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Oracle® Fusion Middlewareパフォーマンスおよびチューニング・ガイド
11gリリース1(11.1.1)
B61006-01
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21 Oracle Fusion Middlewareセキュリティのパフォーマンス・チューニング

Oracle Fusion Middlewareセキュリティ・サービスを使用すると、重要なアプリケーションや機密データを保護できます。この章では、セキュリティ・サービスを構成して最適なパフォーマンスを得る方法について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

21.1 セキュリティ・サービスについて

Oracle Fusion Middlewareは、Oracle Platform Security Services(OPSS)およびOracle Web Servicesを通じてセキュリティ・サービスを提供します。


注意:

この章の内容は、読者がOracle Fusion Middlewareセキュリティ・サービスの概念および管理についての情報に目を通し、理解しているものと想定して書かれています。セキュリティ・パラメータをチューニングする前に、『Oracle Fusion Middleware Web Servicesセキュリティおよび管理者ガイド』を参照し、詳細を確認してください。

21.2 一般的なパフォーマンスの問題の検出

この項では、パフォーマンス・ボトルネックの特定方法、およびパフォーマンス・ボトルネックなどの問題の解決方法に関して、一般的なガイドラインを示します。

パフォーマンス・ボトルネックを発見するには、まずWebサービスのデプロイメント全体で予想されるトラフィック負荷に対応できていることを確認します。CPU使用率が100%に達しているシステムがクリティカル・パスにある場合は、1台以上のコンピュータをクラスタに追加する必要があります。

デプロイメントにボトルネックが存在する場合、その発生箇所はおそらく次のいずれかです。

どちらの問題についても、次の原因を確認します。

これらのいずれかがボトルネックの原因であると判明した場合は、データベースまたはLDAP接続の管理方法、あるいはリソースの保護方法を変更する必要があります。

21.3 Oracle Platform Security Servicesのチューニング

この項では、Oracle Platform Security Services(OPSS)における次の基本的なチューニング構成について説明します。

21.3.1 JVMチューニング・パラメータ

JVMパラメータをチューニングすると、パフォーマンスが大幅に向上します。たとえば、JVMヒープ・サイズはストア内のロールおよび権限の数に応じてチューニングする必要があります。実行時には、ロールおよび権限はすべてメモリー内キャッシュに格納されます。JVMチューニングの詳細は、2.4項「Java仮想マシン(JVM)のチューニング」を参照してください。

21.3.2 LDAPチューニング・パラメータ

この項では、Lightweight Directory Access Protocol(LDAP)のチューニングについて説明します。Oracleは、ファイルベースのリポジトリであるOracle Internet DirectoryおよびOracle Virtual Directoryでのポリシーの管理をサポートしています。

SQLの実行に時間がかかるためにCPU使用率が上昇している場合は、次の章を参照し、大規模デプロイメント向けの基本的なチューニング構成を確認してください。

21.3.3 認証チューニング・パラメータ

OPSS認証チューニングの詳細は、Oracle Technology Networkに掲載されているOracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの保護ガイドの、WebLogicおよびLDAP認証プロバイダのパフォーマンスの向上に関する項(http://download.oracle.com/docs/cd/E12840_01/wls/docs103/secmanage/atn.html#wp1199087)を参照してください。

21.3.4 認可チューニング・パラメータ

次のパラメータを使用することで、認可を最適化できます。

表21-1 認可パラメータ

パラメータ 注意

-Djps.combiner.optimize=true

デフォルト: True

このシステム・プロパティは、特定のサブジェクトの保護ドメインをキャッシュする目的で使用します。

-Djps.combiner.optimize.lazyeval=true

デフォルト: True

このシステム・プロパティは、checkpermissionの発生時にサブジェクトの保護ドメインを評価する目的で使用します。

-Djps.policystore.hybrid.mode=false

デフォルト: False

このハイブリッド・モード・プロパティは、java.security.PolicyのSUN RIからOPSS Javaポリシー・プロバイダへの遷移を促進する目的で使用します。OPSS Javaポリシー・プロバイダは、java.policyとsystem-jazn-data.xmlの両方を読み取ります。ハイブリッド・モードを無効にするには、WebLogic Serverの起動時にシステム・プロパティjps.policystore.hybrid.modeをfalseに設定します。

-Djps.authz=ACC

デフォルト: ACC

コールをJDK APIのAccessController.checkPermissionに委任します。こうすると、実行時またはデバッグ中のパフォーマンスへの影響を軽減できます。


21.3.5 LDAPポリシー・ストアのOPSSチューニング・パラメータ

表21-2に、LDAPポリシー・ストアのOPSSチューニング・パラメータを示します。

表21-2 LDAPポリシー・ストアのOPSSチューニング・パラメータ

パラメータ 注意

oracle.security.jps.policystore.rolemember.cache.type

デフォルト: STATIC

ロール・メンバーのキャッシュ・タイプ。パフォーマンスを確保するために、デフォルト値のままにすることを検討してください。

oracle.security.jps.policystore.rolemember.cache.strategy

デフォルト: FIFO

ロール・メンバーのキャッシュ方式。パフォーマンスを確保するために、デフォルト値のままにすることを検討してください。

oracle.security.jps.policystore.rolemember.cache.size

デフォルト: 1000

ロール・メンバーのキャッシュ・サイズ。パフォーマンスが問題になっている場合は、このサイズを5000に増やすことを検討してください(デプロイメントに適している場合)。

