Oracle Daily Business Intelligenceインプリメンテーション・ガイド リリース11i B25740-01 | ![]() 目次 | ![]() 戻る | ![]() 次へ |
Daily Business Intelligence for Projectsは、プロジェクトベースの基本的な財務ビジネス・メトリックをプロジェクト・エグゼクティブに提供します。ユーザーは、役割ベースのページを介して、担当しているビジネスの過去、現在および予測のパフォーマンス測定情報にアクセスします。このリアルタイムのビューによって、プロジェクト・エグゼクティブは、的確なビジネス上の意思決定を行い、期中に訂正を行い、ビジネス目標の達成に専念できます。
Daily Business Intelligence for Projectsでは、次のような重要なビジネス上の質問に回答できます。
自分の組織のプロジェクト収益性は? それを前年度、前期間および予算と比較した結果は?
プロジェクトの合計原価は? 計画支出との差異は?
当期末、当四半期末および当年度末のプロジェクトの利益と原価の見込は?
これまでに記帳された新規プロジェクト・ビジネスの累計は? 記帳された追加作業の量は?
記帳は、収益計上と同程度で推移しているか? 新規ビジネス獲得のトレンドは、作業引き渡しと一致しているか?
担当しているプロジェクトに残存しているバックログは? バックログ残高のトレンドは?
生産資源稼働率が低い組織は?
プロジェクトに現在予定されていない資源数は? それらが使用可能であった期間は? この先使用可能な状態が続く期間は?
Daily Business Intelligence for Projectsでは、次のアプリケーションに関するレポートが提供されます。
Oracle Project Costing
Oracle Project Billing
Oracle Project Resource Management
Daily Business Intelligence for Projectsを使用すると、次のページを表示できます。
プロジェクト収益性管理
このページには、プロジェクトの収益性に関するレポートが含まれています。このレポートによって、収益性または費用を分析し、収益性が予想実績に沿っているかどうかを判別できます。また、予測の収益性と費用に関するレポートもあり、期末までの予想実績を把握できます。
プロジェクト運用管理
このページには、プロジェクト商談管理に関するレポートとプロジェクト資源管理に関するレポートが含まれています。プロジェクト商談管理に関するレポートを使用して、記帳とバックログを把握します。この記帳とバックログは、プロジェクト中心型の産業を促進する実際の需要を表します。プロジェクト資源管理に関するレポートを使用すると、資源の稼働状況を追跡して、顧客の要求と会社の優先度を満たすことができます。
資産プロジェクト原価管理
このページには、資産プロジェクトのプロジェクトベースの財務ビジネス費用に関するレポートが含まれています。これらのレポートには、ビジネスの現在の状態が反映され、過去、現在および予測の各パフォーマンス測定が比較されます。
契約プロジェクト原価管理
このページには、契約プロジェクトのプロジェクトベースの財務ビジネス費用に関するレポートが含まれています。これらのレポートには、ビジネスの現在の状態が反映され、過去、現在および予測の各パフォーマンス測定が比較されます。
レポート・タイプは、次のとおりです。
要約: 最上位レベルの情報が表示されます。収益性、費用、記帳およびバックログを示すレポートの場合、この情報は、プロジェクトからプロジェクト組織、支出タイプ、イベント・タイプ、収益カテゴリ、プロジェクト・タイプおよびプロジェクト分類に集計されます。稼働状況および可用性を示すレポートの場合は、資源から資源組織、稼働状況カテゴリ、作業タイプおよび役職レベルに集計されます。
このレポート・タイプは表示別とも呼ばれ、集計した累計額を表示します。このレポート・タイプは、Daily Business Intelligence for Projectsでの分析の出発点です。
トレンド: すべての領域について周期的な情報が表示されるため、パターンの推移を特定できます。トレンドに関するレポートでは、データが期間(例: 週次、月次、四半期または年次)別に集計されます。この結果、短期間と長期間の両方のトレンド分析に焦点をあわせることができます。
詳細: プロジェクトまたは資源のリスト・レポートが表示され、集計とトレンドに関するレポートで集計された元の情報が示されます。詳細レポートには、プロジェクトに関する追加の属性情報(名称、タイプ、マネージャ、顧客など)または資源に関する追加の属性情報(名称、最終プロジェクト、次のプロジェクトなど)が示されます。
Daily Business Intelligence for Projectsのページとレポートの全リストは、このマニュアルの「Daily Business Intelligenceの実装」を参照してください。
