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Oracle Mobile Supply Chain Applicationsユーザー・ガイド
リリース12.1
B70971-01
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バーコード識別子の使用

この付録の内容は次のとおりです。

Mobile Supply Chain Applicationsのバーコード識別子の概要

データ識別子(DI)は、バーコード内に埋め込まれているデータのタイプを識別する目的で広く使用されています。DIは通常、1つから3つの文字で構成され、バーコードにエンコードされるデータの先頭に追加されます。たとえば、部品番号のDIがP+であるとします。あるバーコードにエンコードされる部品番号がAS54888の場合、このバーコードには値P+AS54888がエンコードされ、このバーコードが部品番号用で、その部品番号はAS54888であることを示します。

DIは、誤ったバーコードをスキャンしてモバイル・デバイスのフィールドに取り込むエラーを減らすのに役立ちます。また、DIにより、各フィールドを順不同でスキャンして、それらの値を適切なフィールドに配置できるため便利です。

Oracle DI機能

Oracle Mobile Applicationsには、DIが含まれたバーコードを認識し、順不同でスキャンできるDIサポートが用意されています。

フィールドの認識

Oracle Mobile Applicationsでは、バーコードに含まれるDIが認識され、そのDIと、スキャンした値を取り込むフィールドが検証されます。DI必須フラグが設定されているかどうかに応じて、DI検証に失敗するとユーザーにエラー・メッセージが表示されます。

モバイル・アプリケーションの各フィールドには、検証対象のDIを1つ以上割り当てることができます。また、各フィールドには、必要に応じてDI必須フラグを設定できます。DIが必須の場合、スキャンしてこのフィールドに取り込まれるバーコードには、このフィールドに割り当てられているDIのいずれかが含まれている必要があります。DIが検出されない場合、該当のモバイル・ユーザーはエラー・メッセージを受信します。DIが必須でない場合は、DIが検出されるとそのDIが検証されますが、検出されない場合は、バーコードの値全体がそのフィールドに挿入されます。

順不同のスキャン

Oracleでは、DIを使用した順不同のスキャンもサポートしています。スキャンしてフィールドに取り込む際に、カーソルが現在置かれているフィールド以外のフィールドに対応するDIが含まれていると、そのバーコードの値が適切なフィールドに入力されます。ユーザーは、現在のフィールドに対応するバーコードを引き続きスキャンしたり、別のDIが識別されたバーコードを順不同でスキャンできます。

フィールドに順不同で挿入された値は、ユーザーがそのフィールドにナビゲートしたときに検証されます。Oracleのフィールド・レベル検証は通常、検証の実行が前のフィールドに依存するため、ユーザーは通常のパスを続行してそのフィールドにナビゲートし、取引を完了する必要があります。

たとえば、モバイル・デバイスを使用して資材のその他出庫を実行しているユーザーは、最初に出庫する部品番号をスキャンします。このスキャンによって、部品番号のDIであるP+が検証されます。次のスキャンは、Q+10の値を含むバーコードです。現在のページにDIとしてQ+を使用するフィールドがあると判断されます。この場合は、値10が数量フィールドに配置されます。次に、ユーザーは、出庫する資材の保管場所および保管棚をスキャンする必要があります。その後、ユーザーが数量フィールドにナビゲートすると、この数量が、以前にスキャンした保管場所および保管棚の有効数量に対して検証されます。

Oracle Mobile ApplicationsのDIフロー

バーコードがスキャンされると、モバイル・デバイスは、サーバーに転送されるデータの先頭にASCII制御文字(データ・ストリーム・インディケータ)を追加します。Oracle Mobile Serverは、データ・ストリーム・インディケータを認識し、バーコード・データ内の認識可能な未確認データ・フィールドを検索します。現在のページのフィールドに割り当てられているDIが認識されます。バーコードの値が抽出され、そのDIによって表されているフィールドに挿入されます。

DIサポートに必要な要素

DIをサポートするには、使用しているモバイル・デバイスが、スキャンされたエントリの先頭に任意の文字を自動的に追加する必要があります。Oracle Mobile Applicationsでの使用が認証されているすべてのモバイル・デバイスがこの機能をサポートする必要があります。モバイル・デバイスをDIサポート可能に設定する方法については、次の項で説明します。

Oracle Mobile ServerもDIのスキャンをサポートするように適切に構成する必要があります。

最後に、モバイル・デバイスを介して使用する特定のOracleアプリケーションがDI機能を適切にサポートする必要があります。現在、DI機能を完全にサポートしているのは、Oracle Mobile Supply Chain Applications(在庫管理セグメント)およびOracle Warehouse Managementです。DIがサポートされているかどうか不明な場合は、特定の製品のユーザーズ・ガイドを確認してください。

DIサポートの設定

DIサポートを有効にする設定には、3つのステップがあります。モバイル・デバイスは、すべてのスキャンに対して先頭にASCII制御文字を追加するように構成する必要があります。モバイル・サーバーは、スキャンされたエントリを示す適切なASCII制御文字を認識するように構成する必要があります。最後に、アプリケーションは、モバイル・フォームの各フィールドのDIを認識するように設定する必要があります。