oracle.security.jps.policystore.policy.lazy.load.enable

デフォルト: TRUE

ポリシーの遅延ロードを有効にします。パフォーマンスを確保するために、デフォルト値のままにすることを検討してください。

oracle.security.jps.policystore.policy.cache.strategy

デフォルト: PERMISSION_FIFO

権限のキャッシュ方式。パフォーマンスを確保するために、デフォルト値のままにすることを検討してください。

oracle.security.jps.policystore.policy.cache.size

デフォルト: 1000

権限のキャッシュ・サイズ。パフォーマンスが問題になっている場合は、このサイズを4000に増やすことを検討してください(デプロイメントに適している場合)。

oracle.security.jps.policystore.cache.updatable

デフォルト: TRUE

TRUEの場合、ポリシー・キャッシュは管理操作用に増分更新されます。パフォーマンスを確保するために、デフォルト値のままにすることを検討してください。

oracle.security.jps.policystore.refresh.enable

デフォルト: TRUE

このプロパティは、リフレッシュを有効にする目的で使用します。パフォーマンスを確保するために、デフォルト値のままにすることを検討してください。

oracle.security.jps.policystore.refresh.purge.timeout

デフォルト: 43200000

ポリシー・ストアの強制リフレッシュ時間(ミリ秒)。パフォーマンスを確保するために、デフォルト値のままにすることを検討してください。

oracle.security.jps.ldap.policystore.refresh.interval

デフォルト: 600000

ポリシー・ストアをリフレッシュして変更を反映させるためのポーリング時間(ミリ秒)。パフォーマンスを確保するために、デフォルト値のままにすることを検討してください。


21.4 Oracle Web Services Securityのチューニング

Oracle Web Services Securityは、XMLベースのメッセージを使用してWebサービスとやり取りするための認可および認証のフレームワークを提供します。この項では、Webサービスのパフォーマンスに影響を与える要因について説明します。

21.4.1 適切なポリシーの選択

Oracle Web Services Securityでは多くのポリシーがサポートされていますので、デプロイメントのセキュリティ・ニーズに基づいて適切なポリシーを実装する必要があります。追加するセキュリティ・ポリシーはそれぞれパフォーマンスに影響を与える可能性があるため、パフォーマンスを十分に考慮してください。たとえば、トランスポート・レベルのセキュリティ(SSL)は、アプリケーション・レベルのセキュリティより高速ですが、マルチステップのトランザクションでは脆弱性を生む可能性があります。アプリケーション・レベルのセキュリティのほうがパフォーマンスへの影響は大きいものの、エンドツーエンドのセキュリティを実現できます。

『Oracle Fusion Middleware Web Servicesセキュリティおよび管理者ガイド』のポリシーの構成に関する項を参照し、デプロイメントに必要なセキュリティ・ポリシーを見極めてください。

21.4.2 タイムスタンプ(オンまたはオフ)

デフォルトでは、Oracle Web ServiceのポリシーはタイムスタンプがONになっています。タイムスタンプを設定する際には、タイムスタンプをOFFにするとセキュリティに影響が出る可能性があり、タイムスタンプをONにするとパフォーマンスに影響が出る可能性があることを考慮してください。これらの設定の影響を検討してから、変更を行います。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Web Servicesセキュリティおよび管理者ガイド』を参照してください。

21.4.3 ポリシー・マネージャ

データベースベースのポリシー強制を使用する際には、パフォーマンスへの影響がつきものです。データベース・ポリシーの強制を選択した場合、エージェントからデータベースへのポーリングの頻度を慎重に検討する必要があります。

21.4.4 SOAPメッセージを記録するためのログ・アサーションの構成

デフォルト・ポリシーのリクエスト・パイプラインおよびレスポンス・パイプラインには、ポリシー強制ポイント(PEP)でSOAPメッセージをデータベースまたはコンポーネント別ローカル・ファイルに記録するログ・アサーションが含まれています。ロギング・レベルはパフォーマンスに影響を与えることがあります。パフォーマンスの問題を回避するには、デプロイメントに適した最低のロギング・レベルを使用することを検討してください。

ログ・ステップ内に構成できるロギング・レベルには次のものがあります。

  • ヘッダー: SOAPヘッダーのみが記録されます。

  • 本文: メッセージの内容(本文)のみが記録されます。

  • エンベロープ: SOAPエンベロープ全体(ヘッダーと本文の両方を含む)が記録されます。添付ファイルは記録されません。

  • すべて: メッセージ全体が記録されます。これには、SOAPヘッダー、本文、およびすべての添付ファイル(SOAPメッセージそのものの外部に存在するURLなど)が含まれます。

注意: 一般に、ログ・ファイルをトポロジ的に強制コンポーネントに近い場所に配置すると、システムのパフォーマンスが向上します。可能であれば、著しい分散環境では複数の分散ログを使用してください。

21.4.5 Webサービスのパフォーマンスの監視

Oracle Fusion Middleware Controlの「Webサービス」ホームページで、次のOracle Web Servicesのパフォーマンスを監視できます。

  • 次のエンドポイント有効メトリック

    • ポリシー参照ステータス

    • 合計違反

    • セキュリティ違反

  • 完了した呼出し

  • レスポンス時間(秒)

  • 次のポリシー違反

    • 合計違反

    • 認証違反

    • 認可違反

    • 機密保持違反

    • 整合性違反

  • 障害の合計

Oracle Fusion Middlewareコンポーネントの監視の概要は、第4章「Oracle Fusion Middlewareの監視」を参照してください。

Oracle Fusion Middleware Controlを使用したOracle Web Servicesの監視の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Web Servicesセキュリティおよび管理者ガイド』のWebサービスのパフォーマンスの監視に関する項を参照してください。