Oracle Orderインプリメンテーション・マニュアル リリース11i B25742-01 | ![]() 目次 | ![]() 戻る | ![]() 次へ |
受注は、次のエンティティで構成されるビジネス・オブジェクトとしてモデル化されています。
ヘッダー・レベル
受注ヘッダー
ヘッダー販売実績
包括受注ヘッダー
明細レベル
受注明細
包括受注明細
明細販売実績
明細価格調整
明細価格設定属性
明細調整属性
明細調整関連
ロット/シリアル番号
以前にへッダー・レベルで定義されていた属性の多くは、現在、明細レベルでも定義されています。たとえば、「請求先」は、明細レベルで定義されています。これにより、同じ受注の受注明細を異なる請求先サイトに請求できます。ヘッダー・レベルでの属性値は、明細レベルでの属性値のデフォルト設定として使用されます。『Oracle Electronic Technical Reference Manual(eTRM)』を参照してください。
Order Managementエンティティ
以前は、受注タイプを使用して、受注情報のデフォルト設定、請求などの処理管理の確立、および最も重要な役割として、受注の受注サイクルを決定していました。これにより、受注サイクルが受注の処理フローを制御していました。Oracle Order Management 11iでは、受注サイクルがOracle Order Management Workflow定義に置き換えられ、受注タイプはOrder Management取引タイプに置き換えられました。Oracle Order Managementには、受注と明細の両方に使用できるシード済ワークフロー・プロセス定義が用意されています。また、受注ヘッダーと受注明細の両方の取引タイプを定義できます。
新規の受注明細は、Oracle Order Entryリリース11の受注明細とは機能的にも技術的にも異なります。これには、いくつかの新しい属性に加え、既存のSO_HEADERS表、SO_ORDER_LINES表およびSO_LINE_DETAILS表からの属性も含まれます。
Oracle Order Managementでは、明細レベルに依存関係がなく、各明細には独自のフローがあります。
Oracle Order Entryに対するOracle Order Management 11iの改善点
Oracle Order Entryでは、明細はそれが属する受注ヘッダーと同じサイクルをたどっていました。このリリースでは、明細はヘッダーとは異なるフローをたどります。受注の各明細は、その明細タイプに連結されたワークフロー割当に応じて異なるフローをたどることができます。
Oracle Order Entryでの出荷は(出荷の親)明細とは異なっていましたが、このリリースでは各受注明細が出荷です。明細の5要素(明細番号、出荷番号、オプション番号、構成部品番号、サービス番号)は、「受注」フォームに「1.1.1.1.1」として表示されます。
明細の受注数量は、当初受注数量ではなくオープン数量を示します。取消は、受注数量の減少および取消済数量の増加としてモデル化されます。ユーザーおよびシステムが定義する処理制約では、受注フロー内で取消機能が有効になるポイントが定義されます。つまり、受注数量の削減(取消)事由を指定するために進行する必要のあるポイントを定義できます。アプリケーションでは、事由コードが指定されるたびに、受注数量の変更履歴が記録されます。
明細に多数のヘッダー属性を使用できます。その値は価格表、営業担当、支払条件、出荷および梱包指示、基本契約、請求先などのヘッダー属性とは異なっていてもかまいません。
計画済受注明細は、Advanced Planningシステムに需要として表示されます。
要求出荷日または要求到着日に基づいて受注を処理できます。搬送リード・タイムは予定出荷日を決定するために使用され、ユーザーが指定できます。
明細の一部がOracle Order Entryで処理されると、一部サイクル・ステータスが反映されていました。このリリースでは、受注明細は一部処理時に分割されます。Oracle Order Managementでは、「出荷確認」、「返品受入」、「直接出荷受入」などのアクティビティで明細が分割されます。
Oracle Order Entryでは、小数による数量はサポートされませんでした。このリリースでは標準の品目と構成について小数による数量がサポートされます。また、Oracle Order Managementでは、異なる単位による受注、価格設定および出荷もサポートされます。
出荷許容範囲がサポートされます。許容範囲の値は、明細レベルでデフォルト設定および調整できます。
受注明細の入力には、内部品目番号または単一の一般品目番号(UPC、EAN、JAN、CLEI)による顧客品目番号を使用できます。Oracle Inventoryで相互参照タイプを定義して、品目の指定に使用することもできます。
明細は、作成日とは異なる日付に基づいて価格設定できます。価格設定日は公開され、明細が請求処理されるまでは異なる日付に基づいて再価格設定できます。
返品の入力には、当初の受注、請求書または発注に加えてシリアル番号情報を使用できます。
OE_ORDER_LINES_ALL表には、出荷、オプション、展開品目明細および構成品目明細が格納されています。
