データ複製層により、次のようにアプリケーションリソースグループとデータ複製エンティティーの検証が行われます。
保護グループ内のアプリケーションリソースグループの Auto_start_on_new_cluster プロパティーが False に設定されていることを確認します。
Auto_start_on_new_cluster プロパティーを False に設定すると、Sun Cluster リソースグループマネージャーによる保護グループ内のリソースグループの自動起動が行われなくなります。したがって、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアが再起動してリモートクラスタと通信したあとに、リモートクラスタが稼働中であり、リモートクラスタがそのリソースグループの二次クラスタであることを確認してください。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは主クラスタ上のリソースグループを自動的に起動することはありません。
アプリケーションリソースグループは、保護グループが有効なときに主クラスタ上でのみオンラインにしてください。
HAStoragePlus リソースで定義されたデバイスグループとアフィニティーを持つアプリケーションリソースグループの Nodelist プロパティーに、保護グループの Nodelist プロパティーと同じエントリが同じ順序で含まれていることを確認します。
保護グループ内のデバイスグループの Nodelist プロパティーに、保護グループの Nodelist プロパティーと同じエントリが同じ順序で含まれていることを確認します。
保護グループ内の各デバイスグループに軽量リソースグループが作成されていることを確認します。各軽量リソースグループには、2 つのリソース、論理ホスト名リソースと HAStoragePlus リソースが含まれます。軽量リソースグループとそのリソースについては、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 軽量リソースグループ」を参照してください。
保護グループ内の各デバイスグループの複製リソースグループ内に、GeoCtlAVS タイプの複製リソースが作成されていることを確認します。複製リソースグループの書式については、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 複製リソースグループ」を参照してください。
軽量リソースグループと複製リソースグループの Nodelist プロパティーに、保護グループの Nodelist プロパティーと同じエントリが同じ順序で含まれていることを確認します。
正常に検証されたデバイスグループの Enable_volume_set プロパティーが True に設定されている場合、/var/cluster/geo/avs/avsdg-volset.ini ファイルに定義されているボリュームセットが有効になります。デバイスグループのその他のボリュームセットは無効です。ほかのボリュームセットを有効にする必要がある場合は、そのボリュームセットを /var/cluster/geo/avs/avsdg-volset.ini ファイルに追加するか、Enable_volume_set プロパティーを False に設定することができます。
検証が完了すると、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアによって軽量リソースグループ、複製リソースグループ、およびこの複製リソースグループのリソース (リソースが存在しない場合) が作成され、これらがオンラインになります。同じ名前のリソースグループまたはリソースが存在する場合、Sun Cluster Geographic Edition の操作により、それらのプロパティーが変更される可能性があります。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでは、新しいリソースグループまたはリソースに、既存のリソースグループまたはリソースと同じ名前を付けることはできません。
検証が正常に完了した場合、Configuration 状態は OK に設定されます。検証に失敗した場合、Configuration 状態は Error に設定されます。
すべてのクラスタ上の保護グループを削除するには、保護グループが存在する各クラスタで geopg delete コマンドを実行します。
保護グループを削除するには、次の条件が満たされているかをまず確認する必要があります。
保護グループがローカルに存在する。
ローカルクラスタ上で保護グループがオフラインになっている。
アプリケーションリソースグループをオンラインにしたまま保護グループを削除するには、削除対象の保護グループからアプリケーションリソースグループを除去する必要があります。
保護グループを削除するクラスタ (例: cluster-paris) 上のノードにログインします。
cluster-paris は主クラスタです。クラスタ構成の例については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition クラスタ構成の例」を参照してください。
この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
保護グループを削除します。
このコマンドは、ローカルクラスタから保護グループの構成を削除します。また、削除対象の保護グループに含まれる、各デバイスグループの軽量リソースグループと複製リソースグループも削除されます。
# geopg delete protectiongroupname |
保護グループの名前を指定します。
削除に失敗した場合、Configuration 状態は Error に設定されます。エラーの原因を修正し、geopg delete コマンドを再実行します。
この例では、保護グループを両方のパートナークラスタから削除する方法を示します。
# rlogin cluster-paris -l root cluster-paris# geopg delete avspg # rlogin cluster-newyork -l root cluster-newyork# geopg delete avspg |
この例では、2 つのアプリケーションリソースグループ (apprg1 と apprg2) をオンライン状態にしたまま、それらが共有している保護グループ avspg を削除する方法を示します。
保護グループからアプリケーションリソースグループを除去し、続いて保護グループを削除します。
# geopg remove-resource-group apprg1,apprg2 avspg # geopg stop -e global avspg # geopg delete avspg |