JavaScript is required to for searching.
ナビゲーションリンクをスキップ
印刷ビューの終了
Oracle Solaris Studio 12.2: C ユーザーガイド
search filter icon
search icon

ドキュメントの情報

はじめに

1.  C コンパイラの紹介

2.  C コンパイラ実装に固有の情報

3.  C コードの並列化

4.  lint ソースコード検査プログラム

4.1 基本 lint と拡張 lint

4.2 lint 使用方法

4.3 lint のオプション

4.3.1 -#

4.3.2 -###

4.3.3 -a

4.3.4 -b

4.3.5 -C filename;

4.3.6 -c

4.3.7 -dirout=dir

4.3.8 -err=warn

4.3.9 -errchk=l(, l)

4.3.10 -errfmt=f

4.3.11 -errhdr=h

4.3.12 -erroff=tag(, tag)

4.3.13 -errsecurity=v

4.3.14 -errtags=a

4.3.15 -errwarn=t

4.3.16 -F

4.3.17 -fd

4.3.18 -flagsrc=file

4.3.19 -h

4.3.20 -Idir

4.3.21 -k

4.3.22 -Ldir

4.3.23 -lx

4.3.24 -m

4.3.25 -m32|-m64

4.3.26 -Ncheck=c

4.3.27 -Nlevel=n

4.3.27.1 -Nlevel=1

4.3.27.2 -Nlevel=2

4.3.27.3 -Nlevel=3

4.3.27.4 -Nlevel=4

4.3.28 -n

4.3.29 -ox

4.3.30 -p

4.3.31 -Rファイル

4.3.32 -s

4.3.33 -u

4.3.34 -V

4.3.35 -v

4.3.36 -Wfile

4.3.37 -XCC=a

4.3.38 -Xalias_level[=l ]

4.3.39 -Xarch=amd64

4.3.40 -Xarch=v9

4.3.41 -Xc99[= o]

4.3.42 -Xkeeptmp=a

4.3.43 -Xtemp=dir

4.3.44 -Xtime=a

4.3.45 -Xtransition=a

4.3.46 -Xustr={ascii_utf16_ushort| no}

4.3.47 -x

4.3.48 -y

4.4 lint のメッセージ

4.4.1 メッセージを抑制するオプション

4.4.2 lint メッセージの形式

4.5 lint の指令

4.5.1 事前定義された値

4.5.2 指令

4.6 lint の参考情報と例

4.6.1 lint が行う診断

4.6.1.1 整合性の検査

4.6.1.2 移植性の検査

4.6.1.3 疑わしい言語構造

4.6.2 lint ライブラリ

4.6.3 lint フィルタ

5.  型に基づく別名解析

6.  ISO C への移行

7.  64 ビット環境に対応するアプリケーションへの変換

8.  cscope: 対話的な C プログラムの検査

A.  機能別コンパイラオプション

B.  C コンパイラオプションリファレンス

C.  ISO/IEC C 99 の処理系定義の動作

D.  C99 でサポートされている機能

E.  ISO/IEC C90 の処理系定義の動作

F.  ISO C データ表現

G.  パフォーマンスチューニング

H.  K&R Solaris Studio C と Solaris Studio ISO C の違い

索引

4.6 lint の参考情報と例

lint が行う検査、lint ライブラリ、および lint フィルタなどに関する lint の参考情報について説明します。

4.6.1 lint が行う診断

lint 固有 の診断は、矛盾した使い方、移植不能のコード、疑わしい言語構造の 3 つの広い条件カテゴリ に対して表示されます。この節では、各カテゴリにおける lint の動作の例を示し、どのような対応が可能かを説明します。

4.6.1.1 整合性の検査

ファイル全域とファイル内部における変数、引数、関数の矛盾した使用を検査します。概して lint が古いスタイルの関数に対して検査していたのと同様に、プロトタイプの使用、宣言、引数を検査します。プログラムが関数プロトタイプを使用していない場合、lint は関数の呼び出しごとにコンパイラより厳しく引数の数と型を検査します。lint は、[fs]printf()[fs]scanf() の制御文字列の変換指示子と引数の不一致も識別します。

