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Oracle Applications概要
リリース12
E05390-02
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認証および統合

概要

認証の対象は幅広く、様々なテクノロジおよびコンポーネントが含まれます。ここでは、主要なアーキテクチャの概念と、組織に必要な認証レベルを設定する上で必要な意思決定について概要を説明します。

注意: 関連する認証および承認ドキュメントの詳細なリストは、OracleMetaLinkのNote 380482.1の「Oracle Application Server with Oracle E-Business Suite Release 12 Documentation Roadmap」を参照してください。

Oracle E-Business Suiteユーザーの認証は、従来のFND_USERメカニズムを使用して、複雑な設定が不要の簡単明瞭な構成にできます。あるいは、シングル・サインオンやOracle PortalおよびOracle Discovererなどのオプション製品の使用といった、様々な追加機能および高度化レベルを含めることができます。システム管理者は、設定と保守の単純さ、企業全体のアプリケーションに1箇所からアクセスする必要性の有無、サード・パーティ・ユーザー・ディレクトリとの統合能力、および組織の全体的なセキュリティ要件などの要素を考慮して、インストールに最適なソリューションを選択できます。

簡潔に説明している拡張機能には、ユーザー・プロファイル情報を企業全体で自動的に同期化し続けるためのタスク、およびOracle E-Business Suiteリリース12の複数のアプリケーション・アカウントにOracle Internet Directoryのアカウントをリンクするために必要なステップがあります。

重要: この章で説明するシングル・サインオンなどの拡張認証機能は、Oracle E-Business Suiteリリース12ではオプションです。使用する場合は、後述のようにして必要な追加設定手順を実行する必要があります。

ここで説明しているソリューションでは、承認の問題には触れていません。ユーザーが認証されると、Oracle E-Business Suiteリリース12は、ユーザーがログインしているアプリケーション・アカウントに関連付けられた承認情報を取り出します。アプリケーション・アカウントの承認情報は、Applications職責によって管理されます。Oracle E-Business Suiteリリース12では、ユーザー・セッション中に必要となった場合に承認チェックが適用されます。

Oracle Application Server 10g のオプション・コンポーネント

Oracle Application Server 10g のオプション・コンポーネントをOracle E-Business Suiteリリース12とともに使用する利点は、次のとおりです。

複数ノードのロード・バランス構成、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)およびその他の分散アーキテクチャを含む、より高度な配置トポロジもサポートされています。

注意: 追加オプションの詳細は、『Oracle Applicationsシステム管理者ガイド - セキュリティ』の第6章を参照してください。

Oracle Portal

Oracle Portal(Oracle Application Server 10g の一部)は、企業クラス・ポータルを開発、配置、管理および構成するための、完全なブラウザ・ベース環境です。Oracle Portalでは、完全なポータル構築フレームワークに、ポータル内部でアクセスされる情報の作成と管理を容易にするセルフサービス公開機能が組み込まれています。単純な部門レベルの公開ポータルから、顧客および従業員の両方に対応するインターネットにアクセス可能なポータルまで、様々なポータル・インタフェースおよび構成が可能です。Oracle Application Serverの他のコンポーネントおよびOracleデータベースとの密接な統合により、このソリューションは企業クラスのユーザーに対応できます。

注意: Oracle PortalとE-Business Suiteリリース12の統合の詳細は、OracleMetaLinkのNote 380484.1の「Using Oracle Portal 10g with Oracle E-Business Suite Release 12」を参照してください。

Oracle Discoverer

組織のすべてのレベルのビジネス・ユーザーが、Discoverer 10.1.2を使用してデータ・マート、データ・ウェアハウスおよびオンライン・トランザクション処理(OLTP)システムの情報に直接アクセスできます。Discoverer 10.1.2により、ビジネス・アナリストは非定型の問合せおよびレポートを作成できます。一時的ユーザーは、広範な事前定義のレポートやグラフを利用して、レポートの対象となる基礎データ構造の複雑性が表面に現れないビジネス・ビューを得ることができます。

Discoverer 10.1.2は、Oracle E-Business Suiteリリース12と緊密に統合されています。リリース12のユーザーは、Discovererを使用して、Financials、Operations、Human Resources、Purchasing、Process Manufacturing、Activity Based Managementなどの選択したビジネス・エリアのデータを分析できます。

Discovererは、Discoverer 10.1.2をOracle Business Intelligence Server 10g リリース2とともにスタンドアロンのアプリケーション層サーバー・ノードにインストールするか、既存のアプリケーション層サーバー・ノード上の独立したOracle Business Intelligence Server 10g リリース2のORACLE_HOMEにインストールすることで、既存のOracle E-Business Suiteリリース12環境に統合できます。

