Oracle Fusion Middlewareコンポーネントは、起動および停止情報、エラー、警告メッセージ、HTTPリクエスト時のアクセス情報など、すべての種類のイベントを記録するメッセージが格納されたログ・ファイルを生成します。この章では、エラー原因と修正アクションに関する情報の検索方法、システム・アクティビティの監視および問題の診断に役立つログ・ファイルの表示と管理の方法について説明します。
この章の項目は次のとおりです。
大部分のOracle Fusion Middlewareコンポーネントでは、Oracle Diagnostic Logging(ODL)形式で診断ログ・ファイルが作成されます。ログ・ファイルのネーミングおよび内容の形式は、Oracle標準に準拠し、デフォルトでは診断メッセージがテキスト形式で記述されます。
ODLには次の利点があります。
保存される診断情報の合計サイズを制限します。
古いセグメント・ファイルが削除され、新しいセグメント・ファイルが時系列で保存されます。
コンポーネントがアクティブな状態で古い診断ログ・ファイルを削除でき、停止する必要がありません。
ログ・ファイルは、Fusion Middleware ControlまたはWLST displayLogs
コマンドを使用して表示できます。また、ログ・ファイルをローカル・クライアントにダウンロードして、他のツール(テキスト・エディタおよびその他のファイル表示ユーティリティ)を使用して表示することもできます。
注意: Oracle WebLogic Serverでは、ODL形式を使用しません。Oracle WebLogic Serverのログ形式の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverログ・ファイルの構成とログ・メッセージのフィルタ処理』を参照してください。 |
ODLを使用すると、診断メッセージがログ・ファイルに書き込まれ、メッセージのそれぞれに、時間、コンポーネントID、ユーザーなどの情報が組み込まれます。
次の例は、Oracle SOA SuiteでのODL形式のエラー・メッセージを示しています。
[2010-02-23T10:54:00.206-07:00] [soa_server1] [NOTIFICATION] [] [oracle.mds] [tid: [STANDBY].ExecuteThread: '1' for queue: 'weblogic.kernel.Default (self-tuning)'] [userId: <anonymous>] [ecid: 0000I3K7DCnAhKB5JZ4Eyf19wAgN000001,0] [APP: wsm-pm] "Metadata Services: Metadata archive (MAR) not found."
このメッセージでは、フィールドが次の属性にマップされています。これらについては表11-1で説明します。
2010-02-23T10:54:00.206-07:00
: タイムスタンプ、開始
soa_server1
: 組織ID
NOTIFICATION
: メッセージ・タイプ
oracle.mds
: コンポーネントID
tid: [STANDBY].ExecuteThread: '1' for queue: 'weblogic.kernel.Default (self-tuning)'
: スレッドID
[userId: <anonymous>]
: ユーザーID
ecid: 0000I3K7DCnAhKB5JZ4Eyf19wAgN000001,0
: 実行コンテキストID
APP: wsm-pm
: サプリメンタル属性
"メタデータ・サービス: メタデータ・アーカイブ(MAR)が見つかりません。"
: メッセージ・テキスト
デフォルトでは、情報はログ・ファイルにODLテキスト形式で書き込まれます。この形式は、第11.4.4項で説明するように、ODL XML形式に変更できます。
表11-1は、ODLメッセージの内容の説明です。コンポーネントによっては、生成された診断メッセージにオプションの属性が存在しない場合があります。
表11-1 ODL形式メッセージのフィールド
属性名 | 説明 | 必須 |
---|---|---|
タイムスタンプ、開始(TIME) |
メッセージが生成された日時。ローカル・タイムゾーンが反映されます。 |
|
タイムスタンプ、正規化済(time_norm) |
ホスト間のクロックのずれの調整用に標準化されたタイムスタンプ。診断メッセージが別のホスト上のリポジトリにコピーされる場合に使用します。 |
× |
組織ID(org_id) |
作成元のコンポーネントの組織ID。このIDは、すべてのOracleコンポーネントで |
× |
INSTANCE_ID(INST_ID) |
メッセージを生成したコンポーネントが属するOracleインスタンスの名前。 |
× |
COMPONENT ID(COMP) |
メッセージを生成したコンポーネントのID。 |
|
MESSAGE_ID(MSG_ID) |
コンポーネント内でメッセージを一意に識別するID。IDは、コンポーネントを示す接頭辞、およびそれに続くダッシュと5桁の数値で構成されます。次に例を示します。 OHS-51009 |
|
MESSAGE_TYPE(MSG_TYPE) |
メッセージのタイプ。使用可能な値は、INCIDENT_ERROR、ERROR、WARNING、NOTIFICATION、TRACEおよびUNKNOWNです。メッセージ・タイプの詳細は、表11-3を参照してください。 |
|
MESSAGE_LEVEL(MSG_LEVEL) |
メッセージ・レベル。メッセージ・タイプを限定する整数値で示されます。使用可能な値は1(最高重大度)〜32(最低重大度)です。メッセージ・レベルの詳細は、表11-3を参照してください。 |
|
HOST_ID(HOST_ID) |
メッセージを生成したホストの名前。 |
× |
HOST_NW_ADDR(HOST_ADDR) |
メッセージを生成したホストのネットワーク・アドレス。 |
× |
MODULE_ID(MODULE) |
メッセージを生成したモジュールのID。コンポーネントが単独のモジュールの場合は、この属性にコンポーネントIDが表示されます。 |
|
PROCESS_ID(PID) |
メッセージに関連付けられたプロセスまたは実行単位のプロセスID。 |
× |
THREAD_ID(TID) |
メッセージを生成したスレッドのID。 |
× |
USER_ID(USER) |
メッセージを生成した実行コンテキストを所有するユーザーの名前。 |
× |
ECID |
実行コンテキストID(ECID)。生成コンポーネントが関与する特定のリクエストの実行のグローバル一意識別子。ECIDは、別のコンポーネントで発生したエラー・メッセージの関連付けに使用できます。ECIDの詳細は、第11.5項を参照してください。 |
|
RID |
関係ID(RID)。1つのリクエストにおいて、特定のプロセス上の特定スレッドで実行された作業と、同じプロセスの別のスレッドおよび別プロセス上で実行された作業を区別します。RIDの詳細は、第11.5項を参照してください。 |
× |
SUPPL_ATTRS |
イベントに関するコンポーネント固有の属性を格納する名前/値のペアが記載された追加リスト。 |
× |
MESSAGE TEXT(TEXT) |
エラー・メッセージのテキスト。 |
|
メッセージ引数(arg) |
メッセージ・テキストにバインドされた引数のリスト。 |
× |
追加詳細 |
イベントの追加情報で、メッセージ・テキストより詳細な情報が含まれます。 |
× |
ほとんどのJavaコンポーネントのログ・ファイルは、次の場所にあります。
(UNIX) MW_HOME/user_projects/domains/domain_name/servers/server_name/logs (Windows) MW_HOME\user_projects\domains\domain_name\servers\server_name\logs
ログ・ファイルのデフォルト名は、server-name-diagnostic.logです。
システム・コンポーネントのログ・ファイルは、デフォルトでは次の場所にあります。
(UNIX) ORACLE_INSTANCE/diagnostics/logs (Windows) ORACLE_INSTANCE\diagnostics\logs
表11-2に、Oracle Fusion Middlewareのコンポーネントのログ・ファイルの場所を示します。
この表で、DOMAIN_HOMEは次のディレクトリを表しています。これは、WebLogic Serverのドメイン・ホームです。
MW_HOME/user_projects/domains/domain_name
この表で、ORACLE_INSTANCEは次のディレクトリを表しています。これは、Oracleインスタンス・ホームです。
MW_HOME/instance_name
表11-2 ログ・ファイルの場所
コンポーネント | ログ・ファイルの場所 |
---|---|
Fusion Middleware Control |
