このドキュメントでは、このJVMの実装において最大限の機能を引き出すために使用できる、チューニングの手法やオプションについて説明します。
Oracle JRockit JVMをチューニングして、最適なアプリケーション・パフォーマンスを実現することは、この製品を使用する際の最も重要な局面です。JVMのチューニングが不十分な場合、トランザクションが遅くなったり、長いレイテンシが発生したり、システムがフリーズするおそれがあるほか、システムがクラッシュすることさえあります。
チューニングは、『Oracle JRockitコマンドライン・リファレンス』に記載されている起動オプションの様々な組合せを使用して、システム起動のための一プロセスとして行われます。
Oracle JRockit JDKでは、実行時にアプリケーションを監視するために必要なツールが用意されています。このドキュメントの推奨に従って適切にチューニングを行うと、JVMが円滑に実行され、タイミングよく結果が得られます。実行時の監視で問題が発見された場合は、このドキュメントの推奨設定に従ってJVMのチューニングを改善します。
このドキュメントの内容は次のとおりです。
JRockit JVMをチューニングすると、ガベージ・コレクションによる休止時間は短く、アプリケーションのスループットは高く、メモリーの占有領域は少なくてすむ、といった要件をすべて満たすことはできません。第2章「チューニングにおけるトレードオフの概要」では、このようなトレードオフについて説明します。
各Javaアプリケーションには、固有の動作と要件があります。JRockit JVMは、このような動作と要件の多くに適応できますが、最適なパフォーマンスを得るには、いくつかの基本のパラメータをチューニングする必要があります。第3章「Oracle JRockit JVMのチューニング: 最初のステップ」では、JRockit JVMのチューニングの基本手順の概要と、少数のOracleアプリケーションに対するJVMのチューニングのベスト・プラクティスについて説明します。
メモリー管理システムが適切にチューニングされていれば、ガベージ・コレクションによるオーバーヘッドは最小限に抑えられ、オブジェクトの割当てが高速化します。第4章「メモリー管理システムのチューニング」では、JRockit JVM内のメモリー管理システムをチューニングする際に使用できる重要なオプションについて説明します。
Javaスレッド間のやり取りは、アプリケーションのパフォーマンスに影響します。第5章「ロックのチューニング」では、ロックおよびロックの競合の処理方法をチューニングするためのJRockit JVMオプションについて説明します。
ガベージ・コレクションにより発生する休止時間を最小限に抑えながらアプリケーションをスムーズに実行しますか。その答えがイエスであれば、休止時間が短くなるようにチューニングします。第6章「レイテンシを低下させるチューニング」で説明するチューニングの手法を使用すると、休止時間は最小限に抑えられ、トランザクションが迅速に実行されます。
ガベージ・コレクションで消費されるCPU時間の合計を最小限にし、より多くの時間をアプリケーション・レイヤーで使用しますか。その答えがイエスであれば、アプリケーション・パフォーマンスまたはアプリケーション・スループットが高くなるようにチューニングします。第7章「アプリケーションのスループットを向上させるチューニング」では、ガベージ・コレクタのオーバーヘッドを最小限に抑えて、Javaアプリケーションをできるかぎり速く動作させるためのJRockit JVMのチューニング方法を説明します。
JVMのパフォーマンスを安定させるには、必要に応じてパフォーマンス差異を分析し、JVMイベントをチューニングする必要があります。第8章「パフォーマンスを安定させるチューニング」に記載されたチューニング手法を使用して、パフォーマンスを向上させます。
メモリー・リソースが限られている場合は、第9章「メモリーの占有領域を小さくするチューニング」に記載されたチューニング手法を使用して、メモリーの占有領域が小さくなるようにJVMをチューニングします。
小規模なアプリケーションに対するJVMの起動時間を短縮するには、第10章「JVMの起動を高速化するチューニング」に記載されたチューニング手法を使用します。