Oracle Applications概要 リリース12 E05390-02 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
Oracle Applicationsリリース12システムでは、多くのOracle製品のコンポーネントが使用されます。これらの製品ファイルは、データベースおよびアプリケーション・サーバー・マシン上の、主な最上位ディレクトリ下に格納されます。
注意: JARファイルやユーティリティは必要に応じてダウンロードされますが、Applicationsファイルはデスクトップ・クライアント・マシンにはインストールされません。
選択するApplicationsのインストール方法にもよりますが、製品のディレクトリは、単一マシン(最も単純なケース)または複数のマシン(最も一般的な配置のタイプ)に配置できます。オペレーティング・システムの環境設定により、データベースおよびアプリケーションのサーバー・マシンのファイル・システム内に様々なファイルの場所が指定されます。ここでは、環境設定と対応のファイルおよびディレクトリの関連について説明します。
図2-1 最上位のApplicationsディレクトリ構造
db/apps_st/data(DATA_TOP)ディレクトリは、データベース・ノード・マシン上にあり、システム表領域、REDOログ・ファイル、データ表領域、索引表領域およびデータベース・ファイルが含まれます。
db/tech_st/10.2.0ディレクトリは、データベース・ノード・マシン上にあり、Oracle10g のORACLE_HOMEが含まれます。
apps/apps_st/appl(APPL_TOP)ディレクトリには、Oracle Applicationsの製品ディレクトリおよびファイルが含まれます。
apps/apps_st/comn(COMMON_TOPまたはCOMN_TOP)ディレクトリには、複数の製品で使用されるディレクトリおよびファイルが含まれます。
apps/tech_st/10.1.2ディレクトリには、Applicationsテクノロジ・スタック・ツール・コンポーネントに使用されるORACLE_HOMEが含まれます。
apps/tech_st/10.1.3ディレクトリには、Applicationsテクノロジ・スタックJavaコンポーネントに使用されるORACLE_HOMEが含まれます。
Oracle Applicationsでは、環境設定を活用して、実行可能プログラムとApplicationsの動作に必須の、その他のファイルを配置します。環境設定は、Oracle Applicationsのインストール時に定義されます。設定の多くは、Rapid Installの実行時に指定した情報により定義されますが、その他の設定には、すべてのインストールに対して同じ値が適用されます。
環境設定およびそれに関連する値は、UNIXでは末尾に.env(Windowsでは.cmd)が付いている環境ファイルに格納されています。環境ファイルおよび設定の詳細は、この後半を参照してください。
Oracle Applicationsリリース12では、Applicationsインスタンスの最上位ディレクトリの概念を導入しています。このディレクトリはインスタンス・ホームと呼ばれ、環境変数$INST_TOPによって示されます。
インスタンス・ホームの使用により、複数のインスタンス、たとえば開発インスタンスとテスト・インスタンスの間でApplicationsおよびテクノロジ・スタック・コードの共有が可能になります。同様に、特定のインスタンスの構成ログ・ファイルの集中化によりログ・ファイルの管理が容易になります。
インスタンス・ホームの基本構造は<APPS_BASE>/inst/apps/<context>/<INST_TOP>で、APPS_BASE(対応する環境変数はないか、必要ありません)はApplicationsインストールの最上位レベル、<context>はApplicationsコンテキストが存在する最高レベルです。たとえば$INST_TOPの設定は、<diskresource>/appmgr/inst/apps/testsys2のようになります。testsys2はコンテキスト名です。
図2-2 インスタンス・トップ
