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Oracle Learning Managementユーザー・ガイド
リリース12
E06052-01
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Oracle Learning Managementの概要

Oracle Learning Managementの概要

Oracle Learning Management(OLM)は、拡大する従業員、顧客およびパートナの学習に対する意欲に対応した単一の統合学習提供システムを提供し、あらゆる教育モデルをサポートするために設計されています。

OLMは、人事管理アプリケーション内のタレント・マネジメント機能と緊密に統合されており、さらに、Oracle FinancialsおよびOracle Order Managementアプリケーションとも統合されているため、学習ビジネスの財務的および商業的な側面を管理できます。このアプリケーションでは、就業者のコンピテンスが記録されるため、候補者の配置、業績評価などのアクティビティとともにキャリア計画にも利用できます。

OLMには、カタログやオンライン・クラス管理から学習者登録や学習パスまでの広範囲な機能が用意されており、これらの機能を使用して次の各項で説明する操作を実行できます。

統合カタログを使用した全学習の管理

このカタログは、管理者が学習の設定や提供を管理するためのインタフェースになります。カタログ・モデルには、次の5つのカタログ・オブジェクトを使用します。

また、カタログからは、フォーラム、チャット、Web会議、学習パス、および学習認定などのネストされた階層の一部ではない他のオブジェクトを作成および保守できます。管理者はカタログを使用して、学習者にアクセス権を付与し、リソースを登録してコンピテンスを学習に割り当てます。また、学習者とマネージャは、カタログのバージョンを表示して学習に登録できます。

学習パスおよび学習認定へのコースのグループ化

学習パスは、業績をモニターして要員のキャリアを開発するのに役立ちます。学習パスでは、複数のコースが意味のある順序にグループ化されているため、完了ターゲットを組み込んで、学習パスを完了する必要がある日付を加入者に示すことができます。

各種の学習パスは、次の3つのソースから作成されます。

学習認定は、コンプライアンス研修などの通常の認定およびOracle DBAなどの専門能力開発認定を含む、一時的および更新可能な認定への加入と完了の機会を学習者に提供します。学習パスと異なり、認定には、更新および施行期日を含めることができます。管理者は、認定の持続期間、学習者による更新の可否と更新日時、およびアプリケーションによる通知の送信日時を多様なオプションから選択して指定できます。

登録の追跡と管理

管理者は、クラス、学習パスおよび学習認定に、一人または複数の学習者を登録および加入させることができます。管理者は、学習者アクセス、自己登録権限および承認オプションを組み合せて登録を管理します。また、修了の追跡、学習履歴の保守、および学習者のコンピテンス・プロファイルの自動更新の設定ができます。検索機能により、適切なクラスに適切な学習者を配置できます。

クラス・ステータスおよび登録ステータスを使用すると、クラスのライフ・サイクル全体にわたってクラスへの登録を管理できます。たとえば、ステータスが「予定」のクラスを作成し、学習者の関心をモニターして使用可能なリソースを調査できます。学習者がこのクラスに関心を示した場合はステータス「受講希望」で登録を入力し、学習者の意思が確定したときはステータスを「登録希望」に更新できます。さらに、「登録希望」の登録者がクラスの実行に必要な最小数に達した場合は、クラス・ステータスを「通常」に更新できます。「登録済」の登録は、登録希望者リストから自動的に配置されます。

学習者アクセスの付与と制限

学習者アクセスによって、管理者は、どの学習者に、どの学習へのアクセス権限があるかを定義できます。管理者は、すべてのカタログ・オブジェクトでこの学習者アクセスを指定できます。学習者アクセス指定したカタログ・オブジェクト内のすべてのカタログ・オブジェクトは、その学習者アクセスを継承します。たとえば、あるカテゴリに学習者アクセスを付与すると、そのカテゴリ内のすべてのコースにアクセス権限が付与されます。学習者は、アクセス権限がない学習を表示したり登録することはできません。

オンライン・コンテンツの管理、提供および追跡

コンテンツ・インタフェースを使用すると、オンライン自己ペース・コースとして提供されるコンテンツを編成および準備できます。オンライン・コンテンツをインタフェース内で組み立てたり、協力会社の教育用ソフトウェアなどの既存のコンテンツをインポートできます。