DOMAIN_HOME/sysman/log/emoms.log DOMAIN_HOME/sysman/log/emoms.trc |
Oracle Application Development Framework |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server-name-diagnostic.log |
Oracle Business Activity Monitoring |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/bam-diagnostic.log |
Oracle Business Intelligence Discoverer |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/discoverer/server/diagnostic.log DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/discoverer/server_name-diagnostic.log DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/discoverer/diagnostic.log |
Oracle Business Process Management |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server-name-diagnostic.log |
Oracle Directory Integration Platform |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server-name-diagnostic.log |
Oracle Forms Services |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server-name-diagnostic.log ORACLE_HOME/j2ee/DevSuite/application-deployments/forms/application.log |
Oracle Fusion Middleware Audit Framework |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server-name-diagnostic.log |
Oracle HTTP Server |
ORACLE_INSTANCE/diagnostics/logs/OHS/component_name/*.log |
Oracle Identity Federation |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server-name-diagnostic.log |
Oracle Imaging and Process Management |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server-name-diagnostic.log |
Oracle Information Rights Management |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server-name-diagnostic.log |
Oracle Internet Directory |
ORACLE_INSTANCE/diagnostics/logs/OID/oid*.log ORACLE_INSTANCE/diagnostics/logs/OID/tools/*.log |
Oracle Platform Security Services |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server-name-diagnostic.log |
Oracle Portal |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server-name-diagnostic.log |
Oracle Reports |
ORACLE_INSTANCE/diagnostics/logs/ReportsServerComponent ORACLE_INSTANCE/diagnostics/logs/ReportsBridgeComponent ORACLE_INSTANCE/diagnostics/logs/ReportsToolsComponent |
Oracle SOA Suite |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server-name-diagnostic.log |
Oracle TopLink |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server-name-diagnostic.log |
Oracle Virtual Directory |
ORACLE_INSTANCE/config/OVD/component_name/diagnostic.log ORACLE_INSTANCE/diagnostics/logs/OVD/component_name/diagnostic.log |
Oracle Web Cache |
ORACLE_INSTANCE/diagnostics/logs/WebCache/component_name*-log |
Oracle Web Services Manager |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/owsm/msglogging DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/owsm-diagnostic.log |
Oracle WebCenter |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/component-diagnostic.log |
Oracle WebLogic Server |
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server_name-diagnostic.log |
リポジトリ作成ユーティリティ |
デフォルトでは、RCU_LOG_LOCATIONで指定されたファイルに書き込みます。指定されていない場合は、次の場所に書き込もうとします。
|
Oracle Fusion Middlewareコンポーネントをまたがって、ログ・ファイルの検索、表示およびリスト表示ができます。Fusion Middleware Controlを使用してログ・ファイルを検索して表示したり、ログ・ファイルをローカル・クライアントにダウンロードし、別のツールを使用して表示することができます。また、WLSTコマンドライン・ツールを使用してログ・ファイルをリスト表示および検索することもできます。
この項の項目は次のとおりです。
WLSTコマンドの使用については、次の事項に注意してください。
カスタムWLSTロギング・コマンドを使用するには、Oracle CommonホームからWLSTスクリプトを起動する必要があります。詳細は、第3.5.1.1項を参照してください。
setLogLevel
などの構成コマンドは、接続モードでのみ機能します。このため、コマンドを起動する際は、あらかじめ実行中のWebLogic Serverインスタンスに接続しておく必要があります。
構成コマンドは、WebLogic Server内で稼働するJavaコンポーネントではサポートされますが、Oracle WebLogic Serverではサポートされません。構成コマンドは、システム・コンポーネントではサポートされません。
ログ表示コマンドは、Weblogic Serverに接続していても接続していなくても機能します。接続していない場合は、oracleInstanceパラメータでパスを指定する必要があります。WebLogicドメイン・ホームとOracleインスタンスのいずれかを指定します。
WLSTロギング・コマンドは、多くの場合、domainRuntimeツリーで実行する必要があります。たとえば、domainRuntimeツリーに接続して実行する場合は、次のコマンドを使用します。
./wlst.sh connect('username', 'password', 'localhost:port_number') domainRuntime()
listLoggers
、getLogLevel
およびsetLogLevel
の各コマンドは、config
およびruntime
モードで機能します。config
モードの場合、コマンドは構成ファイルで定義されたログ出力に作用します。runtime
モードの場合、コマンドはサーバーJVMで定義されたログ出力と直接連動します。デフォルトの場合、setLogLevel
