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Oracle E-Business Suiteメンテナンス・ガイド
リリース12.2
E51768-01
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アラートの使用

Oracle Alertの概要

Oracle Alertは、完全な例外管理ソリューションです。

Oracle Alertでは、データベース内の重大アクティビティが即時に表示されます。これは、知っておく必要がある重要な、あるいは例外のビジネス・イベントを発生時に把握する上で役立ちます。また、要員と組織のパフォーマンスがリアルタイムで測定されるため、潜在的な問題箇所に即時に注目できます。Oracle Alertを使用して日常的な取引を自動化することにより、貴重な時間をより重要なタスクに割り当てることができます。さらに、Oracle Alertではすべての処理をオンラインで実行するため、膨大な書類に煩わされることがありません。

Oracle Alertを使用すると、必要なビジネス情報を柔軟にモニターできます。

Oracle Alertの詳細は、『Oracle Alertユーザーズ・ガイド』を参照してください。

基本的なビジネス・ニーズ

Oracle Alertは、次の基本的なビジネス・ニーズを満たしています。

Oracle Alertランタイム機能

Oracle Alert製品全体のライセンス・コピーを入手していない場合にも、Oracle E-Business Suite製品にパッケージされている事前定義済アラートを使用することで、Oracle Alertの主機能を利用できます。

すべてのOracle E-Business Suite製品はOracle Alertのランタイム・バージョンとともにパッケージされています。このランタイム・バージョンではOracle Alertの全ウィンドウが使用可能ですが、各ウィンドウには一部使用不可の機能があります。Oracle Alertのランタイム・バージョンを使用して実行できるのは、製品にパッケージされている事前定義済アラートのみであり、新規アラートを作成することはできません。

アラート定義

アラート

データベース内で特定の例外条件をチェックするメカニズムです。アラートの特性は、そこに含まれるSQL SELECT文で指定されます。SQL SELECT文はアプリケーションに対して、識別対象のデータベース例外と、その例外に関して生成する出力を指定します。

たとえば、$10,000を超える発注にフラグを設定するためのアラートを定義し、アラート出力名として発注の依頼者名と依頼者の担当マネージャ名を使用できます。すべての事前定義済アラートは、Oracle Alertの「アラート」ウィンドウに表示されます。

イベント・アラート

イベント・アラートは、データベース内で特定の例外または変化のオカレンスをモニターします。Oracle E-Business Suiteのウィンドウで情報を追加または更新すると、データベース内で例外が発生します。イベント・アラートは、アラートに含まれるSQL SELECT文に基づいてデータベース内で例外をモニターします。

定期アラート

定期アラートは、定義された予定に従って重要情報を定期的にレポートします。データベース内で発生した例外を即時に通知するイベント・アラートとは異なり、定期アラートはSQL SELECT文で指定された特定のデータベース情報を予定の間隔でスキャンします。

アラート処理

アラート処理とは、アラートにより実行される処理です。アラート処理をアラートからの出力に依存させることもできます。アラート処理は、次の3つのカテゴリに分類できます。

1つの処理に、メールIDへのEメール・メッセージの送信、Oracle E-Business Suiteプログラムの実行、オペレーティング・システムからのプログラムやスクリプトの実行、またはデータベース内の情報を変更するSQLスクリプトの実行を含めることができます。

1つのアラートに対して複数の処理を定義し、1つの処理でアラートの出力を取り込むことができます。たとえば、特定のアラートで例外の発生時にマネージャにメッセージを送信し、Oracle E-Business Suiteプログラムを実行できます。

処理セット

処理セットは、特定のアラートに対して使用可能なアラート処理の順序です。処理セットに含める各処理に順序番号を割り当て、処理の実行順序を指定できます。複数の処理セットを持つ事前定義済アラートもあります。また、各処理セットに順序番号を割り当て、各処理セットの実行順序を指定することもできます。

事前定義済アラート

事前定義済アラートには、次の2つのタイプがあります。

事前定義済アラートの使用

事前定義済アラートは、すべて最初は使用不可になっています。使用するアラートを使用可能にする必要があります。事前定義済アラートを表示または使用するには、Oracle E-Business Suiteの起動時にOracle Alertマネージャ職責を選択します。Oracle Alertマネージャ職責により、Oracle Alertメニューへのアクセス権が付与されます。

「アラート」ウィンドウにナビゲートして、事前定義済アラートを使用可能にするか編集します。Oracle E-Business Suite製品に対する事前定義済アラートを表示するには、「アプリケーション」フィールドにOracle E-Business Suite製品名を入力して問合せを実行します。