オンライン・コンテンツを学習者に提供するために、学習者が登録してオンライン・プレーヤを介してアクセスする、カタログ講義を作成できます。Web会議を使用すると、オンライン同期クラスを容易に提供できます。インストラクタは、ライブのWeb会議をホスト管理して、Web経由で学習者にクラスを提供できます。

このプレーヤは、Webで再生できるあらゆるタイプのコンテンツ(Webサーバー上のビデオ、HTML、フラッシュなど)をサポートします。

アプリケーションでは、オンライン・コースでの学習者の進行状況が追跡されます。デフォルトでは、使用時間、完了ステータスおよびテストの成績を含む業績詳細が学習オブジェクト・レベルで保持されます。さらに、SCORM CMI、AICC HACPなど認識されているe-Learning業界仕様のファンクション・コールを含むコンテンツがサポートされるため、必要に応じてコンテンツの詳細な追跡が可能になります。

テストの作成と管理

テスト・ビルダーを使用してテストを作成し、学習者の業績、知識およびスキルを測定できます。また、問題バンクを作成して保守できるため、複数のテストで問題を編成および再利用できます。

テストは、コース内のトピック、または独立した講義として学習者に提供します。アプリケーションではテストの採点が行われ、採点結果に基づいて学習者の合否が決まります。

業績統計が表示されるため、特定のテストまたは問題に対する学習者の業績を分析できます。

プレーヤ前提条件の定義

オンライン講義の場合は、テストを含む学習オブジェクトを、同一または別のコース内にある別の学習オブジェクトに対する前提条件として定義できます。学習者が指定の前提条件(必須)のコンテンツを正常に完了していないかぎり、その学習者がコンテンツ(学習オブジェクト)の一部を再生しようとすると、オンライン・プレーヤはアクセスを拒否します。

オンライン・コンテンツのインポートとエクスポート

認識されているコンテンツ仕様に準拠したSCORMやIMS QTIなどの既存のコンテンツ(メタデータおよびコンテンツ・ファイル自体(必要に応じて)の両方)は、インポートおよびエクスポートできます。これには、組織内で作成されたがアプリケーションの外部にあるコンテンツや、サード・パーティから購入したコンテンツ(既製品または特注品のいずれか)があります。

学習者による学習の管理

学習者インタフェースを使用すると、学習者は学習の検索、登録、表示および再生を簡単に実行できます。学習者ページには次のページがあります。

「学習者ホーム」ページ: 学習パスおよび学習者が現在登録しているコースのスナップショットが表示されます。このページで学習者は次の操作を実行できます。

「カタログ」ページと「検索」ページには、使用可能な学習のオンライン・カタログが表示されます。学習者はカタログをナビゲートし、アクセス権限がある学習のみを検索して登録できます。学習者は次の操作も実行できます。

「要求済学習」ページには、登録を要求したが、承認保留中または満席のため登録できないクラスが表示されます。学習者は自分が登録希望になっているクラスや承認保留中のコースも表示できます。

外部学習者への学習アクセスの提供

拡大する顧客やパートナの学習者も含めてすべての学習者は、学習者ページを使用でき、これによって、すべての研修対象者に対してクラスを実質的に提供できます。

完全な学習履歴の表示

学習履歴機能を使用すると、学習者が出席、合格、不合格、完了、取消または失効したすべての学習アクティビティを継続して記録できます。学習者は、コース、学習パスおよび学習認定を「学習履歴」ページに移動できます。この情報は、次のセクションに表示されます。

学習者およびコース・コンピテンスの管理

学習パスと同様に、コンピテンスは業績をモニターして要員のキャリアを開発するのに役立ちます。このリリースでは、学習パスの従来の機能がHRコンピテンスからコースへのリンクに拡張されています。管理者は、学習者がクラスを正常に完了した後、その学習者の個人コンピテンス・プロファイルを自動的にまたは承認付きで更新するようにアプリケーションを構成できます。また、管理者は、コースごとにコンピテンス前提条件(学習者が指定のクラスに登録する前に完了しなければならないコース)を設定できます。

マネージャによる就業者の学習の管理

マネージャはページにアクセスして、従業員に関する学習関連情報を表示できます。マネージャは、表示する従業員を選択した後、学習者インタフェースを使用してその従業員をコースに登録したり、従業員の業績および進行状況を表示できます。

インストラクタによるクラスの管理

インストラクタ・インタフェースを使用すると、インストラクタは、クラスおよび登録を管理したり、学習者とオンラインで通信したり、管理タスクを実行できます。インストラクタ・ページには次のページがあります。

