この章では、Sun Management Center 4.0 のインストールに先立って行う Solaris システムと Microsoft Windows システムの準備作業について説明します。
この章では、次の内容について説明します。
Sun Management Center 4.0 ソフトウェアは、次のソフトウェアと互換性があります。
あらゆる SNMP (ネットワーク管理プロトコル) v1、v2、v2 usec、および v3 エンティティ (オペレーティングシステムおよびアーキテクチャーを問わない)。
Solstice Enterprise AgentsTM ソフトウェア (Solaris 8、Solaris 9、Solaris 10 オペレーティングシステム版) Solstice エージェントを Sun Management Center エージェントのサブエージェントとして構成すると、同じホストシステム上で Solstice エージェントを Sun Management Center エージェントと共存させることができます。「レガシー SNMP エージェントをエージェントのサブエージェントとして定義する」を参照してください。
Sun Management Center ソフトウェアには、次の機能はありません。
Solstice SyMON™ 1.x ソフトウェアとの下位互換性
Sun Management Center 4.0 ソフトウェアにおける SunVTS™ サポート
Sun Management Center 4.0 をインストールする前、またはインストールされている既存の Sun Management Center を Sun Management Center 4.0 にアップグレードする前に行う必要がある作業は次のとおりです。
ネットワーク上の各マシンにどの Sun Management Center 4.0 コンポーネントとどのアドオン製品をインストールするかを決定します。
Sun Management Center または Sun Management Center コンポーネントをインストールするプラットフォームがサポートされていることを確認します。「サポートされるプラットフォーム」を参照してください。
第 1 章「Sun Management Center 4.0 のインストール」の RAM とディスク容量の最小要件を参照します。また、http://docs.sun.com にある Sun Management Center アドオン製品の追補マニュアルも参照します。
選択したコンポーネントとアドオン製品に必要な RAM 容量とディスク容量を合計します。
インストールするコンポーネントに対応したオペレーティングシステムを各マシンが使用しているかを確認します。表 1–3 および 表 1–4 を参照してください。
Sun Management Center サーバーコンポーネントと Sun Management Center コンソールコンポーネントに指定されたマシンに正しい JDK バージョンがインストールされているかを確認します。表 1–3 を参照してください。JDK ソフトウェアは http://java.sun.com/ からダウンロードできます。
環境変数 PATH と JAVA_HOME を設定します。
Solaris プラットフォームの場合
Sun Management Center Web コンソールまたは Java コンソールの実行に使用されているアカウントに環境変数 DISPLAY と JAVA_HOME が 設定されていることを確認します。
JDK バージョン 1.5 のデフォルトの場所は /usr/j2se です。「Solaris プラットフォームで JAVA_HOME と PATH を設定する」を参照してください。
Microsoft Windows プラットフォームの場合
Microsoft Windows の %PATH% 環境変数 に JDK の bin ディレクトリのパスが追加されていることを確認します。
ネットワーク上のマシンに 4G バイト 以上の RAM が搭載されている場合は、マシンに 64 ビット互換パッチ SUNWscpux をインストールします。「4G バイトを超える RAM を持つ Solaris システム」を参照してください。
インストールソースを選択します。
媒体またはインストールイメージのどちらからでもインストールできます。「インストールソースの確認」を参照してください。
Sun Management Center 4.0 サーバーレイヤーには、次の Solaris オペレーティング環境パッケージが必要です。これらのパッケージは Solaris 開発者環境の一部としてインストールされます。
SUNWsprot — Solaris バンドルツール
SUNWtoo — プログラミングツール
SUNWbtool — SunOS に付属の CCS ツール
RAM 容量が 4G バイトを超えるシステムでは、Sun Management Center 4.0 をインストールする前に 64 ビットソース互換パッケージ SUNWscpux をインストールする必要があります。このパッケージをインストールしないと、コマンド行によるインストールプロセスで次のメッセージが表示され、インストールに失敗します。