Daily Business Intelligence for Projectsには、事前定義の職責とメニューがあります。このメニュー構造は変更できます。この項では、各職責について説明し、関連するメニューとサブメニューを示します。
次の表に、この職責のメニュー構造を示します。
メニュー | サブメニューまたはレポート |
---|---|
Intelligence概要 |
|
プロジェクト収益性レポート |
|
プロジェクト原価レポート |
|
資産プロジェクト原価レポート |
|
契約プロジェクト原価レポート |
|
プロジェクト記帳およびバックログレポート |
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プロジェクト稼働状況レポート |
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プロジェクト資源可用性レポート |
|
この職責では、「HR管理」レポートと「費用管理」レポートを除いて、「プロジェクト・エグゼクティブ」職責と同じ情報にアクセスできます。
この職責では、次の管理タスクと保守タスクが提供されます。
組織の設定
階層とグローバル階層への組織の体系化
セキュリティ・プロファイルとグローバル・セキュリティ・プロファイルの定義
コンカレント・プロセスの発行
プロファイル・オプションの設定
組織の変更
次の表に、この職責のメニュー構造を示します。
メニュー | サブメニューまたはオプション |
---|---|
設定: 組織 |
|
設定: セキュリティ |
|
その他 |
|
その他: 要求 |
|
この職責では、「プロジェクト・エグゼクティブ」職責と同じ情報に加え、Daily Business Intelligence for Projectsの設定にアクセスできます。
Daily Business Intelligence for Projectsの設定方法の詳細は、「Daily Business Intelligence for Projectsレポートの設定」を参照してください。
この項では、Daily Business Intelligence for Projectsに組み込まれているディメンションについて説明します。ディメンションはアルファベット順に示されています。
ディメンション、メジャー、およびディメンションとメジャーが相互にどのように関係して完全なレポート・ソリューションを形成しているかについては、このマニュアルの「Daily Business Intelligenceの実装」を参照してください。
イベント・タイプは、プロジェクトで使用されるイベント・タイプ別に収益を分類します。イベント・タイプの詳細は、『Oracle Projects Implementation Guide』を参照してください。
支出カテゴリ・ディメンションは、プロジェクトで使用される支出カテゴリ別に原価データをグループ化します。支出カテゴリの詳細は、『Oracle Projects Implementation Guide』を参照してください。
役職レベルは、スキル・レベルを数値で表したものです。Daily Business Intelligence for Projectsの稼働状況に関するレポートで、表示別ディメンションとして使用されます。
時間の配分および関連付けられた稼働率を役職レベル別に表示できます。役職レベルの例を次に示します。
8(副社長)
7(部長)
6(上級マネージャ)
5(マネージャ)
この項では、組織ディメンションについて簡単に説明します。Oracle Projectsの組織と組織階層の詳細は、『Oracle Projects Fundamentals』の組織に関する説明を参照してください。
組織はOracle Projectsで最も頻繁に使用されるレポート・ディメンションであり、Daily Business Intelligence for Projectsのデフォルトの表示別ディメンションです。原価は、支出が記録されるプロジェクトから取得されます。つまり、原価金額はプロジェクト組織に対して反映されます。
これらの取引からの収益、およびプロジェクトのイベントからの収益は、プロジェクト組織に対して反映されます。また、記帳とバックログのメジャーは、プロジェクト所有組織に基づいてレポートされます。逆に、稼働状況と可用性のメジャーは、資源組織に対して記録されます。
組織は階層内に存在します。この階層によって、様々な取引上の目的とレポートの目的で組織の関連が決定されます。Daily Business Intelligence for Projectsの設定で指定する階層では、プロジェクトからプロジェクト所有組織に集計したデータを、さらに親組織に集計する方法が決定されます。
レポートでは、組織階層内でアクセス権のある最上位ノードのデータを表示でき、そこから組織階層をドリルダウンしてサブ組織別の金額を参照できます。
次は組織階層の例です。