コマンドで、ランタイム・ログ出力のレベルが設定され、構成ファイルのログ出力定義が更新されます。デフォルトの場合、listLoggers
およびgetLogLevel
コマンドではランタイム・ログ出力が返されます。
関連項目: Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンスのカスタムWLSTコマンドのロギングに関する項 |
次の各項で説明するように、Fusion Middleware ControlまたはWLSTコマンドを使用すると、時間、メッセージのタイプおよび特定のログ・ファイル属性を基準にして診断メッセージを検索できます。
Fusion Middleware Controlの「ログ・メッセージ」ページでは、標準および追加のODL属性を使用して診断メッセージを検索できます。デフォルトで、このページには、直前1時間にログに記録された問題のサマリーが表示されます。
検索基準は、適合度の高いメッセージが特定されるように変更できます。検索結果を別のモードで表示すると、大量のデータを簡単にナビゲーションできます。
次の各項では、ログ・ファイルの検索方法を説明します。
この項では、ログ・メッセージの基本検索の方法について説明します。
特定のドメイン、Oracle WebLogic Server、コンポーネントまたはアプリケーションのすべてのエンティティのすべてのメッセージを検索できます。
たとえば、特定のドメインのメッセージを検索する手順は次のとおりです。
「WebLogicドメイン」メニューで、「ログ」→「ログ・メッセージの表示」を選択します。
特定のコンポーネントまたはアプリケーションのメッセージを検索するには、目的のコンポーネントまたはアプリケーションを選択します。そのターゲットのメニューで、「ログ」→「ログ・メッセージの表示」を選択します。
「ログ・メッセージ」ページに、次の図のように「検索」セクションと直前1時間のメッセージのサマリーが記載された表が表示されます。
「日付範囲」セクションでは、次のいずれかを選択できます。
最新: このオプションを選択した場合は、3時間などの時間を選択します。デフォルトは1時間です。
時間間隔: このオプションを選択した場合は、「開始日」のカレンダ・アイコンを選択します。日付および時刻を選択します。次に、「終了日」のカレンダ・アイコンを選択します。日付および時刻を選択します。
「メッセージ・タイプ」セクションで、1つ以上のメッセージ・タイプを選択します。タイプについては、表11-3を参照してください。
第11.3.1.1.2項の説明に従って、詳細な検索条件を指定できます。
「検索」をクリックします。
適合性の高いメッセージを特定しやすくするため、表内の「表示」で次のモードのいずれかを選択します。
メッセージ: 一致するメッセージを表示します。
特定のメッセージの詳細を表示するには、該当するメッセージをクリックします。メッセージの表の下に詳細が表示されます。
関連するメッセージを表示するには、メッセージを選択して「関連メッセージの表示」をクリックし、「時間ごと」または「ECID(実行コンテキストID)ごと」を選択します。
メッセージ・タイプ別グループ: ターゲット・レベルのメッセージ・タイプを基準としてメッセージをグループ化し、一致するメッセージのサマリーを表示します。これはデフォルトのモードです。
メッセージを表示するには、いずれかのメッセージ・タイプの列の件数をクリックします。「メッセージ、タイプ別」ページが表示されます。特定のメッセージの詳細を表示するには、該当するメッセージをクリックします。メッセージの表の下に詳細が表示されます。
メッセージID別グループ: ターゲット・レベルのメッセージID、メッセージ・タイプおよびモジュールIDを基準としてメッセージをグループ化し、一致するメッセージのサマリーを表示します。
関連するメッセージを表示するには、「発生」列の件数をクリックします。メッセージ、メッセージID別ページが表示されます。特定のメッセージの詳細を表示するには、該当するメッセージをクリックします。メッセージの表の下に詳細が表示されます。
この項では、利用できる拡張検索メカニズムの一部について説明します。
検索基準は、「ログ・メッセージ」ページの次のコントロールを使用して絞り込むことができます。
メッセージ: 「次を含む」などの演算子を選択し、比較する値を入力できます。
フィールドの追加: クリックすると、ホストなどの追加の基準を指定して、検索範囲を特定のホストに絞り込むことができます。次に、「追加」をクリックします。
追加したフィールドのそれぞれに、「次を含む」などの演算子を選択し、比較する値を入力します。
広範囲のターゲット・スコープ: クリックすると、ターゲットの親のすべてのメンバーに関連付けられたログに検索範囲が拡張されます。たとえば、特定のアプリケーションのログを検索する際に、アプリケーションのデプロイ先の管理対象サーバーも含まれるように検索範囲を拡張できます。
選択したターゲット: これを開くと、検索に関与するターゲットが表示されます。ターゲットを追加するには、「追加」をクリックして、ダイアログ・ボックスに情報を入力します。ターゲットを削除するには、ターゲットを選択して「削除」をクリックします。
WLST displayLogs
コマンドを使用してログ・ファイルを検索できます。時間、コンポーネントID、メッセージ・タイプ、ECIDなどの基準を指定して検索範囲を絞り込むことができます。
Oracle HTTP Server ohs1で直前の5分以内に生成されたエラー・メッセージを検索するには、次のコマンドを使用します。
displayLogs(target='opmn:asinst_1/ohs1', last=5)
管理対象サーバーsoa_server1で直前の10分以内に生成されたエラー・メッセージを検索するには、次のコマンドを使用します。
displayLogs(oracleInstance='/scratch/oracle1/Oracle/Middleware/user_projects/domains/soa_domain', target='soa_server1', last=10)
query
パラメータを使用してコンポーネントID、メッセージ・タイプ、ECIDなどの基準を指定して、検索範囲を絞り込むことができます。query
句では、表11-1にある任意の属性を使用して問合せ式を指定できます。次のような基準を使用できます。
メッセージのタイプ。たとえば、管理対象サーバーsoa_server1のERRORおよびINCIDENT_ERRORのメッセージを検索するには、次のコマンドを使用します。
displayLogs(oracleInstance='/scratch/oracle1/Oracle/Middleware/user_projects/domains/soa_domain', target='soa_server1', query='MSG_TYPE eq ERROR or MSG_TYPE eq INCIDENT_ERROR')
特定のECID。たとえば、管理対象サーバーsoa_server1の特定のECID(140.87.134.52:13934:1186078666446:0)のエラー・メッセージを検索するには、次のコマンドを使用します。
displayLogs(oracleInstance='/scratch/oracle1/Oracle/Middleware/user_projects/domains/soa_domain', target='soa_server1', query='ecid eq 140.87.134.52:13934:1186078666446:0')
コンポーネント・タイプ。たとえば、Oracle HTTP Serverインスタンスのメッセージを検索するには、次の問合せを使用します。
displayLogs(query='COMPONENT_ID eq ohs')
時間範囲。特定の時間範囲内に発生したエラー・メッセージを検索するには、次の形式で属性TSTZ_ORIGINATINGを、from
とto
の両演算子とともに指定します。
displayLogs(query='TSTZ_ORIGINATING from start_time and TSTZ_ORIGINATING to end_time')
日付は次のISO 8601時間形式で指定します。
2010-03-30T12:00:00:0000-08:00
たとえば、2010年4月17日の午前8時〜11時のエラー・メッセージを表示するには、次のコマンドを使用します。
displayLogs(query='TSTZ_ORIGINATING from 2010-04-17T08:00:00-07:00 and TSTZ_ORIGINATING to 2010-04-17T11:00:00-07:00')
特定の属性でグループ化したメッセージの件数を表示するには、WLSTコマンドdisplayLogs
で、groupBy
パラメータを使用します。たとえば、コンポーネント別にWARNINGメッセージの件数を表示する場合は、次のコマンドを使用します。
displayLogs(groupBy=['COMPONENT_ID'], query='MSG_TYPE eq WARNING')