ps: read() on /proc/551/as: Value too large for defined data type ps: read() on /proc/542/as: Value too large for defined data type |
次に示す Solaris 環境のいずれかを選択した場合には、Solaris のインストールで SUNWscpux パッケージが自動的にインストールされます。
全体ディストリビューションと OEM サポート
全体ディストリビューション
開発者システムサポート
システム上にこのパッケージがインストールされているかどうかを確認するには、端末ウィンドウにコマンド pkginfo SUNWscpux を入力してください。
パッケージがインストールされている場合は、パッケージに関する情報が表示されます。
# pkginfo SUNWscpux system SUNWscpux Source Compatibility (Usr) (64-bit) |
パッケージがインストールされていない場合は、エラーメッセージが表示されます。
# pkginfo SUNWscpux エラー: "SUNWscpux" に関する情報が見つかりません。 |
SUNWscpux パッケージをインストールするには、次の作業を行います。
root としてログインします (su - root)。
Solaris のインストール媒体にあるパッケージを見つけます。
pkgadd コマンドを使用してパッケージをインストールします。
Solaris システムで Sun Management Center 4.0 インストールウィザード、セットアップウィザード、および Java コンソールを正しく稼働させるには、環境変数 JAVA_HOME と PATH を設定する必要があります。同様に、Sun Management Center の Java コンソールを Microsoft Windows で正しく稼働させるには、JDK ソフトウェアのパスを含むように Microsoft Windows の %PATH% を変更する必要があります。
環境変数とパスを正しく設定しないと、Sun Management Center 4.0 のインストールとセットアップは失敗します。
システムのデフォルトの場所に JDK 1.5 ソフトウェアがインストールされている場合は、Solaris プラットフォームで JAVA_HOME および PATH 環境変数を設定する必要があります。
su - root と入力することによって、root としてログインします。
JAVA_HOME に /usr/j2se を設定します。
C シェル環境の場合
# setenv JAVA_HOME /usr/j2se |
Bourne シェルまたは Korn シェル環境の場合
# JAVA_HOME=/usr/j2se # export JAVA_HOME |
.login または .cshrc ファイルに適切なステートメントを追加します。
システムパスに /usr/j2se/bin を追加します。
PATH の /usr/bin の前に /usr/j2se/bin を入れます。
PATH の /usr/ucb の前に /usr/bin を挿入します。
「スタート」、「設定」、「コントロールパネル」の順に選択します。
「システム」をダブルクリックします。
「詳細」タブ、「環境変数」の順に選択します。
「環境変数」ウィンドウが表示されます。
「ユーザー環境変数」と「システム環境変数」で「Path」をクリックし、「編集」 をクリックします。
「システム変数の編集」ウィンドウが表示されます。
「システム変数の編集」ウィンドウに、環境変数 %SystemRoot% を使用した Microsoft Windows ルートディレクトリが表示されます。
PATH ステートメントに JDK bin ディレクトリの場所を追加します。
たとえば、「システム変数の編集」ウィンドウに表示される PATH ステートメントが %SystemRoot%\system32;%SystemRoot% の場合、新しい PATH ステートメントは %SystemRoot%\system32;%SystemRoot%;c:\j2 version-number\bin になります。ここで、version-number は JDK のバージョンです。
次に例を示します。
%SystemRoot%\system32;%SystemRoot%;c:\j2sdk1.5\bin
PATH ステートメント内の各ディレクトリは、このようにセミコロンで区切ってください。
「OK」をクリックして各ウィンドウを 1 つずつ閉じます。
「スタート」、「設定」、「コントロールパネル」の順に選択します。
「システム」をダブルクリックします。
「詳細」タブ、「環境変数」の順に選択します。
「環境変数」ウィンドウが表示されます。
「ユーザー環境変数」と「システム環境変数」で「Path」をクリックし、「編集」 をクリックします。
「システム変数の編集」ウィンドウが表示されます。
「システム変数の編集」ウィンドウに、環境変数 %SystemRoot% を使用した Microsoft Windows ルートディレクトリが表示されます。
PATH ステートメントに JDK bin ディレクトリの場所を追加します。