新しいインスタンス・トップ・モデルに移行する主な利点は、AutoConfigでAPPL_TOPやORACLE_HOMEディレクトリへの書込みが行われなくなるため、必要に応じてどちらのディレクトリも読取り専用ファイル・システムにできることです。以前のApplicationsリリースでは、adpatchユーティリティがpatching/adminノード上の$APPL_TOP/adminに書き込んでいましたが、新しいモデルでは$APPL_CONFIG_HOME/adminがかわりに使用されます。$APPL_CONFIG_HOMEは、<diskresource>/appmgr/apps/apps_st/applなどの値に等しくなります。
注意: 共有ファイル・システムの使用方法の詳細は、OracleMetaLinkのNote 384248.1の「Sharing the Application Tier File System in Oracle E-Business Suite Release 12」を参照してください。
インスタンス・ホームの概念を導入するもう1つの利点は、インスタンスのログ・ファイルを中央に格納して容易に管理できることです。これはセキュリティ上特に重要です。ログ・ファイルには、許可されていないユーザーの閲覧が禁止されているデータが含まれている場合があるためです。
次のダイアグラムは、リリース12のログ・ファイルに使用されているディレクトリ構造を、ログ・ファイルのカテゴリ分類に使用するサブディレクトリの一部とともに示しています。
図2-3 ログ・ファイル
db/apps_st/dataファイル・システムには、Oracleデータベースのデータ(.dbf)ファイルが含まれます。Rapid Installでは、データベース・サーバー上のいくつかのマウント・ポイント下のディレクトリに、システム、データおよび索引ファイルがすべてインストールされます。データベース・サーバー上のマウント・ポイントのディレクトリ名を、インストール時に指定できます。
Oracle Applicationsでは、あるORACLE_HOMEからApplicationsデータベースを実行し、他のORACLE_HOMEから他のApplicationsコンポーネントを実行するという使用方法がサポートされています。 この複数ORACLE_HOME構成により、ApplicationsではOracleデータベースの新機能と関連テクノロジを最も柔軟な方法で活用できます。
リリース12では、dbディレクトリ下にファイルがある、10g リリース2(10.2)のORACLE_HOME(Applicationsデータベース・ホーム)を利用します。これらのファイルは、Oracle Applicationsデータベースの実行および保守に必要です。
ヒント: Oracle E-Business Suiteは、常にデータベース・サーバー・パッチセット(マイナー・メンテナンス・リリース)で動作保証されています。
apps/apps_st/comn(COMMON_TOP)ディレクトリには、多くの様々なOracle Applications製品で使用されるファイル、およびサード・パーティ製品とともに使用される可能性のあるファイルが含まれます。
図2-4 COMMON_TOPディレクトリ構造
adminディレクトリ
COMMON_TOPディレクトリ下のadminディレクトリは、コンカレント・マネージャのログ・ディレクトリおよび出力ディレクトリのデフォルトの保管場所です。コンカレント・マネージャがOracle Applicationsレポートを実行すると、ログ・ファイルとテンポラリ・ファイルがadminディレクトリのlogサブディレクトリに書き込まれ、出力ファイルがadminディレクトリのoutサブディレクトリに書き込まれます。
コンカレント・マネージャがこれらのファイルを書き込む場所を変更できます。たとえば、ログ・ファイルと出力ファイルが各<PROD>_TOPディレクトリのディレクトリに書き込まれるよう設定できます。これは、コンカレント処理スループットが高いシステム上では、ディスク領域管理またはパフォーマンス・ボトルネックの可能性を回避する必要があるという観点から望ましい場合があります。
注意: 詳細は、『Oracle Applicationsシステム管理者ガイド』のコンカレント処理の概要に関する説明を参照してください。
adminディレクトリのinstallサブディレクトリには、Rapid Installで使用するスクリプト・ファイルとログ・ファイルが含まれます。adminのscriptsサブディレクトリには、リスナーやコンカレント・マネージャなどのサービスを開始および停止するのに使用するスクリプトが含まれます。
htmlディレクトリ