注意: Oracle DiscovererをOracle E-Business Suiteリリース12とともに使用する方法の詳細は、OracleMetaLinkのNote 373634.1の「Using Discoverer 10.1.2 with Oracle E-Business Suite Release 12」を参照してください。

エンタープライズワイドなシングル・サインオン

シングル・サインオン機能を使用すると、単一のユーザーIDを使用して、Oracle E-Business Suiteおよびその他のアプリケーションにアクセスできます。個々のアプリケーションに別々にログインする必要はありません。Oracle E-Business Suiteでは、Oracle Single Sign-On、Oracle Internet Directory(OID)およびOracle Portalを利用してシングル・サインオン機能を使用できます。

エンタープライズワイドなシングル・サインオン・ソリューションを実装するには、Oracle E-Business Suiteリリース12ユーザーの認証に使用されるメカニズムに大幅な変更を加える必要があります。FND_USER表を使用した固有の方法で認証を実行するかわりに、この機能はOracle Single Sign-Onに委任されます。Oracle Single Sign-Onでは、次のいずれかを実行できます。

Oracle E-Business Suiteリリース12では、このいずれかのソリューションを使用して、シングル・サインオン・メカニズムにより保証された識別情報を受け入れます。Oracle Internet Directoryは、Oracle E-Business Suiteリリース12が企業レベル・ユーザー管理に関わることのできる統合ポイントとなることで、補完的な役割を果たしています。

注意: サード・パーティのシングル・サインオン・サーバーが使用中の場合でも、E-Business Suiteリリース12とサード・パーティのシングル・サインオン・ソリューションとの中継用に、Oracle Single Sign-OnおよびOracle Internet Directoryが必要です。

各E-Business Suiteインスタンスでは、登録済ユーザーのレコードが、従来のアプリケーション・アカウントの形式で保守されている必要があります。ただし、企業レベル・ユーザーに必要な抽象化レベルには、企業全体でユーザーを一意に識別できるメカニズムが必要です。これは、Global Unique Identifier(GUID)によって実現します。Oracle Internet DirectoryおよびOracle E-Business Suiteには、企業レベル・ユーザーごとにGUID情報が格納されています。GUIDは、Oracle Internet DirectoryおよびOracle E-Business Suiteの両方で認識される識別バッジとみなすことができます。

こうした環境のもう1つの要件は、明確に定義された場所でユーザー登録を1回のみ実行し、ユーザーがその後で企業のその他のユーザーに認識されることです。2つの追加機能により、次のことが可能になります。

外部または第三者のユーザー・ディレクトリにあるユーザー情報は、LDAPプロトコルを使用したOracle Internet Directoryとの同期化が可能です。Oracle Internet Directoryを使用すると、集中保管場所にあるOracle E-Business Suiteを含む、様々なアプリケーション・システムが参照可能なユーザー情報を管理および公開できます。

Oracle E-Business Suiteをシングル・サインオン環境に統合する際に生じる複雑さの大部分は、以前独立していたシステムを統合した結果として、シングル・サインオン環境の断片化または重複したユーザー・データを連結する必要があることが原因です。

ここで説明しているソリューションは、GUIDを使用して既存のデータをまとめてリンク付けするメカニズムを提供します。さらに、統合されたシングル・サインオン環境へ移行するときに、バルク移行ツールを使用して、Oracle Internet DirectoryとE-Business Suiteの間で多数のユーザーを移動できます。

Oracle Internet DirectoryとE-Business Suiteリリース12の間でユーザー証明書を完全に同期化するには、関連するOracle Application Server 10g コンポーネントを配置する必要があるので注意してください。

注意: Oracle Single Sign-OnおよびOracle Internet Directoryによってシングル・サインオンを実装する方法の詳細は、『Oracle Applicationsシステム管理者ガイド - セキュリティ』の第6章およびOracleMetaLinkのNote 376811.1の「Using Oracle Application Server 10g with Oracle E-Business Suite Release 12」を参照してください。

Application Serverの統合オプション

Application Server 10g は統合ハブとして機能することができ、これによって、Oracle E-Business Suiteをその他の企業ソフトウェア(サード・パーティ・ベンダーのソフトウェアを含む)と連動させることができます。

図8-1 Application Server統合アーキテクチャ

本文の説明内容に関するイメージ

デフォルトで、リリース12では引き続きローカルのE-Business Suiteユーザー・ディレクトリ(FND_USER)をユーザー認証に使用します。オプションで、リリース12のユーザー認証を、外部で動作しているSingle Sign-On 10g とOracle Internet Directory 10g に委任できます。

リリース12を、サード・パーティのLDAP(Microsoft Active DirectoryまたはSunONE/iPlanet)あるいはサード・パーティのシングル・サインオン・ソリューション(Microsoft Windows KerberosまたはNetegrity SiteMinderなど)に統合できます。これには、前述のダイアグラムに示されているように、選択したサード・パーティのソリューションを外部のOracle Application Server 10g インスタンスを介して統合する必要があります。リリース12では、ユーザー認証をOracle Single Sign-Onに委任し、Oracle Single Sign-Onはサード・パーティのシングル・サインオン・ソリューションに認証を委任します。