次に例を示します。

4.6.1.2 移植性の検査

一部の移植不可能なコードは、lint のデフォルトの動作によってフラグを付けられます。また、ほかにも少数の状況で、 -p または -Xc を指定して lint を起動すると、診断されることがあります。lint は ISO C 規格に一致しない言語構造を検査します。-p および -Xc のもとで発行されるメッセージに関しては、「4.6.2 lint ライブラリ」を参照してください。

次に例を示します。

char c;
c = getchar();
if (c == EOF) ...

そこで EOF が値 -1 を持つテストは、文字変数が負でない値を取るマシンでは常に失敗します。-p オプションで呼び出した lint は、普通の char が負の値を取る可能性があるような比較をすべて検査します。しかし前述の例では、csigned char で宣言しても、問題が除去されるのではなく診断が除去されるだけです。これは、getchar() が入力可能な文字と明確な EOF 値を返さなければならず、char がその値を格納することができないためです。これは、処理系ごとに定義される符号拡張から生ずるもっとも一般的な例です。これにより、lint の移植性オプションを注意深く使用すると移植性に関係しないバグを発見するのに役立つということがわかります。ここでは cint で宣言します。

short s;
long l;
s = l;

lint は、デフォルトでこのような代入すべてを知らせます。診断は、-a オプションを指定して呼び出すことにより抑制することができます。どのオプションを指定して lint を呼び出しても、ほかの診断をも抑制する可能性があることに注意してください。2 つ以上の診断を抑制するオプションについては、「4.6.2 lint ライブラリ」にあるリストを参照してください。

int *fun(y)
char *y;
{
    return(int *)y;
}

大部分のマシンでは、intchar とは異なり任意のバイト境界から開始することができないため、lint はフラグを立てます。-h を指定して lint を実行することによってこの診断を抑制することができます。この場合もまた、ほかのメッセージを抑制する可能性があります。汎用ポインタ void * を使用すればほかの影響を回避することができます。

int a[10];
main()
{
    int i = 1;
    a[i++] = i;
}

この例での a[1] の値は、あるコンパイラでは 1、別のコンパイラでは 2 という可能性もあります。ビット単位の論理演算子 & がこのような診断をもたらすことがあるのは、誤って 論理演算子 && の代わりに使用される場合です。

if ((c = getchar()) != EOF & c != ’0’)
4.6.1.3 疑わしい言語構造

lint は、プログラマの意図には反するが、言語構造上は正しい箇所についても報告します。次に例を示します。

unsigned x;
if (x < 0) ...

常に失敗します。一方、

unsigned x;
if (x > 0) ...

これは次のように指定するのと同じことです。

if (x != 0) ...

最初の例は意図したものではない可能性があります。lint は、負の定数または 0unsigned 変数との疑わしい比較を知らせます。unsigned 変数を負数のビットパターンと比較するには、その負数を unsigned にキャストします。

if (u == (unsigned) -1) ...

または、接尾辞 U を使用します。

if (u == -1U) ...
int fun()
{
    int a, b, x, y;
    (a = x) && (b == y);
}
if (x & a == 0) ...

この式は、次のように評価されます。

if (x & (a == 0)) ...