OA_HTML環境設定は、htmlディレクトリを指しています。Oracle Applications HTMLのサインオン画面およびOracle HTMLベース・アプリケーションのHTMLファイルは、ここにインストールされます。htmlディレクトリには、JavaServer Pages(JSP)ファイル、JavaScript、XMLファイルおよびスタイル・シートなど、HTMLベースの製品で使用されるその他のファイルも含まれます。通常のパスは、<diskresource>/appmgr/apps/apps_st/comn/webapps/oacore/htmlのようになります。新しい2つのサブディレクトリはMETA-INFおよびWEB-INFで、J2EE仕様を満たすために導入されました。
javaディレクトリ
リリース12では、様々なタイプのJavaファイルが格納される場所にいくつかの重要な変更が加えられています。Rapid Installでは、Oracle Applicationsのすべてのクラス・ファイルが、$JAVA_TOP環境変数が指しているCOMMON_TOP/classesディレクトリにインストールされます。zipおよびjarファイルは、(リリース12で導入された)$AF_JLIB環境変数が指している$COMMON_TOP/libディレクトリにインストールされます。最上位のJavaディレクトリである$COMMON_TOP/javaは、$JAVA_BASE環境変数が指しています。
utilディレクトリ
utilディレクトリには、Oracle Applicationsと一緒に出荷される、ライセンス取得済の他の開発元のユーティリティが含まれます。これらには、たとえばJava Runtime Environment(JRE)、Java Development Kit(JDK)およびZipユーティリティが含まれます。
Oracle Applicationsファイルは、APPL_TOPディレクトリと呼ばれる<dbname>APPLディレクトリに格納されます。
図2-5 APPL_TOPディレクトリ構造
APPL_TOPディレクトリに含まれるのは、次のとおりです。
コア・テクノロジ・ファイルおよびディレクトリ
製品ファイルおよびディレクトリ(全製品用)
メイン・アプリケーション環境ファイル(UNIXの場合<CONTEXT_NAME>.env、Windowsの場合<CONTEXT_NAME>.cmd)
連結済環境ファイル(UNIXの場合APPS<CONTEXT_NAME>.env、Windowsの場合APPS<CONTEXT_NAME>.cmd)
注意: CONTEXT_NAMEはApplicationsコンテキストです。詳細は第5章「AutoConfig」を参照してください。デフォルト値は<SID>_<hostname>です。
Rapid Installでは、このAPPL_TOPディレクトリに、ライセンスを取得したかどうかに関係なくすべてのOracle Applications製品のディレクトリ・ツリーが作成されます。
警告: 登録ステータスに関係なく、すべてのOracle Applications製品がデータベースおよびファイル・システムにインストールされます。未登録の製品用のファイルを削除しようとしないでください。
Rapid Installでは、アップグレードする場合に新規のApplicationsの最上位ディレクトリがインストールされます。Rapid Installでは、旧リリースの既存の製品ファイルは削除されませんが、新規のapps/apps_st/applディレクトリ・ツリーに新規の製品ファイルがアンロードされます。
各Applicationsの最上位ディレクトリは、Oracleデータベース・サーバー上の単一のOracle Applicationsデータベースと関連付けられます。Vision Demoシステムおよびテスト・システムの両方をインストールする場合、Rapid InstallではこれらのApplicationsシステムに1つずつ、計2つのファイル・システムが作成されます。
各製品には、APPL_TOP下にその製品自体のサブディレクトリがあります。サブディレクトリの名前には、Oracle General Ledgerの場合は「gl」のように、製品の標準的な短縮形を使用しています。各製品のディレクトリ内に、12.0.0など、ベースOracle Applicationsリリース・バージョン番号に由来する名前のサブディレクトリがあります。このディレクトリ内には、製品ファイル用の各種サブディレクトリがあります。
<APPL_TOP>/<prod>/<version>パスは、製品の最上位ディレクトリ(<PROD>_TOP)と呼ばれており、その値は<PROD>_TOP環境設定に格納されます。