アメリカ
東部
北東部
南東部
西部
中部
ラテン・アメリカ
この例では、階層の最上位ノードはアメリカ組織です。アメリカ組織に対する組織レベルのデータを表示できます(この組織に対するアクセス権があることが前提)。次に、階層をドリルダウンして東部などのサブ組織のデータを表示し、さらにドリルして北東部の金額を参照できます。
Daily Business Intelligence for Projectsでは、有益なトレンド情報を提供する表示別ディメンションとして、時間を使用できます。データは、選択した期間タイプに応じて期間別に累計され、表示されます。次の例は、レポートの期間タイプ、および各期間タイプの表示期間数を示しています。
エンタープライズ年(2年)
エンタープライズ四半期(4四半期)
エンタープライズ期間(12)
エンタープライズ週(13)
会計年度(2期間)
会計四半期(4)
会計期間(12)
プロジェクト期間(13期間)
分類カテゴリは、プロジェクトのある側面を示すために使用され、レポートで使用できます。次に、分類カテゴリ内の分類の例を示します。
産業
ハイテク
小売
サービス明細
製品開発
コンサルティング
分類コードは、特定のカテゴリ内の割当済の値です。プロジェクトの分類カテゴリに産業がある場合、ハイテクはそのカテゴリの分類コードの例です。
Daily Business Intelligence for Projectsでは、分類カテゴリに対するデータを表示できます。プロジェクト分類の詳細は、『Oracle Projects Implementation Guide』のプロジェクト定義に関する説明を参照してください。
すべてのプロジェクトはプロジェクト・タイプに属しています。プロジェクト・タイプは通常、予算編成方法、原価計算方法および請求方法に応じてプロジェクトを分類するために使用されます。したがって、プロジェクト・タイプは、Daily Business Intelligence for Projectsのレポートに便利な分類です。
すべてのプロジェクト・タイプはプロジェクト・タイプ区分に属しています。各プロジェクト・タイプ区分(契約、資産および間接)内のプロジェクト・タイプの例を次に示します。
契約
固定価格
資産
建設
間接
間接費
付加給付
Daily Business Intelligence for Projectsでは、すべてのプロジェクト・タイプ(固定価格など)に対するデータを表示するか、または特定のプロジェクト・タイプ区分(契約、資産または間接)内のすべてのプロジェクト・タイプに対するデータを表示できます。プロジェクト・タイプの詳細は、『Oracle Projects Implementation Guide』のプロジェクト定義に関する説明を参照してください。
作業タイプは作業の分類を表します。作業タイプは、予定と実際の各労務取引に対して記録されます。
稼働状況カテゴリは、稼働状況の計算に使用するための加重係数を保有できる作業タイプのカテゴリです。作業タイプと稼働状況カテゴリの両方がDaily Business Intelligence for Projectsのレポートで使用され、これらのカテゴリ全体の稼働時間(時間と稼働率)の配分が示されます。
次の例では、作業が作業タイプと稼働状況カテゴリを使用して分類されています。
作業
入札および提示(作業タイプ)
請求可能コンサルティング(稼働状況カテゴリ)
内部ITサポート(作業タイプ)
内部請求可能(稼働状況カテゴリ)
稼働状況カテゴリと作業タイプの詳細は、『Oracle Projects Fundamentals』を参照してください。
支出タイプ・ディメンションは、選択したプロジェクトの各支出タイプごとに情報を分類します。支出タイプの詳細は、『Oracle Projects Implementation Guide』を参照してください。
収益カテゴリ・ディメンションでは、そのカテゴリに属しているすべての支出タイプとイベント・タイプがレポートに表示されます。デフォルト値は「全て」です。収益カテゴリの詳細は、『Oracle Projects Implementation Guide』を参照してください。
Daily Business Intelligence for Projectsには、パフォーマンス測定(キー・パフォーマンス・インディケータとも呼ばれます)が用意されています。これらのパフォーマンス測定は、計算されたデータをレポートに提供するために使用されます。メジャーは、表示されるアプリケーション・ページ別にグループ化して説明しています。
Daily Business Intelligence for Projectsには、次の記帳とバックログのメジャーが用意されています。
メジャー | 定義/計算方法 |
---|---|
記帳 | 正味記帳合計 = 当初 + 追加 + 修正 - 取消 |
