このドキュメントでは、Oracle Fusion Middleware環境におけるパッチの適用方法について説明します。
次のトピックについて説明します。
パッチとは、既存のインストールにコピーされる小型のファイル・コレクションです。パッチはOracle製品の特定のバージョンに関連付けられています。
OPatchを使用できるパッチ・タイプは次のとおりです。
パッチ・セット例外(別名: PSE、個別パッチ、仮パッチ)
通常、これは単一の問題に対処する単一の修正です。ST製品(GC、DB/AS Controlなど)の個別の修正がパッケージ化されOPatchを利用して適用されます。個別パッチは緊急を要するお客様に提供されるバグ修正で、累積的または遡及的ではなく、バージョニングも行われません。opatch lsinventory
コマンドを使用すると、システムにインストールされている個別パッチを確認できます。
パッチ・バンドル(別名: MLRパッチ)
このパッチ・タイプは、複数の修正が単一のパッチにまとめられて作成されます。通常、これは複数の修正が必要で、さまざまな暫定パッチが同一モジュールに適用される場合に作成されます。すでに適用されている個別のパッチと共存できない場合は古いパッチが削除されます。パッチ・バンドルもOPatchを使用して適用され、このバンドルに関するメタデータ情報もインベントリ内の一連のXMLファイルに保存され、OPatchによって処理されます。
セキュリティ・パッチ(別名はクリティカル・パッチ・アップデートまたはCPU)
セキュリティ・パッチは他の種類のパッチとは異なり、単一または少数の問題のみを修正し、可能なかぎり早急に適用する必要があります。セキュリティ・パッチがリリースされたときは、セキュリティ上の問題の存在に特に注意します。CPUは、定期的にリリースされるセキュリティ・バンドルで、仮パッチに非常に似ており、仮パッチと同様にOPatchを使用して適用されます。また、仮パッチと同様、CPUもバージョニングは行われません。
パッチ・セット更新(PSU)
パッチ・セット更新は四半期ごとにリリースされ、クリティカル・パッチ・アップデート(CPU)と同じスケジュールに従い、1月、4月、7月および10月の15日前後の火曜日に公開されます。パッチ・セットの更新の内容は、広範なお客様に影響を及ぼす上位50の重大なバグへの対処を目的としています。
OPatchは、Javaベースのユーティリティで、サポート対象のすべてのオペレーティング・システムで実行され、使用するにはOracle Universal Installerをインストールする必要があります。このドキュメントでは、Oracle Fusion Middleware環境で最も一般的に使用されるOPatchコマンドに関する情報を説明します。選択に応じて、サポートされるすべてのOPatchコマンドを使用できます。すべてのOPatchコマンドのリストおよびOPatchユーティリティの詳細は、次のURLからOracle Universal InstallerおよびOPatchユーザーズ・ガイドを参照してください。
http://download.oracle.com/docs/cd/E11882_01/em.112/e12255/toc.htm
この項は次のトピックで構成されています。
OPatchは、ご使用のFusion Middleware製品のORACLE_HOME/OPatch
ディレクトリ(UNIXオペレーティング・システムの場合)またはORACLE_HOME\OPatch
ディレクトリ(Windowsオペレーティング・システムの場合)にあります。
My Oracle Support(旧称Oracle MetaLink)でOPatchの最新バージョンの有無を常に確認して入手することをお薦めします。
次の場所のMy Oracle Supportにアクセスして、ログインします。
http://support.oracle.com/
「ナレッジ・ベースの検索」フィールドに224346.1を入力します。これは最新バージョンのOPatchの入手方法が記載されたドキュメントのIDです。
検索結果から、ドキュメントID 224346.1に対応するリンクをクリックします。
ドキュメントで、パッチ6880880リンクをクリックすると、リリース・バージョンおよびプラットフォームに応じた最新バージョンのOPatchを入手できる画面が表示されます。
My Oracle Support(旧称MetaLink)でパッチIDを指定すると、最新のパッチを入手できます。
次の場所のMy Oracle Supportにアクセスして、ログインします。
http://support.oracle.com/
Click the 「パッチと更新版」リンクをクリックします。
「パッチIDまたは番号」に入力して、「検索」をクリックします。「パッチ検索結果」表が表示されます。
「リリース」と「プラットフォーム」の列を使用して必要なパッチを探し、関連付けられたパッチIDをクリックします。
表示されたページで、右側の列の「ダウンロード」ボタンをクリックします。
OPatchでは、表2-1に示された環境変数が使用されます。
OPatchユーティリティには次の要件があります。
ORACLE_HOME
環境変数は、有効なOracleホーム・ディレクトリをポイントし、Oracleホーム・ディレクトリのインストール時に使用された値と一致している必要があります。
インストール時に-invPtrLoc
コマンド・ライン引数が使用されている場合は、OPatchユーティリティの使用時にもこの引数を使用する必要があります。プラットフォームのデフォルトの中央インベントリを使用することをお薦めします。
PATH
環境変数でリストされたディレクトリのいずれかでjava
、ar
、cp
およびmake
コマンドが使用可能である必要があります。これらのコマンドはすべてのプラットフォームで使用可能であるとはかぎりません。
パッチに関する操作行う際は、事前にORACLE_HOME
をバックアップしておくことを強くお薦めします。ORACLE_HOME
は、任意の方法でバックアップできます。ORACLE_HOME
の圧縮には、zip
、cp -r
、tar
、cpio
などの任意の方法を使用できます。
opatch lsinventory -detail
コマンドを実行したときにORACLE_HOME
が表示されない場合は、中央インベントリにORACLE_HOME
が存在しないか、中央インベントリ自体が消失または破損している可能性があります。
opatch lsinventory -detail
コマンドを実行したときに、ORACLE_HOME
が表示されORACLE_HOME
内の製品およびコンポーネントが表示されない場合は、ORACLE_HOME
内のインベントリ(ローカル・インベントリ)が消失しているか破損している可能性があります。
何らかの原因によってローカル・インベントリが破損または消失している場合、バックアップされていればORACLE_HOME/inventory
(UNIXオペレーティング・システム)またはORACLE_HOME\inventory
(Windowsオペレーティング・システム)を簡単にリストアできます。バックアップが存在しない場合は、ソフトウェアの再インストールが必要になることもあります。
この項では、Oracle Fusion Middleware環境に関係するOracle OPatchユーティリティについて説明します。『Oracle Fusion Middlewareインストレーション・プランニング・ガイド』(次のURLからアクセスできます)で紹介されているOracle Fusion Middlewareのコンセプトを十分に理解しておく必要があります。
http://download.oracle.com/docs/cd/E15523_01/install.1111/b32474/toc.htm
この項は次のトピックで構成されています。
図2-1に示されているような、Oracle SOA SuiteおよびOracle WebCenterの非分散型Fusion Middlewareトポロジを例にして説明します。
注意: この例では一部しか紹介していませんが、OPatchは任意のFusion Middleware製品へのパッチの適用に使用できます。ただしOracle WebLogic Serverへのパッチの適用にはOPatchを使用できません。 |
図2-1 Oracle SOA SuiteおよびOracle WebCenterに一般的なFusion Middlewareトポロジ
SOAドメインに問題があるとします。一般的なパッチ適用プロセスは次のようになります。
ステップ1. Oracleサポートへの連絡
Oracleサポートの担当者に連絡するか、My Oracle Support(旧称OracleMetaLink)にアクセスします。
http://support.oracle.com/
ステップ2. 既存のパッチのチェック
Oracleサポートで問題を解決できない場合、システムにパッチをすでにインストールしているかどうかを尋ねられることがあります。この情報を確認するには、opatch lsinventory
コマンドを実行する必要があります。
