| Oracle Applicationsシステム管理者ガイド - 構成 リリース11i(2005年6月) 部品番号: B15956-01 | 目次 | 前へ | 次へ |
リリース11.5.10では、統合された少数の表領域(一時、システムおよびUNDOセグメントの3つのシステム表領域も含めて12個)と、ローカル管理表領域に対するサポートを備えた新しいOracle Applications表領域モデル(OATM)が導入されています。E-Business Suiteの11iリリースより前のリリースでは、各製品に対してデータと索引用の2つの表領域が割り当てられていました。E-Business Suiteの以前のリリース(11i/10.7)を使用している顧客は、スタンドアロン・モードでも11.5.10内でも使用できるOracle Applications表領域移行ユーティリティを使用してOATMを採用できます。この移行ユーティリティはメニュー・ベースのPERLプログラムで、E-Business Suiteアプリケーション・スキーマを、1回の包括的な移行か、スキーマごとの分割移行のいずれかで変換できる一連のサイズ変更の見積レポートです。通常は、1回の包括的な移行の実行をお薦めしますが、ダウンタイムの余裕と十分なディスク領域が必要です。表領域の部分的な移行はサポートされていません。スキーマごとの分割移行を実行する場合も、すべてのスキーマを移行する必要があります。
OATMを使用すると、各データベース・オブジェクトは、それぞれの入力/出力特性に基づいて表領域にマップされます。この特性には、オブジェクト・サイズ、有効期間、アクセス方法およびロックの精度が含まれます。このモデルを使用すると、E-Business Suiteを容易に保守し、使用領域を削減できます。
データベース・オブジェクトのOATMへの移行には、次のメリットがあります。
OATMには、すべての製品について、一時表領域、システム表領域およびUNDOセグメントも含めて12個のローカル管理表領域があります。以前の表領域モデルには、Oracle製品ごとに2つの表領域があったため、何百もの表領域が存在していました。
このモデルでは、ローカル管理表領域で使用できる均一または自動割当てのエクステント管理がサポートされています。ローカル管理表領域には、以前のモデルのディクショナリ表領域よりも優れたメリットがあり、エクステントのサイズはシステム(自動割当て)によって自動的に決定されます。また、すべてのエクステントを同じサイズ(均一)にして、オブジェクト記憶域オプションを上書きすることもできます。
OATMでは、自動セグメント領域管理が実装され、セグメント内の領域を簡単かつ効率的に管理する方法が提供されます。表領域に作成されるスキーマ・オブジェクトの記憶域パラメータであるPCTUSED、FREELISTSおよびFREELISTS GROUPSの指定および調整は完全に不要となります。自動セグメント領域管理では、手動によるセグメント領域管理に比較して領域の使用効率が向上します。また、ユーザー数とインスタンス数の増加にあわせて拡張されるため、自己チューニング型といえます。Real Application Clusters環境の場合、自動セグメント領域管理は、インスタンスに対する領域の動的アフィニティに対処できるため、空きリスト・グループの使用に伴う領域の難しいパーティション化を回避できます。
OATMでは、オブジェクトに関する次のオブジェクト入出力特性が考慮されます。
自動セグメント領域管理は、セグメント内の領域を簡単かつ効率的に管理する方法です。表領域に作成されるスキーマ・オブジェクトの記憶域パラメータであるPCTUSED、FREELISTSおよびFREELISTS GROUPSの指定と調整は完全に不要となります。自動セグメント領域管理では、手動によるセグメント領域管理に比較して領域の使用効率が向上します。また、ユーザー数とインスタンス数の増加にあわせて拡張されるため、自己チューニング型といえます。Real Application Cluster(RAC)環境の場合、自動セグメント領域管理は、インスタンスに対する領域の動的アフィニティに対処できるため、空きリスト・グループの使用に伴う領域の難しいパーティション化を回避できます。
表領域移行ユーティリティは、自動セグメント管理と均一または自動割当てのエクステント管理を使用して、オブジェクトを既存のディクショナリ管理表領域からローカル管理表領域に移行します。その結果、領域の使用効率が向上し、無駄がなくなります。表セグメントと索引セグメントの1つの表領域から別の表領域への移行では、未使用の領域も再生されます。この再生は、特に、索引列を頻繁に挿入、更新または削除したときに断片化される索引に対して行われます。
OATMでは、表領域の数が減少したため、Real Application Cluster(RAC)のサポートが容易になっています。RACは、相互接続された複数のコンピュータの処理能力を活用するOracle9iデータベースの機能です。この機能によって、すべての有効インスタンスは、1つの共有データベース・ディスク・システムに対して取引を同時に実行できます。現在RAWデバイスが255に制限されているLinuxでRACを実装するときは、この新規表領域モデルが重要な役割を果たします。
OATMには、他にも次のようなメリットがあります。
OATMの製品表領域のメリットは、以前の表領域モデルの観点から見た場合に最もよく理解できます。以前のモデルには、Oracle Applications製品ごとに2つの表領域があり、1つは表に、もう1つは索引に割り当てられていました。このモデルの表領域に関する標準ネーミング規則では、製品のOracleスキーマ名に「データ」表領域の場合は「D」、「索引」表領域の場合は「X」の接尾辞が付いていました。たとえば、表領域のAPDとAPXは、それぞれOracle Payablesの表と索引を表すデフォルトの表領域でした。