次の各項で説明するように、Fusion Middleware ControlまたはWLSTコマンドを使用して、ログ・ファイルを表示できます。
特定のドメイン、Oracle WebLogic Server、コンポーネントまたはアプリケーションのすべてのエンティティのメッセージを表示できます。
たとえば、管理対象サーバーのログ・ファイルおよびメッセージを表示する手順は次のとおりです。
ナビゲーション・ペインで、ファームを開いてから、「WebLogicドメイン」を開き、そのドメインを開きます。管理対象サーバーの名前を右クリックし、「ログ」→「ログ・メッセージの表示」を選択します。
「ログ・メッセージ」ページに管理対象サーバーとそのサーバーで実行されているアプリケーションのログ・ファイルが表示されます。
「選択したターゲット」を開き、特定のコンポーネントまたはアプリケーションの行で「ターゲット・ログ・ファイル」アイコンをクリックします。
「ログ・ファイル」ページが表示されます。このページには、次の図に示すように管理対象サーバーに関連するログ・ファイルのリストが表示されます。
ファイルを選択して、「ログ・ファイルの表示」をクリックします。
「ログ・ファイルの表示」ページが表示されます。このページに、メッセージのリストが表示されます。
メッセージの詳細を表示するには、該当するメッセージを選択します。
次の図のように、リストの下のペインに詳細が表示されます。
デフォルトでは、メッセージは時間を基準として昇順でソートされます。メッセージは、列名をクリックすることにより、時間、メッセージ・タイプまたはメッセージIDのいずれかの列を基準としてソートできます。
時間またはECIDを基準にして関連メッセージを表示するには、「関連メッセージの表示」をクリックして、「時間ごと」または「ECID(実行コンテキストID)ごと」を選択します。
「関連メッセージ」ページが表示されます。
WLST listLogs
コマンドを使用して、Oracle WebLogic Serverドメイン、サーバー、Oracleインスタンスまたはコンポーネントのログ・ファイルをリスト表示できます。
このコマンドは、接続中も切断中も使用できます。接続時のデフォルトのターゲットは、Oracle WebLogic Serverドメインです。
ログ・ファイルをリスト表示するには、第11.3項の説明に従って、まずdomainRuntime
コマンドを使用します。次に、ログ・ファイルのリスト表示方法および表示方法について説明します。
Oracle WebLogic Server soa_server1のすべてのログ・ファイルをリスト表示する場合は、次のコマンドを使用します。
listLogs(target='server_soa') file://host/scratch/oracle1/Oracle/Middleware/user_projects/domains/SOA_domain/servers/soa_server1/logs/soa_server1.log 2010-02-17 16:40:45 4.9M soa_server1.log00001 2010-02-17 18:35:35 4.9M soa_server1.log00002 2010-02-17 20:30:25 4.9M soa_server1.log00003 ... file://host/scratch/oracle1/Oracle/Middleware/user_projects/domains/SOA_domain/servers/soa_server1/logs/soa_server1-diagnostic.log 2010-02-22 13:53:32 10M soa_server1-diagnostic-22.log 2010-02-22 19:18:32 10M soa_server1-diagnostic-23.log 2010-02-23 00:42:32 10M soa_server1-diagnostic-24.log 2010-02-23 06:07:32 10M soa_server1-diagnostic-25.log 2010-02-23 11:31:32 10M soa_server1-diagnostic-26.log 2010-02-23 16:56:32 10M soa_server1-diagnostic-27.log 2010-02-23 22:20:32 10M soa_server1-diagnostic-28.log 2010-02-24 03:45:32 10M soa_server1-diagnostic-29.log 2010-02-24 09:11:32 10M soa_server1-diagnostic-30.log 2010-02-24 14:08:32 9.2M soa_server1-diagnostic.log ...
Oracleインスタンスasinst_1のOracle HTTP Server ohs1のログをリスト表示するには、次のコマンドを使用します。
listLogs(target='opmn:asinst_1/ohs1')
切断時にログをリスト表示するには、oracleInstance
パラメータを指定し、これをOracle WebLogic Serverドメインか、システム・コンポーネントのOracleインスタンス・ホームに渡す必要があります。たとえば、管理対象サーバーsoa_server1のログ・ファイルをリスト表示するには、次のコマンドを使用します。
listLogs(oracleInstance='/scratch/Oracle/Middleware/user_projects/domains/SOA_domain', target='soa_server1')
ログ・ファイルの診断メッセージを表示するには、WLST displayLogs
コマンドを使用します。このコマンドは、接続時も切断時も機能します。
たとえば、Oracle WebLogic Serverドメインで直前の10分以内にログ・ファイルに生成されたメッセージを表示するには、次のコマンドを使用します。
displayLogs(last=10) [2010-03-05T08:05:29.652-07:00] [soa_server1] [NOTIFICATION] [BEA-000628] [Common] [host: hostname] [nwaddr: 10.229.149.27] [tid: [ACTIVE].ExecuteThread: '10' for queue: 'weblogic.kernel.Default (self-tuning)'] [userId: <WLS Kernel>] [TARGET: /SOA_domain/soa_server1] [LOG_FILE: /scratch//Oracle/Middleware/user_projects/domains/SOA_ domain/servers/soa_server1/logs/soa_server1.log] Created "1" resources for pool "SOADataSource", out of which "1" are available and "0" are unavailable. [2010-03-05T08:05:29.673-07:00] [soa_server1] [NOTIFICATION] [BEA-000628] [Common] [host: hostname] [nwaddr: 10.229.149.27] [tid: oracle.integration.platform.blocks.executor.WorkManagerExecutor$1@17f5105] [userId: <anonymous>] [TARGET: /SOA_domain/soa_server1] [LOG_FILE: /scratch/Oracle/Middleware/user_projects/domains/SOA _domain/servers/soa_server1/logs/soa_server1.log] Created "1" resources for pool "SOADataSource", out of which "1" are available and "0" are unavailable. [2010-03-05T08:05:30.448-07:00] [soa_server1] [NOTIFICATION] [BEA-001128] [JDBC] [host: hostname] [nwaddr: 10.229.149.27] [tid: oracle.integration.platform.blocks.executor.WorkManagerExecutor$1@17f5105] [userId: <anonymous>] [TARGET: /SOA_domain/soa_server1] [LOG_FILE: /scratch/Oracle/Middleware/user_projects/domains/SOA _domain/servers/soa_server1/logs/soa_server1.log] Connection for pool "SOADataSource" closed.