ハードウェアの設定

DIサポートを構成するための最初のステップは、すべてのスキャンに対して先頭にデータ・ストリーム・インディケータを追加するようにモバイル・デバイスを構成することです。データ・ストリーム・インディケータは、ASCII制御文字(印刷不可能な文字)である必要があります。Oracle Mobile Applicationsでの使用が認証されているすべてのデバイスは、このタイプの構成をサポートします。ほとんどのスキャナは、構成バーコードをスキャンしたり、デバイス・キーパッドを使用して構成メニューにナビゲートしたり、リモート構成ツールを使用することで構成できます。

デフォルトのデータ・ストリーム・インディケータは、ASCII 28のファイル・セパレータです。使用できない理由がないかぎりは、ASCII制御文字をデータ・ストリーム・インディケータとして使用する必要があります。ただし、バックスペース(8)、水平タブ(9)、改行(10)、垂直タブ(11)、改ページ(12)、復帰改行(13)、シフト・アウト(14)、シフト・イン(15)またはエスケープ(27)を除くASCII制御文字をデータ・ストリーム・インディケータとして使用できます。

モバイル・サーバーの設定

先頭にデータ・ストリーム・インディケータを追加するようにデバイスを構成した後は、適切なデータ・ストリーム・インディケータを認識するようにモバイル・サーバーを構成する必要があります。各デバイス構成に異なるデータ・ストリーム・インディケータを設定することで、様々なモバイル・デバイスの異なる機能をサポートできます。構成設定は、デバイス構成ファイル内にあります。モバイル・サーバーに付属のデフォルトのデバイス構成設定(default_key.ini)では、データ・ストリーム・インディケータはデフォルトのASCII 28に設定されています。

DIを完全にサポートするには、スキャンされたエントリの先頭にデバイスが追加する文字が、使用しているデバイス構成の.iniファイルのエントリと一致する必要があります。

アプリケーションの設定

DI情報は、モバイル・フォームのフィールド・ラベルの格納場所と同じ場所(AK Dictionary)に格納されます。これは、現状より大きい/小さい/説明的なフィールド・ラベルが必要な場合に、モバイル・フォームに表示されるフィールド・ラベルに変更を加える場所と同じです。AK Dictionaryにアクセスするには、デスクトップのOracle Applicationsにログオンし、AK開発者職責にアクセスします。この職責が割り当てられていないユーザーは、システム管理者に連絡してください。

AK Dictionaryへのナビゲート

AK開発者職責内では、DIを属性レベルまたはリージョン項目レベルの2つの異なるレベルで登録できます。リージョン項目は、基本的にはリージョンに割り当てられている属性です。リージョン項目レベルで登録されたDIは、属性レベルで登録されたDIよりも優先されます。

DIを属性レベルで登録するには、「属性の定義」フォームにナビゲートします。このフォームから、モバイル・フォームに表示される各フィールドのエントリにアクセスできます。属性は属性名またはラベルで問い合せることができます。DI文字は「デフォルトVarchar2値」と呼ばれるフィールドに入力します。DI文字の書式の詳細は、次を参照してください。

DIをリージョン項目レベルで登録するには、使用している特定のモバイル・アプリケーションで使用されるリソース表を認識している必要があります(Oracle InventoryおよびWMSの場合はINVRESOURCETABLEです)。リソース表は、リージョン・フォームの「リージョンの定義」フォームで問い合せることができます。たとえば、Oracle Inventoryのリソース表を問い合せるには、リージョンID = INVRESOURCETABLEで問い合せます。

適切なリソース表が検出された後は、「リージョン項目」ボタンをクリックできます。「リージョン項目」フォームでは、リソース表から、モバイル・アプリケーションで使用されているすべてのAKリージョン項目を表示できます。モバイル・ページの適切なフィールドに対応するフィールドを検索して、「デフォルトVarchar2値」と呼ばれるフィールドにDI文字を入力します。

DI文字の入力

DI文字は、属性レベルまたはリージョン項目レベルの「デフォルトVarchar2値」と呼ばれるフィールドに入力します。このフィールドに入力するテキストは、次の書式である必要があります。

DI=Q+,q+,Q,q REQ=N

前述のテキストは、このフィールドに使用できるDIがQ+、q+、Qおよびqの4つの文字であることを示しています。また、このフィールドではDIが必須でないことも示しています。フィールドに対してDIを必須にするには、DIリストの後にテキストREQ=Yを使用します。

DIは、検証される順序でリストされている必要があります。

注意: 他のDIのサブセットであるDIは、元のDIの後に含めるようにしてください。たとえば、DI QがDI Q+の前にリストされていて、DI Q+を使用してバーコードがスキャンされた場合、Qはバーコードから削除されますが、+がフィールド値の一部として残るため、エラーが発生します。

Oracle Mobile Applicationsには、実装プロセスを容易にするために、様々な業界標準のDIがシードされています。