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Oracle® Fusion Middleware Oracle Portal管理者ガイド
11g リリース1(11.1.1)
B61385-02
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11 コンテンツのエクスポートとインポート

Oracle Portalには、ポータル間でコンテンツを転送するためのエクスポート・ユーティリティとインポート・ユーティリティが用意されています。この章では、エクスポート・ユーティリティとインポート・ユーティリティの使用に関する推奨事項と最善の使用方法について説明します。この章には、次の各項が含まれます。

11.1 Oracle Portalのエクスポートまたはインポートの概要

この項では、Oracle Portalのエクスポートとインポートを実行する際に必要となる作業、およびこれらの機能がOracle Fusion Middlewareの他のコンポーネントとどのように連携するかについて説明します。この項には次の項目が含まれています。

Oracle Portalのエクスポートとインポートの機能

Oracle Portalのエクスポートおよびインポート処理は、次の手順で行われます。

  1. トランスポート・セットを作成し、その内容をトランスポート表に抽出します。トランスポート・セットには、ターゲットのポータル環境にエクスポートするポータル・オブジェクトが含まれています。この情報は、マニフェストに表示されます。マニフェストは、トランスポート・セット内のオブジェクトをリストにしたもので、エクスポートを詳細に制御するために使用されます。エクスポート・プロセスと「トランスポート・セット - エクスポート・サービス」ポートレットの使用の詳細は、第11.4.1.2項「トランスポート・セットの管理方法」を参照してください。

  2. 介在するファイアウォールがある場合は、「トランスポート・セット 取得サービス」ポートレットを使用するか、またはOracle Portalのエクスポートとインポートのコマンドライン・スクリプトを使用して、1つのシステム(ソース)から別のシステム(ターゲット)にトランスポート・セットを移動します。「トランスポート・セット 取得サービス」ポートレットを使用して、ソース・システムからターゲット・システムにトランスポート・セットを移動する方法の詳細は、第11.5.2項「ターゲット・システムへのデータの移動」を参照してください。コマンドライン・スクリプトの使用方法の詳細は、第11.7項「Oracle Portalのエクスポートおよびインポートのコマンドライン・スクリプトの使用」を参照してください。

  3. 「トランスポート・セットのインポート」ポートレットを使用して、トランスポート表からターゲット・ポータル・リポジトリにオブジェクトをインポートします。インポート・プロセスと「トランスポート・セットのインポート」ポートレットの使用方法の詳細は、第11.6.1項「Oracle Portalのインポート: 推奨方法」を参照してください。

詳細情報

11.2 開始する前に

エクスポートおよびインポート処理を開始する前に、次の情報を確認してください。

11.2.1 システム要件

コンテンツをエクスポートおよびインポートする前に、使用するシステムが、この項に記載されているシステムの最低条件を満たしていることを確認します。


注意:

  • エクスポートとインポートは、Oracle Portalの同じリリースおよび同じパッチ・リリースでのみ機能します(リリース10.1.4とリリース10.1.4、リリース11.1.1とリリース11.1.1など)。リリース10.1.2とリリース10.1.4、リリース10.1.4とリリース11.1.1などのように、リリースが異なる場合はエクスポートおよびインポートできません。

  • オブジェクトを正しく移行するには、ターゲットとソースのポータル・リポジトリのバージョンが同じである必要があります。中間層のバージョンの違いは移行に影響しません。


  • クライアントのエクスポート・ユーティリティでの異なるリリースの使用。Oracle Databaseの異なるリリース間でデータを移動する場合は、次の規則を適用します。

    • Oracle Database impユーティリティとデータをインポートするデータベース(ターゲット・データベース)は、必ず同じリリースまたはそれ以上のリリースを使用します。

    • Oracle Database expユーティリティのリリースは、ソース・データベースとターゲット・データベースのうち、より以前のリリースと同じでなければなりません。


      注意:

      • Oracle Databaseのexpimpは、ユーザー・データをバックアップまたは転送する際、Oracle特有の形式でデータをダンプし、復元するために使用される、エクスポートとインポートのための移行ユーティリティです。

      • データベース・リリースの不一致に関する問題が発生した場合は、オラクル社カスタマ・サポート・センターに連絡してください。


    データベースのOracleホームと中間層のOracleホームのどちらを使用するかは、ソースとターゲットのポータル・インストールに使用されているデータベースのリリースによります。デフォルトでは、リリース11.1.1の中間層では、リリース11.1.1のOracleホームが使用されます。

    前述の推奨事項に基づくと、リリース11.1.1のポータルとリリース11.1.1の中間層の場合は、次の条件が適用されます。

    • コンテンツをエクスポートするときは、常に中間層のOracleホームを使用します。リリース10.2.0.3は、リリース11.1.1のポータル・インストールがサポートする最も初期のデータベース・リリースです。

    • コンテンツをインポートするときは、常にターゲット・データベースのOracleホームを使用します。インポート・ユーティリティとターゲット・データベースのリリースは同じである必要があります。

    たとえば、より新しいリリースのデータベースにインポートする場合は、ソース・データベースと同じリリースのOracle Database expユーティリティを使用してエクスポート・ファイルを作成します。より以前のリリースのデータベースにインポートする場合は、ターゲット・データベースと同じリリースのOracle Database expユーティリティを使用してエクスポート・ファイルを作成します。


    注意:

    インポート元とエクスポート先のポータル・インストールでは、同じリリースのデータベースを使用することを薦めします。

  • Oracleエクスポートおよびインポートとキャラクタ・セット。Oracle Database expユーティリティは、常に、エクスポート・サーバーのキャラクタ・セットでユーザー・データ(Unicodeデータを含む)をエクスポートします。キャラクタ・セットはデータベースの作成時に指定します。

    Oracle Database impユーティリティは、インポート・サーバーのキャラクタ・セットにデータを自動的に変換します。

    8ビット・キャラクタ・セットのエクスポート・ファイルをインポートすると、一部の8ビット・キャラクタが失われる(つまり7ビットの対応するキャラクタに変換される)場合があります。この現象は、クライアント・システムに固有の7ビット・キャラクタ・セットがある場合、またはオペレーティング・システムの環境変数NLS_LANGが7ビット・キャラクタ・セットに設定されている場合に発生します。アクセント記号のある文字は、ほとんどの場合、アクセント記号が失われます。

    Oracle Databaseのexpユーティリティとimpユーティリティでは、データをエクスポートまたはインポートする前に必要なキャラクタ・セットの変換が示されます。


    注意:

    エクスポート・クライアントとエクスポート・サーバーの間でキャラクタ・セットの幅が異なる場合は、変換によってデータが拡張されるとデータが切り捨てられることがあります。切捨てが発生する場合は、警告メッセージが表示されます。

  • ソースおよびターゲットのポータル・インスタンスについてよく把握します。

    • ソース・コンピュータおよびターゲット・コンピュータ上の対象ディレクトリにコマンドラインからアクセスできますか。Oracle Portalのエクスポートとインポートのコマンドライン・スクリプトを使用して、1つのシステムから別のシステムにトランスポート・セットを移動する場合、エクスポートおよびインポート処理で生成されるシェルまたはコマンド・ユーティリティを実行するためにコマンドラインへのアクセスが必要です。同時に、コマンドライン・ユーティリティからは、Oracle Databaseのexpユーティリティとimpユーティリティ、およびOracle Portalインスタンスにアクセスできる必要があります。

    • バックグラウンド・ジョブを実行できるようにデータベースが構成されていますか。エクスポートまたはインポートの各プロセスは、それぞれバックグラウンド・プロセスを設定します。このため、データベース・パラメータjob_queue_processesが正しく設定されているかどうかを確認してください。

      job_queue_processesパラメータの値を確認するには、SQL*Plusから次の問合せを実行します。

      %select name, value from v$parameter where name='job_queue_processes'
      

      バックグラウンド・ジョブを実行できるようにするには、job_queue_processesの値を2以上に設定します。

      また、データベースのORACLE_INSTANCEに格納されているinit.oraファイルを調べて、job_queue_processesパラメータを確認する方法もあります。

  • データのエクスポートとインポートをいつ実行しますか。営業時間外にエクスポートおよびインポート処理を実行し、処理中はOracle Portalにアクセスできないようにします。ポータルへのアクセスを一時的に無効にするには、エクスポート中はリスナーを別のポート番号に構成し、エクスポート処理が完了した後で元のポートに戻すという方法があります。


    注意:

    Oracle Database expユーティリティおよびimpユーティリティの実行中にエラーや警告が発生した場合は、トランスポート・セットをインポートしないでください。まず、Oracle Databaseのexpログ・ファイル(<script_file_name>_<long identifier>_exp.log)およびimpログ・ファイル(<script_file_name>_<long identifier>_imp.log)に記録されるエラーや警告を確認し、問題を解決してください。

  • エクスポートまたはインポート処理にどの程度の時間がかかりますか。Oracle Portalのコンテンツをエクスポートまたはインポートする際の所要時間を正確に予測することはできません。コンテンツのエクスポートとインポートにかかる時間は、様々な要因の影響を受けます。エクスポートとインポートに影響する要因は次のとおりです。

    エクスポート処理に影響を与える要因は次のとおりです。

    • エクスポートされるオブジェクトには、ページ・グループ全体にわたる複数の依存性があります。

    • オブジェクト間に参照または依存性があります。

    • 抽出処理の開始に時間がかかる場合、キューで割り当てられているデータベース・ジョブが原因です。

    • 抽出されるドキュメント(特にBLOB列)が数多く存在しています。

    • ソート処理の場合、一時表領域のメモリーが不十分です。

    • スキーマ検証に時間がかかる場合、検証を要するオブジェクトの数が多いことが原因です。

    インポート処理に影響を与える要因は次のとおりです。

    • 大容量のページ・グループの事前チェック(事前チェックを要する内部および外部の依存性の数にもよります)。

    • インポート処理の開始に時間がかかる場合、キューで割り当てられているデータベース・ジョブが原因です。

    • ソート処理の場合、一時表領域のメモリーが不十分です。

    • インポート後のスキーマ検証に時間がかかる場合、検証を要するオブジェクトの数が多いことが原因です。

    • ソース言語とターゲット言語がある程度以上異なっています。


    ヒント

    サイズの大きいトランスポート・セットをインポートするときは、事前に、関連するデータベース・キャッシュのパラメータ値を必要に応じて大きくしておきます。これで、トランスポート・セットのサイズが大きい場合でも、それほど時間をかけずにインポートできるようになります。

11.2.2 その他の検討事項

ここでは、Oracle Portalのデータをエクスポートおよびインポートする前に考慮する必要があるその他の重要事項を説明します。

  • 大容量のデータ・セットをエクスポートまたはインポートする場合、一時表領域に十分な空きがあることを確認します。空き領域が十分であれば、メモリー不足が原因でエクスポート処理やインポート処理が失敗することはありません。

  • コマンドラインから大容量のページ・グループをエクスポートする場合は、opeasst.cshスクリプトを使用します。詳細は、第11.4.1.1.3項「コマンドラインからの大容量のページ・グループのエクスポート」を参照してください。

  • コマンドラインから大容量のページ・グループをインポートする場合は、-automatic_mergeオプションを使用してインポート・スクリプトを実行します。詳細は、第11.7.3項「ターゲット・システムへのトランスポート・セット表のインポート」を参照してください。

  • Business Intelligence and Formsのコンポーネントをインストールしており、ソース・ポータル・インスタンスでOracle Portalの関連ポートレットを使用する場合、ポータル・インスタンス間でデータをエクスポートおよびインポートする前に、ターゲット・ポータル・インスタンスにも同じコンポーネントがインストールされていることを確認する必要があります。同じBusiness Intelligence and Formsコンポーネントがターゲット・ポータル・インスタンスにインストールされていない場合は、インポート時に、それらのコンポーネントに関連するポートレットが表示ページから削除されます。


    注意:

    ソースまたはターゲットのポータル・インスタンスで問題が発生した場合、システム表を手作業で更新して解決することは避けてください。手作業での処理は、エクスポートおよびインポート処理が失敗する原因になります。ソースまたはターゲットのインスタンスに問題が生じた場合は、オラクル社カスタマ・サポート・センターに連絡してください。