逆に、サード・パーティのLDAPのユーザー情報はOracle Internet Directory 10g と同期化する必要があり、これがそのユーザーをE-Business SuiteのFND_USERディレクトリと同期化します。同期化はOracle Directory Integration Platformにより処理されます。

基本的なシングル・サインオン配置シナリオ

この項では、既存のOracle E-Business Suiteインスタンスが新規Oracle Single Sign-OnおよびOracle Internet Directoryインフラストラクチャに統合される単純な配置シナリオについて、概略を説明します。それに続く説明では、サード・パーティのシングル・サインオン・ソリューションの有無または複数のユーザー・リポジトリの有無など、追加要素を考慮しています。

注意: この項では、すべてのインストールに適用される共通タスクの高レベルな概要を説明しています。特定のサイトの要件に必要となる正確なステップは、さらに詳細なものになります。

このシナリオの開始点は、既存のOracle E-Business Suiteリリース12インストールと、別のマシン上にある新規のOracle Application Server 10g インストール(Oracle Single Sign-OnおよびOracle Internet Directoryを含む)です。

Oracle Internet Directoryには現在、事前シード済のユーザー以外に既存のユーザーは存在せず、Oracle Portalは実装されていません。Oracle E-Business Suiteリリース12を、Oracle Single Sign-OnおよびOracle Internet Directoryに統合する必要があります。

主な目標

図8-2 Oracle Single Sign-OnおよびOracle Internet Directoryと組み合せたE-Business Suiteの配置

本文の説明内容に関するイメージ

ユーザー管理オプション

既存のOracle E-Business Suiteリリース12アプリケーション・アカウントは、バルク移行ツールを使用して、Oracle Internet Directoryのシングル・サインオン・アカウントに移行されます。移行の後、システム管理者には、ユーザー情報の作成場所およびユーザー情報の供給(送信)先に関連する、数多くのユーザー管理オプションが用意されています。

オプション1

ユーザー情報はすべて、Oracle E-Business Suiteリリース12で作成され、Oracle Internet Directoryに供給されます。

図8-3 E-Business SuiteからOracle Internet Directoryへのユーザー情報の供給

本文の説明内容に関するイメージ

Oracle E-Business Suiteリリース12で新規アプリケーション・アカウントを作成すると、Oracle Internet Directoryで新規シングル・サインオン・アカウントの作成が自動的にトリガーされます。アプリケーション・アカウントのユーザー属性の一部は、アカウントの作成時にOracle Internet Directoryのシングル・サインオン・アカウントに供給される場合があります。

オプション2

ユーザー情報はすべて、Oracle Internet Directoryで作成され、Oracle E-Business Suiteリリース12に供給されます。

図8-4 Oracle Internet DirectoryからE-Business Suiteへのユーザー情報の供給

本文の説明内容に関するイメージ

Oracle Internet Directoryで新規アプリケーション・アカウントを作成すると、Oracle E-Business Suiteリリース12で新規シングル・サインオン・アカウントの作成が自動的にトリガーされます。シングル・サインオン・アカウントのユーザー属性の一部は、アカウントの作成時にOracle Internet Directoryのアプリケーション・アカウントに供給される場合があります。

オプション3

ユーザー情報はすべて、Oracle Internet DirectoryまたはOracle E-Business Suiteリリース12のいずれかで作成され、その他のシステムに供給されます。

図8-5 E-Business SuiteとOracle Internet Directoryの間のユーザー情報の供給

本文の説明内容に関するイメージ

リリース12で新規アプリケーション・アカウントを作成すると、Oracle Internet Directoryの新規シングル・サインオン・アカウントの作成が自動的にトリガーされ、Oracle Internet Directoryで新規シングル・サインオン・アカウントを作成すると、リリース12の新規アプリケーション・アカウントの作成が自動的にトリガーされます。

アカウントの作成時に、アプリケーション・アカウントのユーザー属性の一部がOracle Internet Directoryのシングル・サインオン・アカウントに供給される場合があり、シングル・サインオン・アカウントのユーザー属性の一部がOracle Internet Directoryのアプリケーション・アカウントに供給される場合があります。

ユーザー属性の同期化

前述の3つのオプションのすべてについて、ユーザー属性セットがどちらかのシステムから更新されるときに、オプションでOracle E-Business Suiteリリース12とOracle Internet Directoryの間で同期化できます。これは、供給プロファイルを設定して行います。