以前の表領域モデルとは対照的に、OATMには、UNDO、一時およびシステムの各データベース表領域に加えて、アプリケーション・オブジェクトに対する9個のデフォルトの表領域があります。取引表の索引は専用の表領域に個別に格納され、他のすべての索引は、親表/実表と同じ表領域に格納されます。すべてのOracle Applications製品スキーマには、データ・オブジェクトの場合はTRANSACTION_TABLES表領域タイプを、索引オブジェクトの場合はTRANSACTION_INDEXES表領域タイプを指し示すデフォルトの表領域セットが設定されています。
| 表領域タイプ | 表領域名 | 内容 |
|---|---|---|
| 取引表 | APPS_TS_TX_DATA | 取引データを含む表。 |
| 取引索引 | APPS_TS_TX_IDX | 取引表の索引。 |
| 参照 | APPS_TS_SEED | データと索引の参照および設定。 |
| インタフェース | APPS_TS_INTERFACE | インタフェースおよび一時データと索引。 |
| 要約 | APPS_TS_SUMMARY | 要約管理オブジェクト(マテリアライズド・ビュー、ファクト表、要約情報を記録するその他のオブジェクトなど)。 |
| ロギングなし | APPS_TS_NOLOGGING | 要約管理オブジェクトおよび一時オブジェクトで使用されないマテリアライズド・ビュー。 |
| アドバンスト・キューイング(AQ) | APPS_TS_AQ | アドバンスト・キューイングおよび依存表と依存索引。 |
| メディア | APPS_TS_MEDIA | マルチメディア・オブジェクト(テキスト、ビデオ、音声、グラフィック、空間データなど)。 |
| アーカイブ | APPS_TS_ARCHIVE | アーカイブされたパージ関連データを含む表。 |
| UNDO | UNDO | 自動UNDO管理(AUM)表領域。AUMが有効な場合、UNDOセグメントは、ROLLBACKセグメントと同じです。 |
| 一時 | TEMP | グローバル一時表、ソートおよびハッシュ結合の一時表領域。 |
| システム | SYSTEM | Oracle Databaseが使用するシステム表領域。 |
OATMは、固有の明示的および暗黙的分類ルールに依存しています。これらのルールは、該当するオブジェクト・タイプの記憶域に関する考慮事項に基づいて決定されます。Oracle Applications表領域移行ユーティリティは、これらのルールに基づいてオブジェクトを移行します。次の表に、OATMでオブジェクト・タイプに基づいて適用される暗黙的な分類ルールを示します。暗黙的な分類ルールまたは明示的なオブジェクト分類が設定されていないオブジェクトは、そのオブジェクトが常駐するスキーマのデフォルトの表領域に移行されます。
明示的なオブジェクト分類は、オブジェクトの入出力特性に基づいてシードされています。
次の表に、Oracle Applications表領域移行ユーティリティの暗黙的な分類ルールを示します。
| オブジェクト・タイプ | Tablespace_Type |
|---|---|
| AQ表 | AQ |
| 索引構成表(IOT) | Transaction_Tables |
| マテリアライズド・ビュー | 要約 |
| マテリアライズド・ビュー・ログ | 要約 |
| 他のすべての索引 | 表と同じ表領域タイプ |
| ドメイン索引 | Transaction_Indexes |
| 取引表の索引 | Transaction_Indexes |
Oracle Applications表領域移行ユーティリティは、主として、標準のOracle Applicationsスキーマが所有する表、索引、マテリアライズド・ビュー、マテリアライズド・ビュー・ログおよび他のデータベース・オブジェクトを、既存の表領域モデルからOATMに移行するために設計されています。カスタム・スキーマやサード・パーティ・スキーマも、Oracle Applications表領域移行ユーティリティ、顧客優先方法またはOracle Enterprise Manager(OEM)などのデータベース管理ツールを使用して移行することができます。標準のOracle Application製品スキーマにあるカスタム・オブジェクトは、デフォルトで移行されます。
Oracle Applications表領域移行ユーティリティでは、次のカスタマイズを有効にできます。
システム管理者職責で、フォーム・ベース・バージョンのOracle Applicationsにログインします。「セキュリティ」 > 「Oracle」 > 「登録」の順にナビゲートし、外部スキーマを登録します(未登録の場合)。「権限」を「使用可能」に設定します。
Oracle Applicationsに登録しているOracle以外のスキーマなど、スキーマの一部を移行しない場合があります。これを実行するには、システム管理者職責で「セキュリティ」 > 「Oracle」 > 「登録」の順にナビゲートし、該当するスキーマに対して「外部」または「一般障害控除対象配偶者」を選択し、移行しないスキーマを無効にする必要があります。反対に、移行する特定のスキーマにフラグを付ける場合は、システム管理者職責で「セキュリティ」 > 「Oracle」 > 「登録」の順にナビゲートし、「使用可能」を設定して、特定のスキーマを有効にします。