11.2.3 コンテンツをエクスポートおよびインポートするための権限

この項では、コンテンツを正しくエクスポートおよびインポートするための権限について説明します。ここで説明する権限は、Oracle Instant Portalのコンテンツをエクスポートおよびインポートする場合にも適用されます。

コンテンツをエクスポートするための権限

共有オブジェクト(共有ページ・グループ内のオブジェクト)のエクスポートを安全に制御できるように、インフラストラクチャ・レベルで2つの権限が定義されています。

  • 「すべてのトランスポート・セット」の「管理」: 共有オブジェクトを含め、ポータル・オブジェクトをエクスポートおよびインポートできます。この権限は、ポータルのインストール・プロセスで、DBAグループにデフォルトで付与されます。

  • 「すべてのトランスポート・セット」の「実行」: 共有オブジェクト以外のポータル・オブジェクトをエクスポートおよびインポートできます。この権限は、ポータルのインストール・プロセスで、PORTAL_ADMINISTRATORSグループにデフォルトで付与されます。

表11-1に、エクスポート・ユーザーの権限を示します。

表11-1 エクスポート・ユーザーの権限

ユーザーの権限 非共有オブジェクトのエクスポート 共有オブジェクトのエクスポート

「すべてのトランスポート・セット」の「管理」

はい

はい

「すべてのトランスポート・セット」の「実行」

はい

いいえ

「すべてのトランスポート・セット」の「なし」

いいえ

いいえ


コンテンツをインポートするための権限

「すべてのトランスポート・セット」の「管理」権限の他にも、コンテンツを正常にインポートするために、特定タイプのオブジェクトに対する管理権限が必要です。

たとえば、Webプロバイダが含まれているページ・グループの場合、そのページ・グループをインポートするには、「すべてのプロバイダ」および「すべてのページ・グループ」に対する「すべて管理」権限が必要です。表11-2に、それぞれのオブジェクト・タイプおよび必要な権限レベルを示します。


注意:

インストール時またはアップグレード時に、FMWADMINユーザーとOracle Portalユーザーには、すべてのページ・グループに対する「すべて管理」権限が付与されます。DBAグループのメンバーにも、すべてのページ・グループに対する「すべて管理」権限がデフォルトで付与されます。

表11-2 インポート・ユーザーの権限

オブジェクト・タイプ 権限

すべてのページ・グループ

ページ・グループと共有オブジェクトをインポートするには、「すべて管理」と「すべてのプロバイダの管理」が必要です。

すべてのプロバイダ

ページ・グループ、Portal DBプロバイダ、Webプロバイダ、WSRPプロデューサ、およびその他のデータベース・プロバイダをインポートするには、「管理」が必要です。

すべてのPortal DBプロバイダ

Portal DBプロバイダのオブジェクトをインポートするには、「管理」が必要です。

すべての共有コンポーネント

Portal DBプロバイダのオブジェクトが共有コンポーネントを参照している場合、共有コンポーネントをインポートするには、「管理」が必要です。



注意:

共有オブジェクト・グループに属しているスタイルに基づくページをインポートする場合、共有オブジェクトをインポートする権限がないと、ページのスタイルがデフォルトで「メイン・スタイル」にリセットされます。

11.3 エクスポートおよびインポート機能の使用例

Oracle Portalは、ソースとターゲットのポータル・インスタンス間で、ページ・グループおよびポータル・コンテンツをコピーまたは更新する機能をサポートしています。この項では、Oracle Portalのエクスポートおよびインポート処理の最も一般的な使用例を紹介します。

11.3.1 事例1: 開発インスタンスと本稼働インスタンス間のインポートとエクスポート

この事例では、ポータルのページ・グループとポートレットを、Oracle Portalの開発インスタンスと本稼働インスタンス間でコピーまたは更新する手順を説明します。


注意:

ユーザーのパーソナライズはエクスポートされないため、ソースのページまたはポートレット上のパーソナライズは一切エクスポートまたはインポートされません。

シナリオ1: ページとコンテンツをターゲットのポータル・システムにエクスポートします。ターゲット・システムに対する最初のエクスポートでは、ページ・グループ全体を移行する必要があります。次の手順は、処理の概要を示しています。

  1. ソース・システム上で、ページ・グループ、アプリケーションおよびコンテンツを開発します。

  2. エクスポートするページ、アプリケーションおよびコンテンツを特定し、それに応じてトランスポート・セットを作成して、ターゲット・システムにエクスポートします。

  3. トランスポート・セットをターゲット・システムのポータル・リポジトリにインポートします。

シナリオ2: ターゲット・インスタンスのコンテンツを更新します。Oracle Portalは、次の場合のみ、ターゲット・システムのアイテムとリージョン・レベルのコンテンツの更新をサポートしています。

ソースからターゲットのインスタンスにすべての変更をエクスポートおよびインポートする場合。ターゲット・システムのすべてのページ構造、コンテンツおよびユーザー設定項目が、ソース・システムのコンテンツで置き換えられます。ターゲット・システムへの最初のエクスポートでは、ソース・ポータルからターゲット・ポータル・インスタンスに、ページ・グループ全体を移行します。

コンテンツをエクスポートおよびインポートする推奨方法の詳細は、第11.9項「エクスポートおよびインポート時の推奨方法」を参照してください。

11.3.2 事例2: 複数のポータル・インスタンス間での同一コンテンツの配置

「トランスポート・セットの取得」ポータルを使用してデータをトランスポートするとともに、移行ツールexpおよびimpを使用して複数のOracle Portalインスタンスにわたって同一のコンテンツを配置することもできます。この事例では、Oracle Portalのオブジェクト(ポートレット、ページ・グループなど)を1つのインスタンスで作成した後、移行ユーティリティexpおよびimpを使用して、そのオブジェクトを複数のインスタンスへ伝播します。詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』の、本番環境からテスト環境へのステージングに関する説明を参照してください。

11.3.3 事例3: 複数のソースのコンテンツ統合

Oracle Portalのエクスポートおよびインポート機能を使用して、複数のポータル・インスタンスのコンテンツをターゲットとなる1つのポータル・インスタンスに移行する場合は、次の点を考慮する必要があります。

  • インポート元となる複数のポータル・インスタンス上で、同じ名前のオブジェクトを作成しないでください。これにより、共有オブジェクト間でのネームスペースの競合を回避できます。たとえば、ソース・インスタンス(source1source2)に共有テンプレート(shared_tempate1)を作成し、source1source2それぞれのページ・グループ(pgrp1pgrp2)が使用するとします。この場合、source1source2の2つのページ・グループを1つのターゲット・インスタンスに統合しようとすると、2つのページ・グループが同じ名前を持つ別々の共有テンプレート(shared_template1)を使用しているため、事前チェック・エラーが発生します。

  • 同じ名前を持つ複数のページ・グループを作成しないでください。たとえば、ソース・インスタンスsource1source2にページ・グループpgrp1をそれぞれ作成した場合、これら2つのページ・グループを1つのターゲット・インスタンスに統合することはできません。この注意事項は、データベース・プロバイダのオブジェクト名、共有コンポーネント名、Webプロバイダ名、データベース・プロバイダ名にも適用されます。

11.4 Oracle Portalでのエクスポート

この項では、Oracle Portalでエクスポートを実行する方法について説明します。この項には次の項目が含まれています。

11.4.1 Oracle Portalのエクスポート: 推奨方法

この項では、Oracle Portalのコンテンツをエクスポートまたはインポートする際に推奨される方法について説明します。この項の内容は次のとおりです。

11.4.1.1 Oracle Portalのエクスポート機能

この項では、ソース・ポータル・システムからコンテンツを正しく転送するために必要な次のエクスポート処理と手順について説明します。

11.4.1.1.1 トランスポート・セットの作成

システム要件を確認したら、次にトランスポート・セットを作成する必要があります。図11-1はこの処理を示しています。


注意:

競合の問題が発生しないように、1人のユーザーが1つのトランスポート・セットを管理するようにしてください。

図11-1 エクスポート処理

図11-1の説明が続きます
図11-1「エクスポート処理」の説明

  1. 「ナビゲータ」または「一括操作」(一度に複数のページをエクスポート・トランスポート・セットに追加できます)で、エクスポートするページ・グループまたはルート・ページを選択します。トランスポート・セット・マネージャが表示されます。

  2. 名前を選択し、トランスポート・セットの一部として、アクセス制御とプリファレンスを含めるか、外部オブジェクトと子オブジェクトを含めるかを選択します。「次へ」をクリックすると、トランスポート・マニフェストが生成されます。

  3. 依存性の計算が終了したら、「マニフェストの表示」をクリックし、「トランスポート・セットのエクスポート」ページを表示して結果を確認します。マニフェストは、トランスポート・セット内のオブジェクトをリストにしたもので、エクスポートを詳細に制御するために使用されます。この項の「インポート・モードの処理」で説明しているように、明示オブジェクトおよび参照しているオブジェクトに対して、「インポート時に置換」オプションが適切に設定されていることを確認します。接続先ポータルで必要な外部オブジェクトがあれば、トランスポート・セットに追加します。これでトランスポート・セットをエクスポートできるようになりました。

  4. 今すぐエクスポート」をクリックしてエクスポートを開始します。この手順でデータが抽出され、トランスポート表にデータが入力されます。エクスポート・プロセスの詳細は、第11.4.1.1.2項「データのエクスポート」を参照してください。

エクスポート・トランスポート・セット・マネージャによって、トランスポート・セット内のオブジェクトのすべての依存性が正しく抽出されます。具体的には、依存性マネージャは、明示的にエクスポートされるオブジェクトとどのような関係にあるかに基づいて、各オブジェクトを、明示的に選択、参照、外部または子に分類します。この情報はマニフェストに表示されます。図11-2を参照してください。オブジェクトは次のように分類されます。

  • 「明示的に選択されたオブジェクト」: 「ナビゲータ」または「一括操作」で、エクスポート対象として明示的に選択されたオブジェクトです。

  • 「参照しているオブジェクト」: 明示的に選択されたオブジェクトが直接または間接的に参照しているが、常に明示オブジェクトとして同じページ・グループ内にあるオブジェクトです。たとえば、ページで使用されているスタイルは、それが同じページ・グループに属している場合は、参照しているオブジェクトになります。

  • 「外部オブジェクト」: 外部オブジェクトによって、明示的に選択されたオブジェクトはターゲット・ポータルで機能するようになります。たとえば、外部プロバイダとデータベース・スキーマは、外部オブジェクトとみなすことができます。一般的には、共有オブジェクトおよびコンポーネントは、明示的に選択されていない場合は外部オブジェクトとなります。

  • 「子オブジェクト」: 階層に含まれているオブジェクトです。たとえば、サブページ、サブカテゴリ、サブパースペクティブは、それぞれページ、カテゴリ、パースペクティブの子オブジェクトです。


    注意:

    • 参照しているオブジェクトに子オブジェクトが含まれている場合、それらの子オブジェクトは再使用モードでインポートされます。そのため、参照しているオブジェクトを明示的に選択し、トランスポート・セットに含める必要があります。これにより、インポート・モードを「インポート時に置換」に設定できます。ページ・グループを再使用モードでインポートする前に、ページ・グループのプロパティを書き留めておいてください。ページ・グループを手動でインポートした後、変更内容を更新して以前のプロパティを反映させます。

    • 子オブジェクトは、明示オブジェクトのみを対象に移行用として選択されます。参照セクションに親ページ、カテゴリまたはパースペクティブが表示される場合、子オブジェクトは選択されません。詳細は、表11-12 「子オブジェクトのインポート動作」を参照してください。

    • 明示オブジェクトおよび参照オブジェクトのコンテナは、外部の依存性として移行されます。


インポート・モードの処理

マニフェストには、インポート・モードの制御に関する精度レベルが用意されています。マニフェストは、トランスポート・セット内のオブジェクトのリストです。インポートでは、次の2つのモードを使用できます。

  • 「インポート時に置換」: ターゲットのオブジェクトが存在する場合は、置き換えられます。オブジェクトが存在しない場合は、作成されます。このモードが選択されていなくて、オブジェクトが存在する場合は、ターゲット・ポータルのオブジェクトはそのまま保持されます。ただし、ターゲットにオブジェクトが存在しない場合は、オブジェクトが作成されます。