たとえば、APPL_TOPが/d01/oracle/prodappsである場合、AD_TOP環境変数に含まれる値は/d01/oracle/prodapps/ad/12.0.0であり、AD_TOP環境変数は<APPL_TOP>/ad/12.0.0ディレクトリを指しています。
同じAPPL_TOPの場合、AU_TOPの値は/d01/oracle/prodapps/au/12.0.0であり、AU_TOP環境変数は<APPL_TOP>/au/12.0.0ディレクトリを指しています。同じ原理が、adminディレクトリ以外のすべてのディレクトリに適用されます。
<APPL_TOP>/gl/12.0.0などの各<PROD>_TOPディレクトリには、製品ファイルのサブディレクトリが含まれます。製品ファイルには、フォーム・ファイル、レポート・ファイル、およびデータベースのアップグレードに使用するファイルが含まれます。たとえば、Oracle General Ledgerのデータ入力フォームを表示するには、Oracle Applicationsが12.0.0ディレクトリの下にあるformsサブディレクトリ内のファイルにアクセスします。
図2-6 APPL_TOPディレクトリ構造
各<PROD>_TOPディレクトリ内では、製品のファイルがファイル・タイプや機能に応じてサブディレクトリに分類されています。次の図に、glを展開した完全なディレクトリ構造を示します。
図2-7 glディレクトリ構造の詳細
次の表では、製品サブディレクトリおよび各サブディレクトリに含まれるファイルのタイプを要約しています。
注意: すべての製品に、この表にリストした全サブディレクトリが含まれるわけではありません。
サブディレクトリ名 | 説明 |
---|---|
admin | <PROD>_TOP/adminディレクトリには、各製品をアップグレードするために使用する製品固有のファイルが含まれます。これは、すべての製品のアップグレード関連のファイルを含む<APPL_TOP>/adminディレクトリとは、区別されています。 |
driver | アップグレードに使用するドライバ・ファイル(.drvファイル)が含まれます。 |
import | シード・データのアップグレードに使用するDataMergeファイルが含まれます。 |
odf | 表やその他のデータベース・オブジェクトの作成に使用するオブジェクト摘要ファイル(.odfファイル)が含まれます。 |
sql | データのアップグレードに使用するSQL*Plusスクリプトと、PL/SQLストアド・プロシージャを作成するための.pkh、.pkbおよび.plsスクリプトが含まれます。 |
bin | コンカレント・プログラム、その他のC言語プログラムおよび各製品のシェル・スクリプトが含まれます。 |
forms | Oracle Formsの生成されたランタイム(.fmx)ファイル(Oracle Formsフォーム・ファイル)が含まれます。 |
help | オンライン・ヘルプのソース・ファイルが含まれます。このディレクトリ内には、インストールされている各言語用のサブディレクトリがあります。 |
html | 主にHTMLベースApplications製品を対象としたHTML、JavaScriptおよびJavaServer Page(JSP)ファイルが含まれます。 |
include | libディレクトリ内のファイルとリンクするC言語ヘッダー(.h)ファイルが含まれます。すべての製品にこのディレクトリが必要なわけではありません。 |
java | JARファイル(Javaアーカイブ・ファイル)およびJava依存ファイルが含まれます。JARファイルのコピーは$AF_JLIBディレクトリにもあります。 |
lib | コンカレント・プログラムをOracleサーバー・ライブラリと再リンクさせるために使用するファイルが含まれます。これらのファイルは次のとおりです。
|
logおよびout | コンカレント・プログラムの出力ファイルが含まれます。
ログ・ファイルおよび出力ファイルに対して共通ディレクトリの設定を選択した場合、製品ディレクトリ下のlogディレクトリおよびoutディレクトリは使用されないので注意してください(FND_TOPが唯一この場合の例外です)。 |
media | デスクトップ・クライアントでのテキストやグラフィックの表示に使用する.gifファイルが含まれます。 |