このコマンドでは、時間を基準に昇順でソートされたメッセージが返されます。
Oracleインスタンスasinst_1のOracle HTTP Server ohs1のログ・ファイルを表示するには、次のコマンドを使用します。
displayLogs(target='opmn:asinst_1/ohs1')
メッセージは、第11.3.1項で説明されているように、特定の基準を指定して検索し、出力をソートできます。
関連項目: listLogs コマンドおよびdisplayLogs コマンドの詳細は、Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンスのカスタムWLSTコマンドのロギングに関する項を参照してください。 |
次の各項で説明するように、Fusion Middleware ControlまたはWLSTコマンドを使用して、メッセージをダウンロードできます。
ログ・メッセージをファイルにダウンロードできます。検索で一致したメッセージまたは特定のログ・ファイル内のメッセージをダウンロードできます。
Fusion Middleware Controlを使用して、検索で一致したメッセージをダウンロードする手順は次のとおりです。
ナビゲーション・ペインから、ドメインなどのターゲットを選択します。
動的ターゲット・メニューで、「ログ」→「ログ・メッセージの表示」を選択します。
「ログ・メッセージ」ページが表示されます。
第11.3.1.1項の説明に従って、特定のタイプのメッセージを検索します。
「メッセージをファイルにエクスポート」をクリックしてファイル・タイプを選択し、次のいずれかを選択します。
Oracle診断ログ・テキスト(.txt)として
Oracle診断ログXML (.xml)として
カンマ区切りリスト(.csv)として
「オープン中」ダイアログ・ボックスが表示されます。
次を使用してオープンまたはディスクに保存を選択します。「OK」をクリックします。
特定のタイプのメッセージ、または特定のメッセージIDのメッセージをファイルにエクスポートする手順は次のとおりです。
ナビゲーション・ペインで、ファームを開いてから、「WebLogicドメイン」を開き、そのドメインを開きます。管理対象サーバーを選択します。
動的ターゲット・メニューで、「ログ」→「ログ・メッセージの表示」を選択します。
「ログ・メッセージ」ページが表示されます。
第11.3.1.1項の説明に従って、特定のタイプのメッセージを検索します。
「表示」で「メッセージ・タイプ別グループ」または「メッセージID別グループ」を選択します。
メッセージをファイルにダウンロードするには、「メッセージ・タイプ別グループ」を選択した場合、列のいずれか(「エラー」列など)で、メッセージ数をリスト表示するリンクを選択します。「メッセージID別グループ」を選択した場合、「発生」列のリンクのいずれかを選択します。
「メッセージ、タイプ別」ページまたはメッセージID別のメッセージが表示されます。
「すべてをファイルにエクスポート」の近くの矢印をクリックしてファイル・タイプを選択します。
次のいずれかを選択できます。
Oracle診断ログ・テキスト(.txt)として
Oracle診断ログXML (.xml)として
カンマ区切りリスト(.csv)として
「オープン中」ダイアログ・ボックスが表示されます。
次を使用してオープンまたはディスクに保存を選択します。「OK」をクリックします。
Fusion Middleware Controlを使用して、特定のコンポーネントのログ・ファイルをダウンロードする手順は次のとおりです。
ナビゲーション・ペインで、ファームを開きます。システム・コンポーネントの場合は、「Web層」などのインストール・タイプを開いて、コンポーネントを選択します。Javaコンポーネントの場合は、ファームを開いてからコンポーネント・タイプを開き、コンポーネントを選択します。
動的ターゲット・メニューで、「ログ」→「ログ・メッセージの表示」を選択します。
「ログ・メッセージ」ページが表示されます。
「ログ・ファイル」列で、ログ・ファイルをクリックします。
「ログ・ファイル」ページが表示されます。このページに、コンポーネントまたはアプリケーションに関連するログ・ファイルのリストが表示されます。
ログ・ファイルを選択して、「ダウンロード」をクリックします。
「オープン中」ダイアログ・ボックスが表示されます。
次を使用してオープンまたはディスクに保存を選択します。「OK」をクリックします。
WLST displayLogs
コマンドを使用し、出力をファイルにリダイレクトすることによって、ログ・ファイルをダウンロードできます。次に例を示します。
displayLogs(type=['ERROR','INCIDENT_ERROR'], export='download_log.txt')
メッセージは、ファイルdownload_log.txtに書き込まれます。
Fusion Middleware ControlまたはWLSTを使用して、管理対象サーバーおよびJavaコンポーネントのログ設定を変更できます。
注意: システム・コンポーネントのログ・ファイルに対してはオプションを構成できません。このコンポーネントは、第3.5.2項に記載されています。システム・コンポーネントのログ・ファイルに対するオプションの構成方法の詳細は、対象のコンポーネントの管理者ガイドを参照してください。 |
Javaコンポーネントでは、ログ・ファイルに次のオプションを構成できます。
ログ・ファイルの名前および場所。第11.4.1項を参照してください。
ログ・ファイルのサイズ: 新しいファイルの作成時点を、ログ・ファイルが特定のサイズに達したとき、または特定の時点に達したときのいずれかに指定できます。これは、「ログ・ファイルのローテーション」と呼ばれます。第11.4.2項を参照してください。
ログ・ファイルに書き込まれる情報のレベル。第11.4.3項を参照してください。
ログ・ファイルの形式。第11.4.4項を参照してください。
ロケールのエンコーディング。第11.4.5項を参照してください。
次の各項で説明するように、Fusion Middleware ControlまたはWLSTコマンドを使用して、ログ・ファイルの名前および場所を変更できます。
Fusion Middleware Controlを使用してコンポーネントのログ・ファイルの場所を変更するには、コンポーネントのホーム・ページにナビゲートして、動的ターゲット・メニューから「ログ」→「ログ構成」を選択します。
たとえば、Fusion Middleware Controlを使用してコンポーネント・ログ・ファイルの名前および場所を変更する手順は次のとおりです。
ナビゲーション・ペインからコンポーネントを選択します。