バックログ | バックログは、プロジェクトの資金合計とそのプロジェクトの累計未収収益の差異です。したがって、バックログは常に開始来累計残高(開始来累計資金から開始来累計収益を減算した値)です。 Daily Business Intelligence for Projectsレポートの別のタイプのバックログについては、「バックログ」を参照してください。 |
記帳はプロジェクト資金の配賦を表します。資金明細は次のいずれかに分類されます。
当初
追加
取消
訂正
振替
再評価
当初、追加または取消のマークが付けられた資金明細は、Daily Business Intelligence for Projectsのレポートでは、そのままレポートされます。訂正と振替は合計され、記帳調整としてレポートされます。Daily Business Intelligence for Projectsでは、取消以外の資金分類はすべてプラスとして処理されます。
注意: 取消はマイナスであると想定されています。プラスの資金明細に取消マークが付けられている場合、その明細は算式に追加されます。
Daily Business Intelligence for Projectsレポートの別のタイプのバックログは、次のとおりです。
未開始のバックログ: 請求可能な取引がないプロジェクトのバックログ。
有効バックログ: 進行中の有効なプロジェクトのバックログ。
待機バックログ: 特定の期間に収益が計上されていないプロジェクトのバックログ。期間(カレンダ日数で表されます)は、Daily Business Intelligence for Projectsの設定で指定されます。詳細は、「バックログ」を参照してください。
損失バックログ: 分析期間中にクローズしたプロジェクトのバックログ。この金額は、組織に対する追加の潜在的な収益を表します。
リスクありの収益: 収益計上が資金を超過している場合に発生するマイナスのバックログ。
バックログ・フロー
バックログは残高であり、バックログ値の増減は企業の財務状態の重要なメジャーであるため、Daily Business Intelligence for Projectsには、特定期間のバックログ増減の金額とソースを追跡するレポートがあります。これらのレポートは、記帳とバックログ活動に関するレポートであり、次の項目が表示されます。
開始バックログ: 期間開始時のバックログ残高。
正味記帳合計 = 当初 + 追加 + 修正 - 取消。詳細は、「記帳」を参照してください。
未収収益: 期間の認識済収益金額。
損失バックログ: 「バックログ」を参照してください。
終了バックログ = 開始バックログ + 正味記帳合計 - 未収収益 - 損失バックログ(この算式の結果がプラスの数値の場合)。
次の表に、このページのキー・パフォーマンス・インディケータを示します。
メジャー | 計算方法 |
---|---|
原価 | 現在日までの期間の実績資産プロジェクト原価。期間は、選択した期間タイプ・パラメータによって決まります。 |
予測原価 | 期間の資産プロジェクトの予測原価。 |
資産原価 | 現在日までの期間の資産計上可能な原価。 |
原価 % | 資産原価 / 現在日までの期間の資産プロジェクト原価。 |
費用 | 現在日までの期間の資産計上不可の原価合計。 |
次の表に、このページのキー・パフォーマンス・インディケータを示します。
メジャー | 計算方法 |
---|---|
原価 | 現在日までの期間の実績の契約プロジェクト原価。期間は、選択した期間タイプ・パラメータによって決まります。 |
予測原価 | 期間の契約プロジェクトの予測原価。 |
予算 % | 請求可能原価 / 現在日までの期間の予算原価。 |
請求可能原価 | 請求可能原価の合計。 |
原価 % | 請求可能原価 / 現在日までの期間の原価。 |
請求不可原価 | 現在日までの期間の請求不可原価。 |
Daily Business Intelligence for Projectsには、次の表に示す収益性および原価のメジャーが用意されています。
メジャー | 計算方法 | ソース |
---|---|---|
収益 | プロジェクトの未収収益。次のように計算されます。(請求可能支出項目 * 請求レート)+ 収益イベント金額。 Oracle General Ledgerで受入済の収益草案のみが算入されます。 | PA_CUST_REV_DIST_LINES_ALL PA_CUST_EVENT_RDL_ALL |
原価 | すべての原価配分済支出項目。 | PA_COST_DISTRIBUTION_LINES_ALL |
マージン | 収益 - 原価 | 導出 |
予算金額および予測金額 | 予算タイプは、それぞれ次の項目にマップされます。
Daily Business Intelligence for Projectsの設定で、これらの予算タイプにプロジェクト別に入力された金額は、プロジェクト所有組織、プロジェクト・タイプおよびプロジェクト分類別に集計されます。 | PA_BUDGET_LINES |
予算金額および予測金額
