Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server Application Adapter for SAP R/3ユーザーズ・ガイド 11g リリース1(11.1.1.3.0) B61418-01 |
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Oracle WebLogic Serverは、Oracle Application Adapter for SAP R/3を介してSAP R/3システムに接続します。Oracle Application Adapter for SAP R/3は、SAP R/3システムとの接続と連携を行います。この章の内容は以下のとおりです。
Oracle Application Adapter for SAP R/3は、SAP Enterprise Central Component(ECC)5.0/6.0システムと他のアプリケーション、データベース、または外部ビジネス・パートナ・システムとの間でリアルタイム・ビジネス・データを交換する手段を提供するリモート関数呼出しアダプタです。このアダプタは、外部アプリケーションによるSAP R/3とのインバウンド処理とアウトバウンド処理を可能にします。Oracle Application Adapter for SAP R/3は、J2EE Connector Architecture(J2CA)としてデプロイできます。このデプロイメントはOracle Adapter J2CAと呼ばれます。また、Webサービス・サーブレットとしてもデプロイでき、その場合はOracle Adapter Business Services Engine(BSE)と呼ばれます。
Oracle Application Adapter for SAP R/3はXMLメッセージにより、サービスとイベントを使用して、SAP R/3以外のアプリケーションがSAP R/3と通信し、トランザクションを交換できるようにします。ここではサービスとイベントの役割の概要を示します。サービスとイベントは次のように説明できます。
サービス(アウトバウンド処理とも呼ばれます):アプリケーションがSAP R/3のビジネス・オブジェクトやビジネス操作を呼び出すことを可能にします。
イベント(インバウンド処理とも呼ばれます):あるイベントが発生した場合だけアプリケーションがSAP R/3のデータにアクセスできるようにします。
イベント機能をサポートするため、チャネルがサポートされます。チャネルとは、バックエンドまたは他のタイプのシステムの特定インスタンスへの構成済の接続のことです。
チャネルはEISアプリケーションからリアルタイムでイベントを受信するアダプタ・コンポーネントです。チャネル・コンポーネントは、ファイル・リーダー、HTTPリスナー、TCP/IPリスナー、またはFTPリスナーのいずれかになります。チャネルは、常にEISに固有です。アダプタでは、特定のEISに対して複数のチャネルがサポートされるため、ユーザーは、デプロイメント要件に基づいて最適なチャネル・コンポーネントを選択できます。このアダプタの場合、このチャネルはRFCサーバーです。
Oracle Application Adapter for SAP R/3は以下の機能を備えています。
双方向メッセージ交換のサポート。
Oracle Adapter Application Explorer(Application Explorer)。これはSAP R/3のオブジェクト・リポジトリ・メタデータを使用して、アダプタのリクエストやイベント・データを扱うためのXMLスキーマやWebサービスを構築するためのGUIツールです。
リモート関数呼出し(RFC)、ビジネス・アプリケーション・プログラミング・インタフェース(BAPI)、およびSAP R/3との中間ドキュメント(IDoc)インタフェースのサポート。
J2CA 1.0とJ2CA 1.5リソース・アダプタ用XMLスキーマおよびWSDLファイル
BSE用Webサービス
データ・タイプの制約:データ・タイプh
とg
はサポートされていません。タイプh
は深層構造を、タイプg
は可変長文字列を表します。SAPRFC.H内に定義されているRFCTYPE_XSTRINGとRFCTYPE_XMLDATAは、RFCプロトコルの制約のためサポートされていません。
関連項目: Oracle Application Server Adapterコンセプト・ガイド |
Oracle Application Adapter for SAP R/3でサポートされているSAP R/3プラットフォームは以下のとおりです。
SAP R/3 Enterprise 47x100
SAP R/3 Enterprise 47x200
mySAP ERP Central Component(ECCD)5.0、SAP NetWeaver 2004上にデプロイされたもの
mySAP ERP Central Component(ECCD)6.0、SAP NetWeaver 2004上にデプロイされたもの
SAP Java Connector(SAP JCo)バージョン2.18
