Sun Cluster Geographic Edition Hitachi TrueCopy 向けデータ複製ガイド

主クラスタ上の Hitachi TrueCopy ソフトウェアにデータ複製を構成する

この節では、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアに Hitachi TrueCopy データ複製を構成する前に、主クラスタで実行しておく必要がある手順について説明します。各手順を例示するために、この節では d1d2 という 2 つのディスク (LUN) を使用します。これらのディスクは、apprg1 というアプリケーション用のデータを保持している Hitachi TrueCopy アレイにあります。

/etc/horcm.conf ファイルの構成

Hitachi ディスクアレイにアクセス権を持つクラスタの各ノード上の /etc/horcm.conf ファイルを編集して、主クラスタの共有ディスク上で Hitachi TrueCopy デバイスグループを構成します。ディスク d1d2 は、devgroup1 という Hitachi TrueCopy デバイスグループに属するように構成します。アプリケーション apprg1 は、Hitachi TrueCopy デバイスグループを構成したすべてのノード上で実行できます。

/etc/horcm.conf ファイルの構成方法の詳細は、『Sun StorEdge SE 9900 V Series Command and Control Interface User and Reference Guide 』を参照してください。

次の表に、この例で使用する/etc/horcm.conf ファイルの構成情報を示します。

表 1–2 主クラスタの /etc/horcm.conf ファイルのセクション例

dev_group

dev_name

port number

TargetID

LU number

MU number

devgroup1

pair1

CL1–A

0

1

 

devgroup1

pair2

CL1–A

0

2

 

この表にある構成情報は、Hitachi TrueCopy デバイスグループ devgroup1 には 2 つのペアが含まれていることを示しています。1 番目のペアは pair1 で、d1 ディスクにあります (<CL1–A , 0, 1> という組からわかります)。2 番目のペアは pair2 で、d2 ディスクにあります (<CL1–A, 0, 2> という組からわかります)。ディスク d1d2 の複製は、地理的に離れた Hitachi TrueCopy アレイにあります。リモートの Hitachi TrueCopy はパートナークラスタに接続されています。

ProcedureHitachi TrueCopy 複製で使用するようにボリュームを構成する

Hitachi TrueCopy は VERITAS Volume Manager ボリュームをサポートします。ディスク d1d2 に VERITAS Volume Manager ボリュームを構成する必要があります。


注意 – 注意 –

ストレージベースの複製を使用している場合は、複製されたボリュームを定足数デバイスとして構成しないでください。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、Hitachi TrueCopy S-VOL と Command Device を Sun Cluster 定足数デバイスとして使用することはサポートしていません。詳細は、『Sun Cluster 3.0-3.1 Hardware Administration Manual for Solaris OS』「Using Storage-Based Data Replication」を参照してください。


  1. cluster-paris の共有ディスクに VERITAS Volume Manager ディスクグループを作成します。

    たとえば、vxdiskadmvxdg などのコマンドを使用して、ディスク d1d2oradg1 という VERITAS Volume Manager ディスクグループの一部として構成します。

  2. 構成が完了したあと、vxdg list コマンドを使用して、このディスクグループが作成されたことを確認します。

    このコマンドで、oradg1 がディスクグループとしてリストされるはずです。

  3. VERITAS Volume Manager ボリュームを作成します。

    たとえば、vol1 というボリュームを oradg1 ディスクグループに作成します。適切な VERITAS Volume Manager コマンド (vxassist など) を使用して、ボリュームを構成してください。

ProcedureHitachi TrueCopy ソフトウェアが制御する Sun Cluster デバイスグループを構成する方法

始める前に

ストレージベースの複製を使用している場合は、複製されたボリュームを定足数デバイスとして構成しないでください。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、Hitachi TrueCopy S-VOL と Command Device を Sun Cluster 定足数デバイスとして使用することはサポートしていません。詳細は、『Sun Cluster 3.0-3.1 Hardware Administration Manual for Solaris OS』「Using Storage-Based Data Replication」を参照してください。

  1. 前の手順で構成した VERITAS Volume Manager ディスクグループを登録します。

    Sun Cluster コマンド scsetup または scconf を使用します。

    これらのコマンドについては、scsetup(1M) または scconf(1M) のマニュアルページを参照してください。

  2. もう一度 scsetup または scconf コマンドを使用して、VERITAS Volume Manager 構成を Sun Cluster ソフトウェアと同期させます。

  3. 構成が完了したあと、ディスクグループが登録されていることを確認します。


    # scstat -D

    このコマンドの出力には、VERITAS Volume Manager ディスクグループ oradg1 が表示されます。

    scstat コマンドの詳細は、scstat(1M) のマニュアルページを参照してください。

ProcedureHitachi TrueCopy 複製用に高可用性ファイルシステムを構成する

始める前に

cluster-paris でファイルシステムを構成する前に、必要な Sun Cluster エンティティー (アプリケーションリソースグループ、デバイスグループ、マウントポイントなど) がすでに構成されていることを確認します。

ストレージベースの複製を使用している場合は、複製されたボリュームを定足数デバイスとして構成しないでください。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、Hitachi TrueCopy S-VOL と Command Device を Sun Cluster 定足数デバイスとして使用することはサポートしていません。詳細は、『Sun Cluster 3.0-3.1 Hardware Administration Manual for Solaris OS』「Using Storage-Based Data Replication」を参照してください。

  1. コマンド行で、必要なファイルシステムを vol1 ボリュームに作成します。

  2. マウント位置などの情報を含む /etc/vfstab ファイルにエントリを追加します。

    ファイルシステムをローカルにマウントするかグローバルにマウントするかは、パフォーマンス要件や使用しているアプリケーションリソースグループの種類など、さまざまな要因によって変わります。


    注 –

    このファイル内の mount at boot フィールドの値は no に設定する必要があります。この値を設定することによって、クラスタの起動時、ファイルシステムは二次クラスタにマウントされないようになります。代わりに、Sun Cluster ソフトウェアと Sun Cluster Geographic Edition フレームワークは、主クラスタ上でアプリケーションがオンラインになる場合に HAStoragePlus リソースを使用してファイルシステムをマウントします。二次クラスタにはデータをマウントしないでください。二次クラスタにデータをマウントすると、主クラスタ上のデータは二次クラスタに複製されなくなります。この方法以外では、主クラスタから二次クラスタへのデータ複製は行われません。


  3. HAStoragePlus リソースをアプリケーションリソースグループ apprg1 に追加します。

    このリソースをアプリケーションリソースグループに追加することによって、アプリケーションがオンラインになる前に、必ず、必要なファイルシステムが再マウントされるようになります。

    HAStoragePlus リソースタイプの詳細は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』を参照してください。


例 1–1 高可用性クラスタグローバルファイルシステムを構成する

この例では、apprg1 リソースグループがすでに存在すると仮定します。

  1. UNIX ファイルシステム (UFS) を作成します。


    phys-paris-1# newfs dev/vx/dsk/oradg1/vol1

    /etc/vfstab ファイルに次のエントリが作成されます。


    # /dev/vs/dsk/oradg1/vol1 /dev/vx/rdsk/oradg1/vol1 /mounts/sample \
    ufs 2 no logging
  2. HAStoragePlus リソースタイプを追加します。


    phys-paris-1# scrgadm -a -j rs-hasp -g apprg1 -t SUNW.HAStoragePlus \
    -x FilesystemMountPoints=/mounts/sample -x AffinityOn=TRUE \
    -x GlobalDevicePaths=oradg1