  • 「インポートの再使用」: ターゲットにオブジェクトが存在しない場合は、作成されます。すでに存在する場合は、そのまま保持されます。

表11-3に、オブジェクトの分類とデフォルトのモードを示します。

表11-3 デフォルトのモード

オブジェクトの分類 デフォルトのインポート・モード

明示的に選択されたオブジェクト

インポート時に置換

参照しているオブジェクト

再使用

子オブジェクト

インポート時に置換

外部オブジェクト

再使用


図11-2は、トランスポート・セットのマニフェストの例です。

図11-2 トランスポート・セットのマニフェスト

図11-2の説明が続きます
図11-2「トランスポート・セットのマニフェスト」の説明

たとえば、明示的に選択されたオブジェクトの名前をクリックすると、子オブジェクト、参照オブジェクトおよび外部オブジェクトの詳細ビューが表示されます。オブジェクトは、ツリー形式でも表形式でも表示できます。図11-3は、マニフェストの詳細画面のツリー表示の一例です。

図11-3 マニフェストの詳細画面

図11-3の説明が続きます
図11-3「マニフェストの詳細画面」の説明


注意:

編集可能な生成済アイテム・タイプが抽出されます。生成済のタイプは編集しないでください。これらを抽出する場合は、既存の生成済タイプに基づいて、共有オブジェクトのページ・グループでカスタム・タイプを作成します。依存性マネージャによってこれらはマニフェストに追加されます。

11.4.1.1.2 データのエクスポート

ソースからターゲット・インスタンスにポータル・コンテンツをエクスポートおよびインポートする前に、第11.8項「移行後のオブジェクトの動作」を参照してください。


注意:

ポートレットに関連するポートレット・リポジトリ情報(セキュリティや編成など)は、エクスポートおよびインポート処理では移行されません。

オブジェクトをエクスポートするには、次の手順を実行します。

  1. エクスポートするオブジェクトを選択します。「ナビゲータ」を使用するか、または検索結果でページ・グループの「一括操作」を使用します。図11-4を参照してください。


    注意:

    ポートレット(Portalフォーム、Portalレポート、チャート、動的ページ)を参照するポータル・ページまたはページ・グループをエクスポートする前に、必ずこれらのポートレットをエクスポートしてください。

    図11-4はPortalナビゲータの一例です。

    図11-4 Portalナビゲータ

    図11-4の説明が続きます
    図11-4「Portalナビゲータ」の説明

  2. エクスポート」、「ページ・グループのエクスポート」、「ルート・ページのエクスポート」いずれかのリンクをクリックして、トランスポート・セット・マネージャを表示します。トランスポート・セットの名前はできるだけわかりやすいものにし、名前の先頭には特殊文字を使用しないようにします。たとえば、My Company Transport Set 12-NOV-2008のようにします。

    図11-5は、トランスポート・セット・マネージャの例です。

    図11-5 トランスポート・セット・マネージャ

    図11-5の説明が続きます
    図11-5「トランスポート・セット・マネージャ」の説明

  3. トランスポート・セットのオブジェクトに関連付けられたアクセス制御リスト(ACL)を含める場合は、「アクセス制御とプリファレンス」を選択します。このオプションを選択した場合は、次の処理が行われます。

    • オブジェクトに関連付けられたユーザーとグループが移行されます。

    • オブジェクトに割り当てられている権限が移行されます。

    • ユーザーに関連付けられたパラメータとイベントが移行されます。

  4. 明示的に選択されたオブジェクトでエクスポートに外部オブジェクトの依存性を含めるには、「すべての外部オブジェクトをエクスポート」を選択します。

  5. エクスポートに階層オブジェクトを含めるかどうかを選択します。

    • 明示的に選択されたオブジェクトの子オブジェクトをすべてエクスポートに含めるには、「階層全体を含める」を選択します。

    • 明示的に選択されたオブジェクトの構造のみをエクスポートに含めるには(子オブジェクトをいっさい含めないようにするには)、「オブジェクト構造のみ含める」を選択します。このオプションは、階層オブジェクト(ページ、パースペクティブおよびカテゴリ)にのみ適用されます。

  6. トランスポート・セットの「ページ・オプション」を設定します。

    マニフェスト表示

    • 依存性マニフェストにすべてのオブジェクトを一度にレンダリングするには、「全トランスポート表示」(デフォルト)を選択します。

    • ページ区切り表示を選択して、セクションごとに表示可能なオブジェクトの数をユーザー・オプションで設定できるようにします。たとえば、表示可能なオブジェクトの数を100に設定すると、ページ区切りコントロールでは1セクションに100個のオブジェクトのみを表示できます。このオプションは、レンダリング前にマニフェストのユーザー・インタフェースがタイムアウトする可能性がある大きなトランスポート・セットの場合に特に便利です。

    ツリー表示

    • すべての依存性を一度に表示した詳細な依存性ツリーをレンダリングするには、「全依存性表示」(デフォルト)を選択します。

    • ページ区切り表示を選択して依存性を即時参照のみに制限し、ページ区切りのドリル・ダウンコントロールを使用して、子参照を横断表示するようにします。この設定は、ツリー表示レンダリングがタイムアウトする可能性がある大規模な依存性ツリーの場合に便利です。

  7. 次へ」をクリックすると、トランスポート・マニフェストが生成されます。依存性の計算が終わったら(「再問合せ」をクリックしてステータスを確認)、「マニフェストの表示」をクリックし、エクスポート/インポートの依存性マネージャを表示して結果を確認します(図11-6を参照)。この項の「インポート・モードの処理」で説明しているように、明示オブジェクトおよび参照しているオブジェクトに対して、「インポート時に置換」オプションが適切に設定されていることを確認します。接続先ポータルで必要な外部オブジェクトがあれば、トランスポート・セットに追加します。

  8. 変更後に「再計算」をクリックすると、更新されたマニフェストが表示されます。

    図11-6は、トランスポート・セットのオブジェクトを示しています。

    図11-6 トランスポート・セット・マネージャのオブジェクト

    図11-6の説明が続きます
    図11-6「トランスポート・セット・マネージャのオブジェクト」の説明

  9. 依存性の計算の後すぐにトランスポート・セットを完成させるには、「今すぐエクスポート」をクリックします。依存性の計算後に変更を行った場合、またはPortalの他のユーザーが変更を加えた可能性がある場合は、「再計算してエクスポート」をクリックすると、トランスポート・セットをエクスポートする前に依存性が再計算されます。エクスポート用としてマークされたオブジェクトは、移行用のトランスポート表にコピーされます。エクスポート処理が完了したら、「ログのエクスポートとスクリプトのダウンロード」ページが表示されます。


    注意:

    今すぐエクスポート」を選択するとオブジェクトがエクスポートされます。

    図11-7 「ログのエクスポートとスクリプトのダウンロード」ページ

    図11-7の説明が続きます
    図11-7「「ログのエクスポートとスクリプトのダウンロード」ページ」の説明

  10. 操作のログを表示」リンクをクリックし、エラーが発生していないかどうかをトランスポート・セット・マネージャ内のログでチェックします。

    図11-8は、「ログの表示」ページの一例です。

    図11-8 トランスポート・セットのエクスポート・ログ

    図11-8の説明が続きます
    図11-8「トランスポート・セットのエクスポート・ログ」の説明


    注意:

    デバッグ・メッセージを含むエクスポート処理の詳細なログを表示するには、ログの上部にある「ログ情報の詳細はここで見ることができます」と表示されるリンクをクリックします。

  11. ファイアウォール経由でターゲット・システムにデータを移動する場合は、「トランスポート・セットの取得」ポートレットではなく、Oracle Portalのエクスポートおよびインポートのコマンドライン・スクリプトを使用する必要があります。「ログのエクスポートとスクリプトのダウンロード」ページから、オペレーティング・システムに基づいて適切なエクスポート・スクリプトを選択し、ソース・システムにダウンロードします。コマンドライン・スクリプトの使用方法の詳細は、第11.7項「Oracle Portalのエクスポートおよびインポートのコマンドライン・スクリプトの使用」を参照してください。

11.4.1.1.3 コマンドラインからの大容量のページ・グループのエクスポート

opeasst.csh(Oracle Portal Export Assistant)スクリプトを使用すると、ポータルのユーザー・インタフェースを介さずに、大容量のページ・グループをすべての依存性とともにエクスポートできます。このスクリプトは、「すべての外部オブジェクトをエクスポート」オプションを有効にした状態のユーザー・インタフェースを介したトランスポート・セットのエクスポートの動作をレプリケートします。

このスクリプトにより、次のことが次の順序で実行されます。

  • 指定した名前でトランスポート・セットを作成する

  • 指定したページ・グループの依存性を計算し、昇格可能な外部オブジェクトがなくなるまで、すべての外部オブジェクトを反復的に昇格する

  • トランスポート表にメタデータを抽出する

  • トランスポート・セットの外部の依存性(存在する場合)に対してチェックリストを生成する

このスクリプトは、/portal/admin/plsql/wwuディレクトリにあります。スクリプトの例を次に示します。

%opeasst.csh
 Usage: opeasst.csh -s portal_schema
 -p portal_password -c connect_string
 -ts transportset_name -pgrps pgrp_names
 -log log_name [-export_acls]

注意:

このスクリプトを使用して、すべてのページ・グループをエクスポートできます。

表11-4で、この処理で使用するパラメータについて説明します。

表11-4 OPEASST.CSHパラメータの説明

パラメータ 説明

-s portal_schema

ポータルで使用するOracle Databaseのアカウント。

-p portal_password

ポータルで使用するOracle Databaseのパスワード。

-c connect_string

ソース・データベースのTNS接続情報。

-ts transportset_name

作成するトランスポート・セットの名前。

-pgrps pgrp_names

エクスポートするページ・グループのカンマ区切りのリスト。

注意: スクリプトを使用して生成済ページ・グループをエクスポートすることはできません。


エクスポート・チェックリストのプロセス・ログの出力先とするログ・ファイルの名前。

-export_acls

オブジェクト・レベルの権限をエクスポートします。


コマンドラインからエクスポートを実行した後で、次の手順を実行します。

  1. ステータス」リンクをクリックし、トランスポート・セット・マネージャのログで、エラーが発生していないかどうかを確認します。システム上にあるトランスポート・セットの編集および参照方法の詳細は、第11.4.1.2項「トランスポート・セットの管理方法」を参照してください。

  2. エクスポートが完了したら、トランスポート・セットを参照し、オペレーティング・システムに適切なスクリプトを選択します。詳細は、第11.7項「Oracle Portalのエクスポートおよびインポートのコマンドライン・スクリプトの使用」を参照してください。

  3. オプションに-mode exportを使用してスクリプトを実行します。

    %MyScript.csh -mode export
    

    これにより、スキーマ名(ソース)、パスワード、ダンプ・ファイル名などの情報を入力するよう要求されます。また、終了時にダンプ・ファイルが作成されます。

  4. FTPを使用して、ダンプ・ファイルとエクスポートおよびインポート・スクリプトを、ターゲットのOracle Portalスキーマがあるコンピュータに転送します。

  5. オブジェクトをインポートするには、最初にトランスポート・セットのダンプ・ファイルの内容をターゲット・システムのトランスポート・セット表にインポートする必要があります。詳細は、第11.6.1.2項「データのインポート」を参照してください。

現在は、次の機能と制限が適用されます。

  • スクリプトはページ・グループのエクスポートのみをサポートしています。

  • カンマで区切られた値を使用して、複数のページ・グループを一度にエクスポートできます。

  • エクスポート後に、エクスポート・チェックリストのログを参照できます。これらのログは、インポート前に前提条件を特定する際に役立ちます。

  • アクセス制御リストのエクスポート機能がサポートされています。

  • インポート・モード・オプション(「インポート時に置換」および「インポート時に再利用」)は利用できません。

  • データベース・プロバイダのエクスポートはサポートされていません。

  • 依存性マネージャによって、ページ・グループの一部の外部オブジェクトをエクスポートすることになった場合は、ユーザーが処理を行わなくても、スクリプトによってすべての外部オブジェクトが自動的に明示化されます。明示化可能なこれらのオブジェクトは、再帰的に追加されてトランスポート・セットの一部となり、最終的にトランスポート・セットに外部オブジェクトは残りません。

  • このスクリプト名は変更できません。


    注意:

    • opeasst.cshスクリプトを実行するためにデータベースに接続するときは、インフラストラクチャのOracleホーム(ORACLE_INSTANCE)に設定してください。

    • Windowsオペレーティング・システム上でシェル・スクリプト・ツールを実行するには、次のUNIXエミュレーション・ユーティリティのいずれかが必要です。

      — Cygwin 1.3.2.2-1以降。http://sources.redhat.comを参照してください。

      — MKS Toolkit 6.1。http://www.datafocus.com/を参照してください。

    • コマンドラインを使用すると、タイムスタンプに基づいて新しいダンプが作成され、既存のダンプは上書きされずに残ります。ディスク容量を有効に利用するために、使用しない古いダンプ・ファイルは定期的に削除することをお薦めします。


11.4.1.2 トランスポート・セットの管理方法

管理」ページの「トランスポート・セット - エクスポート・サービス」ポートレットを使用して、システム上のトランスポート・セットをエクスポート、参照および編集できます。この項では、次の内容について説明します。


注意:

このステータスは、取得されるトランスポート・セットに対し、ソースとターゲットの両方で「ACQUIRE_IN_PROGRESS」に設定されます。これは、トランスポート・セットのエクスポート/ブラウズ・リストで有効なステータスです。

11.4.1.2.1 エクスポートするトランスポート・セットのブラウズ

エクスポートされたトランスポート・セットに対して選択されているオブジェクトのリストを表示および編集できます。システム上のすべてのトランスポート・セットおよびそれらの現在の状態を表示できます。また、操作のログや参照しているオブジェクトを表示し、エクスポート・スクリプトとインポート・スクリプトをダウンロードすることもできます。

トランスポート・セットを表示するには、次の手順を実行します。

  1. トランスポート・セットのエクスポート」ポートレットに移動します。図11-9は、「トランスポート・セットのエクスポート」ポートレットを示しています。

    図11-9 「トランスポート・セットのエクスポート」ポートレット

    図11-9の説明が続きます
    図11-9「「トランスポート・セットのエクスポート」ポートレット」の説明

  2. エクスポートするトランスポート・セットのブラウズ」をクリックします。図11-10は、「エクスポートするトランスポート・セットのブラウズ」画面の例です。

図11-10 エクスポートするトランスポート・セットのブラウズ

図11-10の説明が続きます
図11-10「エクスポートするトランスポート・セットのブラウズ」の説明

「エクスポートするトランスポート・セットのブラウズ」画面には、ソース・システム上のすべてのトランスポート・セットのステータスが表示されます。

  • トランスポート・セットのエクスポート・マニフェストを表示するには、「名前」をクリックします。

  • トランスポート・セットのスクリプトをダウンロードするには、対応する「スクリプト」リンクをクリックします。

  • トランスポート・セットのログを表示するには、「ステータス」をクリックします。

  • トランスポート・セットがインポート可能であるかどうかを検証するチェックリストを生成するには、「チェック・リストの生成」をクリックします。

  • トランスポート・セットを削除するには、そのトランスポート・セットを選択して「削除」をクリックします。

トランスポート・セットを選択して「削除」をクリックすると、確認を求められます。「OK」をクリックしても、「エクスポート」、「エクスポート進行中」、「事前チェック進行中」、「移行中」、「インポート」または「インポート進行中」状態にあるトランスポート・セットには反映されません。

以前にエクスポートされたトランスポート・セットまたは完成された(依存性の計算が完了した)トランスポート・セットを再利用できるようにするには、そのトランスポート・セットを選択して「再使用」をクリックします。

トランスポート・セットを選択して「再使用」をクリックすると、確認を求められます。「OK」をクリックしても、「エクスポート」、「エクスポート進行中」、「移行中」、「インポート可能」、 「インポート」または「インポート進行中」のいずれかの状態にあるトランスポート・セットには何の影響もありません。


注意:

  • 再使用」オプションは、ステータスが...であるソース・ポータルのトランスポート・セットでのみ有効です。

  • 複数の階層を含むオブジェクトを、同じトランスポート・セットでインポートできます。


11.4.2 Oracle Portalのエクスポート: 別の方法

Oracle Portalのソース・インスタンスとターゲット・インスタンスが両方とも(製品メタデータ・リポジトリではなく)カスタマ・データベース・インストールに存在する場合に、コンテンツをエクスポートできます。つまり、ソースおよびターゲットのOracle Portalインスタンスが同じデータベースにあり、これらのインスタンス間にファイアウォールが存在しない場合、「トランスポート・セットの取得」サービスを使用できます。詳細は、「Oracle Portalのエクスポートおよびインポートのコマンドライン・スクリプトの使用」を参照してください。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』の本番環境からテスト環境へのステージングに関する項を参照してください。

11.5 トランスポート・セットの取得サービス

トランスポート・セット - 取得サービス」ポートレットを使用して、次のタスクを実行します。

11.5.1 ソース・ポータルの登録

ソース・ポータルからデータを移動する前に、まずポータルを登録する必要があります。登録が完了すると、第11.5.2項「ターゲット・システムへのデータの移動」で説明しているように、ソース・ポータルを選択して、「トランスポート・セット - 取得サービス」ポータルでデータソースを指定するために使用できます。

ソース・ポータルを登録するには、次の手順を実行します。

  1. 資格証明を埋め込んだ、ソース・ポータルへのプライベート・データベース・リンク(固定ユーザー・データベース・リンクと呼ばれる)を作成します。データベース・リンクの作成方法は、第11.6.1.1項「データベース・リンクの作成」を参照してください。

  2. トランスポート・セット - 取得サービス」ポートレットで、「ソース・ポータルの登録」をクリックすると、「ソース・ポータルの登録」画面が表示されます。図11-11は「ソース・ポータルの登録」画面を示しています。

    図11-11 「ソース・ポータルの登録」ページ

    図11-11の説明が続きます
    図11-11「「ソース・ポータルの登録」ページ」の説明

  3. ソース・ポータルに一意の名前とデータベース・リンクを指定して、「Register登録」をクリックします。これで、トランスポート・セットを取得するときにソース・ポータルを選択できるようになりました。

  4. ソース・ポータルに一意の名前とデータベース・リンクを指定して、「Register登録」をクリックします。これで、トランスポート・セットを取得するときにソース・ポータルを選択できるようになりました。

11.5.2 ターゲット・システムへのデータの移動

オブジェクトをインポートする前に、最初にトランスポート・セットの内容をターゲット・システムのトランスポート・セット表にインポートする必要があります。介在するファイアウォールがない場合は、次に示すように「トランスポート・セット - 取得サービス」ポートレットを使用してデータを移動します。ファイアウォール経由でデータを移動する場合、または「トランスポート・セットの取得」ポートレットを使用できないローカル構成上の考慮事項がある場合は、第11.7項「Oracle Portalのエクスポートおよびインポートのコマンドライン・スクリプトの使用」に示すように、コマンドライン・スクリプトを使用してください。

「トランスポート・セットの取得」ポートレットを使用して内容を移動するには、次の手順を実行します。

  1. 「トランスポート・セット - 取得サービス」ポートレットで、「管理」ページの「ソース・ポータルのブラウズ」をクリックし、データの移動元であるソース・ポータルがターゲット・インスタンスに登録されていることを確認します。

    ソース・ポータルがまだ登録されていない場合には、「トランスポート・セットの取得」ポートレットで「ソース・ポータルの登録」をクリックし、第11.5.1「ソース・ポータルの登録」に示すようにソース・ポータルを登録します。

  2. 「トランスポート・セット - 取得サービス」ポートレットから「トランスポート・セットの取得」をクリックすると、「トランスポート・セットの取得」ページが表示されます。

    図11-12 トランスポート・セットの取得

    図11-12の説明が続きます
    図11-12「トランスポート・セットの取得」の説明

  3. ソース・ポータルとトランスポート・セットを指定し、「獲得」をクリックすると、データの転送が開始されます。

  4. 転送が完了したら、「マニフェストの表示」をクリックし、トランスポート・セットのマニフェストを表示します。明示的に選択したオブジェクトをクリックすると、詳細なマニフェストが表示されます。「ツリー表示」をクリックすると、ネストされた依存性が表示されます。

  5. 閉じる」をクリックしてマニフェストに戻ってから「即時事前チェック」をクリックすると、転送されたデータの事前チェックが実行されます。すべてのオブジェクト依存性が解決されていることが確認されます。

  6. 事前チェックが完了したら「マニフェストの表示」をクリックして、ステータス列にエラーがないことを確認します。ステータス・アイコンを確認するには、表11-7を参照してください。エラーをすべて解決してからトランスポート・セットのインポートを続行します。

11.6 Oracle Portalでのインポート

この項では、Oracle Portalでインポートを実行する方法について説明します。この項には次の項目が含まれています。

11.6.1 Oracle Portalのインポート: 推奨方法

この項では、「トランスポート・セット - 取得サービス」ポータルを使用して、ターゲット・ポータル・システムにコンテンツを正しく転送するために必要な次のインポート処理と手順について説明します。

11.6.1.1 データベース・リンクの作成

「トランスポート・セットの取得」機能は、固定ユーザー・データベース・リンクを使用して、ソース・データベースからデータを引き出します。アプリケーションが固定ユーザー・データベース・リンクを使用すると、ローカル・サーバーは常に、リモート・データベース内の固定リモート・スキーマへの接続を確立します。アプリケーションがリンクを使用してリモート・データベースにアクセスすると、ローカル・サーバーもまた、ネットワーク経由で固定ユーザーの資格証明を送信します。

データベース・リンクを作成するには、次の手順を実行します。

  1. 「Portalビルダー」ページで、「ナビゲータ」リンクをクリックします。

  2. データベース・オブジェクト」タブをクリックします。

  3. 名前」列で、リンク先のスキーマまでスクロールし、スキーマの名前をクリックします。

  4. 「新規作成」→「データベース・リンク」をクリックします。

  5. データベース・リンクの特定に使用する「データベース・リンク名」を入力します。

    例: mydb.mydomain@remotedb

  6. 完成したデータベース・リンクを所有するスキーマを選択してから「次へ」をクリックします。スキーマ・アクセス権限として「管理」が付与されたスキーマのみがリストに表示されます。


    注意:


  7. 表11-5に示すようにデータベース接続フィールドへの入力を完了してから「次へ」をクリックします。

    表11-5 データベース接続情報

    フィールド 説明

    現行ユーザー

    Oracle Portalへのログインに使用するのと同じユーザー名とパスワードを使用して、リモート・データベースにログインする場合に選択します。

    特定ユーザー

    Oracle Portalへのログインに使用するものとは異なるユーザー名とパスワードを使用して、リモート・データベースにログインする場合に選択します。

    ユーザー名

    現行ユーザーまたは特定ユーザーとして自動的にデータベースにログインする場合は、「ユーザー名」および「パスワード」を入力します。「ユーザー名」と「パスワード」を入力しない場合には、リンクを使用してデータベースにログインしようとすると、ログイン・ダイアログ・ボックスが表示されます。

    ユーザー名」および「パスワード」は、リモート・データベース内で有効なユーザー・アカウントである必要があります。

    パスワード

    データベースの「ユーザー名」に対するパスワードを入力します。


  8. データベースの「TNS名」を入力するか、または「ホスト・アドレス」、 「ホスト・サービス名」、「ホスト・プロトコル」および「ホスト・ポート」を入力してから、「終了」をクリックします。

データベース・リンクを作成したら、第11.5.1項「ソース・ポータルの登録」に示すように、そのデータベース・リンクを登録します。登録されたソース・ポータルを介してリンクが確立されると、ソース・ポータルで「エクスポート完了」状態であるトランスポート・セットのいずれかを選択し、第11.5.2項「ターゲット・システムへのデータの移動」で説明しているように、「トランスポート・セット - 取得サービス」ポータルを使用して、選択したトランスポート・セットをターゲットに移動できます。取得プロセスでは、データベース・リンクを介してバッチ内のトランスポート・セット・データが1つずつ引き出され、プロセスが終了するとユーザーに通知されます。

コマンドラインからのデータベース・リンクの作成

データベース・リンクは、SQL *Plusを次の構文で使用して、コマンドラインから作成することもできます。

create database link <link_name> connect to <source-portal> identified by "<source-portal-password>" using '<net-service-name>';

説明:

表11-6 データベース・リンクの構文

パラメータ 説明

link_name

リンクのユーザー定義名。

source-portal

このポータルのソースとして登録するポータル・スキーマの名前。

source-portal-password

前述のスキーマのデータベース・パスワード。

注意: Oracle 11gデータベースのパスワードは、以前のバージョンとは異なり、デフォルトで大文字と小文字が区別されます。パスワードの大文字と小文字の区別を保持するには、パスワードを二重引用符で囲む必要があります。

net-service-name

別名または完全な接続記述子($TNS_ADMIN/tnsnames.oraから取得)。


例:

create database link mylink1 connect to portal12 identified by "******"

使用

'(DESCRIPTION =

(ADDRESS_LIST =

(ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)(HOST = stacu35.us.oracle.com)(PORT = 1521)))

(CONNECT_DATA =

(SERVER=DEDICATED)

(SERVICE_NAME = asinfra.us.oracle.com)))'

SQL *Plusを使用したデータベース・リンクの作成方法の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』のデータベース・リンクの作成に関する項を参照してください。

データベース・リンクを作成したら、第11.5.1項「ソース・ポータルの登録」に示すように、そのデータベース・リンクを登録し、第11.5.2項「ターゲット・システムへのデータの移動」に示すように、「トランスポート・セット - 取得サービス」ポータルを使用してターゲットに移動します。

11.6.1.2 データのインポート

オブジェクトをインポートするには、最初にトランスポート・セットのコンテンツをターゲット・システムにインポートする必要があります。インポートするトランスポート・セットを選択すると、事前チェック・プロセスによって、そのオブジェクトがターゲットに存在しているかどうかが判断されます。

コンテンツをインポートするには、次の手順を実行します。

  1. トランスポート・セットのインポート」ポートレットを探します。デフォルトでは「管理」タブにインストールされています。


    注意:

    トランスポート・セットをインポートするときに、「トランスポート・セットのブラウズ」リンクをクリックすると、新しくインポートしたトランスポート・セット(状態は「エクスポート完了」)とエクスポート・スクリプトへのリンクが表示されます。

    ターゲットのトランスポート・セットで「再使用」を選択すると、トランスポート・セットがリセットされます。これにより、ターゲット・インスタンスからトランスポート・セットがエクスポートされず、トランスポート・セット内のオブジェクトと一致するオブジェクトが存在しないため、トランスポート・セットが使用できなくなります。


  2. インポートしたトランスポート・セットを選択し、「インポート」をクリックします。インポート・マネージャの「オブジェクト」ページが表示されます。

    図11-13は、インポート対象となっているオブジェクトのリストが表示された「オブジェクト」ページです。

    図11-13 トランスポート・セット・マネージャのインポート・オブジェクト

    図11-13の説明が続きます
    図11-13「トランスポート・セット・マネージャのインポート・オブジェクト」の説明

  3. インポート時に置換」を選択すると、オブジェクトがターゲット・ポータルで見つかった場合、そのオブジェクトが置き換えられます。


    注意:

    明示的に選択されたオブジェクトのデフォルト・モードは「インポート時に置換」です。参照オブジェクトのデフォルト・モードは「再使用」です。明示的に選択しないかぎり、外部オブジェクトにはインポート・モードを適用できません。

  4. ログ出力を表示するには、「ステータス」アイコンをクリックします。各ステータスの説明は表11-7を参照してください。

    表11-7 ステータスの説明

    ステータス 説明
    cg_expimp_pass.gifの説明が続きます
    図cg_expimp_pass.gifの説明

    正常終了

    cg_expimp_fail.gifの説明が続きます
    図cg_expimp_fail.gifの説明

    失敗

    cg_expimp_warning_1.gifの説明が続きます
    図cg_expimp_warning_1.gifの説明

    警告付きで終了


    図11-14は、「ログの表示」ページの一例です。

    図11-14 トランスポート・セット・マネージャのインポート・ログ

    図11-14の説明が続きます
    図11-14「トランスポート・セット・マネージャのインポート・ログ」の説明


    注意:

    デバッグ・メッセージを含むインポート処理の詳細なログを表示するには、トランスポート・セット・ログの上部にある「ログ情報の詳細はここで見ることができます」と表示されるリンクをクリックします。

  5. 閉じる」をクリックして、「オブジェクト」ページに戻ります。

  6. メイン」タブをクリックします。

    図11-15 「トランスポート・セットのインポート」ページ

    図11-15の説明が続きます
    図11-15「「トランスポート・セットのインポート」ページ」の説明

  7. トランスポート・セットのオブジェクトに関連付けられたアクセス制御リスト(ACL)を含める場合は、「アクセス制御とプリファレンス」オプションの「アクセス制御とプリファレンス」を選択します。


    注意:

    エクスポート処理の実行中に「アクセス制御リストのインポート」オプションを選択しなかった場合は、このオプションを選択できません。

    このオプションを選択した場合は、次の処理が行われます。

    • グループのプロファイルは、それらがターゲットに存在しない場合にのみ作成されます。

    • ユーザーとグループのプロファイルは、次回のインポートで更新されません。ユーザーのデフォルト・グループは、インポートされません。

    • ユーザーがターゲットに存在する場合、そのユーザーのデフォルト・グループはOracle Internet Directoryに基づいて設定されます。

  8. 変更を加えている場合、インポートの前に警告またはエラーを解決するには「再度事前チェック」を選択し、トランスポート・セットをインポートする前に事前チェックするには「事前チェックしてインポート」を選択し、事前チェックを行わずにトランスポート・セットをインポートするには「今すぐインポート」を選択し、変更を保存して後でトランスポート・セットに戻るには「保存して閉じる」を選択します。


    注意:


  9. エラーがあるかどうか、ログを調べます。

    すべてのコンテンツが正常にインポートされたことを確認するには、次の事項を確認します。

    • ナビゲータで、インポートしたポータル・ページ・グループのコンテンツが正しくインポートされているかどうかを確認します。特に、各ポータル・ページで、適切なポートレットがポータル・ページの各リージョンに表示されるかどうかを確認します。これらのポートレット(ナビゲーション・ページ、ポートレットとして公開されているページ、データベース・プロバイダのコンポーネントまたはWebポートレット)が、外部の依存性として表示され、ターゲットに存在しない場合、ポートレット・エントリがページから削除されます。


      注意:

      インポート中に、2段階の事前チェックが実行されます。「ログの表示」をクリックすると、処理の最初の段階と、完全な事前チェックの両方が表示されます。これは、インポートの前、およびポータル表にデータを入力する前に行われます。

      ログのリフレッシュ」をクリックすると、処理の第2段階およびタイムスタンプの異なる事前チェックの両方が表示されます。


インポート時の失敗と警告

インポートされるオブジェクトは、2つのタイプに分類できます。

  • 警告のタイプ: 失敗時に、明示的に選択されたオブジェクトに警告が連鎖するオブジェクト。

  • 失敗のタイプ: 失敗時に、明示的に選択されたオブジェクトに失敗が連鎖するオブジェクト。

警告のタイプのオブジェクトでは警告が発生し、明示的に選択したオブジェクトをインポートできます。失敗のタイプのオブジェクトは、インポートされません。

明示的に選択されたオブジェクトに警告のタイプと失敗のタイプの2つの依存性があり、両方の依存性が事前チェック・プロセスに失敗した場合は、失敗のタイプが優先され、明示的に選択したオブジェクトは失敗します。

警告のタイプは、他の種類のオブジェクトよりも、明示的に選択したオブジェクトに影響します。参照オブジェクトと外部オブジェクトは、明示的に選択したオブジェクトを対象に、そのタイプに基づいて失敗および警告を生成します。表11-8に、警告または失敗の動作をオブジェクトごとに示します。

表11-8 警告または失敗のタイプ

オブジェクト タイプ 予期される動作

属性

失敗

依存する属性が失敗すると、明示的に選択されたオブジェクトは失敗します。

アイテム・タイプ

失敗

依存するアイテム・タイプが失敗すると、明示的に選択されたオブジェクトは失敗します。

ページ・タイプ

失敗

依存するページ・タイプが失敗すると、明示的に選択されたオブジェクトは失敗します。

スタイル

警告

スタイルは、それが属するページ・グループのメイン・スタイルに設定されます。

カテゴリ

警告

カテゴリはnoneに設定されます。

パースペクティブ

警告

アイテムまたはページに関連付けられたパースペクティブは削除されます。

ページのPortalテンプレート

失敗

依存するテンプレートが失敗すると、明示的に選択されたオブジェクトは失敗します。

アイテムのPortalテンプレート

警告

アイテムまたはページに関連付けられたアイテムのPortalテンプレートは削除されます。

HTMLテンプレート

警告

アイテムまたはページに関連付けられたHTMLテンプレートは削除されます。

ページ

警告

ページが別のオブジェクトに依存しているときは、3つの結果が考えられます。

  • ポートレットとして公開されているページ。 ページ・ポートレットが含まれるリージョンからポートレット・エントリが削除されます。

  • ページを指すページ・リンク。 リンク先のページが失敗したため、ページ・リンクがリージョンから削除されます。

  • ページ・パラメータとイベント依存性。 失敗したページを指していたリンクは、ページ・パラメータとイベント・リンクが配置されているページを指すようにリセットされます。

ナビゲーション・ページ

警告

ナビゲーション・ページ・ポートレットはページから削除されます。インポート後、ページを別のナビゲーション・ページに関連付けることができます。

色、フォント、JavaScript、アプリケーション・テンプレート、イメージ

警告

実行時にデフォルトに設定されます。

その他のプロバイダ(DBプロバイダ、Webプロバイダ、WSRPプロバイダ)

警告

参照されているページのポートレット・インスタンスが削除されます。詳細は、「ポートレット・クリーンアップ」を参照してください。


エクスポート対象として選択した子オブジェクトがターゲットに存在しないため、次に示すコンテナ・オブジェクトが外部依存性として表示された場合、明示的に選択されたオブジェクト(コンテナ・オブジェクトの子オブジェクト)は失敗します。

  • ページ・グループ

  • Portal DBプロバイダ

  • カテゴリ

  • パースペクティブ

  • ページ

連鎖する警告動作

事前チェック中にオブジェクトで検出された警告または失敗は、表11-9のように動作します。

表11-9 連鎖する警告動作

オブジェクト 警告状態 失敗状態

含まれるオブジェクト

状態は、コンテナ・オブジェクトに連鎖します。

状態は、コンテナ・オブジェクトに連鎖します。

階層オブジェクト

  • 状態は、すべての親オブジェクトに連鎖します。

  • 状態は、子オブジェクトに連鎖しない

  • 状態は、すべての子オブジェクトに連鎖します。

  • 状態は、すべての親オブジェクトに連鎖します。

参照しているオブジェクト

状態は、参照しているオブジェクトすべてには連鎖しない

状態は、すべての参照しているオブジェクトに連鎖します。


ポートレット・クリーンアップ

インポートされるポートレットは、インポート・プロセス中にターゲットのポートレット・リポジトリと同期します。インポート処理の解決フェーズ中に失敗したポートレット・インスタンスは、ソース・ページから削除されます。

たとえば、ページには、次のいずれかのポートレットを含むことが可能です。

  • ナビゲーション・ページ

  • ポートレットとして公開されているページ

  • データベース・ポートレット(登録済または組込み)

  • Web/WSRPポートレット(登録済または組込み)

これらのポートレットが、再使用モードで外部の依存性として表示され、ターゲット・ページに存在しない場合、ポートレット・インスタンスはページから削除されます。これらの依存性が明示化されていて、そのインポートに失敗した場合も、ポートレット・インスタンスが削除されます。

つまり、インポートしたポートレットがターゲットのポートレット・リポジトリに存在しない場合、そのポートレットはソース・ページから削除されます。


注意:

ポートレットのクリーンアップ操作では、ページ・パラメータとイベント、URL、テキストなどのポートレットの依存性が削除されます。ソース・ページからポートレット・インスタンスを削除した後も、ページ構造は元の状態のまま変わりません。

ナビゲーション・ページ(外部の依存性)がターゲット・ページに存在しない場合、ナビゲーション・ページを使用するページは警告付きで渡され、ナビゲーション・ページ・ポートレットはソース・ページから削除されます。


11.6.1.3 トランスポート・セットの管理方法(インポート)