「名称」フィールドに、事前定義済アラートの名称が表示されます。「TYPE」フィールドは、アラートがイベント・アラートであるか定期アラートであるかを示します。

「使用可」チェック・ボックスを選択すると、アラートを使用可能にすることができます。また、終了日を入力すると、このアラートの実行終了日を指定できます。

「アラート詳細」ボタンを選択して「アラート詳細」ウィンドウを開きます。「インストレーション」タブ・リージョンをクリックして使用可能なインストレーションを表示します。

アラートの実行対象とするアプリケーション・インストールのOracle IDを入力します。選択できるのは、アラートを所有するアプリケーションに関連付けられたOracle IDのみです。「使用可」チェック・ボックスの選択を解除すると、アラートのOracle IDを一時的に使用不可にすることができます。

「処理」ボタンを選択して「処理」ウィンドウを開きます。アラートに対して定義されている処理が自動的に表示されます。

「処理」ウィンドウで「処理タイプ」が「詳細」に設定されている場合は、「処理詳細」ボタンを選択すると、その処理の詳細が表示されます。

アラート処理により、「メッセージ詳細」ゾーンの「宛先」フィールドに表示されたメールIDにアラート処理メッセージが送信されます。メールIDが&NAME形式の場合、Nameはアラートで定義された出力で、このフィールドを変更する必要はありません。ただし、「宛先」フィールドのメールIDが前述の形式でない場合、またはこのフィールドに値が入力されていない場合は、アラート処理メッセージの宛先ユーザーのメールIDを入力する必要があります。このウィンドウの内容を変更した後、作業内容を保存します。

「Oracle Alertオプション」ウィンドウにナビゲートします。このウィンドウで、アラートをチェックする際にOracle Alertが使用するオプションを定義します。

「アラート」ウィンドウで「処理セット」ボタンを選択し、「処理セット」ウィンドウにナビゲートします。アラートに対して定義されている処理セットが自動的に表示されます。

使用する各処理セットの「使用可」チェック・ボックスを選択します。「終了日」フィールドに日付を入力して、このアラート処理セットが使用可能な最終日を指定することもできます。

また、「処理セット・メンバー」ブロックで、その処理セットに使用する各処理セット・メンバーの「使用可」チェック・ボックスを選択します。

終了日を入力して、このアラート処理セット・メンバーが使用可能な最終日を指定することもできます。作業終了後に作業内容を保存します。

これで事前定義済アラートを使用する準備が完了しました。

事前定義済アラートのカスタマイズ

次の方法で事前定義済アラートをビジネス・ニーズにあわせてカスタマイズできます。

Eメールの統合

Oracle Alertでは、ワークフロー通知メーラーを使用してアラートEメール・メッセージをユーザーに送信します。メール・サーバーが設定され、ワークフロー通知メーラーがアラート要件に従ってEメール・メッセージを送信するように構成されていることを確認します。『Oracle Workflow管理者ガイド』の通知メーラーの設定に関する項を参照してください。

標準アラート・メッセージ・テキスト

すべてのアラート・メッセージ処理に表示されるメッセージのヘッダーおよびフッターのテキストをカスタマイズできます。「Oracle Alertオプション」ウィンドウの「メッセージ要素」タブ・リージョンにナビゲートすると、4つのメッセージ要素が自動的に表示されます。各要素は、すべてのアラート・メール・メッセージに表示される特定タイプのメッセージ・テキストを表します。

Oracle Alertのランタイム・バージョンの場合、編集する必要があるのは「メッセージ処理ヘッダー」および「メッセージ処理フッター」要素のみです。単に表示されるテキストをカスタマイズすれば、各アラート・メッセージの先頭および末尾のテキストが変更されます。アラート・メッセージに標準テキストを表示しない場合は、このテキストを空白にしておくこともできます。このウィンドウでの変更を完了してから作業内容を保存します。

アラート頻度

事前定義済の各定期アラートを実行する頻度の予定を作成できます。一部のアラートは毎日チェックし、一部のアラートは月に一度のみ、さらに他のアラートは明示的に要求した場合にのみチェックできます。重大な例外は毎日または24時間中に複数回モニターするように柔軟に設定できます。また、重要度の低い例外は、月次予定のように頻度の低い予定に設定できます。

事前定義済アラートの頻度を変更するには、「アラート」ウィンドウにナビゲートします。問合せを実行して変更する事前定義済の定期アラートを表示し、その「頻度」を変更します。

アラート履歴

Oracle Alertでは、特定のアラートに関する例外と処理の履歴を保存できます。「アラート」ウィンドウを使用して、アラートに関して履歴を保存する日数を変更します。単に「保持日数」フィールドを変更すれば、履歴の保存日数を変更できます。