たとえば、「システム変数の編集」ウィンドウに表示される PATH ステートメントが %SystemRoot%\system32;%SystemRoot% の場合、新しい PATH ステートメントは %SystemRoot%\system32;%SystemRoot%;c:\j2 version-number\bin になります。ここで、version-number は JDK のバージョンです。
次に例を示します。
%SystemRoot%\system32;%SystemRoot%;c:\j2sdk1.5\bin
PATH ステートメント内の各ディレクトリは、このようにセミコロンで区切ってください。
「OK」をクリックして各ウィンドウを 1 つずつ閉じます。
ホームディレクトリに移動します。
cd $HOME
.bashrc ファイルを開きます。
ファイルに次の行を追加します。JDK-directory の部分をJava インストールディレクトリに置き換えます。
export PATH=/usr/java/JDK-directory/bin:$PATH
ファイルを保存し、終了します。
.bashrc ファイルを Linux に強制的に再度読み込ませるには、source コマンドを使用します。通常、このファイルはログインしたときにのみ読み込まれます。
source .bashrc
すべてのユーザーに対して PATH を設定する場合は、bash シェルで root としてログインしてから、ホームディレクトリにある .bashrc ファイルではなく、etc ディレクトリにある .profile ファイルに対して前述の作業を行う必要があることに注意してください。
Sun Management Center 4.0 のインストール、セットアップ、および構成は、Sun Management Center のインストール DVD、またはネットワーク上に配置された Sun Management Center インストールイメージを使用して行えます。DVD イメージを使用すると、マシンごとに DVD から Sun Management Center をインストールする必要がなくなります。
この節では、Sun Management Center インストールイメージを作成する手順を説明します。
インストールイメージを得る方法は 2 つあります。その 1 つは、Sun Management Center インストール DVD をネットワーク上の特定の場所にコピーする方法です。もう 1 つは、Sun Management Center Web サイトから Sun Management Center インストールイメージをダウンロードして展開する方法です。
インストール、セットアップ、および構成を行うには、Solaris にはスーパーユーザー (root) として、Microsoft Windows には管理者 (administrator) としてログインする必要があります。
Sun Management Center の DVD イメージを作成するには、イメージを格納するディレクトリを作成し、各 DVD をコピーしたあと、ディレクトリを NFS マウントを使用して共有しま す。
端末ウィンドウから、root としてログインします (su -root と入力)。
DVD のコピー先となるディレクトリを作成します。
次に例を示します。
# mkdir /SunManagementCenter |
DVD イメージ用に作成したディレクトリへ移動します。
次に例を示します。
# cd /SunManagementCenter |
DVD ごとに diskn ディレクトリを作成します (n はディスクの連続番号)。
次に例を示します。
/SunManagementCenter# mkdir disk1 disk2 |
vold デーモンが動作していることを確認します。
/SunManagementCenter# ps -eaf | grep vold root 19033 19000 0 08:37:55 pts/9 0:00 vold /SunManagementCenter# |
grep コマンドがシステムプロンプトだけを返した場合、vold デーモンは動作していません。したがって、次のように起動する必要があります。
/SunManagementCenter# /usr/sbin/vold & |
DVD ドライブに Sun Management Center 4.0 DVD を挿入します。
Sun Management Center 4.0 DVD の内容を一覧表示します。その内容を disk1 サブディレクトリにコピーします。
コピーが完了したら、DVD とディレクトリの内容を表示して、ディスクイメージの内容を確認します。
次に例を示します。
/SunManagementCenter# cp -r /DiskMountDir/.* disk1 /sunmanagementcenter > ls -acp /DiskMountDir/.* . .CD Copyright image/ lib/ .. .CD01 classes/ install/ sbin/ /sunmanagementcenter > ls -acp disk1 . .CD Copyright image/ lib/ .. .CD01 classes/ install/ sbin/ |
<DiskMountDir> はシンボリックリンクです。前述の例のように、Sun Management Center ディレクトリのみをコピーします。