ワークフロー通知との自動通信

アプリケーションには25以上のワークフロー通知が用意されており、クラスの学習者とマネージャに対して、承認が必要な登録、マネージャまたは他のユーザーが実行した登録や取消などを通知します。導入担当者はOracle WorkflowおよびOracle Approval Managementを使用して、これらの通知とその動作を構成できます。

コースの企画と予算計画

予算は、新規コースの企画、およびコースに予定されている全クラスのランニング・コストの両方について割り当てることができます。また、コースを企画するためにインストラクタなどのリソースを割り当てることができます。

機能および個人へのセキュア・アクセス

ロールベースのアクセス制御およびHRセキュリティ・グループをOLMに実装すると、管理者のアクセスをアプリケーションのサブセット(カタログやリソースなど)や個人(他のビジネス・グループのメンバーなど)に限定できます。

登録希望者リストの管理

クラスが満席の場合、または空席を割り当てる前に登録者を優先させる場合は、クラスの登録希望者リストを作成できます。空席が出た場合(学習者が登録を取り消したり、登録可能数を増やした場合)、または空席を割り当てる準備ができた場合は、登録希望者リストを表示して登録希望者を選択できます。

登録希望者の自動登録

登録希望者の優先順位または登録日に基づいて、登録希望学習者を自動的に登録することもできます。登録希望学習者の自動登録は、ある学習者が登録を取り消した場合、またはクラスの最大出席者数を増やした場合に発生します。OLMでは、最初の適格な登録希望者をクラスに自動的に移動します。

出席の結果の記録

クラスが開始されると、不合格の理由(適切な場合)を含めて各出席の結果を記録できます。

コンピテンス情報をOracle Human Resourcesに保持している場合は、学習者レコードを更新し、クラスで取得した新しい資格、知識または経験を表示できます。

クラス料金とリソースの相互賦課

クラス料金またはリソースの原価は、企業内の組織間、部門間または原価センター間で転送できます。

財務ヘッダー・レベルで受取原価センターと支払原価センターを指定し、承認済財務ヘッダーと明細の組合せごとに費用(つまり貸方)の財務詳細を要約できます。また、Oracle General Ledgerシステム(または別のGLや売掛金アプリケーション)のオープン・インタフェースに含める出力も作成できます。

Oracle Learning Managementの要件

Oracle Learning Management(OLM)は、学習と企画に関連する広範囲なビジネス・アクティビティをサポートします。

設定できるコース

コース、学習パスおよび学習認定を設定し、コンピテンス、資格または経験を向上させるために設計された教育事業または開発事業を表現できます。コースは、従来の研修のみではなく、オンライン研修、OJT、実務経験、実習、テストなどで使用できます。

インストラクタから学習者へのWeb経由のライブのオンライン・クラスの提供

Oracle Web Conferencing(OWC)との統合により、インストラクタはWeb経由でライブのオンライン・クラスを学習者に提供できます。管理者は、OWCとの統合を使用して、Web会議としてオンライン・クラスを設定できます。インストラクタは、Web会議をホスト管理してWeb経由でクラスを提供できます。学習者は、学習者インタフェースからクラスを再生して、ライブのWeb会議に自動的に参加できます。

オンライン・コースのコンテンツのOLM内での作成および保守

コンテンツの作成は、アプリケーション外部でのカリキュラム開発者のタスクです。OLMでは、すべてのWebベースのコンテンツをサポートしているため、Webで再生できるものであれば、コンテンツの作成に使用するオーサリング・ツールに制限はありません。OLM内に1つ以上のコンテンツ・サーバーを設定し、オンライン・コンテンツを格納および保守できます。アップロードおよびインポート・ユーティリティを使用して、オンライン・コンテンツをサーバーに転送できます。

学習管理システム間でコンテンツを共有するためにOLMがサポートしている業界仕様

コンテンツが共通の業界仕様に準拠している場合は、複数の学習プラットフォーム間で、オンライン・コンテンツを作成、管理および配布できます。OLMは、IMS、SCORMおよびAICCなどの業界仕様をサポートしています。これにより、重要な変更を必要とせずに、共通のコンテンツをアプリケーション間で再利用できます。これらの仕様に準拠しているXMLファイルを使用して、学習オブジェクト、テストおよびコンテンツ階層をインポートおよびエクスポートできます。