mesg | またコンカレント・プログラムは、ログ・ファイルと出力ファイルにメッセージを出力します。このディレクトリには、.msbファイル(ランタイムに使用されるバイナリ・メッセージ・ファイル)および言語固有のメッセージ・ファイル(英語(アメリカ)の場合はUS.msbファイル、ドイツ語の場合はD.msbファイルなど)が含まれます。ファイルには、画面またはポップアップ・ウィンドウの最下部に表示されるフォーム・メッセージが含まれます。 |
patch | データまたはデータ・モデルの更新では、このディレクトリを使用してパッチ・ファイルを格納します。 |
reports | 各製品用のOracle Reportsプラットフォーム固有のrdfバイナリ・ファイルが含まれます。各言語のレポートが、reportsディレクトリのサブディレクトリに格納されます。 |
resource | .pllファイル(Oracle FormsのPL/SQLライブラリ・ファイル)が含まれます。これらのファイルは、plsqlディレクトリのファイルと同様、後でAU_TOPにコピーされます。 |
sql | コンカレント処理の.sqlファイル(SQL*Plusスクリプト)が含まれます。 |
Oracle Applicationsを英語(アメリカ)以外の言語でインストールすると、関連するNLS言語コードを使用するディレクトリが各製品ツリーに組み込まれます。これらのディレクトリには、変換済のデータ、フォームおよびメッセージ・ファイルが含まれます。たとえば、Dという名前の言語ディレクトリは、ドイツ語を示します。adminディレクトリのDサブディレクトリにあるデータ・ローダー・ファイルには、ドイツ語に変換された製品シード・データが含まれます。
formsディレクトリのUSサブディレクトリには、英語(アメリカ)のOracle Formsフォームが含まれます。formsディレクトリのDディレクトリには、これらのフォームがドイツ語に変換された形で含まれます。ただし、mesgディレクトリには、メッセージ・ファイルが英語(アメリカ)とドイツ語で含まれます。
注意: 詳細は、『Oracle Globalization Support Guide』を参照してください。
admin、ad、auおよびfndディレクトリは、コア・テクノロジ・ディレクトリです。
adminディレクトリ
このディレクトリおよびそのサブディレクトリには、アップグレードおよび保守プロセスでADユーティリティが使用するファイルおよびスクリプトが含まれます。
これらのファイルおよびスクリプトは次のとおりです。
アップグレードの際に実行されるスクリプト
アップグレード・ファイル、ログ・ファイルおよび出力ファイル用の<SID>/logディレクトリおよび<SID>/outディレクトリ
ADプログラムにより再起動ファイルが作成される<SID>/restartディレクトリ
Applicationsコンテキスト・ファイル(<CONTEXT_NAME>.xml)
ad(Applications DBA)ディレクトリ
このディレクトリおよびそのサブディレクトリには、次のインストールおよび保守ユーティリティが含まれます。
au(Applications Utilities)ディレクトリ
このディレクトリおよびそのサブディレクトリには、最適な処理を行うために単一の保管場所内に連結された製品ファイルが含まれます。これらのファイルは次のとおりです。
Oracle Formsで使用される、resourceサブディレクトリ内のPL/SQLライブラリ
formsサブディレクトリ内のOracle Formsソース・ファイル
デスクトップ・クライアントのJARファイルを再生成する際に使用される、javaサブディレクトリ内のすべてのJavaファイルのコピー
reportsサブディレクトリ内の、Discovererなどの製品で必要なレポート
fnd(Application Object Library)ディレクトリ
このディレクトリおよびそのサブディレクトリには、データ・ディクショナリ、フォームおよびCオブジェクト・ライブラリを構築するためにすべてのOracle Applications製品の基盤として使用されるスクリプトおよびプログラムが含まれます。
従来のリリース11i の複数ノード・アプリケーション層インストールでは、各アプリケーション層ノードにAPPL_TOPファイル・システム(APPL_TOP、COMMON_TOPおよびいくつかの関連ディレクトリ)で構成された独自のファイル・システムとアプリケーション層テクノロジ・スタック・ファイル・システム(8.0.6 ORACLE_HOMEおよびiAS ORACLE_HOME)を保持する必要がありました。その後、マシン間でのAPPL_TOPの共有、さらにアプリケーション層ファイル・システム全体の共有が可能になるように変更されました。