重複の抑止

Oracle Alertで同じアラート例外に対してメッセージが繰り返して送信されないようにする場合は、重複メッセージを抑止するように選択できます。Oracle Alertでアラートに関して重複する例外条件が検出された場合、そのアラートについては処理セット・メンバーが再実行されません。

このオプションを指定するには、「アラート」ウィンドウの「処理セット」ブロックにある「重複抑止」チェック・ボックスを使用します。デフォルトでは、「重複抑止」チェック・ボックスの選択は解除されています。「重複抑止」チェック・ボックスを選択した場合は、アラート履歴の保存日数がアラート・チェック間隔の日数より1日以上長いことも確認する必要があります。Oracle Alertでは、履歴情報を使用して例外が重複例外かどうかが判別されます。

メッセージ処理

事前定義済アラートにメッセージ処理が必要な場合は、そのメッセージ処理の特定の側面をカスタマイズできます。「アラート」ウィンドウで「処理」ボタンを選択して「処理」ブロックにナビゲートします。このブロックで、カスタマイズ対象のメッセージ処理を表す行にカーソルを移動し、「処理詳細」ボタンを選択してそのメッセージ処理の「処理詳細」ウィンドウを開きます。メッセージ処理の次の機能を変更できます。

要約しきい

事前定義済アラートには、詳細処理、要約処理および例外なし処理という3つの処理タイプのいずれかが使用されます。例外なし処理は単純で、アラートに例外が検出されなかった場合に定義済の処理がOracle Alertにより実行されます。

ただし、Oracle Alertでは詳細処理または要約処理の実行時期をどのように認識するかが重要です。Oracle Alertでは、例外数に関係なく検出した例外ごとに詳細処理を実行するか、一意の例外セットに対して要約処理を実行できます。たとえば、アラートにより検出された例外ごとに個別のメール・メッセージを受信するか、アラートにより検出された全例外を要約する1件のメール・メッセージを受信できます。

「アラート」ウィンドウの「処理セット」ブロックにある「メンバー」タブ・リージョンで要約しきいを設定し、Oracle Alertが詳細処理から要約処理に切り替える前に検出できる例外数を指定できます。

Oracle Alertの事前コード化アラート

Oracle Alertインストールには、データベースとOracle Alertの使用時に生成するデータを管理しやすいように設計されたカスタム・アラートが含まれています。Oracle Alertには、システムの表領域、ディスク領域および割当てに関する潜在的な問題を系統的にモニターする8つのアラートが用意されており、これによりデータベース管理者の作業効率が向上し、データベース・パフォーマンスが改善されます。

古いコンカレント要求、アラート・チェック、および処理セット・チェックをデータベースからパージする作業が必要になる場合があります。Oracle Alertでは古いファイルを定期的に削除して貴重な表領域を解放し、データベースのパフォーマンスを改善するための2つのアラートが用意されています。

この項では、これらのアラートの概要と、システム・パフォーマンスを強化するための使用上の提案について説明します。

用語

事前コード化アラートの説明を読む前に、「用語集」に含まれる次の用語を十分に理解しておく必要があります。

Oracle AlertのDBAアラート

Oracle AlertのDBAアラートを使用すると、次の項目に関する通知を定期的に受け取ってデータベース管理に役立てることができます。

カスタマイズ可能なアラート頻度

Oracle AlertのDBAアラートは定期アラートであるため、データベースのチェック頻度を指定できます。データベースのニーズに応じて日次、週次または月次で実行するように設定します。

要約メッセージと例外なしメッセージ

Oracle Alertでは、DBAアラートに指定されているデータベース例外が検出されると、検出された全例外を要約するメッセージが送信されます。例外が検出されない場合は、その旨をレポートするメッセージが送信されます。Oracle Alertでは、変化がない場合にもデータベースのステータスが常に通知されます。

カスタマイズ可能なアラート入力

入力によりDBAアラートをカスタマイズできます。アラートの対象となるOracleユーザー名、表または索引を指定し、Oracle Alertでチェックする必要のあるエクステント数、最大エクステント数またはブロック数のしきいを指定できます。また、処理セット・レベルで入力値を定義できるため、異なるユーザー名、表および索引を対象とする複数の処理セットを作成できます。作成できる処理セットの数に制限はありません。

複数データベース・インスタンスのサポート

「アプリケーションDBA」アプリケーションは、Oracle AlertのDBAアラートを所有します。このため、Oracle Alertでは、作成されたデータベース・インスタンスがOracle Alertのデータベースの外部にある場合にも、そのすべてに対してDBAアラートを実行できます。