Oracleホーム(またはMiddlewareホーム内の一連のOracleホーム)に特定のパッチがインストールされているかどうかを確認するには、opatch checkInstalledOneOffs
コマンドを使用します。このコマンドの詳細は、第2.4.7項「OracleホームまたはWebLogicドメインに適用されているパッチのリスト」を参照してください。
ステップ3. OPatchおよび必要なパッチの入手
新しいパッチが必要ですが、そのパッチがシステムにまだインストールされていないと確認された場合は、次の手順を実行する必要があります。
第2.2.1項「OPatchの入手」の説明に従って、最新バージョンのOPatchを入手していることを確認します。
第2.2.2項「パッチの入手」の説明に従って、パッチを入手します。
ステップ4. Oracleホームの確定
パッチを入手したら、パッチを適用するOracleホーム・ディレクトリを確定します。
Fusion Middleware環境で最も一般的に使用されるパッチでは、特定のOracleホーム・ディレクトリに対してパッチが適用されます。一部のパッチ(JRF関連のパッチなど)は、特定のMiddlewareホーム内の複数のOracleホーム・ディレクトリに適用されることがあります。3つ目のタイプのパッチは、特定のOracleホームのクライアント・コンポーネントと別のOracleホームのサーバー・コンポーネントを対象とします(たとえば、WebCenterのOracleホーム内のOracle WebCenterは、Oracle SOA SuiteのOracleホームのBPELプロセス・マネージャに依存します)。
Oracleホームの名前が不明の場合は、第2.4.6項「パッチの適用が可能なOracleホームのリスト」の説明に従ってopatch lshomes
コマンドを実行してドメインに属するOracleホームのリストを取得します。この例の場合、パッチの適用対象のOracleホームは、SOAのOracleホームです。
Oracleホームを確定したら、第2.4.6項「パッチの適用が可能なOracleホームのリスト」の説明に従ってopatch checkApplicable
コマンドを実行して、そのパッチが実際に当該のOracleホームに適用できることを確認します。
Middlewareホームは、Fusion Middlewareトポロジ内の最上位のエンティティであるため、Fusion Middleware環境におけるOPatchコマンドの多くでMiddlewareホームの場所が必要とされます。
ステップ5. READMEファイルの参照
パッチに付属するREADMEファイルを参照します。このファイルには重要な情報およびパッチの適用前に従う必要がある手順が記載されています。
たとえば、READMEファイルには、-auto
オプションを使用してパッチを適用する方法などが説明されています(第2.4.1.2項「-autoオプションの使用」の説明を参照)。一般的に、READMEではopatch stop
、opatch start
などの一連のOPatchコマンドの使用方法が記載されています(第2.4.8項「ランタイム・インスタンスの開始と停止」を参照してください)。
ステップ6. パッチの適用
パッチの適用が必要なOracleホームを確定したら、第2.4.1項「パッチの適用とWebLogic Serversへのパッチ適用済アーティファクトのデプロイ」の説明に従ってopatch apply
コマンドを使用してパッチを適用します。
パッチの適用後
多くの場合、READMEファイルの説明ではパッチの適用後にopatch start
コマンドを実行してサーバーを再起動するように指示されています。
パッチの適用が完了し、サーバーの再起動が完了したら、製品ソフトウェアで問題が解決しているかどうかを検証する必要があります。
何らかの原因で満足のいく結果が得られなかった場合は、opatch rollback
コマンドを使用してOracleホームからパッチを削除できます。詳細は、第2.4.2項「パッチのロールバックおよびWebLogic Serverへのパッチ適用済アーティファクトのデプロイ」を参照して、READMEファイルで個別の指示を確認してください。
Fusion Middlewareアーティファクトの多くはランタイム環境にデプロイされ、そこでアプリケーションによって実行に使用されるバイナリが選択されます。この最も一般的な例としてはJ2EEアーティファクト(.ear
、.war
、.rar
ファイルなど)、またはドメイン内で実行される管理対象サーバーやクラスタにデプロイされるJ2EE共有ライブラリがあります。Fusion Middleware環境でのパッチ適用では、Oracleホーム内のこれらのアーティファクトの更新と置換が行われます。アーティファクトがデプロイされるサーバーは、再起動して変更内容を有効化する必要があります。
アーティファクトのデプロイ後は、WebLogic Serverでのアーティファクトの処理方法に作用するさまざまなステージング・モードがあり、さらにこのモードによって、アプリケーションへのパッチの適用方法も決定されます。Oracle Fusion Middleware 11g リリース1(11.1.1)のアーティファクトはすべてNoStageモードでデプロイされるため、デプロイメント用の単一ソース・ディレクトリのアーカイブ・ファイルに管理対象サーバーのそれぞれがアクセスする必要があります。J2EEアプリケーションがクラスタ内の3つの管理対象サーバーにデプロイされる場合、新しいJ2EEアプリケーションをデプロイするには、管理対象サーバーのそれぞれから共有ディレクトリまたはネットワークマウント・ディレクトリの同一のアプリケーション・アーカイブ・ファイルにアクセスできる必要があります。
次の事項に注意してください。
複数のマシン上で複数の管理対象サーバーを使用している場合、すべてのマシンでアプリケーション・ビットへのパスを同じにする必要があります。これはドメイン構成におけるアプリケーションの単一エントリ・ポイントがあるためです。
アプリケーション・ビットのソースの場所は固定され、そのORACLE_HOMEの場所を逆にポイントするため、特定のORACLE_HOMEを使用して作成されたドメインはすべて、ORACLE_HOMEにパッチが適用されるとパッチ適用済のビットを取得します。
複数のマシン上で複数の管理対象サーバーを使用し、製品のORACLE_HOME
がターゲットの管理対象サーバー上で共有またはネットワークマウントされていない場合、マシンのそれぞれでローカル・ファイル・システム上のORACLE_HOME
に製品をインストールして、そこから管理対象サーバーがアプリケーション・バイナリにアクセスできるようにする必要があります。このため、各マシンのローカル・ファイル・システム上のそれぞれのORACLE_HOME
で個別にパッチを適用する必要があります。
このシナリオで実行が必要な手順は次のとおりです。
opatch apply
コマンドを使用して、Oracleホームにビットを適用します。
WebLogicドメインでアプリケーションのデプロイ先になるすべての管理対象サーバーを停止します。
同じWebLogicドメインのすべての管理対象サーバーを再起動します。
ステップ2と3は、OPatchのFusion Middleware機能によって実行されます。
分散環境でのパッチ適用プロセスは、Middlewareホーム・ディレクトリが共有と非共有のいずれであるかによって異なります。
図2-2に示された環境を使用して説明します。これは分散環境です。独立した各マシン上に同じトポロジが設定され、それぞれにローカルのMiddlewareホームがあり、Fusion Middleware製品はそのMiddlewareホーム内にあります。
図2-2 Oracle SOA SuiteおよびOracle WebCenterの分散Fusion Middlewareトポロジ
SOAドメインで問題が発生した場合、READMEファイルの説明に従って、各マシン上で個別に、対応するOracleホームにパッチを適用する必要があります。たとえば、「Middleware Host 1」のSOA Oracleホームにパッチを適用してから、「Middleware Host 2」に対しても同じ手順を繰り返す必要があります。
図2-3に示された環境を使用して説明します。これも分散環境で、独立した個別のマシン上に同じトポロジが設定されていますが、「Middleware Host 2」上のMiddlewareホームが共有であるかNFSマウントされています。
図2-3 Oracle SOA SuiteおよびOracle WebCenterの分散Fusion Middlewareトポロジ
このトポロジでは、SOAドメインに問題が発生した場合、READMEファイルの説明に従って「Middleware Host 1」か「Middleware Host 2」のSOAのOracleホームにパッチを適用するだけで済みます。OPatchによって、同じMiddlewareホームを共有する対応Oracleホームのすべてにパッチが自動的に適用されます。
Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control、Oracle Web Services Manager Policy Manager(WSM-PM)などの一部のアプリケーションは、製品のOracleホーム(Oracle共通ホームまたはoracle_common
)ディレクトリの外部にデプロイされます。OPatchは、oracle_common
ディレクトリを参照するファイルにもパッチを適用できます。
OPatchユーティリティは、ORACLE_HOME/OPatch
ディレクトリ(UNIXオペレーティング・システム)またはORACLE_HOME\OPatch
ディレクトリ(Windowsオペレーティング・システム)にあります。OPatchユーティリティの構文は次のとおりです。
path_to_opatch/opatch command -options
コマンドの許容値は、表2-2に示されています。
各コマンドの有効オプションは、各コマンドを説明する項に記載されています。
表2-2 Fusion Middleware環境におけるOPatchユーティリティのコマンド
コマンド | 説明 |
---|---|
|
Oracleホームにパッチを適用し、そのパッチをWebLogicドメインにデプロイします。 詳細は、第2.4.1項「パッチの適用およびWebLogicサーバーへのパッチ適用済アーティファクトのデプロイ」を参照してください。 |
|
Oracleホームからパッチを削除します。 詳細は、第2.4.2項「パッチのロールバックおよびWebLogic Serverへのパッチ適用済アーティファクトのデプロイ」を参照してください。 |
|
WebLogicドメインにパッチをデプロイします。 詳細は、第2.4.3項「WebLogic Serverへのパッチ適用済アーティファクトのデプロイ」を参照してください。 |
|
パッチの適用が可能なすべてのOracleホームをリストします。 詳細は、第2.4.6項「パッチの適用が可能なOracleホームのリスト」を参照してください。 |
|
WebLogicドメインの作成に使用されたOracleホームをリストします。 詳細は、第2.4.4項「ソースOracleホームのリスト」を参照してください。 |
|
Middlewareホームまたは特定のOracleホームから作成されたすべてのWebLogicドメインをリストします。 詳細は、第2.4.5項「MiddlewareホームまたはOracleホームから作成されたドメインのリスト」を参照してください。 |
|
特定のパッチがいずれかのOracleホームにインストールされているかどうかをチェックします。 詳細は、第2.4.7項「OracleホームまたはWebLogicドメインに適用されているパッチのリスト」を参照してください。 |
|
WebLogic Administration Server、管理対象サーバー、またはクラスタを起動または停止します。 詳細は、第2.4.8項「ランタイム・インスタンスの起動および停止」を参照してください。 |
これらのFusion Middlewareオプションの詳細を表示するには、次のコマンドを使用してください。
path_to_OPatch/opatch -help -fmw
Fusion Middleware環境では、apply
コマンドによってローカル・マシン上のOracleホームにパッチが適用されます。
注意: Middlewareホーム(そのMiddlewareホーム内のすべてのOracleホームを含む)にパッチを適用するオプションは提供が開始されていません。 |
管理サーバーの資格証明などの機密情報、および管理サーバーのURL、ドメインの場所、アプリケーション・ディレクトリの場所などのその他の重要情報は、プロンプトによってコンソールから取得されます。状況によってはデフォルト値がOPatchによって検出され、指定されます。このような場合は[Enter]を押して、それらのデフォルト値を使用します。
Grid Controlなどの自動アプリケーションでは-silent
オプションを指定してOPatchを起動できます。このオプションを使用するとコンソールから入力を求められることはありません。管理サーバーの資格情報やその他の必要な情報を指定するには、レスポンス・ファイルを作成し、-property_file
オプションの引数としてこのファイルを渡すことができます。
Fusion Middlewareコンポーネントの場合、プロパティ・ファイル内で対応するファイル名のキーとしてuserConfigFile
とuserKeyFile
を指定できます。userConfigFile
ファイルには、暗号化されたユーザー名とパスワードが格納され、userKeyFile
にはユーザー名とパスワードの暗号化と復号化に使用される秘密鍵が格納されます。同様にして、AdminServerURL
(管理サーバーのURL)、DomainHome
(domains
ディレクトリへのフルパス)およびApplicationsDir
(applications
ディレクトリへのフルパス)もプロパティ・ファイルで指定できます。
一部のパッチは、-auto
オプションを指定して使用できることがオラクル製品サポートによって確認されています。このオプションを使用するとパッチ適用手順の一定の部分を自動化できます。-auto
オプションでは、Oracleホームへのパッチの適用、パッチが実際に適用されているかの検証が実行され、その後、指定されたWebLogicドメインに対して必要な再デプロイ操作が実行されます。これにはパッチの影響が及ぶすべてのサーバーの停止と起動も含まれます。-auto
オプションの使用が認定されているパッチは、パッチのREADMEファイルにその情報が記載されます。
OPatchのリリース11.1.0.8.2以降では、-auto
オプションには、ノード・マネージャのユーザー名およびパスワードが必要です。OPatchを正常に使用するには:
管理サーバーが稼働している必要があります。
管理対象サーバーが稼働中の場合には、サーバーはOPatchによって停止し、パッチが適用されてから再起動します。
管理対象サーバーが稼働中でない場合には、OPatchによってパッチが適用されますが、パッチの効果を確認するにはサーバーを手動で起動する必要があります。
ノード・マネージャを構成するには、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverノード・マネージャ管理者ガイド』のノード・マネージャの構成全般に関する項を参照してください。
-auto
オプションは-domain
オプションとともに使用する必要がありますが、唯一の例外はOracleホームから構成されたWebLogicドメインが1つのみの場合です。この場合、OPatchはそのドメインをデフォルト・ドメインとして使用します。作成されたドメインが複数存在し、-domain
オプションが使用されない場合は、ユーザーの責任としてopatch deploy
を実行し、パッチ適用済アーティファクトをそれぞれのドメインに再デプロイし、また、各ドメイン内の影響が及ぶサーバーの停止と起動も実行することになります。
apply
コマンド(-auto
オプションを指定)の実行内容は次のとおりです。
影響が及ぶすべてのターゲット・サーバーを停止します。
これには、次のような他のノード上のサーバー・インスタンスの停止が含まれる場合もあります。
ステージング・モードのアプリケーション
Oracleホームを共有するNoStageモードのアプリケーション
ローカル・マシン上のOracleホームにパッチを適用します。
パッチ適用済アーティファクトに必要なデプロイ操作を実行します。
影響が及ぶすべてのサーバーを再起動します。
apply
コマンドの構文は次のとおりです。
opatch apply [-auto [-domain domain_name]] [-mw_home MW_HOME] [-oh ORACLE_HOME] [-property_file path_to_property_file] [-report]]
apply
コマンドのオプションの概要は表2-3に示されています。
表2-3 OPatchのapplyコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
オプション。指定するとOPatchはOracle Fusion Middlewareエンティティへのパッチのロールアウトを自動化します。 詳細は、第2.4.1.2項「-autoオプションの使用」を参照してください。 |
|
オプション。パッチが適用されるMiddlewareホームです。ここで指定したMiddlewareホームはMW_HOME環境変数より優先されます。いずれも指定されていない場合は、コマンドの実行が開始されたMiddlewareホームが使用されます。 |
|
オプション。パッチ適用先のOracleホームの指定に使用されるオプションです。この値はORACLE_HOME環境変数より優先されます。いずれも指定されていない場合は、OPatchが起動されたOracleホームに更新が適用されます。 |
|