この方針が継続され、リリース12のRapid Installでは、APPL_TOPおよびCOMMON_TOPファイル・システムのみでなく、アプリケーション・ノード・テクノロジ・スタック・ファイル・システムも共有するシステムが作成されます。Rapid Installでは、この構成が、同じオペレーティング・システムを実行するノードのデフォルトとして設定されます。これらのファイルがApplicationsノード・ファイル・システムを構成し、複数のApplicationsノードで共有できます(これらのノードが同じオペレーティング・システムを実行している場合)。
注意: 共有ファイル・システム構成は、Windowsを実行するアプリケーション層サーバー・ノードでは現在サポートされていません。
共有アプリケーション層ファイル・システムでは、各アプリケーション層ノードからマウントされた単一の共有ディスク・ソースにすべてのアプリケーション層ファイルがインストールされます。その後、アプリケーション層ノードはすべて、サービス用フォーム、Webページまたはコンカレント処理などの標準サービスの提供に使用できます。
必要なディスク領域の削減の他に、共有アプリケーション層構成には次のようないくつかの利点があります。
ほとんどの管理、パッチ適用および保守タスクは、単一のアプリケーション層ノードに対して一度実行するのみで済みます。
共有ファイル・システムに加えた変更は、すべてのアプリケーション層ノードで即時にアクセスできます。
処理タスクを複数のノード上でパラレルに実行されるように分散します(分散AD)。
全体としてのディスク要件を削減します。
他のアプリケーション層ノードの追加を容易にします。
共有ファイル・システムの使用方法の詳細は、OracleMetaLinkのNote 384248.1の「Sharing the Application Tier File System in Oracle E-Business Suite Release 12」を参照してください。
Rapid Installでは、Oracleデータベース、Oracleテクノロジ・スタック、Oracle HTTP ServerおよびOracle Applications環境を設定するいくつかの環境ファイルが作成されます。
これらの環境ファイルの保管場所は、次の表に示しています。
UNIXの場合、Oracle Applicationsには、Oracle ApplicationsおよびOracleテクノロジ・スタックの環境を設定するAPPS<CONTEXT_NAME>.envと呼ばれる連結済環境ファイルが含まれます。Oracle Applicationsをインストールすると、Rapid InstallによりAPPL_TOPディレクトリにこのスクリプトが作成されます。インストール・プロセス中に、多数のパラメータが指定されます。
Windowsの場合、同等の連結済環境ファイルは%APPL_TOP%¥envshell.cmdと呼ばれます。実行すると、Oracle Applicationsに必要な環境設定のコマンド・ウィンドウが作成されます。APPL_TOPでのその後すべての操作(たとえばadadminまたはadpatchの実行)は、このウィンドウから実行する必要があります。
次の表では、APPS<CONTEXT_NAME>.envでの重要な環境設定をリストしています。
テンポラリ・ファイルの多くは、Rapid Installにより設定されたAPPLTMP環境設定で指定された場所に書き込まれます。
Applicationsは、コンカレント処理で使用するPL/SQL一時出力ファイルも作成します。これらのファイルは、APPLPTMP環境設定で指定されるデータベース・サーバー・ノード上の場所に書き込まれます。APPLPTMPディレクトリは、データベース初期化ファイルのutl_file_dirパラメータで指定されたディレクトリと同じである必要があります。
Rapid Installでは、APPLPTMPおよびutl_file_dirパラメータがどちらも同じデフォルト・ディレクトリに設定されます。
Oracle Applicationsユーティリティの中には、前のパラグラフで示した環境設定を定義した場合でも、オペレーティング・システムのデフォルトの一時ディレクトリを使用する場合があります。したがって、このディレクトリの他、APPLTMPおよびAPPLPTMPで指定されたディレクトリにも十分な空きディスク領域があることを確認してください。複数ノード・システムでは、APPLPTMPで定義されたディレクトリがアプリケーション層サーバー上に存在する必要はありません。
