クラスタの管理者は、サイトに適した条件によってカスタマイズされたハイレベルの使用ポリシーを定義できます。次の 4 つの使用ポリシーが使用できます。
緊急度。 このポリシーを使用する場合、各ジョブの優先順位の基準は緊急度の値になります。緊急度の値は、ジョブのリソース要件、ジョブの期限指定、およびジョブの実行までの待機時間を元に計算されます。
機能。 このポリシーを使用する場合、管理者は特定のユーザーグループやプロジェクトなどへのユーザーまたはジョブの所属によって特別な取り扱いを行うことができます。
共有ベース。 このポリシーを使用する場合、サービスのレベルは、割り当てられた共有、その他のユーザーやユーザーグループの共有、ユーザー全員の過去のリソース使用率、およびシステムにおける現在のユーザーの存在によって異なります。
ポリシー管理は、クラスタ内の共有リソースの使用を自動的に管理して、管理目標を最適な形で達成します。優先順位の高いジョブは優先的に振り分けられます。このようなジョブは、ほかのジョブとリソースを争っている場合に、より大きな CPU 共有を取得できます。Grid Engine ソフトウェア は、すべてのジョブの進行状況を監視し、適宜ポリシーで定義されている目標と照らし合わせて、ジョブの相対的な優先順位を調整します。
機能、共有ベース、および優先ポリシーは、チケットと呼ばれる Grid Engine システムの概念によって定義されます。 チケットは、株式会社の株式保有数に例えることができます。株式保有数が多いと、その株主の重要度は高くなります。株主 A が株主 B の 2 倍の株式を持っている場合、A の投票も B の 2 倍になります。したがって、株主 A は 2 倍重要だということになります。同様に、ジョブのチケット保有数が多いと、そのジョブの重要性は高くなります。ジョブ A がジョブ B の 2 倍のチケットを持っている場合、ジョブ A はジョブ B の 2 倍リソースを使用できます。
ジョブは、 機能、共有ベースおよび優先ポリシーからチケットを検索できます。チケットの合計数および各チケットポリシーから検索された数は、時間と共に変わります。
管理者は、各チケットポリシーに割り当てられるチケット数を全体として管理します。ジョブのチケット割り当てと同じように、この割り当てでは、チケットポリシー同士の相対的な重要性が判断されます。特定のチケットポリシーに割り当てられたチケットプールを通して、管理者は Grid Engine システムを複数の方法で実行できます。たとえば、システムを共有ベースモードだけで実行することもできます。または、90% が共有ベースモードで 10% が機能モードというように、モードを組み合わせてシステムを実行することもできます。
緊急度ポリシーは、ほかの 2 つのジョブ優先順位指定と組み合わせて使用することができます。
ジョブには、次の 3 つを元に計算される緊急度の値を割り当てることができます。
ジョブのリソース要件
実行前にジョブが待機する時間の長さ
ジョブが実行を終了する時間、つまりジョブの期限
管理者は、これらの各要素の重要性を別々に重み付けして、ジョブ全体の緊急度の値を割り出すことができます。詳細は、『Sun N1 Grid Engine 6.1 管理ガイド』の第 5 章「ポリシーとスケジューラの管理」を参照してください。
図 1–2 に、ポリシー間の相関関係を示します。