オプション。プロパティ・ファイルの絶対パスと名前です。 詳細は、第2.4.1.1項「OPatchプロパティ・ファイルの使用」を参照してください。 |
|
オプション。コマンドの実行によって行われるアクションを出力しますが、実際にコマンドが実行されるわけではありません。 |
UNIXオペレーティング・システムにおけるopatch apply
コマンドのサンプル出力を次に示します。
[aime@stadn41 Oracle_SOA1]$ ./OPatch/opatch apply -auto /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/FMWPatches/9991008/ -oh /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common/ -domain MySOAWebCenterDist Invoking OPatch 11.1.0.6.9 Oracle Interim Patch Installer version 11.1.0.6.9 Copyright (c) 2009, Oracle Corporation. All rights reserved. Oracle Home : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common Central Inventory : /ade/aime_dte6989/oracle/work/EM_SH_1/oraInventory from : /etc/oraInst.loc OPatch version : 11.1.0.6.9 OUI version : 11.1.0.7.0 OUI location : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common//oui Log file location : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common/cfgtoollogs/opatch/opatch2009-12-06_09-44-02AM.log Patch history file: /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common/cfgtoollogs/opatch/opatch_history.txt OPatch detects the Middleware Home as "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2" Please enter the WebLogic Admin Server username:> weblogic Please enter the WebLogic Admin Server password:> Please enter the WebLogic Admin Server URL(t3://stadn41:7011):> Please enter the WebLogic domain directory location(/OracleFMW/MyDomains/domains/MySOAWebCenterDist):> Please enter the WebLogic applications directory location(/OracleFMW/MyDomains/applications/MySOAWebCenterDist):> [FMW] Running apply '-auto' prerequisite checks... [FMW] ProductDriver::preReq_Product() succeeded [FMW] ProductDriver::preReq_Deploy() succeeded All the applications affected by this patch are deployed in 'No Stage' mode. Redeploy operation will not be performed for the affected applications. Please refer to the log file for more details. [FMW] ProductDriver::preReq_LifeCycle() succeeded [FMW] Apply '-auto' prerequisite checks succeeded... ApplySession applying interim patch '9991008' to OH '/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common' Running prerequisite checks... You selected -local option, hence OPatch will patch the local system only. Please shutdown Oracle instances running out of this ORACLE_HOME on the local system. (Oracle Home = '/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common') Is the local system ready for patching? [y|n] y User Responded with: Y Backing up files and inventory (not for auto-rollback) for the Oracle Home Backing up files affected by the patch '9991008' for restore. This might take a while... Backing up files affected by the patch '9991008' for rollback. This might take a while... Patching component oracle.jrf.j2ee, 11.1.1.2.0... Copying file to "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common/modules/oracle.jrf_11.1.1/jrf-api.jar" Patching component oracle.jrf.dms, 11.1.1.2.0... Copying file to "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common/modules/oracle.dms_11.1.1/dms.war" ApplySession adding interim patch '9991008' to inventory Verifying the update... Inventory check OK: Patch ID 9991008 is registered in Oracle Home inventory with proper meta-data. Files check OK: Files from Patch ID 9991008 are present in Oracle Home. The local system has been patched and can be restarted. [FMW] Ignoring Deploy operations as all patched artifacts are deployed in 'No Stage' mode [FMW] Performing Auto Post-Deploy Actions [FMW] Performing Auto Post-Bounce Actions -------------------------------------------------------------------------------- The following warnings have occurred during OPatch execution: 1) OUI-67851: All the applications affected by this patch are deployed in 'No Stage' mode. Redeploy operation will not be performed for the affected applications. Please refer to the log file for more details. -------------------------------------------------------------------------------- OPatch Session completed with warnings. OPatch completed with warnings.
