| Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server Application Adapter for SAP R/3(SAP JCo 3.0)ユーザーズ・ガイド 11g リリース1 (11.1.1.3.0) B61422-01 |
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Oracle WebLogic Serverは、Oracle Application Adapter for SAP R/3を通じてSAP R/3システムに接続されます。Oracle Application Adapter for SAP R/3は、接続を確立し、SAP R/3システム上で相互作用を実行します。この章の内容は以下のとおりです。
SAP Java Connector (SAP JCo) 3.0を使用するOracle Application Adapter for SAP R/3は、SAP Enterprise Central Component (ECC) 5.0/6.0システムと他のアプリケーション、データベースおよび外部ビジネス・パートナのシステムとの間でリアルタイムのビジネス・データを交換するための手段を提供するRemote Function Callアダプタです。このアダプタにより、外部アプリケーションはSAP R/3とのインバウンドおよびアウトバウンド処理が可能になります。Oracle Application Adapter for SAP R/3は、J2EE Connector Architecture (J2CA)バージョン1.0リソース・アダプタとしてデプロイできます。このデプロイはOracle Adapter J2CAと呼ばれます。また、Webサービス・サーブレットとしてもデプロイでき、その場合はOracle Adapter Business Services Engine (BSE)とも呼ばれます。
Oracle Application Adapter for SAP R/3は、XMLメッセージにより、非SAP R/3アプリケーションがサービスおよびイベントを使用してSAP R/3と通信し、トランザクションを交換できるようにします。次に、サービスおよびイベントのロールの要点を次に説明します。 サービスおよびイベントの説明を次に示します。
サービス(アウトバウンド処理とも呼ばれる): アプリケーションがSAP R/3ビジネス・オブジェクトまたはビジネス操作をコールできるようになります。
イベント(インバウンド処理とも呼ばれる): イベントが発生したときにのみ、アプリケーションがSAP R/3のデータにアクセスできるようになります。
イベント機能をサポートするため、チャネルがサポートされます。チャネルとは、バックエンドまたは他のタイプのシステムの特定インスタンスへの構成済の接続のことです。
チャネルは、EISアプリケーションからリアルタイムでイベントを受信するアダプタ・コンポーネントです。チャネル・コンポーネントとしては、ファイル・リーダー、HTTPリスナー、TCP/IPリスナー、またはFTPリスナーがあります。チャネルは、常にEISに固有です。アダプタでは、特定のEISに対して複数のチャネルがサポートされるため、ユーザーは、デプロイメント要件に基づいて最適なチャネル・コンポーネントを選択できます。このアダプタの場合のチャネルはRFCサーバーです。
Oracle Application Adapter for SAP R/3は、以下を提供します。
双方向のメッセージ対話のサポート
Oracle Adapterアプリケーション・エクスプローラ(アプリケーション・エクスプローラ)。SAP R/3オブジェクト・リポジトリ・メタデータを使用してXMLスキーマとWebサービスを構築し、アダプタ・リクエストやイベント・データを処理するGUIツールです。
SAP R/3への、Remote Function Call (RFC)、Business Application Programming Interfaces (BAPI)、およびIntermediate Document (IDoc)インタフェースのサポート
J2CA 1.0とJ2CA 1.5リソース・アダプタ用XMLスキーマおよびWSDLファイル
BSE用Webサービス
データ型の制限: データ型hおよびgは、サポートされていません。型hは、深層構造を表します。型gは、可変長文字列を表します。SAPRFC.Hに定義されている、RFCTYPE_XSTRINGおよびRFCTYPE_XMLDATAは、RFCプロトコルの制限のためサポートされていません。
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関連項目: Oracle Application Server Adapterコンセプト・ガイド |
次のSAP R/3プラットフォームが、Oracle Application Adapter for SAP R/3によってサポートされます。
SAP R/3 Enterprise 47x100
SAP R/3 Enterprise 47x100
mySAP ERP Central Component (ECC) 5.0: SAP NetWeaver 2004上にデプロイ
mySAP ERP Central Component (ECC) 6.0: SAP NetWeaver 2004s上にデプロイ
SAP Java Connector (SAP JCo)バージョン3.0