予算と予測は、組織が所有するすべてのプロジェクトの予算金額と予測金額の合計です。Daily Business Intelligence for Projectsの設定で、各計画タイプに使用される予算タイプを指定します。詳細は、レポート計画タイプに対する予算タイプの設定に関する説明を参照してください。
期間別に入力された予算金額と予測金額は、期間別にその同じ金額でレポートされます。一括で入力された予算と予測の金額は、プロジェクトの開始日と終了日に従って、期間別に按分して配分されます。予算と予測は、属している営業単位の機能通貨で入力されます。これらの金額は、期間の初日に適用される換算レート、または期間の最終日に適用されるレートを使用して、比較分析のためにグローバル通貨に換算されます。換算日はDaily Business Intelligence for Projectsの設定で指定します。詳細は、「レポート計画タイプの設定」を参照してください。
Daily Business Intelligence for Projectsには、次の稼働状況および可用性のメジャーが用意されています。
労務単位
稼働日の定義は、地域(営業単位)によって異なる場合があります。たとえば、ある地域での稼働日は8時間で、別の地域では7.5時間の場合があります。
予定労務単位と実績労務単位を、時間数でレポートするか、日数でレポートするかは設定で定義できます。詳細は、「原価と労務単位の設定」を参照してください。
稼働状況
稼働状況は、資源の加重時間数を、組織および指定期間に対する資源許容量または合計作業時間数のいずれか(稼働状況計算方法によって決まります)で除算して計算します。稼働状況は、さらに次のように分類されます。
実績稼働状況 = 実績加重時間数 /(実績許容量または実績作業時間数)
予測稼働状況 = 予測加重時間数 /(予測許容量または予測作業時間数)
稼働状況の詳細は、『Oracle Projects Fundamentals』を参照してください。
可用性
可用性は、資源の未使用の許容量を表します。可用性のしきい値は、資源を使用可能として分類するために必要な使用可能時間の比率です。
可用性のしきい値は、Daily Business Intelligence for Projectsの設定で指定します。詳細は、「可用性しきい値の設定」を参照してください。
Daily Business Intelligence for Projectsのデータは、プロジェクト別、資源別および組織別に集計されます。各プロジェクトの収益、原価、記帳およびバックログは、プロジェクト所有組織に集計されます。
さらに、組織レベルのデータは、レポートの目的で組織階層に積み上げられます。様々なユーザーが組織階層の様々なレベルに関与しています。
Daily Business Intelligence for Projectsには、営業単位レベルのセキュリティも用意されています。組織と同様に、営業単位は階層に配置されます。セキュリティ・プロファイルを使用して、階層の様々なレベルでデータを保護できます。
たとえば、組織に営業単位が3つあり、ある特定のユーザーには、その中の2つの営業単位に関する情報へのアクセス権のみが必要な場合は、セキュリティ・プロファイルによって、そのユーザーが3番目の営業単位にアクセスすることを禁止します。
「セキュリティ・プロファイルの設定」を参照してください。
Daily Business Intelligence for Projectsを実装する前に、前提条件となる次の実装手順を完了する必要があります。
プロジェクト分類の有効化
Daily Business Intelligence for Projectsのプロジェクト分類レポートを使用可能にするには、Projectsの「区分カテゴリおよびコード」ウィンドウ(「設定」->「プロジェクト」->「分類」)にある「Project Intelligenceに含む」チェック・ボックスを選択する必要があります。プロジェクト分類の定義の詳細は、『Oracle Projects Implementation Guide』のプロジェクト分類(区分カテゴリおよび区分コード)に関する説明を参照してください。
グローバルなDaily Business Intelligenceの設定
グローバルなDaily Business Intelligenceの設定オプションを完了する必要があります。グローバルなDaily Business Intelligenceの設定の詳細は、このマニュアルの「Daily Business Intelligenceの実装」を参照してください。
次の表に、Daily Business Intelligence for Projectsのページを表示するために必要なアプリケーションを示します。
ページ | 必要なアプリケーション |
---|---|
資産プロジェクト原価管理 |
|
契約プロジェクト原価管理 |
|
プロジェクト運用管理 |
|
プロジェクト収益性管理 |
|
次の手順を完了して、Daily Business Intelligence for Projectsを実装します。