rollback
コマンドでは、一意のパッチIDを指定することによって既存の個別パッチを削除できます。
rollback
コマンド(-auto
オプションを指定)の実行内容は次のとおりです。
影響が及ぶすべてのターゲット・サーバーを停止します。
これには、次のような他のノード上のサーバー・インスタンスの停止が含まれる場合もあります。
ステージング・モードのアプリケーション
Oracleホームを共有するNoStageモードのアプリケーション
ローカル・マシン上のOracleホームのパッチをロールバックします。
パッチ適用済アーティファクトに必要なデプロイ操作を実行します。
影響が及ぶすべてのサーバーを再起動します。
rollback
オプションの構文は次のとおりです。
opatch rollback -id patch_id [-auto [-domain domain_name]] [-mw_home MW_HOME] [-oh ORACLE_HOME] [-property_file path_to_property_file [-report]]
rollback
コマンドのオプションの概要は表2-4に示されています。
表2-4 OPatchのrollbackコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
|
|
オプション。指定するとOPatchはOracle Fusion Middlewareエンティティへのパッチのロールアウトを自動化します。 詳細は、第2.4.1項「パッチの適用およびWebLogicサーバーへのパッチ適用済アーティファクトのデプロイ」を参照してください。 |
|
オプション。パッチが適用されるMiddlewareホームです。ここで指定したMiddlewareホームはMW_HOME環境変数より優先されます。いずれも指定されていない場合は、コマンドの実行が開始されたMiddlewareホームが使用されます。 |
|
オプション。パッチ適用先のOracleホームの指定に使用されるオプションです。この値はORACLE_HOME環境変数より優先されます。いずれも指定されていない場合は、OPatchが起動されたOracleホームに更新が適用されます。 |
|
オプション。プロパティ・ファイルの絶対パスと名前です。 詳細は、第2.4.1項「パッチの適用およびWebLogicサーバーへのパッチ適用済アーティファクトのデプロイ」を参照してください。 |
|
オプション。コマンドの実行によって行われるアクションを出力しますが、実際にコマンドが実行されるわけではありません。 |
この操作によって変更後のアーティファクトがFusion Middleware ORACLE_HOMEからFusion Middlewareドメインにデプロイされます。
パッチのバイナリの場所は、-ph
オプションを使用して指定する必要があります。パッチが現在のOracleホーム(このコマンドの実行を開始するOracleホーム)にインストールされている場合は、-ph
オプションが必要ではなくなります。
パッチがすでにOracleホームに適用されている場合は、-id
オプションによってデプロイに使用するパッチを指定できます。
deploy
コマンドの構文は次のとおりです。
opatch deploy -id patch_id -ph patch_location [-auto [-domain domain_name]] [-mw_home MW_HOME] [-oh ORACLE_HOME] [-property_file path_to_property_file [-report]]
deploy
コマンドのオプションの概要は表2-5に示されています。
表2-5 OPatchのdeployコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
Oracleホームにインストールされたパッチの一意のIDです。 |
|
パッチの場所への絶対パスです。指定しない場合は現在ディレクトリが使用されます。 |
|
オプション。指定するとOPatchはOracle Fusion Middlewareエンティティへのパッチのロールアウトを自動化します。 詳細は、第2.4.1項「パッチの適用およびWebLogicサーバーへのパッチ適用済アーティファクトのデプロイ」を参照してください。 |
|
オプション。パッチが適用されるMiddlewareホームです。ここで指定したMiddlewareホームはMW_HOME環境変数より優先されます。いずれも指定されていない場合は、コマンドの実行が開始されたMiddlewareホームが使用されます。 |
|
オプション。パッチ適用先のOracleホームの指定に使用されるオプションです。この値はORACLE_HOME環境変数より優先されます。いずれも指定されていない場合は、OPatchが起動されたOracleホームに更新が適用されます。 |
|
オプション。プロパティ・ファイルの絶対パスと名前です。 詳細は、第2.4.1項「パッチの適用およびWebLogicサーバーへのパッチ適用済アーティファクトのデプロイ」を参照してください。 |
|
オプション。コマンドの実行によって行われるアクションを出力しますが、実際にコマンドが実行されるわけではありません。 |
lshomes
コマンドは、ホストやドメインなどの論理エンティティに属するすべてのOracleホームをリストします。ホストについては、マシンの中央インベントリからOracleホームのリストが取得されます。WebLogicドメインについては、最上位レベルのMiddlewareホームにインストールされた製品Oracleホームのみがホームのリストに記載されます。
-domain
または-domaindir
オプションを使用すると、このコマンドでWebLogicドメインの作成または拡張に使用されたOracleホームがリストに記載されます。使用しない場合は、マシンの中央インベントリまたは-invPtrLoc
を使用して指定されたインベントリの場所に登録されたすべてのホームがリストに記載されます。
Middlewareホームは-mw_home
オプションを使用するか、MW_HOME環境変数を設定することによって指定できます。Middlewareホームの指定があり、-domain
または-domaindir
オプションの指定がない場合、マシンの中央インベントリまたは指定されたインベントリの場所に登録されたMiddlewareホーム内のすべてのOracleホームがこのコマンドによってリストに記載されます。
lshomes
オプションの構文は次のとおりです。
opatch lshomes [-domain domain_name | -domain_dir domain_location] [-mw_home MW_HOME ] [-invPtrLoc path_to_oraInst.loc]
lshomes
コマンドのオプションの概要は表2-6に示されています。
表2-6 OPatchのlshomesコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
オプション。このWebLogicドメインの作成または拡張に使用されたOracleホームをリストします。 |
|
オプション。この場所のWebLogicドメインの作成または拡張に使用されたOracleホームをリストします。 WebLogicドメインへの絶対パスを指定する必要があります。 |
|
オプション。このMiddlewareホームに配置されたマシンの中央インベントリに登録されたOracleホームのみをリストに記載します。 Middlewareホーム・ディレクトリへの絶対パスを指定する必要があります。この値はMW_HOME環境変数より優先されます。いずれも使用できない場合は、コマンドの実行が開始されたMiddlewareホームが使用されます。 |
