ヘッダーをスキップ

Oracle E-Business Suite
リリース11iから12.2へのアップグレード・ガイド
E51767-01
目次へ
目次
次のページへ
次へ
次のページへ
次へ

停止時間の短縮

この付録では、アップグレード前に実行できるタスクを説明します。実際にアップグレードする前にこれらのオプション・タスクを完了しておくと、アップグレード・プロセス中にシステムがオフライン化されている期間を大幅に短縮できる可能性があります。

この付録の内容は次のとおりです。

Customer Relationship Management

この項で説明するステップは、システムでCustomer Relationship Management製品を使用している場合のみの推奨ステップです。

Trading Community Architecture

リリース12.2へのアップグレード前にパッチ9572834 (ホット・パッチとして適用可能) を11i環境に適用します。このパッチにより、リリース12.2でのパーティ使用機能に必要なデータベース・オブジェクトが作成されます。また、arhmgtpu.sqlスクリプトの実行によって表HZ_PARTY_USG_ASSIGNMENTSも移入されます。

このパッチが11i環境に適用されていない場合、これらのアクティビティは12.2へのアップグレード中に実行され、データの量によってはパッチ適用時間が長くなる可能性があります。このパッチが11i環境にすでに適用されている場合、アップグレード時に表HZ_PARTY_USG_ASSIGNMENTSに挿入する必要があるのはパッチ適用後に作成または変更されたパーティ関係およびアカウント・レコードのみであるため、パッチ適用に必要な停止時間が改善されます。

FinancialsおよびProcurementタスク

この項で説明するステップは、システムでFinancialsおよびProcurement製品を使用している場合にのみ該当します。

Assets

この項で説明するタスクを完了すると、アップグレードに必要な停止時間を大幅に短縮できます。

減価償却

使用中の帳簿に現行オープン期間中の大量の減価償却データがあり、facpupg.sqlの実行に長時間かかる場合は、減価償却の実行時にビジネスで許可されているものとして現行期間をクローズするかどうかを、アップグレード前に考慮してください。このようにすると、使用中の帳簿の追加、前日付振替および保留中の除・売却と、現行オープン期間における再稼働を処理することで、停止時間を短縮できる可能性があります。

一括追加の転記

PayablesおよびProjectsからレポート用帳簿を使用したAssetsの帳簿に対して保留中の一括追加明細が大量にあり、faumamcr.sqlの実行に長時間かかる場合は、この保留中の一括追加明細をアップグレード前に準備して転記すると、停止時間を大幅に短縮できます。

General Ledger

この項で説明するタスクを完了すると、アップグレードに必要な停止時間を大幅に短縮できます。

転記済仕訳事前アップグレードのスタンドアロン・アップグレード

TUMSステップ・キー: GL_CREATE_JE_SEGVALS

使用するGeneral Ledgerに多数の転記済仕訳があり、glrsgup2.sqlの実行に長時間かかる場合は、この項を検討してください。

「General Ledger仕訳事前アップグレード」は、アップグレード中の停止時間を短縮できるオプション・プログラムです。このプログラムにより、転記済のGL仕訳が予定停止時間の前にアップグレードされ、未転記仕訳と新規に転記された仕訳のみが停止時間中にアップグレードされます。

「General Ledger仕訳事前アップグレード」は、「標準要求発行」フォームから実行する「プログラム - アップグレード前の転記済仕訳の準備」コンカレント・プログラムで構成されています。このプログラムはリソース集中型であるため、夜間や週末など、ピーク時間外に実行するように計画する必要があります。ただし、いつでも終了でき、再起動時には停止した時点から再開されます。プログラムの完了後も、必要に応じて再実行できます。このプログラムでは、前回の実行時以後に転記された仕訳のみが処理されます。

「プログラム - アップグレード前の転記済仕訳の準備」コンカレント・プログラムの実行に必要な機能をインストールするには、パッチ4685497を適用します。

法的エンティティ

リリース12.1へのアップグレード前にリリース11i環境で国コードを設定することにより、フォーム・エラーを防止できます。このステップは、法的エンティティ (HRで定義されてEBS補助元帳で使用されます) をリリース11iからリリース12.1に確実にアップグレードする上で必要です。