サインオン

Oracle E-Business Suiteリリース12環境にアクセスを試みた場合、Oracle Single Sign-Onで認証されていないユーザーは、Single Sign-Onログイン・ページに誘導されます。このページは、個々のサイトにあわせてカスタマイズできます。

Oracle Single Sign-Onにより認証された後(または以前に認証が実行済である場合)、ユーザーは、要求されたページまたはOracle E-Business Suiteリリース12のユーザーのホーム・ページに再度誘導されます。

サインアウト

ユーザーがOracle E-Business Suiteインスタンスをログアウトした場合、このユーザーは、Oracle Single Sign-OnおよびOracle Single Sign-Onに統合されたパートナ・アプリケーションからもログアウトします。ユーザーには、正常にログアウトしたすべてのアプリケーションがリストされたログアウト・ページが表示されます。

セッション・タイムアウト

シングル・サインオン環境における異なるセッションのタイムアウトの動作について理解し、適切なセキュリティ・レベルが保守されるようにすることが重要です。

ユーザーのアプリケーション・セッションがタイムアウトになる(または明示的にログアウトする)までは、Oracle Single Sign-OnセキュリティCookieが失効した場合でも、引き続きパートナ・アプリケーションにアクセスできます。アプリケーション・セッションのタイムアウト値は、Single Sign-Onのタイムアウト設定より優先されるため、アプリケーション・セッションのタイムアウト値を、Oracle Single Sign-Onのタイムアウト値以下に設定することをお薦めします。

高度なシングル・サインオン配置シナリオ

この項では、他の4つの配置シナリオについて概略を説明します。現実の配置はすべて一意であり、詳細な計画が必要であるため、ここで示すガイドラインは、決定的な指示ではなく高レベルな戦略を示したものとして考える必要があります。解決策の概略は、前述の基本的なシナリオに基づいています。

シナリオ1

要件: Oracle E-Business Suiteリリース12でOracle Single Sign-Onを使用可能にする必要があります。

開始時の環境

解決策

Oracle Internet Directoryまたは1つのOracle E-Business Suiteリリース12インスタンスを、ユーザー登録のソースとして指定できます。この場合、次の影響があります。

オプションで、Oracle E-Business Suiteリリース12インスタンスのユーザー・プロファイル情報は、Oracle Internet Directoryの情報と同期化された状態を保持できます。

シナリオ2

要件: Oracle E-Business Suiteリリース12の新規インストールを、既存のサード・パーティのシングル・サインオンおよびユーザー・ディレクトリ・インフラストラクチャに統合する必要があります。

開始時の環境

解決策

図8-6 E-Business Suiteのサード・パーティのシングル・サインオンおよびユーザー・ディレクトリとの統合

本文の説明内容に関するイメージ

サード・パーティのLDAPディレクトリに含まれる既存のユーザーは、Oracle Internet Directoryへバルク移行し、その後Oracle E-Business Suiteにバルク移行できます。

オプションで、Oracle E-Business Suiteのユーザー・プロファイル情報は、サード・パーティのLDAPディレクトリの情報と同期化された状態を保持できます。

シナリオ3

要件: 既存のOracle E-Business Suiteリリース12を、既存のサード・パーティのシングル・サインオンおよびユーザー・ディレクトリ・インフラストラクチャに統合する必要があります。

開始時の環境

解決策

サード・パーティのシングル・サインオンまたはLDAPディレクトリが関係していない場合、このシナリオより単純なシナリオが発生します。既存のOracle E-Business Suiteリリース12インストールと、Oracle Single Sign-OnおよびOracle Internet Directoryインフラストラクチャのみが存在します。このような場合、サード・パーティ(非Oracle)ソフトウェアに関連するすべてのステップを無視できます。

シナリオ4

要件: Oracle Single Sign-Onインフラストラクチャが現在配置されていない複数のOracle E-Business Suiteリリース12インストールで、Oracle Single Sign-Onを使用可能にする必要があります。

開始時の環境

解決策

高度なシングル・サインオン・オプション

特殊な状況で使用される可能性がある高度なオプションが数多く存在します。その一例をここで説明します。

単一のOracle Single Sign-Onアカウントに対する複数のアプリケーション・アカウントのリンク付け

通常、Oracle Internet Directoryのシングル・サインオン・アカウントは、Oracle E-Business Suiteリリース12の単一のアプリケーション・アカウントに対応します。ただし、特殊なケースでは、ユーザーがOracle Internet Directoryにシングル・サインオン・アカウントを持ち、Oracle E-Business Suiteリリース12に複数のアプリケーション・アカウントを持つことが必要な場合があります。

図8-7 シングル・サインオン・アカウントおよび複数のアプリケーション・アカウント

本文の説明内容に関するイメージ

必要に応じて、システム管理者がプロファイル・オプション「アプリケーションSSO許可複数アカウント」によりこの機能を有効にできます。