|
オプション。 |
UNIXオペレーティング・システムにおけるopatch lsholmes
コマンドのサンプルを次に示します。
[aime@stadn41 Oracle_SOA1]$ ./OPatch/opatch lshomes -domain MySOAWebCenterDist Invoking OPatch 11.1.0.6.9 Oracle Interim Patch Installer version 11.1.0.6.9 Copyright (c) 2009, Oracle Corporation. All rights reserved. UTIL session Oracle Home : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1 Central Inventory : /ade/aime_dte6989/oracle/work/EM_SH_1/oraInventory from : /etc/oraInst.loc OPatch version : 11.1.0.6.9 OUI version : 11.1.0.7.0 OUI location : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/oui Log file location : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/cfgtoollogs/opatch/opatch2009-12-06_10-57-49AM.log Patch history file: /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/cfgtoollogs/opatch/opatch_history.txt OPatch detects the Middleware Home as "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2" Invoking utility "lshomes" Home path = "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common" Home path = "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1" Home path = "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_WC1" OPatch command 'lshomes' done. OPatch succeeded.
lsdomains
コマンドは、特定のOracleホームから作成されたすべてのWebLogicドメインをリストします。
Oracleホームが指定されている場合は、指定されたOracleホームから作成されたドメインのみがリストに記載されます。Oracleホームの指定がない場合は、ORACLE_HOME環境変数で定義されたOracleホームから作成されたドメインがOPatchによってリストに記載されます。いずれも使用できない場合はコマンドの実行が開始されたOracleホーム・ディレクトリがOPatchで使用されます。
Middlewareホームが指定されている場合、指定されたMiddlewareホーム内のすべてのOracleホームから作成されたドメインがすべてリストに記載されます。
いずれも指定がなく、さらにMW_HOMEとORACLE_HOMEのいずれの環境変数も定義されていない場合、OPatchはコマンドの実行が開始されたMiddlewareホームに対してコマンドを実行します。
lsdomains
コマンドの構文は次のとおりです。
opatch lsdomains [-oh ORACLE_HOME] [-mw_home MW_HOME] [-invPtrLoc path_to_oraInst.loc]
lsdomains
コマンドのオプションの概要は表2-7に示されています。
表2-7 OPatchのlsdomainsコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
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オプション。Oracleホーム・ディレクトリへの絶対パスです。 |
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オプション。Middlewareホーム・ディレクトリへの絶対パスです。 |
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オプション。 |
UNIXオペレーティング・システムにおけるopatch lsdomains
コマンドのサンプルを次に示します。
[aime@stadn41 Oracle_SOA1]$ ./OPatch/opatch lsdomains -oh /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common Invoking OPatch 11.1.0.6.9 Oracle Interim Patch Installer version 11.1.0.6.9 Copyright (c) 2009, Oracle Corporation. All rights reserved. UTIL session Oracle Home : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common Central Inventory : /ade/aime_dte6989/oracle/work/EM_SH_1/oraInventory from : /etc/oraInst.loc OPatch version : 11.1.0.6.9 OUI version : 11.1.0.7.0 OUI location : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common/oui Log file location : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common/cfgtoollogs/opatch/opatch2009-12-06_11-04-41AM.log Patch history file: /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common/cfgtoollogs/opatch/opatch_history.txt OPatch detects the Middleware Home as "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2" Invoking utility "lsdomains" Domain Name = "MySOAWebCenterDist" Path = "/OracleFMW/MyDomains/domains/MySOAWebCenterDist" Domain Name = "MyWebCenterOnly" Path = "/OracleFMW/MyDomains/domains/MyWebCenterOnly" OPatch command 'lsdomains' done. OPatch succeeded.