特定の目標にあわせたカリキュラムの設計

カリキュラムは、特定の目標と目的にあわせて設計できるばかりでなく、免許、修了証書および管理研修を含めることもできます。

OLMによる外部学習者のサポート

OLMでは、OLM内で学習者として作成されていない応募者(HRおよび応募者タイプの個人)が、学習者インタフェースを使用して検索や学習への登録を実行できます。応募者による学習者インタフェースからの自己登録、管理者またはマネージャによる応募者の登録が可能です。登録は、学習に対して定義されている学習者アクセス条件に従います。

コンピテンスの更新

コンピテンスは、学習者がクラスを正常に完了した後、自動的にまたは手動で更新できます。

HRMS Intelligenceを使用したキャリア・マネジメントの調査とモニター

Oracle HRMSもインストールしている場合、HRMS Intelligenceには、企業内のコンピテンス、熟達度および研修を調査するために設計されたレポート、Discovererワークブックおよび業績測定が含まれています。HRMS Intelligenceを使用すると、次のようなビジネス上の質問に回答できます。

概要

学習サイクル

次の図に、Oracle E-Business Suiteモデルに従った学習サイクルを示します。

Oracle Learning Managementを他のOracle Applicationsとともに使用すると、必要な学習サイクルをすべてサポートできます。

設定段階

  1. ビジネスのコンピテンス要件の定義: 現在の社員および今後の応募者に対して企業が要求するコンピテンス(資格、知識および経験)を定義します。

  2. 組織、役職および職階へのコンピテンス要件の割当て: 一般的および特定のビジネス要件を企業内の特定の構造に割り当てます。

  3. コンピテンスの達成度とギャップの査定: 現在の就業者および応募者を評価し、次に、企画ニーズの分析を実施してギャップを特定します。

  4. 企画コースの設計または特定: 新しい内部コースを企画するか、ギャップを埋めるのに必要なコンピテンスを提供できる外部アクティビティを特定します。

  5. コースの価格設定: 必要に応じて、予算計画および価格表を作成します。

  6. コースの学習パスとカテゴリへのグループ化: 組織と個人のニーズに対応するようにカタログを設計します。

  7. リソースと仕入先の特定: 備品、会場、インストラクタなどコースの実行に必要なリソースを特定し、登録可能なリソースのデータベースを構築します。

ユーザー段階

  1. クラスの作成とリソースの登録: オンライン・クラスおよびオフライン・クラスを作成し、クラスの実行に必要なリソースを登録します。さらに、リソース仕入先への支払を管理します。

  2. 費用および営業関連の管理。

  3. クラスへの学習者の登録。

  4. 登録および取消の管理: 登録希望者リストと確認を使用して複数登録を処理し、必要に応じて標準レターを発行します。支払顧客に請求します。

  5. 出席および達成度の記録: クラスが終了した後は、テストの成績、出席レベル、獲得したコンピテンスを含めて結果を記録します。

  6. コースの評価: コースの効率を査定し、実際の収益と支出を予算と比較します。

  7. 学習者の評価: 学習管理の長期的な効果を評価します。

OLM学習サイクル

本文の説明内容に関するイメージ

設定の決定

ユーザーがタスクを実行できるようにOracle Learning Managementを設定する前に、慎重に計画することをお薦めします。

OLM学習サイクルの様々な段階を計画および設定する職責は、企業によって異なります。段階4-13は明らかに学習管理の領域となりますが、通常、段階1と2は複数の部門による合同作業で、段階3と14は人事部門の作業となります。

OLMはOracle Human Resourcesと統合されており、これらのアプリケーションをあわせて学習サイクルのすべての段階をサポートできます。

サイクル内のすべての段階を検討する必要はありません。たとえば、市販の学習サービスのプロバイダは、内部研修要件を特定したり学習者の詳細レコードを保守する必要はありません。これらのプロバイダは、主に、計画のメンテナンス、および登録や財務トランザクションの管理に重点を置いています。

外部学習者に対してクラスを商業ベースで提供しない内部研修部門では、価格表や他の財務情報の管理はあまり重要ではありません。ただし、内部の会計実務をサポートするための相互賦課は有効にできます。

必要な決定事項

OLMを設定する前に必要な決定事項については、『Oracle Learning Management Implementation Guide』のOracle Learning Managementの導入に関する項を参照してください。