SAP Java Connectorの最新のリリース・ステータスについては、Service MarketplaceのSAP Note #549268を参照してください。
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注意: リリースのバージョンは、製品コンポーネントにより異なる場合があります。またSAPの機能は、SAP製品バージョンおよびサポート・パッケージにより異なる場合があります。 |
Oracle Application Adapter for SAP R/3は、既存のビジネス・プロセスをサポートするために使用されるRemote Function Call (RFC)モジュール、BAPI (Business Application Programming Interfaces)、およびIDoc (Intermediate Documents)などのSAP R/3インタフェースへの標準アクセスを提供するように設計されています。
アダプタは、古典的なSAPテクノロジによってアクセスされるEnterprise Central Components (ECC)のみをサポートしています。その他のSAP機能およびコンポーネントのサポートが必要な場合は、iWay Softwareの営業担当者に問い合せてください。
これらのビジネス・コンポーネントおよびメソッドは、SAP R/3のリクエストとしてアダプタで利用可能であり、またSAPがそのリモート・リクエストを呼び出すときにイベント・アダプタで利用可能です。これらは、次のように動作します。
Business Application Programming Interface (BAPI)は、SAPコンポーネントをお互いにリンクする、あるいはサードパーティ製のコンポーネントにリンクするために使用するビジネス・フレームワーク内のインタフェースです。BAPIは同期してコールされ、情報を返します。
Remote Function Call (RFC)モジュールは、クライアントがSAPテクノロジを呼び出してレスポンスを受信できるようにするためのSAPアプリケーション・インタフェースです。
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注意: インストールされているリリースまたはサービス・パックによっては、使用しているSAP R/3システムに特定のRFC(RFC_CUSTOMER_GETなど)が存在しない可能性があります。このため、このドキュメントに記載された例が使用中のシステムに該当しない場合があります。このような場合、アダプタ機能の一般的な参照として例を使用し、使用中のSAP R/3アプリケーション環境内に存在するRFCを選択してください。SAPリリース・ノート109533に記載されているように、SAP関数モジュール(RFC)は、別のリリース・ステータスで配布される可能性があります。SAPでは、「Released for Customer」ステータスのRFCのみをサポートします。インタフェースのリリースからの独立性とモジュールの存在および機能の継続性に関する報告はありません。特定の関数モジュールのステータスの詳細は、SAP Service Marketplaceに問い合せてください。 |
Intermediate Document (IDoc)により、様々なビジネス・プロセスに対応する"論理メッセージ"です。これにより、メッセージベースのインタフェースによって様々なアプリケーション・システムをリンクさせることが可能となります。IDocタイプはSAP形式を示しており、ビジネス・トランザクションのデータを転送するのに使用されます。IDocは、複数のメッセージ・タイプを送信できるIDocタイプ形式による実際のビジネス・プロセスです。IDocタイプは、次のコンポーネントにより記述されます。
制御レコード。制御レコードには、送信者、受信者、およびIDoc構造を特定するデータが含まれています。IDocには、1つの制御レコードが含まれます。
データ・レコード。データ・レコードは、固定の管理者パートとデータ・パート(セグメント)で構成されます。セグメントの数と書式は、各IDocタイプごとに異なる可能性があります。
ステータス・レコード。ステータス・レコードは、IDocが通過する処理段階を記述します。次の事例は、IDoc機能とそのコンポーネントの例です。
発注番号4711はIDoc番号0815としてベンダーに送信されています。IDoc番号0815は、IDocタイプORDERS01で書式設定され、ステータス・レコードは「created」と「sent」です。発注書は論理メッセージORDERSに対応しています。
Oracle Application Adapter for SAP R/3を使用して、アカウントの追加/更新など、SAP R/3ビジネス・プロセスを開始することができます。あるいは、統合作業の一環としてアダプタを使用することで、SAP R/3と非SAP R/3のシステムを接続することができます。すべての機能は、同期処理されますが、ALE IDocのすべての中身は非同期です。Oracle Application Adapter for SAP R/3は、サービス・モードで、BAPI、RFC、またはALEの各インタフェースを使用してSAPにリクエストを送信できます。
アダプタは、使用しているSAP R/3 IDoc、RFC、およびBAPIを基幹SAP R/3システム・アプリケーションやその他のエンタープライズ・アプリケーションに簡単かつ即座に統合します。アダプタの利点は次のとおりです。
カスタム・コーディングが不要