このcheckApplicable
コマンドは、パッチの適用が可能なOracleホームのリストを生成します。Fusion Middlewareの場合、このコマンドの範囲は最上位のMiddlewareホームに限定されます。
Middlewareホームのみが指定されている場合、指定されたMiddlewareホーム内のすべてのOracleホームに当該のパッチを適用できるかどうかが、OPatchによってチェックされます。
Middlewareホームだけではなく、特定のOracleホームも指定されている場合、指定されたMiddlwareホームの指定されたOracleホームにこのパッチを適用できるかどうかが、OPatchによってチェックされます。
いずれも指定がなく、さらにMW_HOMEとORACLE_HOMEのいずれの環境変数も定義されていない場合、OPatchはコマンドの実行が開始されたMiddlewareホームに対してコマンドを実行します。
checkApplicable
コマンドの構文は次のとおりです。
opatch checkApplicable [-ph patch_location] [-mw_home MW_HOME] [-oh ORACLE_HOME] [-invPtrLoc path_to_oraInst.loc]
checkApplicable
コマンドのオプションの概要は表2-8に示されています。
表2-8 OPatchのcheckApplicbleコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
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オプション。 |
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オプション。Middlewareホーム・ディレクトリへの絶対パスです。 |
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オプション。Oracleホーム・ディレクトリへの絶対パスです。 |
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オプション。 |
UNIXオペレーティング・システムにおけるopatch checkApplicable
コマンドのサンプルを次に示します。
[aime@stadn41 Oracle_SOA1]$ ./OPatch/opatch checkapplicable -ph /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/FMWPatches/9991008/ Invoking OPatch 11.1.0.6.9 Oracle Interim Patch Installer version 11.1.0.6.9 Copyright (c) 2009, Oracle Corporation. All rights reserved. UTIL session Oracle Home : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1 Central Inventory : /ade/aime_dte6989/oracle/work/EM_SH_1/oraInventory from : /etc/oraInst.loc OPatch version : 11.1.0.6.9 OUI version : 11.1.0.7.0 OUI location : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/oui Log file location : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/cfgtoollogs/opatch/opatch2009-12-06_10-59-57AM.log Patch history file: /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/cfgtoollogs/opatch/opatch_history.txt OPatch detects the Middleware Home as "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2" Invoking utility "checkapplicable" "checkApplicable" passed for Patch "9991008" and Oracle Home "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common". "checkApplicable" failed for Patch "9991008" and Oracle Home "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1". The details are: Patch 9991008: Required component(s) missing : [ oracle.jrf.j2ee, 11.1.1.2.0 ] , [ oracle.jrf.dms, 11.1.1.2.0 ] "checkApplicable" failed for Patch "9991008" and Oracle Home "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_WC1". The details are: Patch 9991008: Required component(s) missing : [ oracle.jrf.j2ee, 11.1.1.2.0 ] , [ oracle.jrf.dms, 11.1.1.2.0 ] Some of the Oracle Homes under the Middleware Home "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2" have failed this check. OPatch command 'checkApplicable' done. -------------------------------------------------------------------------------- The following warnings have occurred during OPatch execution: 1) OUI-67124:Some of the Oracle Homes under the Middleware Home "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2" have failed this check. -------------------------------------------------------------------------------- OPatch Session completed with warnings. OPatch completed with warnings.
checkInstalledOneOffs
コマンドは、指定されたパッチ(複数も可)が特定のOracleホームまたはWebLogicドメインに適用されているかどうかをチェックします。
Middlewareホームが指定されている場合、指定されたMiddlewareホーム内で、マシンの中央インベントリに登録されているすべてのOracleホームがOPatchによってチェックされます。指定がない場合は、MW_HOME環境変数が使用されます。
特定のOracleホームが指定されている場合は、指定されたOracleホームについてのみ、OPatchによるパッチのチェックが実行されます。
いずれも指定がなく、さらにMW_HOMEとORACLE_HOMEのいずれの環境変数も定義されていない場合、OPatchはコマンドの実行が開始されたMiddlewareホームに対してコマンドを実行します。
WebLogicドメインが指定されている場合、指定されたWebLogicドメイン内のすべてのOracleホームがOPatchによってチェックされます。
checkInstalledOneOffs
コマンドの構文は次のとおりです。
opatch checkInstalledOneOffs -id patch_IDs [-mw_home MW_HOME] [-oh ORACLE_HOME] [-domain domain_name] [-invPtrLoc path_to_oraInst.loc]
checkInstalledOneOffs
コマンドのオプションの概要は表2-9に示されています。
表2-9 OPatchのcheckInstalledOneOffsコマンドのオプション
オプション | 説明 |
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チェック対象のパッチのIDです。複数の場合は、パッチIDをカンマ(,)で区切ります。 |
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オプション。Middlewareホーム・ディレクトリへの絶対パスです。 |
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オプション。Oracleホームへの絶対パスです。 |
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オプション。WebLogicドメインの名前です。 |
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オプション。 |
UNIXオペレーティング・システムにおけるopatch checkInstalledOneOffs
コマンドのサンプルを次に示します。このサンプルでは、SOA Oracleホームにパッチ8965224がインストールされ、Oracle共通ホームにパッチ9991008がインストールされています。
[aime@stadn41 Oracle_SOA1]$ ./OPatch/opatch checkinstalledoneoffs -id 8965224,9991008 Invoking OPatch 11.1.0.6.9 Oracle Interim Patch Installer version 11.1.0.6.9 Copyright (c) 2009, Oracle Corporation. All rights reserved. UTIL session Oracle Home : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1 Central Inventory : /ade/aime_dte6989/oracle/work/EM_SH_1/oraInventory from : /etc/oraInst.loc OPatch version : 11.1.0.6.9 OUI version : 11.1.0.7.0 OUI location : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/oui Log file location : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/cfgtoollogs/opatch/opatch2009-12-06_09-40-41AM.log Patch history file: /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/cfgtoollogs/opatch/opatch_history.txt OPatch detects the Middleware Home as "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2" Invoking utility "checkinstalledoneoffs" "checkInstalledOneOffs" failed for Oracle Home "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/oracle_common". Not Installed Patch IDs: [8965224] "checkInstalledOneOffs" failed for Oracle Home "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1". Not Installed Patch IDs: [9991008] "checkInstalledOneOffs" failed for Oracle Home "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_WC1". Not Installed Patch IDs: [8965224, 9991008] Some of the Oracle Homes under the Middleware Home "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2" have failed this check. OPatch command 'checkInstalledOneOffs' done. -------------------------------------------------------------------------------- The following warnings have occurred during OPatch execution: 1) OUI-67124:Some of the Oracle Homes under the Middleware Home "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2" have failed this check. -------------------------------------------------------------------------------- OPatch Session completed with warnings. OPatch completed with warnings.