管理」ページの「トランスポート・セット インポート・サービス」ポートレットを使用して、システム上のトランスポート・セットをインポート、参照および編集できます。この項では、次の内容について説明します。


注意:

このステータスは、取得されるトランスポート・セットに対し、ソースとターゲットの両方で「ACQUIRE_IN_PROGRESS」に設定されます。これは、トランスポート・セットのエクスポート/ブラウズ・リストで有効なステータスです。

インポートするトランスポート・セットのブラウズ

インポートされたトランスポート・セットに対して選択されているオブジェクトのリストを表示および編集できます。システム上のすべてのトランスポート・セットおよびそれらの現在の状態を表示できます。また、操作のログや参照しているオブジェクトを表示し、チェックリストを生成することもできます。

トランスポート・セットを表示するには、次の手順を実行します。

  1. トランスポート・セットのインポート」ポートレットに移動します。図11-16は、「トランスポート・セットのインポート」ポータルを示しています。

    図11-16 「トランスポート・セットのインポート」ポートレット

    図11-16の説明が続きます
    図11-16「「トランスポート・セットのインポート」ポートレット」の説明

  2. インポートするトランスポート・セットのブラウズ」をクリックします。図11-17は、「インポートするトランスポート・セットのブラウズ」画面の例です。

図11-17 インポートするトランスポート・セットのブラウズ

図11-17の説明が続きます
図11-17「インポートするトランスポート・セットのブラウズ」の説明

「インポートするトランスポート・セットのブラウズ」ページには、ソース・システム上のすべてのトランスポート・セットのステータスが表示されます。

トランスポート・セットのエクスポート・マニフェストを表示するには、「名前」をクリックします。

トランスポート・セットのログを表示するには、「ステータス」をクリックします。

トランスポート・セットを削除するには、そのトランスポート・セットを選択して「削除」をクリックします。

トランスポート・セットを選択して「削除」をクリックすると、確認を求められます。「OK」をクリックしても、「エクスポート」、「エクスポート進行中」、「事前チェック進行中」、「移行中」、「インポート」または「インポート進行中」状態にあるトランスポート・セットには反映されません。

トランスポート・セットがインポート可能であるかどうかを検証するチェックリストを生成するには、「チェック・リストの生成」をクリックします。

11.7 Oracle Portalのエクスポートおよびインポートのコマンドライン・スクリプトの使用

ソース・インスタンスとターゲット・インスタンスの間に介在するファイアウォールがある場合は、Oracle Portalのエクスポートとインポートのコマンドライン・スクリプトを使用して、トランスポート・セットを移動する必要があります。この処理は、次の内容で構成されます。

11.7.1 コマンドライン・スクリプトのダウンロード

Internet Explorerで「スクリプトのダウンロードとログの表示」のページを使用して、次のようにスクリプトをダウンロードします。

  1. 選択したスクリプトを右クリックし、「対象をファイルに保存」をクリックします。

  2. 名前を変更し、正しいファイル拡張子(UNIXの場合は.csh、NTの場合は.cmd)を付加します。たとえば、MyScript.cshのようになります。

  3. エクスポート・スクリプトを実行するファイル・システムのディレクトリにファイルを保存します。通常、このディレクトリはエクスポート・ポータルがある場所です。


    注意:

    この場所には、データベースへのアクセス権限が必要です。システムによっては、ダウンロードしたUNIXスクリプトに対し、実行前に適切な実行権限を設定する必要があります。エクスポート・スクリプトは編集しないでください。

11.7.2スクリプトの実行によるエクスポート・ダンプ・ファイルの作成

エクスポート処理の次の手順では、前の項で作成したスクリプトを使用してトランスポート・セットのダンプ・ファイルを作成し、エクスポート・データをターゲット・システムに転送します。

  1. 次の例に示すパラメータを指定して、スクリプトを実行します。この例では、スクリプト名がMyScript.cshであると仮定しています。太字のパラメータは、エクスポートの場合にのみ適用する必須のパラメータです。

    %MyScript.csh
    Usage: MyScript.csh <-mode export_or_import_or_exportdp_or_importdp>
    <-s portal_schema><-p portal_password> <-pu portal_username><-pp portal_userpassword> <-company company_name> <-c connect_string><-d dump_file_names> <-dir directory_object> <-sp source_portal><-automatic_merge>
    

    注意:

    • エクスポート・スクリプトを実行する場合は、インフラストラクチャのOracleホーム(ORACLE_INSTANCE)を設定してください。

    • company_nameパラメータの値は、ホストされるポータルで作業中にログイン・ページに表示される会社名です。ホストされるポータル以外で作業している場合、このパラメータの値はnoneになります。対話モードでスクリプトを実行している場合は、値を渡さないでください。エクスポート・スクリプトは編集しないでください。


    表11-10で、このプロセスで使用できるパラメータについて説明します。

    表11-10 パラメータの説明

    パラメータ 説明

    -mode

    エクスポート/インポート・コマンドライン・ユーティリティを起動するモード。

    EXPORTモード: Oracle Database expユーティリティを使用して、コンテンツをダンプ・ファイルにエクスポートします。

    IMPORTモード: Oracle Database impユーティリティを使用して、コンテンツをダンプ・ファイルにインポートします。

    EXPORTDPモード: Oracle Databaseのexpdp(ORACLE DATAPUMP EXPORT)ユーティリティを使用して、コンテンツをダンプ・ファイルにエクスポートします。

    IMPORTDPモード: Oracle Databaseのimpdp(ORACLE DATAPUMP EXPORT)ユーティリティを使用して、コンテンツをダンプ・ファイルからインポートします。

    -s portal_schema

    ポータルで使用するOracle Databaseのアカウント。

    -p portal_password

    ポータルで使用するOracle Databaseのパスワード。

    -pu portal_username

    ポータルにログインするための軽量ユーザー名。

    -pp portal_userpassword

    ポータルにログインするための軽量ユーザー・パスワード。

    -company company_name

    会社名(ORACLEなど)。

    -c connect_string

    リモート・データベースへのTNS接続情報。

    -d dump_file_names

    Oracleエクスポート・ユーティリティまたはインポート・ユーティリティが読込みや書込みを行うファイルの名前。複数のファイル名を指定する場合は、各ファイル名をカンマで区切る必要があります。

    たとえば、FILE1.DMP,FILE2.DMPのように指定します。

    注意: 複数のファイル名を指定しない場合は、エクスポート処理またはインポート処理の実行時に、必要に応じて別のファイル名を指定するよう要求されます。

    -dir directory_object

    Oracleのexpdp/impdpユーティリティのディレクトリ・オブジェクト。directory_objectは、(実際のディレクトリの名前ではなく)データベース管理者(DBA)がSQL CREATE DIRECTORYコマンドを使用して作成したデータベース・ディレクトリ・オブジェクトの名前です(適用可能なモード => EXPORTDP / IMPORTDP)。

    -sp source_portal

    ソース・ポータルのOracle Databaseアカウント(適用可能なモード => IMPORTDP)。Datapumpインポートでは、ダンプからターゲットにスキーマ・オブジェクトをマップするためにこの情報が必要です。

    -automatic_merge

    ダンプ・ファイルの内容を自動的にインポートします(適用可能なモード => IMPORT / IMPDP)。

    -automatic_precheck

    ダンプ・ファイルの内容を自動的に事前チェックします(適用可能なモード => IMPORT / IMPDP)。



    注意:

    IMPORTユーティリティでは、EXPORTユーティリティを使用して作成されたダンプのみを読み取ることができます。IMPDPユーティリティでは、EXPDPユーティリティを使用して作成されたダンプのみを読み取ることができます。

  2. エクスポート・データを転送します。これを行うには、次の手順を実行します。

    1. オプションに-mode exportまたは-mode exportdpを使用してスクリプトを実行します。たとえば、EXPORTモードでこのスクリプトを実行するには、次のようにします。

      myscript1.csh -mode export -s myportal -p myportal123 -c mydb -d myexport.dmp
      

      または、EXPORTDPモードでこのスクリプトを実行するには、次のようにします。

      myscript1.csh -mode exportdp -s myportal -p myportal123 -c mydb -d myexport.dmp -dir expimp_dir

      expimp_dirは、SQL*Plusセッションのcreate directoryコマンドを使用して作成された論理ディレクトリで、サーバー上の任意の物理ディレクトリにマップされます。

    2. 最後にFTPを使用して、ダンプ・ファイルとエクスポートおよびインポート・スクリプトを、ターゲットのOracle Portalスキーマがあるコンピュータに転送します。

11.7.3 ターゲット・システムへのトランスポート・セット表のインポート

最後の手順として、コマンドライン・スクリプトを使用してターゲット・システムにトランスポート表をインポートします。エクスポートで使用したものと同じスクリプトをコールしますが、ここでは-modeパラメータをimportまたはimportdbに設定します。太字のパラメータは、インポートの場合にのみ適用する必須のパラメータです。パラメータの詳細は、表11-10を参照してください。

%MyScript.csh
Usage: MyScript.csh <-mode export_or_import_or_exportdp_or_importdp>
<-s portal_schema><-p portal_password> <-pu portal_username><-pp portal_userpassword> <-company company_name> <-c connect_string><-d dump_file_names> <-dir directory_object> <-sp source_portal><-automatic_merge>

Example to run the script in IMPORT mode:
myscript1.csh -mode import -s myportal -p myportal123 -pu expimp_usr -pp expimp_usr123 -company ORACLE -c mydb -d myexport.dmp

Example to run the script in IMPORTDP mode:
myscript1.csh -mode importdp -s myportal -p myportal123 -pu expimp_usr -pp expimp_usr123 -sp myportal -company ORACLE -c mydb -d myexport.dmp -dir expimp_dir

コマンドラインからインポート全体を実行するには(バックグラウンド・プロセスが開始されます)、ポータル・ユーザー名およびパスワードのパラメータを指定する必要があります。これは、ターゲットのポータル・インスタンスでロールを検証するのに必要です。


注意:

  • インポート・スクリプトを実行する場合は、インフラストラクチャのOracleホーム(ORACLE_INSTANCE)を設定してください。

  • -automatic_mergeオプションを使用してスクリプトを実行する前に、ターゲット・インスタンスのマニフェストに外部オブジェクトがすべて列記されていることを確認します。確認するには、-automatic_precheckオプションを使用してスクリプトを実行します。外部オブジェクトには、データベース・スキーマ、テーブル、外部アプリケーションなどが含まれます。この情報を取得するには、ソース・インスタンスの外部オブジェクトを確認します。

  • company_nameパラメータの値は、ホストされるポータルで作業中にログイン・ページに表示される会社名です。ホストされるポータル以外で作業している場合、このパラメータの値はnoneになります。対話モードでスクリプトを実行している場合は、値を渡さないでください。


ダンプ・ファイルの内容がインポートされると、ユーザー・インタフェースからトランスポート・セットを利用できるようになり、ターゲットのポータル・システムでマージできます。図11-18は、インポート処理のしくみを示しています。

図11-18 インポート処理

図11-18の説明が続きます
図11-18「インポート処理」の説明

次の手順は、インポート処理の概要を示しています。

  1. エクスポートで使用したスクリプトを使用して、トランスポート・セットのダンプ・ファイルの内容をトランスポート・セット表にインポートします。

  2. インポートを開始するためにバックグラウンド・ジョブが送信され、ログ情報が生成されます。

  3. インポートが終了すると、ユーザー・インタフェースからトランスポート・セットにアクセスできます。

    最後の手順として、コマンドライン・スクリプトを使用してターゲット・システムにトランスポート表をインポートします。エクスポートで使用したものと同じスクリプトをコールしますが、ここでは-modeパラメータをimportまたはimportdbに設定します。太字のパラメータは、インポートの場合にのみ適用する必須のパラメータです。パラメータの詳細は、表11-10を参照してください。

    %MyScript.csh
    Usage: MyScript.csh <-mode export_or_import_or_exportdp_or_importdp>
    <-s portal_schema><-p portal_password> <-pu portal_username><-pp portal_userpassword> <-company company_name> <-c connect_string><-d dump_file_names> <-dir directory_object> <-sp source_portal><-automatic_merge>
    
    Example to run the script in IMPORT mode:
    myscript1.csh -mode import -s myportal -p myportal123 -pu expimp_usr -pp expimp_usr123 -company ORACLE -c mydb -d myexport.dmp
    