各明細は出荷であり、明細番号と出荷番号を通じて識別されます。ユーザーが参照可能な明細番号は、単一の明細に属するすべての出荷に連結されます。出荷をさらに分割するには、「明細の分割」ウィンドウを使用できます。LINE_SET_IDでは、当初明細からの出荷が連結されます。Oracle Order Entryでは、SO_LINES_ALLの単一属性にのみ採番が格納されており、明細の種類に応じて明細番号、出荷番号、オプション番号またはサービス明細番号を表していました。このリリースでは、これらの番号はOE_ORDER_LINES_ALL表の別個の列に非正規化されています。また、構成部品番号を使用すると、特定の明細に含まれる展開品目を追跡できます。
明細のカテゴリ・コードは、それがインバウンド(RETURN)であるかアウトバウンド(ORDER)であるかを示します。デフォルトで明細取引タイプから設定されます。
構成に含まれる各行のTOP_MODEL_LINE_IDは、トップ・モデルを指します。モデル明細のTOP_MODEL_LINE_ID値は、それ自体に設定されます。LINK_TO_LINE_IDは、構成に含まれる単一明細の直接の親を指します。ITEM_TYPE_CODEでは、品目はSTANDARD、MODEL、CLASS、OPTIONまたはINCLUDED ITEMとして識別されます。半組立品(PTO内のATOモデル)の場合、半組立品に含まれるオプション、区分および展開品目のATO_LINE_ID列はATOモデル明細を指します。
Oracle Order Entryでは、S列とS Date列を使用して受注サイクル・ステータスが追跡されていました。これに対して、Oracle Order Managementでは、ワークフローを使用してステータスを追跡します。重要なステータス(「オープン/クローズ」、「記帳済」、「履行済」)は、明細に非正規化されます。FLOW_STATUS列には明細フロー要約ステータスが格納され、その値は明細がフロー中で進行するにつれて変化します。API OE_LINE_STATUS_PUBは、明細フローの完了を含む、各種の機能ステータスの情報を提供します。
Oracle Order Entryでは、SVRID列を使用して属性値のデフォルト設定と属性変更の連鎖が管理されていました。Oracle Order Managementでは、PL/SQLベースのデフォルティング・フレームワークを使用してレコードのデフォルト値が提供されますが、属性のデフォルト設定方法に関する監査証跡は保持されません。
Oracle Order Managementでの取消は柔軟です。明細の受注数量を直接変更することで、明細の一部を取り消すことができます。システムでは、標準品目の明細の取消が受注処理フローで出荷確認や請求インタフェース(非出荷フローの場合)へと進行しないように、制約がシードされています。必要な場合は、より限定的な制約を定義できます。
取消はワークフロー経由で追跡されません。明細の取消済数量は、その明細に対して取消が実行されたかどうかを示します。受注と明細の取消済フラグは、全体が取消済かどうかを示します。全取消の場合、ヘッダーおよび明細フローはいずれもクローズ・アクティビティに強制的に送られます。
Oracle Order Managementでは、受注数量の削減が取消として表示される時期を決定するルールを設定できます。取消事由を要求されるのは、その明細の取消済数量が指定した数量を超えて増加した場合のみです。数量変更に事由コードが指定されるたびに、旧レコードのコピーがOE_ORDER_LINES_HISTORYに格納されます。
Oracle Order Managementには、PL/SQLベースのデフォルティング・フレームワークで拡張された機能が用意されています。受注属性のデフォルトは、生成されたPL/SQLデフォルト・ルールに基づいて設定されます。受注のヘッダーや明細の属性ごとのルール・セットと、各ルールの使用条件を定義できます。
レコードを更新しても、既存の子レコードへの連鎖効果はありません。たとえば、受注ヘッダーの倉庫を変更しても、既存の受注明細の倉庫は変更されません。このため、最初に値のデフォルト設定に使用されたルールを格納する必要がなくなります。一括変更機能を使用すると、レコード・セットの特定の値を更新できます。一括変更機能を使用して、受注の全明細の倉庫を異なる値に変更できます。
デフォルティング・フレームワークは、オブジェクト、オブジェクト関連および属性定義に関してAKディクショナリに依存します。各種オブジェクトを同じレコード、関連レコード、プロファイル・オプション、カスタムAPIなどのデフォルト・ソースとして使用できます。デフォルト・ルールは、ユーザー定義条件に基づいて適用できます。
履行はワークフロー対応であり、システムまたはユーザー定義の履行イベントとセットにより駆動されます。構成は、アプリケーションにより暗黙的に履行セットとして扱われます。次の履行イベントがシードされます。
出荷確認
購買リリースの受入
返品受入
独自の履行イベント・アクティビティを定義できますが、それを認識するようにシード済の「履行」アクティビティを構成する必要があります。受注明細を1つ以上の履行セットに割り当てることができます。履行セット内の明細が「履行」アクティビティ以降へと進行するのは、該当する履行セットの全メンバーが履行された場合のみです。
受注明細の列(履行フラグ、履行済数量)は、明細が履行済かどうかと履行済数量を示します。超過出荷/出荷不足の場合は、履行数量が受注数量とは異なる場合があります。超過出荷の許容範囲/出荷不足の許容範囲により、超過出荷または出荷不足の場合に明細が履行済とみなされるかどうかが制御されます。
