Oracle Applications概要 リリース12 E05390-02 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
Oracle E-Business Suiteでは、特定のビジネス要件および技術要件にあわせてインストールを構築およびカスタマイズするための多数のオプションが提供されます。最も単純なレベルでは、目標とする支出額と必要なパフォーマンスに準じて、適切な数のマシンを利用し、様々なApplicationsテクノロジ・レイヤーを分散する機能が含まれます。物理サイト組織および予想成長率など、より具体的なファクタもあります。他の側面では、需要の変動に対応する追加機能の提供が必要となる可能性、およびハードウェア・コンポーネントの一部に影響する問題が発生した場合に、リジリエンスが必要とされる可能性があります。システムの計画で最終的(かつ非常に重要)な考慮事項は、適切なセキュリティ・レベルを導入する必要性です。
この項では、各種コンポーネントまたはレイヤーにおけるロードのバランス調整に必要な意思決定方法を中心に説明します。この意思決定は、次の2つの理由により特に重要です。
ロード・バランスには、E-Business Suiteインストールのインフラストラクチャ全体が関係する場合があり、1つの領域に変更を加えると、他の領域に重大な影響を及ぼす可能性があります。
ロード・バランスに関して情報を得た上で意思決定をすると、多くの場合、追加ハードウェアに費用をかけずに、より高いレベルのパフォーマンスを得ることができます。
ロード・バランス領域には、次のものが含まれます。
ドメイン・ネーム・サーバー(DNS)
Web(HTTP)サービス
Formsサービス
コンカレント処理レイヤー
データベース・レイヤー
ここでは、ロード・バランス戦略およびその主な機能を重点的に説明しており、必要な技術要件およびビジネス要件を達成するにあたり、特定の領域のロード・バランスの適用可能性および有用性について、情報を得た上で意思決定を下すことができます。
ロード・バランスは、特定のWebサイトへ向けられたネットワーク・トラフィックを、サーバーのクラスタ内の1つ以上のマシンに分割するための方法です。通常、サーバーはすべて同じアプリケーションを実行し、ロード・バランスを使用することで外部からはクラスタではなく単一のサーバーのように見えます。関連するハードウェア・デバイス(多くの場合サーバー・ロード・バランサと呼ばれます)が、サイトに対する関連ネットワーク・トラフィックを受信し、それをクラスタでサポートされているロード・バランス方式に基づいてクラスタ内の様々なサーバーに分散します。サーバー・クラスタ内の異なるノードに要求を送信することで、システム・パフォーマンスが最適化され、スケーラビリティが単純化され、アプリケーションの可用性(Webベース・アプリケーションの主要要件)が大幅に強化されます。
ロード・バランスのその他の機能には、サーバーの可用性のモニタリングおよびコンテキストベースのロード分散があります。
サーバーの可用性のモニタリングでは、常にサーバー・プールが監視され、すべてのマシンがトラフィックに応答していることが定期的に確認され、(ネットワークの問題が原因と考えられる)無応答のサーバーがある場合にはサーバーのプールから除外することで、残りの使用可能なサーバーにトラフィックを振り向けることができます。
コンテキストベースのロード分散は、セッション永続接続の保持が必要なOracle E-Business Suiteなどのアプリケーションの場合に必須です。これによって、最初にセッションが確立されたときにCookieが作成されます。この要件をサポートするために、ロード・バランサは、クライアントで作成された各要求とともに送信されるネットワーク・パケット・ヘッダー情報を読み取って更新し、その要求を、対応するセッションが最初に確立されたときに使用され引き続き保持されているクラスタ内のノードに送信します。
ロード・バランサは、Oracle E-Business Suiteの一部としてはインストールされません。ただし、必要に応じて、Oracle E-Business Suiteをロード・バランサとともに使用するよう構成できます。
ロード・バランサの主要カテゴリは、次のとおりです。
セッション永続ロード・バランサ: クライアントの特定のサーバーとのHTTP接続が確立された後、セッションの継続期間中は、そのクライアントからの後続のHTTP要求は同じサーバーに送られます。この永続性は、持続性とも呼ばれています。
セッション非永続ロード・バランサ: これらのロード・バランサでは、受信HTTP要求のバランス調整にラウンドロビン戦略が使用され、セッション永続クライアント接続は保守されません。クライアントの最初のHTTP接続が指定のサーバーに送られた後、そのクライアントからの後続のHTTP要求は、同じサーバーに送られない場合があります。
Secure Sockets Layer(SSL)アクセラレータ: Secure Sockets Layer(SSL)アクセラレータを使用して、WebサーバーのSSLトラフィックおよびワークロードを減らすことができます。
通常、SSLアクセラレータはHTTPSブラウザ要求のターゲットであり、したがって、すべてのクライアント通信のターゲットです。SSLアクセラレータは、HTTPS SSL要求を非SSL HTTP要求に変換し、後続の要求をHTTPサーバー(非SSLモードで動作)に送る役割を果たします。SSLアクセラレータは、クライアント・ブラウザに応答を戻す前に、最初のプロセスとは逆に非SSL要求をSSL要求に変換しなおします。
Oracle E-Business Suiteでは、異なるタイプのロード・バランスを使用できます。具体的なニーズとサイトの既存のインフラストラクチャにあったタイプを選択してください。
ドメイン・ネーム・サーバー(DNS)レイヤー・ロード・バランス
このタイプのロード・バランサは、完全修飾されたドメイン名へのIPアドレスの動的割当てに基づいて、複数のサーバー・ノードにエンドユーザー要求を分散します。
図10-1に、DNSレイヤー・ロード・バランスを使用した構成の例を示します。
図10-1 DNSレイヤー・ロード・バランス
HTTPレイヤー・ハードウェア・ロード・バランス
HTTP通信を受け入れ、これをサーバー・ノード・グループ(ファームとも呼ばれます)に転送するハードウェア・ロード・バランサを使用している場合、このタイプのロード・バランスを使用できます。
図10-2に、HTTPロード・バランサが、2つのWebサーバー・ノードで構成されるファーム全体にロードを分散する構成の例を示します。
図10-2 HTTPレイヤー・ロード・バランス
ハードウェアベースのHTTPロード・バランサは、Oracle E-Business Suiteリリース12環境のすべてのポートを通過するすべてのトラフィックに対し、永続セッション接続が行われるよう構成する必要があります。これは、Oracle E-Business Suiteに同梱される様々なモジュールでセッション状態の保持が必要なため必須です。これが設定されないと、E-Business Suiteの使用中にトランザクション状態が失われる場合があります。
セッションの永続性にはハードウェア・ロード・バランサを構成する必要があります。
注意: ロード・バランス構成の詳細は、OracleMetaLinkのNote 380489.1の「Using Load-Balancers with Oracle E-Business Suite Release 12」を参照してください。