動的ターゲット・メニューで、「ログ」→「ログ構成」を選択します。
「ログ構成」ページが表示されます。
「ログ・ファイル」タブを選択します。
表内で、ログ・ハンドラを選択して「構成の編集」をクリックします。
次の図のように「ログ・ファイルの編集」ダイアログ・ボックスが表示されます。
「ログ・パス」に新しいパスを入力します。
「OK」をクリックします。
確認ウィンドウで、「閉じる」をクリックします。
ODLログ は、現在のODLログ・ファイルと古いメッセージを格納するODLアーカイブ(セグメント・ファイル)で構成される一連のログ・ファイルです。このアーカイブはまだ存在していない場合もあります。ログ・ファイルが拡大すると、新しい情報がログ・ファイルserver_name
-diagnostic.log
の最後に追加されます。ログ・ファイルがローテーション・ポイントに達すると、名前が変更されて、新しいログ・ファイルserver_name
-diagnostic.log
が作成されます。ローテーション・ポイントを指定するには、最大ODLセグメント・サイズまたはローテーション時間およびローテーション頻度を指定します。
ODLログ・ファイルserver_name
-diagnostic.log
がローテーション・ポイントに達すると、セグメント・ファイルが作成されます。このため、ファイル名server_name
-diagnostic.log
がserver_name
-diagnostic-
n
.log
に変更され(n
は整数)、コンポーネントで新たな診断メッセージが生成されると、server_name
-diagnostic.log
ファイルが新たに作成されます。
ODLログのサイズは、次の指定によって制限できます。
ロギング・ディレクトリの最大サイズ。ディレクトリ内の全ファイルの合計サイズが最大値に達すると、合計サイズが指定された制限を超えないように一番古いアーカイブが削除されます。
デフォルトでは、10MBに達するとログ・ファイルはローテーションされます。特定のコンポーネントの全ログ・ファイルの最大サイズは100MBです。
ログ・ファイルの最大サイズ。特定の時点または頻度に達したときに新しいログ・ファイルが作成されるように指定します。
注意: ログ・ファイルのローテーションを変更すると、構成が動的にリロードされます。構成のリロードには1〜2秒かかります。 |
次の各項目で、ローテーションを変更する方法を説明します。
Fusion Middleware Controlを使用して特定のコンポーネントのログ・ファイル・ローテーションを構成する手順は次のとおりです。
ナビゲーション・ペインからコンポーネントを選択します。
動的ターゲット・メニューで、「ログ」→「ログ構成」を選択します。
「ログ構成」ページが表示されます。
「ログ・ファイル」タブを選択します。
表内で、ログ出力を選択して「構成の編集」をクリックします。
「ログ・ファイルの編集」ダイアログ・ボックスが表示されます。
「ローテーション・ポリシー」セクションで、次のいずれかを選択します。
サイズ・ベース: これを選択した場合は、次を入力します。
「最大ログ・ファイル・サイズ」に、MB単位でサイズを入力します(例: 15)。
「すべてのログ・ファイルの最大サイズ」に、MB単位でサイズを入力します(例: 150)。
時間ベース: これを選択した場合は、次を入力します。
「OK」をクリックします。
確認ウィンドウで、「閉じる」をクリックします。
WLSTを使用してログ・ファイル・ローテーションを指定するには、configureLogHandler
コマンドを使用します。サイズベース、または時間ベースのローテーションを指定できます。
たとえば、ログ・ファイルのローテーションを毎日実行し、1週間保存する場合は、次のコマンドを使用します。
configureLogHandler(name='odl-handler', rotationFrequency='daily', retentionPeriod='week')
ログ・ファイルのサイズが5MBを超えないこと、およびこのサイズに達するとローテーションすることを指定するには、次のコマンドを使用します。
configureLogHandler(name='odl-handler', maxFileSize='5M')
メッセージのタイプおよびレベルを指定して、ログ・ファイルに書き込まれる情報の量とタイプを構成できます。各メッセージ・タイプで、メッセージ・レベルに使用可能な値は1(最低重大度)〜32(最高重大度)です。コンポーネントによっては、各メッセージ・タイプ別にサポートされるレベルが一部に限定されています。一般的には、指定が必要なのはタイプのみで、レベルの指定は必要ありません。
タイプを指定すると、Oracle Fusion Middlewareではそのタイプのすべてのメッセージと、指定したタイプ以上の重大度のメッセージが返されます。たとえば、メッセージ・タイプをWARNINGに設定した場合、Oracle Fusion MiddlewareからINCIDENT_ERRORおよびERRORのタイプのメッセージも返されます。
表11-3は、メッセージ・タイプと各タイプで最も一般的なレベルを示しています。
表11-3 診断メッセージのタイプとレベル
メッセージ・タイプ | レベル | 説明 |
---|---|---|
1 |
製品のバグが原因の可能性があり、Oracleサポート・サービスに報告する必要がある重大な問題。 この例としては、回復不能なエラーや重大な問題があります。 |
|
1 |
管理者がただちに対処する必要があり、製品のバグ以外が原因の重大な問題。 この例としては、Oracle Fusion Middlewareがログ・ファイルを処理できないものの、ドキュメントに対する権限の調整によって問題の修正が可能な場合などがあります。 |
|
1 |
管理者による確認を要する、潜在的な問題。 この例としては、パラメータ値が無効な場合や指定したファイルが存在しない場合などがあります。 |
|
1 |
プライマリ・サブコンポーネントや機能のアクティブ化や非アクティブ化などの主要なライフサイクル・イベント。 これはNOTIFICATIONのデフォルト・レベルです。 |
|
NOTIFICATION |
16 |
通常のイベントをレポートする粒度の詳細なレベル。 |
1 |
パブリックAPIエントリや終了ポイントなど、管理者に重要なイベントに関するトレースまたはデバッグ情報。 |
|
TRACE |
16 |
詳細なトレースまたはデバッグ情報で、Oracleサポート・サービスによる特定のサブシステムの問題診断に有益なもの。 |
TRACE |
32 |
非常に詳細なトレースまたはデバッグ情報で、Oracleサポート・サービスによる特定のサブシステムの問題診断に有益なもの。 |