「事業所」ウィンドウにナビゲートし、場所レコードを問い合せ、国コードを設定します。「設定」->「組織」->「事業所」に移動します。場所レコードを問い合せ、国コードを設定します。

iProcurement

この項で説明するタスクを完了すると、アップグレードに必要な停止時間を大幅に短縮できます。

カタログ・データ事前アップグレード・プロセス

iProcurementをリリース11.5.9または11.5.10からリリース12にアップグレードする場合は、この事前アップグレード・プロセスをお薦めします。このプロセスでは、アップグレードの実際所要時間を短縮し、アップグレード・プロセスが円滑に実行されるように、バルクロードされたコンテンツが事前処理されます。このプロセスは複数回実行できます。例外が検出された場合は訂正し、例外が検出されなくなるまでプログラムを再実行してください。このプログラムは、ユーザーをシステムからログオフさせずに実行できます。注意: アップグレード前に検出されたが修正されなかった例外は、iProcurementカタログで使用できません。特に、このプログラムにより次のアップグレード・スクリプトの実行時間が短縮されます。

抽出プログラムの実行

  1. 抽出プログラムを実行し、iProcurementの抽出済カタログ・データが更新されていることを確認します。

    詳細は、『iProcurement Setup and Usage: Internal Catalog Extract Process』 (Doc ID: 215530.1) を参照してください。

  2. パッチ4914492を適用します。

    このステップでは、パッチ4914492を適切なノートすべてに適用します。このステップのログ・ファイルを慎重に確認し、パッチが問題なく適用されることを確認してください。

    AutoPatchログ・ファイルにエラーがある場合、問題を修正し、DBAにADPatchユーティリティを使用してこのパッチを再適用するよう依頼します。完了したら、実行ステップを手動完了としてマークし、検証ステップに進みます。

  3. パッチ5452131を適用します。このステップでは、パッチ5452131を適切なノートすべてに適用します。このステップのログ・ファイルを慎重に確認し、パッチが問題なく適用されることを確認してください。

修正して再ロードする例外

可能な場合は、カタログ・データの修正に役立つXMLファイルが用意されています。このXMLファイルをダウンロードしてデータの問題を修正し、eContent Managerのローダー機能を使用してカタログに再ロードできます。このような例外の例を次に示します。

次の表に、XMLファイルをダウンロードできる例外と、ファイル・タイプ (価格または品目) も示します。「削除?」列は、古いデータを消去するための削除ファイルが提供されるかどうかを示します。

例外 タイプ 削除? データ修正手順
通貨設定の通貨コードが無効であるか使用不可になっている 価格 Y 通貨定義を修正するか、ファイルをダウンロードし、有効な通貨を指定して再ロードします。
仕入先サイトが無効、使用不可、保留中または欠落している 価格 Y 仕入先サイトの定義を修正するか、ファイルをダウンロードし、ファイルまたはロード・オプション・ユーザー・インタフェースでサイトを指定して再ロードします。
中央契約者登録 (CCR) の仕入先登録が失効しているために仕入先サイトが無効である 価格 Y Purchasingで仕入先サイトの定義を修正するか、ファイルをダウンロードし、ファイルまたはロード・オプション・インタフェースでサイトを指定して再ロードします。
「全バイヤー」オプションが廃止になっている 品目 Y ファイルをダウンロードし、ファイルまたはロード・オプション・ユーザー・インタフェースで営業単位、仕入先および仕入先サイトを指定して再ロードします。
仕入先が無効であるか欠落している 品目 Y 仕入先定義を修正するか、ファイルをダウンロードし、ファイルまたはロード・オプション・ユーザー・インタフェースで仕入先および仕入先サイトを指定して再ロードします。
営業単位が無効である 品目 Y 営業単位定義を修正するか、ファイルをダウンロードし、ロード・オプション・インタフェースで営業単位、仕入先および仕入先サイトを指定して再ロードします。
設定の単位コードが無効であるか欠落している 価格 N 単位定義を修正するか、ファイルをダウンロードし、有効な単位を指定して再ロードします。
カタログのiProcurementカテゴリにマップしている購買カテゴリがない 品目 N iProcurementカテゴリを有効な購買カテゴリにマップするか、ファイルをダウンロードし、有効な購買カテゴリにマップされたiProcurementカテゴリを指定して再ロードします。
購買カテゴリが無効である 品目 N 購買カテゴリ定義を修正するか、iProcurementカテゴリを有効な購買カテゴリにマップするか、ファイルをダウンロードし、有効な購買カテゴリにマップされたiProcurementカテゴリを指定して再ロードします。

XMLファイルを使用して例外を修正する手順は、次のとおりです。

  1. XMLファイルをダウンロードします。

    ダウンロード・リンクでは、仕入先/仕入先サイト/契約/言語の組合せごとにItemException.zipという圧縮ファイルが提供されます。このファイルには2つのXMLファイルが含まれています。一方はSYNC処理用で他方はDELETE処理用です。複数のSYNCが含まれている場合もありますが (複数言語の場合) 、DELETEファイルは常に1つのみです。