Sun Management Center 4.0 DVD イメージのディレクトリを NFS 共有にします。
NFS を使用して DVD イメージディレクトリを共有すると、DVD から手動でインストールする代わりに、DVD インストールイメージを使用してほかのマシンから Sun Management Center 4.0 をインストールできます。
NFS デーモン mountd を停止します。
/SunManagementCenter# /etc/init.d/nfs.server stop |
/etc/dfs/dfstab ファイルに次の行を追加します。
share -F nfs -o ro image-dir
image-dir は、「Java 環境変数とパス」で作成した Sun Management Center 4.0 のイメージディレクトリです。
次に例を示します。share -F nfs -o ro /SunManagementCenter
/etc/dfs/dfstab を保存して閉じます。
NFS デーモン mountd を起動します。
/SunManagementCenter# /etc/init.d/nfs.server start |
以上の操作で、ほかのマシンから Sun Management Center 4.0 イメージディレクトリにアクセスできるようになります。
これで、Sun Management Center の DVD イメージを使用して、Sun Management Center 4.0 をインストールしたり、以降の章で説明するように、旧バージョンの Sun Management Center をアップグレードしたりできます。
Web からネットワーク上の Solaris マシンに、圧縮された Sun Management Center Sun Management Center tar ファイルを ダウンロードします。続いて tar ファイルを展開し、イメージディレクトリに保存します。
Sun Management Center をダウンロードするには、Sun Web サイトユーザーとして Sun に登録し、登録したユーザー ID を使用してログインする必要があります。登録のためのリンクは、ダウンロードソフトウェアの Web ページに用意されています。
tar ファイルをダウンロードする前に、tar ファイルと、tar ファイルを圧縮解除して展開する場合に作成されるイメージファイル用として、1.6G バイト以上の空きディスク領域があることを確認してください。
端末ウィンドウで、Sun Management Center のインストールイメージを作成するシステムに root としてログインします。
Sun Management Center の Web サイト (http://www.sun.com/sunmanagementcenter/) に移動します。
「Get it Now」をクリックします。
指示に従い、スーパーユーザーとしてアクセス可能な場所へ Sun Management Center 4.0 をダウンロードします。
ダウンロードした tar ファイルがある場所に移動します。
# cd /download-directory |
Sun Management Center パッケージを抽出します。
# zcat downloaded-filename | tar xvf - |
サブディレクトリ disk1 と disk2 を含むイメージソースディレクトリが作成されます。
Sun Management Center 4.0 イメージディレクトリを NFS 共有にします。
NFS を使用して イメージディレクトリを共有すると、DVD から手動でインストールする代わりに 、インストールイメージを使用してほかのマシンから Sun Management Center 4.0 をインストールできます。
たとえば、イメージを SunManagementCenter ディレクトリに抽出した場合、このディレクトリを次のように NFS 共有します。
NFS デーモン mountd を停止します。
/SunManagementCenter# /etc/init.d/nfs.server stop |
エディタで /etc/dfs/dfstab ファイルを開きます。
次の行を追加します。
share -F nfs -o ro image-dir
image-dir は Sun Management Center 4.0 のイメージがあるディレクトリです。
次に例を示します。share -F nfs -o ro /SunManagementCenter
/etc/dfs/dfstab を保存して閉じます。
NFS デーモン mountd を起動します。
/SunManagementCenter# /etc/init.d/nfs.server start |
以上の操作で、ほかのマシンから Sun Management Center 4.0 イメージディレクトリにアクセスできるようになります。
これで、Sun Management Center のイメージを使用して、Sun Management Center 4.0 をインストールしたり、以降の章で説明するように、旧バージョンの Sun Management Center をアップグレードしたりできます。