これは、ユーザーの意図とは異なる可能性が高いものです。-h を指定して lint を起動すると、診断のものは無効になります

4.6.2 lint ライブラリ

lint ライブラリを使用して、呼び出したライブラリ関数とユーザープログラムとの互換性を検査することができます。関数戻り型の宣言、関数が期待する引数の数と型などを検査します。標準 lint ライブラリは、C 言語処理系で供給されるライブラリに対応し、一般にはシステムの標準位置であるディレクトリに格納されています。慣例では、lint ライブラリは llib-lx.ln という形の名前を持ちます。

lint 標準 C ライブラリの llib-lc.ln は、デフォルトで lint コマンド行に追加されます。ライブラリ関数との互換性の検査は、-n オプションを指定して呼び出すことにより抑制することができます。そのほかの lint ライブラリは、-l に対して引数として指定することでアクセスされます。次に例を示します。

% lint -lx file1.c file2.c

この例では、lint ライブラリ llib-lx.ln との互換性について、file1.cfile2.c の関数と変数の使用方法を調べるよう lint に指示します。定義だけからなるライブラリファイルは、厳密に通常のソースファイルと .ln ファイルとして処理されます。ただしライブラリファイルで関数と変数が矛盾したまま使用されるか、またはライブラリファイルで定義されてもソースファイルでは使用されない関数と変数に対しては警告を出しません。

自分の lint ライブラリを作成するには、C ソースファイルの先頭に NOTE(LINTLIBRARY) 指令を挿入し、次いで -o オプションとそのライブラリ名を与える -l オプションとともにそのファイルに対して lint を実行してください。

% lint -ox file1.c file2.c

前述のコマンド行により、NOTE(LINTLIBRARY) が先頭に付いたソースファイル中の定義だけがファイル llib-lx.ln に書き込まれます。lint -occ -o の類似に注意してください。ライブラリは、同様に関数プロトタイプ宣言のファイルから作成されます。ただし、NOTE(LINTLIBRARY)NOTE(PROTOLIB(n)) の両方が宣言ファイルの先頭に挿入されている場合は別です。n が 1 の場合、プロトタイプ宣言は古いスタイルの定義と同様にライブラリ .ln ファイルに書き込まれます。n がデフォルトの 0 の場合、処理はキャンセルされます。-y を指定して lint を呼び出しても、lint ライブラリを作成することができます。次のようなコマンド行があるとします。

% lint -y -ox file1.c file2.c

前述のコマンド行で指定された各ソースファイルは NOTE(LINTLIBRARY) で開始したかのように扱われ、その定義だけが llib-lx.ln に書き込まれます。

デフォルトでは、lint は標準位置で lint ライブラリを検索します。標準位置以外のディレクトリで lint ライブラリを検索するように lint に指示するには、-L オプションを使用してディレクトリのパスを指定します。

% lint -Ldir -lx file1.c file2.c

拡張モードでは、lint は基本モードで生成される .ln ファイルより多くの情報が格納された .ln ファイルを生成します。拡張モードの lint は、基本モードまたは拡張モードのどちらの lint で生成された .ln ファイルでもすべて読み取って理解することができます。基本モードの lint は、基本モードの lint を用いて生成された .ln ファイルだけを読み取って理解することができます。

デフォルトでは、lint/usr/lib ディレクトリのライブラリを使用します。これらのライブラリは基本 lint 形式です。makefile を一度実行して新しい形式の拡張 lint ライブラリを作成すれば、拡張 lint をより効率的に利用することができます。makefile を実行して新しいライブラリを作成するには、次のコマンドを入力してください。

% cd <install-directory>/prod/src/lintlib; make

ここで、<install-directory> はインストールディレクトリです。makefile の実行後、lint/usr/lib ディレクトリ内のライブラリの代わりに拡張モードの新ライブラリを使うようになります。

指定されたディレクトリは標準位置の前に検索されます。

4.6.3 lint フィルタ

lint フィルタは、プロジェクト固有のポストプロセッサ (後処理) です。典型的な例では awk スクリプトや類似のプログラムを使用して lint の出力を読み取り、ユーザーのプロジェクトが特に問題ないと判断したメッセージを捨てます。たとえば、時々または常に無視される値を返す文字列関数などです。lint オプションと指令だけでは出力に対して十分な制御が与えられない時は、lint フィルタを使用するとカスタマイズされた診断レポートを作成することができます。

lint の 2 つのオプションはフィルタを開発する際に特に役立ちます。