注意: utl_file_dirディレクトリにあるテンポラリ・ファイルは、このディレクトリにOracleデータベース・アカウント専用の読取りおよび書込みアクセスがあることを確認することにより、許可されていないアクセスから保護できます。
他のいくつかの主な環境ファイルは、Oracle Applicationsシステムで使用されます。
adovars.envファイル
$APPL_TOP/adminにあるadovars.envファイルで、Javaファイル、HTMLファイルおよびJRE(Java Runtime Environment)ファイルなどの各種ファイルの保管場所を指定します。このファイルは、メイン・アプリケーション環境ファイル(<CONTEXT_NAME>.env)から呼び出されます。adovars.envファイルには、各変数の目的と推奨する設定に関するコメントが含まれています。リリース12環境では、adovars.envはAutoConfigにより保守されるので手動で編集しないでください。
adovars.envファイルには次のパラメータが含まれます。
パラメータ | 説明 |
---|---|
AF_JLIB | すべてのJavaアーカイブ・ファイルがコピーされるディレクトリを示します。たとえばapps/apps_st/comn/java/lib。リリース12で導入されました。 |
JAVA_BASE | 最上位のJavaディレクトリを示します。たとえばapps/apps_st/comn/java。リリース12で導入されました。 |
JAVA_TOP | すべてのJavaクラス・ファイルがコピーされるディレクトリを示します。たとえばapps/apps_st/comn/java/classes。リリース12で定義が変更されました。 |
OA_JAVA | すべてのJavaアーカイブ・ファイルがコピーされるディレクトリを示します。たとえばapps/apps_st/comn/java/classes。 |
OA_JRE_TOP | JREがインストールされる場所を示します。たとえば/local/java/jdk1.5.0_08。 |
OAH_TOP | HTMLファイルのコピー先となる場所を定義します。たとえばapps/apps_st/comn/webapps/oacore。 |
OAD_TOP | 状況依存文書ファイルのコピー先となる場所を定義します。たとえばapps/apps_st/comn。 |
LD_LIBRARY_PATH | 多くのUNIXプラットフォームで、実行時に必要となるダイナミック・ライブラリ・ファイルのスキャン対象ディレクトリをリストする際に使用されるパス。 |
CLASSPATH | 実行時に必要となるJavaクラス・ファイルを検索するための、スキャン対象ディレクトリおよびzipファイルをリストします。 |
ADユーティリティ・プログラムでは、各種データベースおよびファイル管理タスクが実行されます。これらのユーティリティでは、正常に動作するために特定の構成情報が必要です。Oracle Applicationsがインストールされ、その後adconfig.txtファイル(<APPL_TOP>/adminディレクトリ内)に格納された場合、この構成情報が指定されます。作成された後、このファイルはその他のOracle Applicationsユーティリティで使用されます。
注意: APPL_TOPファイル・システムを使用すると、adconfig.txtが作成されます。このファイルには、特定のノード上で構成されている層が示されています。Rapid Installで使用されるconfig.txtファイルとは異なります。
Application Object Libraryで使用される追加環境変数を設定します。たとえば、製品実行可能プログラムおよびシェル・スクリプトが格納されるサブディレクトリ(bin)の名称として、APPLBINが設定されます。このファイルは変更する必要はありません。デフォルト値はすべての顧客に適用できます。このファイルはFND_TOPディレクトリにあります。
サード・パーティ・ソフトウェアおよび独自のカスタム開発アプリケーションをOracle Applicationsにリンクさせるための変数を設定します。リリース12では、このスクリプトはFND_TOP/usrxitにあり、fndenv.envにより自動的に呼び出されます。これにより、カスタムOracle Formsのユーザー・イグジットおよびコンカレント・プログラムをコンパイルし、Oracle Applicationsにリンクできます。