これらの手順を完了した後は、他のOracle Daily Business Intelligence製品の実装に進むか、またはこのマニュアルの「Daily Business Intelligenceの設定」の「設定後の手順」を参照してください。この章では、ユーザーとセキュリティの設定方法の他、すべてのOracle Daily Business Intelligenceページに対する初期ロードと増分リフレッシュの実行方法について説明しています。Oracle Daily Business Intelligence製品を使用するには、これらの実装後の手順を実行する必要があります。
Daily Business Intelligence for Projectsでは、組織レベルと営業単位レベルでデータを保護できます。
各組織レベルでデータを保護する手順は、次のとおりです。
組織階層を作成するか、または既存の階層を特定します。
Oracle Human Resourcesセキュリティ・プロファイルを定義します。このプロファイルは、各ユーザーの組織階層の開始ノードを示します。プロファイルは、Daily Business Intelligence for Projectsの設定で指定された組織階層を指し示している必要があります。
このOracle Human Resourcesセキュリティ・プロファイルを、システム・プロファイル「PJI: 組織セキュリティ・プロファイル」に指定します。
営業単位ごとにデータを保護する手順は、次のとおりです。
Oracle Human Resourcesセキュリティ・プロファイルを定義します。このプロファイルは、各ユーザーの営業単位階層の開始ノードを示します。
このOracle Human Resourcesセキュリティ・プロファイルを、システム・プロファイル「MO: セキュリティ・プロファイル」に指定します。
詳細は、『Oracle HRMSインプリメンテーション・ガイド』のセキュリティに関する説明を参照してください。
次の手順を完了して、Daily Business Intelligence for Projectsの日々のレポートに使用する組織階層、期間タイプ、比率計算、計画タイプ、原価と労務単位、可用性しきい値を定義します。
「Project Intelligence責任者」職責を使用してOracle Applicationsにログインします。
「Project Intelligence設定」ページにナビゲートします。
組織階層を選択します。
「組織階層」フィールドで、Daily Business Intelligence for Projectsで使用する組織階層を選択します。選択する階層には、すべての営業単位からのすべてのプロジェクト所有組織と資源所有組織が含まれている必要があります。バージョン番号も選択すると、別のバージョンの階層を選択できることに注意してください。
組織階層はOracle HRMSで定義されます(『Oracle HRMSユーザーズ・ガイド(日本仕様)』を参照)。
必要な実装オプションを選択します。
これらのオプションによって、集計プロセスで更新されるレポートの内容が決まります。集計プロセスは、コンカレント・プロセスの「PRC: Project Intelligenceデータの更新」によって制御されます。
各Project Intelligenceレポート・グループに対してデフォルトの期間タイプを設定します。
各Project Intelligenceレポート・グループに対して、デフォルトの期間タイプを設定する必要があります。これらは、各レポート・グループで使用されるデフォルト値です。
値の選択時には、レポート要件を考慮する必要があります。デフォルトの期間タイプは、「年」、「四半期」、「月」または「週」から選択します。多くの企業が四半期基準でレポートしているため、デフォルト値は「四半期」です。
追加期間タイプ: プロジェクト期間タイプや会計期間タイプなど、他の期間タイプ別にデータを集計できるようにするには、対応する「期間タイプ」チェック・ボックスを選択する必要があります。これらの期間タイプの詳細は、「時間ディメンション」を参照してください。
注意: 追加期間タイプを使用可能にすると、集計するデータの量が増え、データを迅速に更新できなくなる可能性があります。これらのオプションは、企業でこのような集計が必要な場合にのみ選択してください。すべての会計帳簿で1つのカレンダを使用していて、そのカレンダをエンタープライズ・カレンダとして選択している場合は、追加期間タイプとして会計を選択しないでください。また、ユーザーによっては、管理レポート目的のプロジェクト期間タイプは必要ない場合があります。
Project Intelligenceに関連するレポートに対して比率計算オプションを設定します。