デフォルトは、NOTIFICATION、レベル1です。
レベル1のINCIDENT_ERROR、ERROR、WARNINGおよびNOTIFICATIONは、パフォーマンスに影響しません。その他のタイプおよびレベルについては、次の事項に注意してください。
NOTIFICATION、レベル16: パフォーマンスに対する影響は最小。
TRACE、レベル1: パフォーマンスに対する影響は小。このレベルは、ときどき本番環境で有効化して、問題のデバッグに利用できます。
TRACE、レベル16: パフォーマンスに対する影響は大。このレベルは、問題のデバッグなどの特殊な状況を除いて本番環境では有効にしないでください。
TRACE、レベル32: パフォーマンスに対する影響は特大。このレベルは、本番環境で有効にしないでください。このレベルは、テストまたは開発環境における製品のデバッグでの使用を目的としています。
表11-4は、ODL形式、Oracle WebLogic ServerおよびJava間のログ・レベルのマッピングを示しています。
表11-4 ODL、Oracle WebLogic ServerおよびJava間のログ・レベルのマッピング
ODL | WebLogic Server | Java |
---|---|---|
OFF |
OFF |
2147483647 - OFF |
INCIDENT_ERROR:1 |
(EMERGENCY) |
1100 |
INCIDENT_ERROR:4 |
EMERGENCY |
1090 |
INCIDENT_ERROR:14 |
ALERT |
1060 |
INCIDENT_ERROR:24 |
CRITICAL |
1030 |
ERROR:1 |
(ERROR) |
1000 - SEVERE |
ERROR:7 |
ERROR |
980 |
WARNING:1 |
WARNING |
900 - WARNING |
WARNING:7 |
NOTICE |
880 |
NOTIFICATION:1 |
INFO |
800 - INFO |
NOTIFICATION:16 |
(DEBUG) |
700 - CONFIG |
TRACE:1 |
(DEBUG) |
500 - FINE |
TRACE:1 |
DEBUG |
495 |
TRACE:16 |
(TRACE) |
400 - FINER |
TRACE:32 |
(TRACE) |
300 - FINEST |
TRACE:32 |
TRACE |
295 |
次の各項で説明するように、Fusion Middleware ControlまたはWLSTコマンドを使用して、メッセージ・レベルを構成できます。
特定のログ・ファイルまたはログ出力のメッセージ・レベルを設定できます。
コンポーネント・ログ・ファイルのメッセージ・レベルを設定する手順は次のとおりです。
ナビゲーション・ペインからコンポーネントを選択します。
動的ターゲット・メニューで、「ログ」→「ログ構成」を選択します。
「ログ構成」ページが表示されます。
「ログ・ファイル」タブを選択します。
表内で、ログ・ファイルを選択して「構成の編集」をクリックします。
次の図のように「ログ・ファイルの編集」ダイアログ・ボックスが表示されます。
「ログ・レベル」でロギング・レベルを選択します。たとえば、「WARNING:1 (WARNING)」を選択します。
「OK」をクリックします。
確認ウィンドウで、「閉じる」をクリックします。
特定のコンポーネントの1つ以上のログ出力にメッセージ・レベルを設定する手順は次のとおりです。
ナビゲーション・ペインからコンポーネントを選択します。
動的ターゲット・メニューで、「ログ」→「ログ構成」を選択します。
「ログ構成」ページが表示されます。
「ログ・レベル」タブを選択します。
「表示」で「ランタイム・ログ出力」または「永続ログ・レベル状態のログ出力」を選択します。
ランタイム・ログ出力とは、現在アクティブなログ出力です。永続ログ出力とは、構成ファイルに保存されたログ出力で、このログ出力のログ・レベルはコンポーネントを再起動しても持続されます。ランタイム・ログ出力は永続ログ出力でもある場合がありますが、すべてのランタイム・ログ出力が永続ログ出力であるとはかぎりません。
表内で、すべてのログ出力に同一のレベルを指定するには、ランタイム・ログ出力で「ルート・ログ出力」のロギング・レベルを選択するか、永続ログ出力で「Oracle」を選択します。次に、子ログ出力で「親から継承」を指定します。多くの場合は、これで十分です。
ただし、特定のログ出力のレベルを指定する必要がある場合は、「ルート・ログ出力」または「Oracle」を開いて、変更するログ出力のロギング・レベルを選択します。たとえば、ログ出力oracle.wsm.management.loggingに、「WARNING:1 (WARNING)」を選択します。
「適用」をクリックします。
WLSTを使用してメッセージ・レベルを設定するには、setLoglevel
コマンドを使用します。現在のメッセージ・レベルを確認するには、getLogLevel
コマンドを使用します。構成コマンドを使用する際は、あらかじめWebLogic Serverに接続しておく必要があります。
Oracle WebLogic Serverのログ出力のログ・レベルを表示できます。たとえば、Oracle WebLogic Server soa_server1のログ・レベルを表示する場合は、次のコマンドを使用します。
getLogLevel(logger='oracle', target='soa_server1') NOTIFICATION:1
特定のログ出力のログ・レベルを設定できます。次の例では、ログ出力oracle.soaのメッセージ・タイプをWARNINGに設定しています。
setLogLevel(target='soa_server1', logger='oracle.soa', level='WARNING')
Oracle WebLogic Server soa_server1のログ出力のリストを表示するには、listLoggersコマンドを使用します。
listLoggers(target='soa_server1') . . . oracle.soa | WARNING:1 oracle.soa.adapter | <Inherited> orac | <Inherited> oracle.soa.b2b.apptransport | <Inherited> oracle.soa.b2b.engine | <Inherited> oracle.soa.b2b.repository | <Inherited> oracle.soa.b2b.transport | <Inherited> oracle.soa.b2b.ui | <Inherited> . . .