    Example to run the script in IMPORTDP mode:
    myscript1.csh -mode importdp -s myportal -p myportal123 -pu expimp_usr -pp expimp_usr123 -sp myportal -company ORACLE -c mydb -d myexport.dmp -dir expimp_dir
    

    コマンドラインからインポート全体を実行するには(バックグラウンド・プロセスが開始されます)、ポータル・ユーザー名およびパスワードのパラメータを指定する必要があります。これは、ターゲットのポータル・インスタンスでロールを検証するために必要です。


    注意:

    • インポート・スクリプトを実行する場合は、インフラストラクチャのOracleホーム(ORACLE_HOME)を設定してください。

    • -automatic_mergeオプションを使用してスクリプトを実行する前に、ターゲット・インスタンスのマニフェストに外部オブジェクトがすべて列記されていることを確認します。確認するには、-automatic_precheckオプションを使用してスクリプトを実行します。外部オブジェクトには、データベース・スキーマ、テーブル、外部アプリケーションなどが含まれます。この情報を取得するには、ソース・インスタンスの外部オブジェクトを確認します。

    • company_nameパラメータの値は、ホストされるポータルで作業中にログイン・ページに表示される会社名です。ホストされるポータル以外で作業している場合、このパラメータの値はnoneになります。対話モードでスクリプトを実行している場合は、値を渡さないでください。


    ダンプ・ファイルの内容がインポートされると、ユーザー・インタフェースからトランスポート・セットを利用できるようになり、ターゲットのポータル・システムでマージできます。図11-18は、インポート処理のしくみを示しています。

    図11-19 インポート処理

    図11-19の説明が続きます
    図11-19「インポート処理」の説明

    次の手順は、インポート処理の概要を示しています。

    1. エクスポートで使用したスクリプトを使用して、トランスポート・セットのダンプ・ファイルの内容をトランスポート・セット表にインポートします。

    2. インポートを開始するためにバックグラウンド・ジョブが送信され、ログ情報が生成されます。

    3. インポートが終了すると、ユーザー・インタフェースからトランスポート・セットにアクセスできます。


      注意:

      データ整合性を維持するために、次の処理は行わないでください。
      • あるオブジェクトをインポートし、名前を変更した後で再インポートします。

      • あるオブジェクトをインポートし、共有オブジェクトに移動した後で再インポートします。

      • オブジェクトをインポートし、ある階層から別の階層に移動します。


11.8 移行後のオブジェクトの動作

Oracle Portalのエクスポートおよびインポート機能を使用して、ソース・インスタンスからターゲット・インスタンスにポータル・コンテンツを移行する前に、次に示す事項を検討してください。この項では、移行後のOracle Portalオブジェクトの動作について説明します。

翻訳のインポート

上書きモードでの翻訳のインポートは、厳密な上書きとはなりません。この場合、翻訳がマージされているように動作します。ターゲットの不要な翻訳は、ソースに存在しない場合でも、上書きモードでのページ・グループのインポート時に削除されません。不要な翻訳は、インポート後に削除できます。ただし、ソースからの新しい翻訳は、インポートされます。この動作は、次の表のすべての関連オブジェクトの翻訳に関して有効です。

この項には次の項目が含まれています。

11.8.1 Oracle Portalオブジェクトの動作

この項では、次のポータル・オブジェクトの移行後の動作について説明します。

11.8.1.1 ページ・グループ

最初のエクスポートおよびインポートで、ページ・グループが存在しない場合は、ターゲット・システムにページ・グループが作成されます。ページ・グループ・レベルのすべての設定が、ターゲット・システムにレプリケートされます。2回目のインポートでは、選択したモードによって次のように動作します。

「インポート時に置換」モード: ソースのページ・グループのプロパティによって、ターゲットのプロパティが置き換えられます。ページ・グループ内のオブジェクトはすべて、それらが存在するかどうかに応じて作成または更新されます。

「再使用」モード: ターゲットにページ・グループがすでに存在する場合は、そのプロパティが再使用され、更新されません。ページ・グループ内に新しいオブジェクトが作成され、既存のオブジェクトは再使用されます。

注意:

  • 現時点では、再使用モードを使用してページ・グループをインポートする場合、新しいページは作成されません。

  • 構成」タブに表示されるオブジェクトの順序は、ソース・ポータルとターゲット・ポータルで異なることがあります。この場合、アイテムやカテゴリなどの選択時に、ターゲット・ポータルでドロップダウン・リストが異なっているように見えます。ターゲットに表示されるオブジェクトは手動で順序変更できます。

  • ページ・グループのすべての構成可能な設定は、ページ・グループの「プロパティ」をクリックすると表示される「構成」タブで適切に再使用および上書きできます。

  • ページ・グループを別の名前でインポートすると、ターゲット上に新しいページ・グループが作成されます。

  • 共有オブジェクト」ページ・グループの移行では、編集またはエクスポートできないページは除外されます。たとえば、AからZのルート・ページなどがあります。

11.8.1.2 属性

最初のエクスポートおよびインポートでは、ターゲット・システムに属性が作成されます。 2回目のインポートでは、ターゲットで選択したモードによって次のように動作します。

「インポート時に置換」モード: 属性のプロパティが更新されます。

「再使用」モード: 属性がすでにターゲットに存在する場合は、それが再使用され、更新されません。

注意

  • 外部としてマークされている属性は、「すべてのトランスポート・セット」の「管理」権限を持っている場合でも、ターゲットに作成できません。

  • ソースとターゲットの属性は、名前、タイプおよび一意の内部識別子が同じである場合にのみ、同じであるとみなされます。2つの属性の一意の内部識別子が同じで、名前が異なる場合は、「インポート時に置換」モードでのみインポートすることが可能です。名前とタイプが同じで一意の内部識別子が異なる場合は、属性のインポートは失敗し、関連する他のすべてのオブジェクトでも失敗します。

11.8.1.3 承認

承認者を表示するには、アクセス制御リストと、そこで承認が定義されているページ・グループまたはページを、エクスポートおよびインポートする必要があります。

「インポート時に置換」モード: 承認プロセスは、ページまたはページ・グループに対して設定されます。ページ・グループまたはページが挿入または更新としてマークされている場合、承認オブジェクトは、「インポート時に置換」モードで処理されます。ターゲットの承認済情報はすべて削除され、再作成されます。ソース上の保留状態のアイテムはインポートされず、ターゲット上の保留状態のアイテムもともに削除されることに注意してください。

「再使用」モード: 何も処理は行われません。

11.8.1.4 アイテム

アイテム情報は、ページ・エクスポートの一部になります。これらは、ページのインポート・モードに従います。

「インポート時に置換」モード: ページを「インポート時に置換」モードでインポートした場合は、ソースのページ・リージョンのアイテムがターゲットにコピーされます。ターゲットのみにあるアイテムは削除され、ソースとターゲットの両方にあるアイテムは更新され、ソースのみにあるアイテムはターゲットに作成されます。

「再使用」モード: ソースからいずれのアイテムもインポートされません。ソースのページは参照としてのみ使用され、アイテムのインポート・モードを判別します。

注意:

  • PL/SQLアイテム、ページまたは属性に関連するスキーマは、それがパブリック・スキーマや作成者スキーマではない場合にのみ抽出されます。これらのスキーマは、外部オブジェクトとしてマークされます。事前チェックでの失敗を避けるには、スキーマがターゲット・データベースに存在する必要があります。ただし、インポートを進めることはできます。ログには、実行時エラーが発生するが、後でスキーマを配置して再度関連付けすることで修正できるという適切なメッセージが表示されます。

  • オブジェクト・アイテムのリストは、それらが参照しているオブジェクト(ページ、カテゴリおよびパースペクティブ)をオブジェクトのリストと同じトランスポート・セットに移行しないかぎり、ソースとターゲットとで異なって表示されます。依存性マネージャは、オブジェクトのリストで参照されているオブジェクトをエクスポート対象としてマークしません。このため、それらの参照されているオブジェクトをエクスポート対象として明示的にマークするか、またはそれらがトランスポート・セットにすで含まれていることを確認する必要があります。

  • 同じページの続いて実行されるインポートの間に、ポートレット・インスタンス・アイテムがあるリージョンから別のリージョンに移動された場合、ユーザーがそのポートレット・インスタンスに行ったパーソナライズは削除されます。

  • テンプレートに基づくページのアイテムは、上書きモードにおいて同期されます。

  • アクティブ状態で明示的にチェックアウトされるすべてのアイテムは、インポート後にチェックインされます。

11.8.1.5 ページ

ページとそれが参照するページ・タイプ、テンプレートおよびスタイルに加え、コンテンツ(アイテムとポートレット)をエクスポートします。

「インポート時に置換」モード: ページのプロパティが置き換えられます。リージョンのインポートの動作については、第11.8.1.6項「リージョン」を参照してください。アイテムの動作については、第11.8.1.4項「アイテム」を参照してください。

「再使用」モード: ターゲットの元のページが再使用されます。子オブジェクトは、ターゲットでは作成されません(まだ存在していない場合)。

ページを上書きモードでインポートする際のインポート動作については、表11-11「上書きモードでのリージョンのインポート動作」を参照してください。

注意

  • 現在のリリースでは、WebDAVを使用したコンテンツのロックとロック解除はサポートされていません。コンテンツ作成者はファイルをロックできます。ファイルをロックすると、アイテムがチェックアウトされます。インポート時、所有されているロックは表示されません。

  • ポートレットとして公開されているページが外部オブジェクト・リストに表示されている場合は、そのページが必ずトランスポート・セットに含まれるようにします。

11.8.1.6 リージョン

リージョン情報は、ページ・エクスポートの一部になります。これらは、ページのインポート・モードに従います。

「インポート時に置換」モード: ページを「インポート時に置換」モードでインポートした場合は、ソースのページ・リージョンがターゲットにコピーされます。ターゲットでのみ検出されたリージョンは、そのリージョン内のすべてのコンテンツも含め、すべて削除されます。

「再使用」モード: ソースからは、リージョンやアイテムが一切インポートされません。ソースのページは参照としてのみ使用され、リージョンのインポート・モードを判別します。

注意: Oracle Portalのこのリリースでは、ターゲット・リージョンがソースと同期します。詳細は、表11-11「上書きモードでのリージョンのインポート動作」を参照してください。

リージョンの同期

Oracle Portalの今回のリリースでは、ターゲット・リージョンがソースと同期します。表11-11は、ページを上書きモードでインポートする場合のインポート動作を示しています。

表11-11 上書きモードでのリージョンのインポート動作

事例 ソース ターゲット インポート動作

ターゲット・リージョンとソースの同期

Region_A

Region_B

Region_D

Region_A

Region_C

Region_D

Region_E

  • Region_AとRegion_Dの属性が、ソースのプロパティで更新されます。

  • Region_Bは、ターゲットで検出されないため、作成されます。

  • Region_CとRegion_Eは、ターゲットにのみ存在するため、削除されます。

ターゲットからのリージョンの削除

-

-

リージョンをターゲットから削除すると、ユーザーのパーソナライズを含むすべてのアイテムとポートレットが、ターゲットから削除されます。

ページのルート・リージョンの不一致

注意: 1つのページに設定できるルート・リージョンは1つだけです。

ルート・リージョン: Region_X

ルート・リージョン: Region_Y

ルートRegion_Yの階層全体が、ターゲットから削除され、ソースのRegion_X階層で再作成されます。

リージョン・タイプの不一致

注意: 使用可能なリージョン・タイプは、アイテム、ポートレット、タブおよびサブページです。

Region_X: タイプA

Region_X: タイプB

リージョン・タイプの不一致が存在すると、そのリージョンの(ユーザーのパーソナライズを含む)すべてのアイテムとポートレットがターゲットから削除され、ソース・リージョンのアイテムで再作成されます。

リージョン・タイプの一致

Region_X: タイプA

Region_X: タイプA

ターゲット・アイテムは、そのリージョンのソース・アイテムと同期します。

ターゲット・アイテムとソースの同期

注意: この処理は、ソースとターゲットのリージョン・タイプが一致する場合に適用されます。

Item_A

Item_B

Item_D

Item_A(基本ユーザー)

Item_A(ユーザーA用にパーソナライズ)