一貫したデータ表記
SAP R/3用のイベント・データとリクエスト/レスポンスのドキュメントについての標準XML表記を提供します。開発者は、SAP R/3インタフェース(BAPI、RFC、IDoc)に固有の細部の記述やターゲットSAP R/3システムに固有の細部の構成から開放されます。
SAP AGが発行しているSAP R/3 ABAPのシリアライズ・ルールとSAP R/3インタフェース・リポジトリ規格に適合
イベント処理の間、アダプタは、SAP R/3からRFCとIDocを直接受信します。SAP R/3システムは、特定のイベントが発生したときにIDocまたはRFCを論理システム(このケースではアダプタ)に送信するように構成することができます。SAP R/3によって送信される出力は、以下のいずれの形態も可能です。
Oracle Application Adapter for SAP R/3は、次のコンポーネントとともにアプリケーション・エクスプローラを使用します。
アプリケーション・エクスプローラ(SAP接続の構成とWebサービスおよびイベントの作成に使用)は、Webサービス環境でBSEとともに動作するように構成できます。J2CA環境で動作している場合、Common Client Interface (CCI)を使用してWebサービスのかわりにアダプタを使用した統合サービスを提供します。
Oracle Adapter Business Services Engine (BSE)のアーキテクチャ
図1-1に、パッケージされたアプリケーション用のBSEの汎用アーキテクチャを示します。このアダプタは、BSEととともに、J2EEアプリケーション・サーバーのWebコンテナにデプロイされて動作します。
アプリケーション・エクスプローラ、BSEとともにデプロイされる設計時ツールであり、このツールを使用して、アダプタ接続の構成、EISオブジェクトの参照、サービスの構成およびEISイベントをリスニングするリスナーの構成を行います。これらの操作の実行中に作成されるメタデータは、BSEによりリポジトリに格納されます。
BSEは、クライアントからリクエストの受信、EISとの対話、EISからのレスポンスのクライアントへの返信にSOAPをプロトコルとして使用します。
BSEは、ファイルベースのリポジトリとOracleデータベース・リポジトリの両方をサポートしています。BSEリポジトリには、EIS接続情報とアダプタ・サービス用のWeb Service Definition Language (WSDL)が格納されます。単一のBSEインスタンスで複数のEISアプリケーションに接続できます。
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注意: BSE用のファイル・リポジトリは本番環境では使用しないでください。 |
図1-1 Oracle Adapter Business Services (BSE)のアーキテクチャ

Oracle Adapter J2CAのアーキテクチャ
図1-2に、パッケージ化されたアプリケーション用のOracle Adapter J2CAの汎用アーキテクチャを示します。これは、管理モードでOracle WebLogic Serverにデプロイされた純粋なJ2CA 1.0リソース・アダプタです。これは、ユニバーサル・アダプタで、1つのアダプタで複数のEISアプリケーションに接続できます。
Oracle Adapter J2CAのリポジトリには、EIS接続名のリストと関連する接続パラメータのリストが含まれています。このリポジトリは、ファイル・システムでもOracleデータベースでもかまいません。リポジトリはRARファイルとしてデプロイされ、ra.xmlと呼ばれるデプロイメント・ディスクリプタが関連付けられます。Oracle WebLogic Serverデプロイメント・ディスクリプタra.xmlを編集すして、複数のコネクション・ファクトリを作成できます。詳細は、第5章「Oracle WebLogic Serverのデプロイおよび統合化」を参照してください。
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関連項目:
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Oracle Application Adapter for SAP R/3をOracle SOA Suiteコンポーネント(BPEL、メディエータ、BPMまたはOSB)とともに使用する場合、次の点に注意してください。
Oracle Adapter J2CAデプロイメントのみ、Oracle SOA Suiteコンポーネントとのインバウンド統合(イベント通知)がサポートされます。
Oracle Adapter J2CA and BSEデプロイメントでは、Oracle SOA Suiteとのアウトバウンド統合(リクエスト/レスポンス型サービス)がサポートされます。
BSEとOracle Adapter J2CAのデプロイメント間の差異には、次の2つの要素があります。これらの要素を理解することは、デプロイメント・オプションの選択に役立ちます。
BSEには次の利点があります。
Oracle WebLogic Serverの個別のインスタンスでデプロイできます。
優れた負荷分散を提供します。
アプリケーションの構築について、Service Oriented Architecture (SOA)モデルにより厳密に準拠します。
Oracle Adapter J2CAの方がBSEよりもわずかに高いパフォーマンスが得られます。