一括変更を使用すると、選択したレコード・セットに対して属性値を更新できます。また、コピー、価格再設定、予定作成、保留の適用も可能です。
Oracle Order Managementでは、PL/SQLベースの処理制約フレームワークにより、拡張された柔軟性の高いセキュリティが提供されます。ワークフロー・アクティビティ・ステータスやカスタムAPIなど、各種ソースに基づいて制約条件を定義できます。また、組込みルールと除外ルールの両方を使用し、職責に対して制約を定義することもできます。
このフレームワークは、オブジェクトと属性の定義に関してAKディクショナリに依存しています。Oracle Order Managementでは、受注オブジェクトの更新、挿入および削除操作ごとに制約がチェックされます。
Oracle Order Managementではシード済のシステム制約が減少し、緩和されているため、柔軟性が向上しています。ビジネス・ニーズに即したより限定的な制約を定義できます。一部の制約は下位互換性のためにシードされますが、削除できます。
例:
受注の記帳後は明細を削除できないという制約が、アップグレードするお客様をサポートするためにシードされます。この明細は、ビジネス要件にあわせて削除できます。
制約により一定の処理を実行できない場合は、その処理の実行権限を持つ他のユーザーに通知を送信するかどうかを選択できます。
Oracle Order Managementでは、出荷セットおよび到着セットをサポートしています。後者を使用すると、一括して到着させる必要がある明細を指定できます。ピック・リリースでは、リリースできる明細を判断するときに出荷セットや到着セットは検査されません。出荷確認時には、出荷セットを分割するか(および分割可能かどうか)が通知されます。出荷セットに含まれる一部の明細を出荷すると、該当する明細が出荷セットから自動的に削除されます。出荷セットまたは到着セットに含まれる明細が1つでも出荷確認されると、そのセットが自動的にクローズされます。
出荷親エンティティはありません。作成される各明細は出荷であり、明細と出荷番号の両方が付いています。既存の出荷明細をさらに複数の出荷に分けるには、分割する必要があります。明細を分割すると明細セットが作成され、当初明細から分割されたすべての明細レコードはその明細セットを(line_set_id経由で)指します。この種の明細間で共通にする必要のある属性(品目、受注数量単位、出荷許容範囲)は、明細セットに格納されます。明細セットは、アウトバウンドのトップレベル明細(標準品目明細、キット明細、トップ・モデル明細)についてのみ作成されます。
明細の一部が処理される場合にアプリケーションにより分割されます。明細フローなど、すべての子エンティティも分割されます。全部処理済の部分はそのフローに沿って進行し、一部処理済の部分はフロー内で処理を待機します。
次の時点で一部処理があると、明細分割が実行されます。
出荷確認
直接出荷受入
返品受入
構成の一部が処理されると、比例分割される場合とそうでない場合があります。後者の場合は、アプリケーションにより、処理済明細と未処理明細の両方を含む残余セットも作成されます。
また、Oracle Order Managementでは履行セットもサポートしています。履行セット内の明細が「履行済」としてマークされるのは、履行セットのすべてのメンバーが履行済である場合のみです。
セット定義はOE_SETSに格納されます。明細セット、出荷セットおよび到着セットでのメンバーシップは、受注明細に非正規化されます。特定の受注明細を1つ以上の履行セットに含めることができるため、履行セットのメンバーシップはOE_LINE_SETSに格納されます。
アプリケーションの処理を駆動する一部の制御は、営業単位レベルで定義可能にする必要があります。Oracle Order Managementでは、この種の制御の設定が「システム・パラメータ」エンティティを通じて簡素化されています。「OMシステム・パラメータ」フォームを通じて次の制御を定義する必要があります。
品目検証組織
顧客関連有効化フラグ
Oracle Order Managementでは、Oracle Receivablesの設定が検査されて会計帳簿が判断され、OM固有のプロファイル・オプション経由で値を重複して設定する必要がありません。
アプリケーションには、明細用に受注タイプと同様のエンティティである明細タイプがあります。取引タイプには、受注タイプと明細タイプが格納されます。ほとんどの「取引タイプ」属性は、2つのタイプに共通です。ただし、ヘッダー・レベルでのみ使用可能な制御(受注採番制御など)や、明細レベルでのみ使用可能な制御(明細が社内調達されるか外部調達されるかを示す制御など)があります。受注取引タイプのカテゴリ・コード(ORDER、RETURN、MIXED)により、特定の受注にアウトバウンド明細とインバウンド明細を混在させるかどうかを制御できます。
また、取引タイプを使用すると、受注ヘッダーまたは明細がたどるワークフローを決定できます。受注タイプにはヘッダー・ワークフローが割り当てられ、受注タイプ、明細タイプおよび品目タイプの組合せには明細ワークフローが割り当てられます。異なる明細タイプを持ち、異なるフローをたどる明細を同じ受注に使用できます。
受注、明細、受注タイプ、明細タイプおよびワークフロー・プロセス間の関連