SAP Java Connectorの最新リリース・ステータスについては、SAP Service MarketplaceのSAP Note #549268を参照してください。
注意: リリース・バージョンは製品コンポーネントによって異なることがあります。さらに、SAP関数はSAP製品のバージョンやサポート・パッケージによって異なることがあります。 |
Oracle Application Adapter for SAP R/3は、既存のビジネス・プロセスをサポートするために使用するリモート関数呼出し(RFC)モジュール、BAPI(ビジネス・アプリケーション・プログラミング・インタフェース)、IDocs(中間ドキュメント)などのSAP R/3インタフェースに標準でアクセスできるように設計されています。
アダプタは、従来のSAP技術によってアクセスするEnterprise Central Components(ECC)だけをサポートしています。SAPのその他の機能やコンポーネントをサポートする必要がある場合は、iWay Softwareの営業所または代理店へご連絡ください。
これらのビジネス・コンポーネントとメソッドはSAP R/3のリクエストとしてアダプタで使用することができ、以下のように、SAPがそのリモート・リクエストと処理を起動する時はイベント・アダプタで使用できます。
ビジネス・アプリケーション・プログラミング・インタフェース(BAPI)は、SAPコンポーネント同士やSAPコンポーネントをサードパーティ・コンポーネントへリンクするために使用するビジネス・フレームワーク内のインタフェースです。BAPIは同期的に呼び出されて情報を返します。
リモート関数呼出し(RFC)モジュールは、クライアントがSAP技術を起動してレスポンスを受信できるようにするSAPアプリケーション・インタフェースです。
注意: インストールされているリリースまたはサービス・パックによっては、使用している特定のSAP R/3システム内に特定のRFC(たとえばRFC_CUSTOMER_GET )が存在しないことがあります。したがって、ここに示す例が実際に使用しているシステムと一致しない場合もあります。その場合、ここに示す例はアダプタの機能を示すための参考とみなし、使用している実際のSAP R/3アプリケーション環境に存在するRFCを選択してください。SAPリリース・ノート109533に説明されているように、SAP関数モジュール(RFC)は異なるリリース・ステータスで配布されることがあります。SAPは、ユーザーにリリースされたステータスに対応するRFCだけをサポートしています。インタフェースのリリース依存性やモジュールの存在、あるいは機能の継続性に関する要求は受け付けられません。特定関数モジュールの詳しい状態については、SAP Service Marketplaceをご覧ください。 |
中間ドキュメント(IDocs)は様々なビジネス・プロセスに対応する「論理的メッセージ」で、メッセージ・ベースのインタフェースによって様々なアプリケーション・システムをリンクすることを可能にします。IDocタイプは、ビジネス・トランザクション用のデータを転送するために使用するSAPフォーマットを示します。IDocは、様々なメッセージ・タイプを転送することのできるIDocタイプ形式の実際のビジネス・プロセスです。IDocタイプは、以下のコンポーネントによって記述されます。
制御レコード。制御レコードには、送信者、受信者、およびIDoc構造を示すデータが格納されます。1つのIDocに格納される制御レコードは1つです。
データ・レコード。データ・レコードは、固定管理部分とデータ部分(セグメント)で構成されます。セグメントの数とフォーマットは、IDocのタイプごとに異なることがあります。
ステータス・レコード。ステータス・レコードは、IDocが渡された時の処理段階を記述します。IDocの機能とそのコンポーネントの例を以下のシナリオに示します。
発注書No.4711がIDoc No.0815としてベンダーに送付されました。IDoc No.0815はIDocタイプORDERS01という形にフォーマットされ、そのステータス・レコードは「created(作成済)」と「sent(送付済)」です。この発注書はORDERSという「論理的」メッセージに対応します。
Oracle Application Adapter for SAP R/3は、アカウントの追加や更新といったSAP R/3 のビジネス・プロセスを開始するために使用できるほか、SAP R/3システムとSAP R/3以外のシステムを接続する統合化作業の一部として使用することができます。すべての関数は同期的に処理されますが、ALE IDoc内のすべてのコンテンツは非同期です。サービス・モードでは、Oracle Application Adapter for SAP R/3はBAPI、RFC、またはALEの各インタフェースを使用してSAPにリクエストを送信できます。
アダプタを使用すれば、SAP R/3 IDoc、RFC、およびBAPIと、ミッション・クリティカルなSAP R/3システム・アプリケーションや他の企業用アプリケーションを迅速かつ容易に統合化することができます。アダプタには以下のような利点があります。
カスタム・コーディングの必要がなくなります。
一貫したデータ記述が得られます。