アプリケーションDBAアラートの説明

ここでは、DBAアラートごとにカスタマイズ可能な頻度と入力について説明します。

他のエクステントに割当てできない表

このアラートは、増分エクステントが最大空きエクステントよりも大きい表を調べます。

変数 説明
頻度 カレンダN日ごと
入力 表名、Oracleユーザー名

他のエクステントに割当てできない索引

このアラートは、増分エクステントが最大空きエクステントよりも大きい索引を調べます。

変数 説明
頻度 カレンダN日ごと
入力 索引名、Oracleユーザー名

表領域割当て制限に近づいているユーザー

このアラートは、表領域割当て制限に近づいているユーザーを検出します。

変数 説明
頻度 カレンダN日ごと
入力 Oracleユーザー名
表領域名
空き領域の最小残余率をチェック
領域の最大使用率をチェック
残余空き領域の最小合計(バイト数)
使用済領域の最大率

十分な空き領域のない表領域

このアラートは、指定した最小量の空き領域のない表領域を調べます。

変数 説明
頻度 カレンダN日ごと
入力 表領域名
残余空き領域合計をチェック
使用可能な空きエクステントの最大サイズをチェック
使用可能な空きエクステントの最大サイズ(バイト数)
残余空き領域の最小合計(バイト数)

大きすぎるか断片化されすぎている索引

このアラートは、指定のブロック数またはエクステント数を超えている索引を検出します。

変数 説明
頻度 カレンダN日ごと
入力 索引名
Oracleユーザー名
最大ブロック数をチェック
最大エクステント数をチェック
最大ブロック数
最大エクステント数

大きすぎるか断片化されすぎている表

このアラートは、指定のブロック数またはエクステント数を超えている表を検出します。

変数 説明
頻度 カレンダN日ごと
入力 表名
Oracleユーザー名
最大ブロック数をチェック
最大エクステント数をチェック
最大ブロック数
最大エクステント数

最大エクステント数に近づいている表

このアラートは、最大エクステント数の中で指定のエクステント数の範囲内にある表と索引を検索します。

変数 説明
頻度 カレンダN日ごと
入力 表名
Oracleユーザー名
残余の最小エクステント数

最大エクステント数に近づいている索引

このアラートは、最大エクステント数の中で指定のエクステント数の範囲内にある表と索引を検索します。

変数 説明
頻度 カレンダN日ごと
入力 索引名
Oracleユーザー名
残余の最小エクステント数

Oracle Alertの削除アラート

Oracle Alertの2つの事前コード化アラートは、Oracle Alertの使用時に生成するデータを管理しやすいように設計されています。Oracle Alertの使用中に、次の操作を実行できる必要があります。

カスタマイズ可能なアラート頻度

削除アラートの実行予定を指定します。定義した予定に基づいて、Oracle Alertによりコンカレント・マネージャに削除アラートが発行され、古いコンカレント要求がすべて削除されます。

カスタマイズ可能なアラート入力

入力によりアラートをカスタマイズできます。削除アラートの対象となるアプリケーションとコンカレント・プログラムを指定し、データが不要または古いとみなされる時期を決定します。入力値を処理セット・レベルで定義するため、異なるアプリケーションおよび異なるコンカレント・プログラムを対象とする複数の処理セットを作成できます。必要な数だけ処理セットを作成できるため、システムを不要なファイルから解放できます。

Oracle Alertの削除アラートの説明

ここでは、削除アラートごとにカスタマイズ可能な頻度と入力について説明します。

アラートと処理セット・チェックのパージ

このアラートは、指定の日数よりも古いアラートと処理セット・チェックを調べ、それを削除するSQL文スクリプトを実行します。

変数 説明
アラート・タイプ 定期
周期性 カレンダN日ごと
入力 アプリケーション名、アラート・チェック後の日数

注意: Oracle Alertでは、オープン応答のある応答処理アラートに関するアラート・チェックや処理セット・チェックは削除されません。

コンカレント要求のパージ

このアラートは、指定の日数よりも古いコンカレント要求とそれらに対応するログ・ファイルおよび出力ファイルを調べ、それらを削除するコンカレント・プログラムを実行します。コンカレント・プログラム名を入力する場合は、「要求」ウィンドウでコンカレント・プログラム名に添付されている可能性があるオプションの摘要ではなく、プログラム名(FND_CONCURRENT_REQUESTS表の列USER_CONCURRENT_PROGRAM_NAMEにあります)を使用する必要があります。

変数 説明
アラート・タイプ 定期
周期性 カレンダN日ごと
入力 アプリケーション名
コンカレント・プログラム名
コンカレント要求がコンカレント・マネージャに発行された後の日数
オペレーティング・システム・プログラム 各コンカレント要求のログ・ファイル、出力ファイルおよび対応するレコードを削除します
引数 コンカレント要求ID