    SYNCファイル名はItemException_Language_SYNC.xmlです。これはリリース11.5.9または11.5.10形式になっており、後でこれらの品目を (SYNC処理後に) 再ロードできます。DELETEファイル名はItemException_DELETE.xmlです。これもリリース11.5.9または11.5.10形式になっており、古いファイルをシステムから削除します (DELETE処理) 。

    注意: リリース11.5.9または11.5.10の場合、品目および価格という2種類のファイルがあります。言語は品目ファイルにのみ適用されます。

  2. データを修正します。表を参照してSYNCファイル内の該当する変更を確認してください。

  3. データを再ロードします。最初に、SYNCファイルを使用して品目を再アップロードします。

  4. 古いデータを削除します。提供された場合は、DELETEファイルを使用します。

  5. データ例外レポートを実行します。データ例外レポートを再実行して、修正に成功したことを確認します。このプロセスを、例外が検出されなくなるまで繰り返します。

システム・デフォルトの訂正により修正する例外

GPBAを作成するには、無効なデフォルト値による他の例外を修正する必要があります。この場合は、システム設定を修正します。事前アップグレードやデータ例外レポートを再実行したときに、例外が表示されないようにする必要があります。

次の表に、これらのデフォルト値例外を示します。

属性 例外 エラー・メッセージ
レート
  1. レート・タイプ設定のレート・タイプが無効または使用不可です。

  2. 日付とタイプの組合せに関するレートがありません。

  1. デフォルト・レート・タイプが無効です。

  2. レート基準日およびレート・タイプのデフォルトの組合せにレートがありません。

購買担当
  1. 購買担当が欠落しています。

  2. 購買担当が無効です。

  1. システムは購買担当のデフォルト値を取得できません。

  2. デフォルトの購買担当が無効です。

納入先事業所
  1. 納入先事業所が欠落しています。

  2. 納入先事業所が無効です。

  1. システムは納入先事業所のデフォルト値を取得できません。

  2. デフォルトの納入先事業所が無効です。

請求先事業所
  1. 請求先事業所が欠落しています。

  2. 請求先事業所が無効です。

  1. システムは請求先事業所のデフォルト値を取得できません。

  2. デフォルトの請求先事業所が無効です。

条件 条件が無効です。 デフォルトの支払条件が無効です。
出荷オプション
  1. 運送業者が無効です。

  2. FOBが無効です。

  3. 運送条件が無効です。

  4. 出荷管理が無効です。

  1. デフォルトの運送業者が無効です。

  2. デフォルトのFOB運送業者が無効です。

  3. デフォルトの運送条件が無効です。

  4. デフォルトの出荷管理が無効です。

移行プロセスで値が前述の表に示した新規GBPA属性にデフォルト設定される方法は、次のルールにより制御されます。

購買契約 (CPA) を参照するバルクロード品目

移行時には、新規GBPAのデフォルトとしてCPA情報が使用されます。

購買契約 (CPA) を参照しないバルクロード品目

移行では、レート、出荷先事業所、請求先事業所、条件および出荷オプションの値のデフォルト設定についてOracle Purchasingに依存します。詳細は、『Oracle Purchasingユーザーズ・ガイド』を参照してください。

GBPAヘッダーの購買担当の場合、移行では文書をソースとして購買担当が取得されます。ステータスに関係なく最近作成された文書が、次の順序で検索されます。一致は、仕入先、仕入先サイト、通貨および営業単位に基づきます。

基本契約要約

基本契約要約は、バルクロード品目に関して新規に作成された全基本契約のリストです。一方の表は購買契約を参照する基本契約を示し、他方の表はどのCPAも参照しない基本契約を示します。前者の場合、システムではCPA情報を使用してGBPAが作成されます。後者の場合は、Oracle Purchasingのデフォルトを使用してGBPAが作成されます。アップグレードが完了するまで、新規に作成されたGBPAにはアクセスできません。

自動的にマップするには、プロファイル・オプション「POR: ショッピング・カテゴリおよびマッピングの自動作成」を「Yes」に設定します。それ以外の場合、カテゴリはアップグレード・プロセスで自動的にマップされず、これらをマップするにはデータ修正スクリプトが必要になります。

Service Contracts

ルールおよび時間値の移行

Oracle Service Contracts (OKS) アーキテクチャでは、特定のOKS/OKC表に関連属性を格納することで、ルールおよび時間値の汎用データ構造が排除されます。システムにOKSが登録されている場合、11.5.10より前のリリースからアップグレードすると、アップグレード中にルールおよび時間値が新規アーキテクチャに移行します。

停止時間を大幅に短縮する必要がある場合は、アップグレード前に移行の主要部分を実行します。『Service Contracts 12.0 Rules and Time Values Migration』 (Doc ID: 372469.1) を参照してください。