また、パターン・パラメータと正規表現を使用して、ログ出力名をフィルタ処理することもできます。たとえば、Oracle WebLogic Server soa_server1内で名前がoracle
で始まるすべてのログ出力を取得するには、次のコマンドを使用します。
listLoggers(target='soa_server1', pattern='oracle.*') oracle | NOTIFICATION:1 oracle.adapter | <Inherited> oracle.adapter.jms.logger | <Inherited> oracle.adf | <Inherited>
デフォルトでは、情報はログ・ファイルにODLテキスト形式で書き込まれます。この形式は、次の各項で説明するように、Fusion Middleware ControlまたはWLSTコマンドを使用してODL XML形式に変更できます。
Fusion Middleware Controlを使用して形式を変更する手順は次のとおりです。
ナビゲーション・ペインからコンポーネントを選択します。
動的ターゲット・メニューで、「ログ」→「ログ構成」を選択します。
「ログ構成」ページが表示されます。
「ログ・ファイル」タブを選択します。
表内で、ログ・ファイルを選択して「構成の編集」をクリックします。
「ログ・ファイルの編集」ダイアログ・ボックスが表示されます。
「ログ・ファイル形式」で、「Oracle Diagnostics Logging - XML」を選択します。
「OK」をクリックします。
確認ウィンドウで、「閉じる」をクリックします。
ログ・ファイルで使用される言語形式およびデータ形式は、サーバーJava仮想マシン(JVM)のデフォルトのロケールで決定されます。これを変更するには、Windowsの場合は「コントロール パネル」の「言語と地域のオプション」を使用し、UNIXプラットフォームの場合は環境変数のLANGおよびLC_ALLを使用します。
ログ・ファイルの文字エンコーディングは、サーバーJVMのデフォルトの文字エンコーディングまたはオプションの構成設定によって決定されます。ユーザーが使用するすべての言語をサポートするエンコーディングを選択する必要があります。選択しないと、ログ・ファイルが破損する可能性があります。デフォルトでは、ログはサーバーJVMのデフォルトのキャラクタ・エンコーディングを使用します。エンコーディングを変更する場合、別のエンコーディングで追加された新しいログによって破損しないように、古いログを削除するか、またはその名前を変更します。
どのような言語でもサポートできるようにするには、Unicode UTF-8エンコーディングを使用することをお薦めします。UNIXオペレーティング・システムでは、環境変数LANGおよびLC_AllをUTF-8キャラクタ・セットのロケールに設定すると、UTF-8ロギングが可能になります(たとえば、UTF-8エンコーディングのUSロケールは、en_US.UTF-8
)。Windowsでは、次の各項で説明するように、UTF-8ロギングを有効にできます。
次の各項で説明するように、ログ・ファイルのロケールを指定するには、WLSTコマンドを使用するか、またはファイルを編集します。
WLSTを使用してログ・ファイルのエンコーディングを指定するには、configureLogHandlerコマンドを使用します。エンコーディング・パラメータを使用して、キャラクタ・セットのエンコーディングを指定できます。
たとえば、UTF-8を指定するには、次のコマンドを使用します。
configureLogHandler(name="odl-handler", encoding="UTF-8")
logging.xmlファイルでログ・ファイルのエンコーディングを指定するには、オプションのエンコーディング・プロパティを使用します。エンコード・プロパティを指定して、キャラクタ・セットのエンコーディングを指定できます。
logging.xmlファイルは、次のディレクトリにあります。
DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/server_name/
たとえば、UTF-8を指定するには、log_handler要素に次のエンコーディング・プロパティを追加します。
<property name='encoding' value='UTF-8'/>
Oracle Fusion Middlewareコンポーネントは、診断メッセージにメッセージ相関情報を提供します。メッセージ相関情報は、診断メッセージを表示したユーザーがコンポーネント間のメッセージの関係を判定する際に役立ちます。診断メッセージのそれぞれに、実行コンテキストID(ECID)と関係ID(RID)が組み込まれています。
ECIDは、特定リクエストの実行に関連付けられたグローバル一意識別子です。ECIDは、リクエストを最初に処理したときに生成されます。
RIDは、1つのリクエストにおいて、特定のプロセス上の特定スレッドで実行された作業と、同じプロセス上の別スレッドおよび別プロセス上で実行された作業を区別します。
ECIDとRIDを利用すると、ログ・ファイル・エントリを使用して、特定のアプリケーションとOracle Fusion Middlewareコンポーネント間のメッセージを関連付けることができます。メッセージ相関情報を使用して関連メッセージを検索すると、複数のメッセージを調べることができ、最初に問題が発生したコンポーネントを特定できます(この方法は、最初に障害が発生したコンポーネントの切分けと呼ばれます)。メッセージ相関データを使用すると、コンポーネント全体における診断メッセージのパスが明確になり、エラーや関連する動作を把握できます。
ECIDおよびRIDを使用して、Oracle Fusion Middleware内を移動するリクエストをトラッキングできます。
次に、ECIDの例を示します。
152.68.202.244:43750:1172674368694:1
RIDはコロン(:)で区切られた1つ以上の数字で示されます。特定のリクエストに対して最初に作成されるRIDは0です。ECIDが関連付けられているスレッドから別のスレッドまたはプロセスに作業が渡されるたびに、作成者との関係をエンコードする新たなRIDが生成されます。つまり、新しい世代が生成されます。世代が推移するたびに、コロンと数値が追加されます。たとえば、リクエストの作成者の3番目の子の7番目の子は、次のように示されます。
0:3:7
WLSTのdisplayLogs
コマンドを使用すると、同じECIDを持つすべてのメッセージを表示できます。次に例を示します。
displayLogs(ecid='0000Hl9TwKUCslT6uBi8UH18lkWX000002')
Fusion Middleware Controlの「ログ・メッセージ」ページで特定のECIDを持つメッセージを検索できます。
「WebLogicドメイン」メニューで、「ログ」→「ログ・メッセージの表示」を選択します。
特定のコンポーネントまたはアプリケーションのメッセージを検索する際は、該当するコンポーネントまたはアプリケーションを選択し、そのターゲットのメニューから「ログ」→「ログ・メッセージの表示」を選択します。
第11.3.1.1.2項の説明に従って、検索条件を指定します。
「検索」をクリックします。
メッセージを選択して「関連メッセージの表示」をクリックし、「ECID(実行コンテキストID)ごと」を選択します。
次の図のように、ECIDが同じメッセージが表示されます。
最も古いメッセージまでECIDをトレースします(そのECIDを持つ最初のメッセージが表示されるまで、日付や時刻の範囲を拡大できます)。