SAP R/3のイベント・データやリクエスト/レスポンス・ドキュメントの標準的なXML記述が得られます。開発者はSAP R/3インタフェース(BAPI、RFC、IDoc)固有の詳細事項や、ターゲットSAP R/3システムの構成に関する詳細事項から解放されます。
SAP AGにより公表されているSAP R/3 ABAPのシリアル化規則やSAP R/3インタフェース・リポジトリ標準に従っています。
イベント処理中、アダプタはRFCとIDocsをSAP R/3から直接受信します。SAP R/3システムは特定イベントの発生時に論理システムにIDocまたはRFCを送信するように構成でき、この場合はアダプタに送信します。SAP R/3による出力は以下のいずれかの形を取ることができます。
Oracle Application Adapter for SAP R/3は、以下のコンポーネントとともにアプリケーション・エクスプローラを使用します。
アプリケーション・エクスプローラ(SAP接続の構成、およびWebサービスとイベントの作成に使用)は、BSEが使用されているWebサービス環境用に構成できます。J2CA環境の場合は、Common Client Interface(CCI)を使用して、Webサービスのかわりにアダプタを使用する統合サービスを提供します。
Oracle Adapter Business Services Engine(BSE)アーキテクチャ
図1-1に、パッケージ化されたアプリケーション用BSEの汎用アーキテクチャを示します。アダプタは、J2EEアプリケーション・サーバーでWebコンテナにデプロイすることにより、BSEとともに動作します。
BSEとともにデプロイされるデザインタイム・ツールのアプリケーション・エクスプローラを使用して、アダプタ接続の構成、EISオブジェクトの参照、サービスの構成およびEISイベントをリスニングするリスナーを構成できます。これらの操作の実行中に作成されるメタデータは、BSEによりリポジトリ内に格納されます。
BSEは、クライアントからリクエストの受信、EISとの対話、EISからのレスポンスのクライアントへの返信にSOAPをプロトコルとして使用します。
BSEは、ファイルベース・リポジトリとOracleデータベース・リポジトリの両方をサポートしています。BSEリポジトリは、EIS接続情報とアダプタ・サービスのためのWeb Service Definition Language(WSDL)を保存します。BSEの1つのインスタンスを複数のEISアプリケーションに接続することが可能です。
注意: BSE用のファイル・リポジトリは本番環境では使用しないでください。 |
図1-1 Oracle Adapter Business Services(BSE)のアーキテクチャ
Oracle Adapter J2CAのアーキテクチャ
パッケージ化されたアプリケーション用のOracle Adapter J2CAの一般的なアーキテクチャを図1-2に示します。これは、Oracle WebLogic Sererに管理モードでデプロイされた純粋なJ2CA 1.0リソース・アダプタです。これは汎用アダプタで、1つのアダプタを複数のEISアプリケーションに接続することができます。
Oracle Adapter J2CAリポジトリには、EIS接続名と対応する接続パラメータのリストが含まれています。リポジトリは、ファイル・システムかOracleデータベースとすることができます。これはRARファイルとしてデプロイされ、ra.xml
という対応デプロイメント記述子を持っています。Oracle WebLogic Serverのデプロイメント記述子ra.xml
を編集すれば、複数のコネクタ・ファクトリを作成することができます。詳細は、第4章「Oracle WebLogic Serverのデプロイメントと統合化」を参照してください。
関連項目:
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Oracle Application Adapter for SAP R/3をOracle SOA Suiteコンポーネント(BPEL、メディエータ、BPMまたはOSB)とともに使用する場合は、次の点に注意してください。
Oracle Adapter J2CAデプロイメントのみ、Oracle SOA Suiteコンポーネントとのインバウンド統合(イベント通知)がサポートされます。
Oracle Adapter J2CA and BSEデプロイメントでは、Oracle SOA Suiteとのアウトバウンド統合(リクエスト/レスポンス型サービス)がサポートされます。
BSEとOracle Adapter J2CAのデプロイメント間の差異には、次の2つの要素があります。これらの要素を理解することは、デプロイメント・オプションの選択に役立ちます。
BSEには次の利点があります。
Oracle WebLogic Serverの個別のインスタンスでデプロイできます。
優れた負荷分散を提供します。
アプリケーションの構築について、Service Oriented Architecture(SOA)モデルにより厳密に準拠します。
Oracle Adapter J2CAの方がBSEよりもわずかに高いパフォーマンスが得られます。