start
コマンドおよびstop
コマンドを使用すると、それぞれでFusion Middlewareランタイム・エンティティを起動または停止できます。同じタイプのエンティティのみの起動と停止を実行できます。複数のタイプのエンティティの起動と停止が必要な場合は、エンティティ・タイプごとにこのコマンドを実行する必要があります。
このコマンドの実行の前提条件は次のとおりです。
ノード・マネージャが構成され、ターゲットのサーバー・マシンで実行されている必要があります。
WebLogic_Home
/common/nodemanager/nodemanager.domains
(UNIXオペレーティング・システム)またはWebLogic_Home
\common\nodemanager\nodemanager.domains
(Windowsオペレーティング・システム)が入力されている必要があります。
稼働中の管理サーバーへの接続が可能である必要があります。
start
およびstop
コマンドの構文は次のとおりです。
opatch start|stop -domain domain_name -targets product_entity_name -target_type product_entity_type [-oh ORACLE_HOME]
start
コマンドおよびstop
コマンドの概要は表2-10に示されています。
表2-10 OPatchのstartおよびstopコマンドのオプション
オプション | 説明 |
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指定されたターゲットが起動または停止されるドメインの名前です。 |
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起動または停止するWebLogicまたはFusion Middlewareのエンティティです。同タイプのエンティティのみを指定できます。エンティティが複数の場合は、カンマで区切る必要があります。 |
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起動するWebLogicまたはFusion Middlewareのエンティティの名前です。有効値は次のとおりです。
fmwContainerオプションは、アプリケーションをホストしているコンテナ(WebLogic Serverなど)を起動または停止します。 fmwServerオプションは実行中の実際のJavaプロセスを開始または停止します(管理対象サーバーなど)。 |
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オプション。Oracleホーム・ディレクトリへの絶対パスです。この指定がない場合はORACLE_HOME環境変数の値が使用されます。いずれも使用できない場合は、コマンドの実行が開始されたOracleホームが使用されます。 |
UNIXオペレーティング・システムにおけるopatch start
コマンドのサンプルを次に示します。
[aime@stadn41 Oracle_SOA1]$ ./OPatch/opatch start -targets soa_server1 -target_type fmwserver -domain MySOAWebCenterDist Invoking OPatch 11.1.0.6.9 Oracle Interim Patch Installer version 11.1.0.6.9 Copyright (c) 2009, Oracle Corporation. All rights reserved. UTIL session Oracle Home : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1 Central Inventory : /ade/aime_dte6989/oracle/work/EM_SH_1/oraInventory from : /etc/oraInst.loc OPatch version : 11.1.0.6.9 OUI version : 11.1.0.7.0 OUI location : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/oui Log file location : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/cfgtoollogs/opatch/opatch2009-12-06_12-30-31PM.log Patch history file: /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/cfgtoollogs/opatch/opatch_history.txt OPatch detects the Middleware Home as "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2" Invoking utility "start" Please enter the WebLogic Admin Server username:> weblogic Please enter the WebLogic Admin Server password:> Please enter the WebLogic Admin Server URL(t3://stadn41:7011):> [FMW] Performing Start Actions [FMW] Finished Start Actions OPatch command 'start' done. OPatch succeeded.
UNIXオペレーティング・システムにおけるopatch stop
コマンドのサンプルを次に示します。
[aime@stadn41 Oracle_SOA1]$ ./OPatch/opatch stop -targets soa_server1 -target_type fmwserver -domain MySOAWebCenterDist Invoking OPatch 11.1.0.6.9 Oracle Interim Patch Installer version 11.1.0.6.9 Copyright (c) 2009, Oracle Corporation. All rights reserved. UTIL session Oracle Home : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1 Central Inventory : /ade/aime_dte6989/oracle/work/EM_SH_1/oraInventory from : /etc/oraInst.loc OPatch version : 11.1.0.6.9 OUI version : 11.1.0.7.0 OUI location : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/oui Log file location : /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/cfgtoollogs/opatch/opatch2009-12-06_11-13-59AM.log Patch history file: /OracleFMW/Middleware_PS1_RC2/Oracle_SOA1/cfgtoollogs/opatch/opatch_history.txt OPatch detects the Middleware Home as "/OracleFMW/Middleware_PS1_RC2" Invoking utility "stop" Please enter the WebLogic Admin Server username:> weblogic Please enter the WebLogic Admin Server password:> Please enter the WebLogic Admin Server URL(t3://stadn41:7011):> [FMW] Performing Stop Actions [FMW] Finished Stop Actions OPatch command 'stop' done. OPatch succeeded.
この項では、Fusion Middleware環境でOPatchユーティリティを実行する際に発生する可能性がある一般的な問題について説明します。
MDSリポジトリへのパッチの適用に関する特殊な情報は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のMDSリポジトリの理解に関する項を参照してください。
管理サーバーおよび管理対象サーバーのマシン名は有効な値に設定する必要があります。空白やNoneには設定できません。
管理サーバーおよび管理対象サーバーのリスニング・アドレスは、現実の物理ホストのアドレス(ホスト名、FQDNまたはIPアドレス)に設定する必要があります。空白やlocalhostに設定することはできません。
これらの値は正しく1回のみ設定する必要があります。ソフトウェアに対するパッチの適用が必要になっても、これらのリセットは必要ありません。
管理対象サーバーのマシン名およびリスト・アドレスを設定する方法は次のとおりです:
管理コンソールを開きます。
「ドメイン構造」で、domain_nameから「環境」→「マシン」にナビゲートします。
WebLogic Server が本番モードで稼働している場合は、左側の「ロックして編集」ボタンをクリックします。WebLogic Serverが開発モードで稼働している場合はこの手順が不要です。
「新規」ボタンをクリックして新しいマシンを作成します。名前を指定し、オペレーティング・システムを選択します。
作成したマシンを選択し、「構成」→「ノード・マネージャ」に移動して、ノード・マネージャがリスニングしているホストにリスニング・アドレスを変更してから「保存」ボタンをクリックします。
「ドメイン構造」で、domain_nameから「環境」→「サーバー」にナビゲートします。
管理対象サーバーのそれぞれに対して、作成したマシンを割り当てます。「リスニング・アドレス」フィールドで、ノード・マネージャがリスニングしているホストの名前を指定します。終了したら、「保存」をクリックします。
WebLogic Server が本番モードで稼働している場合は、左側の「変更のアクティブ化」ボタンをクリックします。WebLogic Serverが開発モードで稼働している場合はこの手順が不要です。
管理サーバーのマシン名およびリスト・アドレスを設定する方法は次のとおりです。
管理サーバーとすべての管理対象サーバーを停止します。
ドメインのconfig.xml
ファイルをバックアップします。
このファイルのデフォルトの場所は、ドメイン・ホーム内のconfig
ディレクトリです。
既存のconfig.xml
ファイルを次のように変更します。
次の行を探します。
<name>AdminServer</name>
次の行を追加します。
<machine>host_name</machine> <listen-address>host_name</listen-address>
ファイルを保存します。
管理サーバーとすべての管理対象サーバーを再起動します。
問題が発生した場合は、保存されたバージョンのconfig.xml
ファイルに戻してOracleサポートに連絡してください。