Project Intelligenceの記帳対請求比率は、表示されるレポートで選択した時間パラメータに関係なく、固定期間を使用して計算されます。この理由は、フローに関連する比率計算で、ある残高が別の残高と比較されている場合は、これらの計算が、平滑効果を保証するためにロール期間にわたって表示される必要があるためです。このように計算されない場合は、結果が正確に表示されません。
「記帳対請求比率日数」に、固定期間をカレンダ日数で入力します。
待機バックログ日数: 「待機バックログ日数」フィールドは、バックログが待機とみなされるまでの日数を示します。この設定項目は重要です。その理由は、プロジェクトで活動が行われないと、特定の期間収益が生成されないためです。待機バックログの詳細は、『Oracle Daily Business Intelligence Reference Guide』のバックログに関する説明を参照してください。
レポート計画タイプを設定します。
予算と予測に使用する予算タイプと財務計画タイプをそれぞれ定義できます。
各レポート計画タイプに対して、デフォルト予算タイプを定義します。
次の表に、各レポート計画タイプに対するデフォルト予算タイプを示します。
レポート計画タイプ | デフォルト予算タイプ |
---|---|
原価予算タイプ | 承認済原価予算 |
収益予算タイプ | 承認済収益予算 |
原価予測タイプ | 予測原価予算 |
収益予測タイプ | 予測収益予算 |
予算金額の記録に異なる予算タイプを使用している企業の場合は、デフォルトの予算タイプ値を編集します。Daily Business Intelligence for Projectsの予算金額と予測金額は、期間別に入力されているか、一括で入力されているかによって、異なる方法でレポートされます。
各レポート計画タイプに対して、デフォルト財務計画タイプを定義します。
デフォルト値は提供されていません。両方の予算モデルを使用している場合は、財務計画タイプが予算タイプより優先されます。
各レポート計画タイプに対して、換算レート日基準を定義します。
予算と予測は、属している営業単位の機能通貨で入力されます。これらの金額は、次のいずれかの日付で適用可能な換算レートを使用して、比較分析のためにグローバル通貨に換算されます。
計画期間の初日: 計画金額は、計画期間の開始日を使用して、その基準通貨からグローバル通貨に換算されます。多くの企業で換算の目的でこの日付が使用されるため、この値がデフォルトです。
計画期間の最終日: 計画金額は、計画期間の終了日を使用して、その基準通貨からグローバル通貨に換算されます。
換算レート日基準を選択する前に、企業ポリシーを考慮する必要があります。通貨取引の換算の目的で、計画期間の開始時に適用可能なレートを通常使用している場合は、最初のオプションを選択します。
原価と労務単位を設定します。
Daily Business Intelligence for Projectsのレポートで使用される原価のタイプを設定します。次の原価タイプから選択できます。
総原価: これがデフォルト値です。
直接費
資源管理に関するレポートで使用される労務単位を設定します。労務単位は、時間数または日数のいずれかでレポートできます。デフォルト値は時間数です。
注意: 稼働日の定義は、営業単位によって異なる場合があります。たとえば、ある営業単位での稼働日は8時間で、別の営業単位では7時間の場合があります。1日の作業の時間数は工数(FTE)によって指定されます。工数の時間数を定義する方法の詳細は、『Oracle Projects Implementation Guide』のスタッフ実装オプションに関する説明を参照してください。
可用性しきい値を設定します。
次の事前定義済の可用性値を使用して、可用性しきい値を定義できます。
12.5
25
50
75
100
これらのデフォルト値は上書きできます。Daily Business Intelligence for Projectsのレポートで使用されるデフォルトの可用性しきい値として、5つの値のいずれかを必ず選択してください。
組織によって資源可用性の定義が異なる場合があることに注意してください。ある組織では、資源が時間の50%を超えた場合に使用可能であるとみなされるのに対して、別の組織では、可用性しきい値は75%の場合があります。値を選択する前に、組織の資源可用性の定義を考慮する必要があります。
Project Intelligence管理者職責を使用して、次のコンカレント・プロセスを実行します。
このプロセスでは、プロジェクト財務データとプロジェクト資源管理データの初期更新と増分更新が実行されます。
このコンカレント・プログラムにはパラメータはありません。
このプロセスでは、プロジェクト財務データの完全リフレッシュまたは部分リフレッシュが実行され、要約表の財務データが置換されます。
プロジェクト:自/プロジェクト:至: 対象とするプロジェクトまたはプロジェクトの範囲を選択します。
このプロセスでは、プロジェクト資源管理データの完全リフレッシュまたは部分リフレッシュが実行され、要約表の資源管理データが新規資源管理データで置換されます。