Item_C(基本ユーザー)

Item_D(基本ユーザー)

Item_E(ユーザーB用にパーソナライズ)

  • Item_A(基本ユーザー)は、上書きされます。

  • Item_A(ユーザーA用にパーソナライズ)は、ターゲットに維持されます。

  • Item_Bは、ターゲットに作成されます。

  • Item_C(基本ユーザー)は、ソースから削除されます。

  • Item_D(基本ユーザー)は、上書きされます。

  • Item_E(ユーザーB用にパーソナライズ)は、ターゲットに維持されます。

注意: Item_Eはソースに存在しませんが、ターゲットでユーザー用にパーソナライズされているため、ターゲットから削除されません。

また、基本ユーザーのアイテム・レコードのみがページ構成の一部であり、ページの編集時に表示されます。


11.8.1.7 Portalテンプレート

テンプレートとそれが参照するスタイル、およびテンプレートのすべてのコンテンツをエクスポートします。テンプレートに依存するページのレイアウトとコンテンツは、ターゲット上の変更されたテンプレートと同期化されます。

「インポート時に置換」モード: テンプレートのプロパティがインポート時に置き換えられます。

「再使用」モード: ターゲットでテンプレート情報が再使用されます。ソース・システムの設定は更新されません。

注意:

  • 共有オブジェクトまたはページ・グループにあるカテゴリ・ページ・テンプレートとパースペクティブ・ページ・テンプレートは、エクスポートまたはインポートしないでください。これらのテンプレートは、カテゴリまたはパースペクティブをそのページ・グループで作成した場合のみ存在します。

  • テンプレートは、そのテンプレートに基づくすべてのページでテンプレートのスタイルを必ず使用するようにするか、またはテンプレートに基づくページで独自のスタイルを使用できるようにすることができます。スタイルが変更されたテンプレートをインポートするときに、ページでテンプレートのスタイルを必ず使用するようになっている場合は、そのテンプレートに基づいたページに変更が伝播されるのみになります。

  • 前回のインポート後にテンプレートを変更した場合、そのテンプレートは再使用できません。変更したテンプレートを再使用しようとすると、そのテンプレートに基づくトランスポート・セットのページとともに、事前チェックの段階で失敗します。インポートを続行するには、上書きモードでテンプレートをマークする必要があることを知らせるメッセージが、事前チェックのログに記録されます。

  • アイテムのPortalテンプレートを使用するページまたはアイテムを移行すると、そのアイテムのPortalテンプレートはターゲットの依存性として使用されます。

  • テンプレートが上書きモードである場合にPortalテンプレートに基づくページがインポートされると、そのテンプレートに基づいたページ・リージョン、アイテムまたはポートレット上のページのカスタマイズ(移動、非表示、追加、削除など)は、リージョン、アイテムまたはポートレットを含め、ソースからターゲットに引き継がれます。ターゲット・ページは、ソース・ページとまったく同じ外観になります。

  • Portalテンプレートが上書きモードでインポートされる場合、ターゲット上のページのパーソナライズは、移行されたページ上にベース・アイテム、ポートレット、リージョンまたはタブが存在するかぎり保持されます。

注意:

ターゲット上のパーソナライズの一環としてタブ上で削除を行った場合、その削除処理は失われます。パーソナライズされた削除済タブのインポート後、タブ上にアイテムやポートレットは表示されません。これは、テンプレートの設定が優先され、テンプレートに基づいてターゲットにタブが再作成されるためです。ただし、パーソナライズのデータが保持されるため、タブ上の実際のアイテムまたはポートレットは再作成されません。

11.8.1.8 HTMLテンプレート

エクスポートおよびインポートの最初の実行時には、ターゲット・システムにHTMLテンプレートが作成されます。2回目のインポートでは、ターゲットで選択したモードによって次のように動作します。

「インポート時に置換」モード: HTMLテンプレートのプロパティが更新されます。

「再使用」モード: HTMLテンプレートがすでにターゲットに存在する場合は、それが再使用され、更新されません。

11.8.1.9 カテゴリ

カテゴリとそのサブカテゴリをエクスポートします。

「再使用」モード: ターゲットの元のカテゴリが再使用されます。子オブジェクトは、ターゲットでは作成されません(まだ存在していない場合)。

注意

  • カテゴリ・ページ(カテゴリをクリックすると表示されるページ)とカテゴリ・テンプレートはエクスポートされません。これらは、インポート時に毎回作成されます。カテゴリは常に再使用されるので、ターゲット上で行った変更は、その後のインポート時に失われることはありません。これは、カテゴリ、カテゴリ・ページおよびカテゴリ・テンプレートに適用されます。

  • 「インポート時に置換」モードはありません。「インポート時に置換」オプションは適用されず、カテゴリは常に再使用されます。

11.8.1.10 パースペクティブ

パースペクティブとそのサブパースペクティブをエクスポートします。

「再使用」モード: ターゲットの元のパースペクティブが再使用されます。子オブジェクトは、ターゲットでは作成されません(まだ存在していない場合)。

注意

  • 「インポート時に置換」モードはありません。「インポート時に置換」オプションは適用されず、パースペクティブは常に再使用されます。

  • パースペクティブ・ページ(パースペクティブをクリックすると表示されるページ)とパースペクティブ・テンプレートはエクスポートされません。これらは、インポート時に毎回作成されます。パースペクティブは常に再使用されるので、ターゲット上で行った変更は、その後のインポート時に失われることはありません。これは、パースペクティブ、パースペクティブ・ページおよびパースペクティブ・テンプレートに適用されます。

11.8.1.11 ナビゲーション・ページ

ナビゲーション・ページとそれが参照するスタイル、およびナビゲーション・ページ上のすべてのリンクをエクスポートします。

「インポート時に置換」モード: ナビゲーション・ページのプロパティが置き換えられます。

「再使用」モード: ターゲットの元のナビゲーション・ページが再使用されます。

11.8.1.12 スタイル

スタイルをエクスポートします。

「インポート時に置換」モード: スタイルのプロパティが置き換えられます。

「再使用」モード: ターゲット上のスタイルが再使用されます。

注意:

  • ソースとターゲットのスタイルは、名前と一意の内部識別子が同じである場合に、同じであるとみなされます。2つのスタイルの一意の内部識別子が同じで、名前が異なる場合は、「インポート時に置換」モードでのみインポートできます。

  • スタイルに関連する属性は、インポートされません。ローカル・スタイルは、スタイルの属するページ・グループのすべてのローカル属性と、すべての共有属性に関連します。共有スタイルは、すべての共有属性に関連します。

11.8.1.13 アイテム・タイプ

アイテム・タイプとそれが参照する属性をエクスポートします。

すべてのポータル・インスタンスに存在する編集可能な生成済アイテム・タイプが抽出されます。

注意

  • 生成済アイテム・タイプを修正する場合は、生成済アイテム・タイプをコピーし、コピーのプロパティを修正することをお薦めします。

  • ソースとターゲットのアイテム・タイプは、名前、タイプおよび一意の内部識別子が同じである場合に、同じであるとみなされます。ソースとターゲットのアイテム・タイプの一意の内部識別子が同じで、名前が異なる場合は、「インポート時に置換」モードでのみインポートできます。

  • 現時点では、インポートとインポートの間に、カスタム・タイプ(アイテム・タイプ、ページ・タイプ)に関連付けられた属性を変更するか、カスタム・タイプに関連付けられた機能を変更すると、その変更が正しく移行されないことがあります。ターゲットでカスタム・タイプを削除および再作成する必要があります。この結果、カスタム・タイプに基づくすべてのアイテムとページが削除されます。

  • ページのアイテム・リンクが別のページのアイテムを指す場合、そのアイテム・リンクを含むページがエクスポートされると、リンクされたオブジェクトが存在するページが依存ページとして使用されます。

11.8.1.14 ページ・タイプ

ページ・タイプとそれが参照する属性をエクスポートします。

注意:

  • ソースとターゲットのページ・タイプは、名前、タイプおよび一意の内部識別子が同じである場合にのみ、同じであるとみなされます。ソースとターゲットのページ・タイプの一意の内部識別子が同じで、名前が異なる場合は、「インポート時に置換」モードでのみインポートすることが可能です。

  • 現時点では、インポートとインポートの間に、カスタム・タイプ(アイテム・タイプ、ページ・タイプ)に関連付けられた属性を変更するか、カスタム・タイプに関連付けられた機能を変更すると、その変更が正しく移行されないことがあります。ターゲットでカスタム・タイプを削除および再作成する必要があります。この結果、カスタム・タイプに基づくアイテムまたはページはすべて削除されます。

11.8.2 子オブジェクトのインポート動作

この項では、移行後の子オブジェクトの機能について説明します。詳しい動作は表11-12のとおりです。

表11-12 子オブジェクトのインポート動作

オブジェクト名 オブジェクト インポート動作

含まれるオブジェクト(オブジェクトの構造に関与)

  • リージョン

  • アイテム

  • ページ上のタブとサブタブ

  • 含まれるオブジェクトは、含まれるオブジェクトのいずれかが作成または上書きされる場合に、作成または上書きされます。

  • コンテナ・オブジェクトがターゲットで再使用される場合は、ターゲットに存在しなくとも、含まれるオブジェクトはトランスポート・セットから作成されません。

含まれるオブジェクト(オブジェクトの構造には関与せず、コンテナ内のプレースホルダとして機能)

  • ページ・グループ内の属性、スタイル、カテゴリ、パースペクティブ、アイテム・タイプ、ページ・タイプ、ページなど

  • Portal DBプロバイダ内のフォーム、レポート、チャート、動的ページなど

  • コンテナ・オブジェクトがターゲットに存在する場合、またはトランスポート・セットから作成される場合は、含まれるオブジェクトが作成されます。

  • コンテナ・オブジェクトがターゲットで再使用される場合は、トランスポート・セットから新しい含まれるオブジェクトのみが作成されます。ターゲット上では、既存のすべてのオブジェクトがそのまま維持されます。

子オブジェクト

  • サブページ

  • サブカテゴリとサブパースペクティブ

  • 親オブジェクトがターゲットに存在する場合、またはトランスポート・セットから作成される場合に、子オブジェクトが作成されます。


11.8.3 DBプロバイダ・オブジェクトの動作

この項では、次のDBプロバイダ・オブジェクトの移行後の動作について説明します。

11.8.3.1 生成済DBプロバイダ

  • インプレース開発ポートレットを含むページをインポートすると、それらのポートレットに関連するコンポーネントが、ターゲット・ポータルのインプレース開発プロバイダのデータベース・スキーマで自動的に作成されます。

    インプレース開発データベース・プロバイダの名前はPTL_TOOLS_APPです。PTL_TOOLS_APPの基礎となるデータベース・スキーマは、<PortalSchema>_APPです。

  • 他の生成済データベース・プロバイダでは、ソース・ポータルから取得されている関連コンポーネントが、ターゲット・ポータルのデータベース・プロバイダのデータベース・スキーマに自動的に作成されます(そのプロバイダがすでにターゲット・ポータルに存在する場合)。

    ターゲット・ポータルにプロバイダが存在しない場合は、生成済データベース・プロバイダをトランスポート・セットの一部にする必要があります。これ以外の場合は、プロバイダを移動する必要はありません。

注意:

  • インプレース開発プロバイダは、スタンドアロン・ベースでエクスポートまたはインポートできません。つまり、インプレース開発ポートレットがページに存在する必要があります。

  • インプレース開発プロバイダは、他のデータベース・プロバイダとは異なり、UIマニフェストに外部オブジェクトとして表示されません。

  • データベース・プロバイダを移行する際、インプレース開発コンポーネントまたは他のデータベース・プロバイダのコンポーネントで、データベース・プロバイダの基礎となるスキーマ以外のスキーマのデータベース・オブジェクトからデータを取得している場合、前もってexpユーティリティとimpユーティリティを使用してターゲット・ポータルにそのデータベース・スキーマもエクスポートまたはインポートしておく必要があります。

11.8.3.2 Portal DBプロバイダ

最初のエクスポートおよびインポートでは、Portal DB プロバイダが存在しない場合は、ターゲット・システムに作成されます。

  • Portal DBプロバイダのプロパティは、ターゲットで作成されます。

  • 新しく作成されたPortal DBプロバイダは、プロバイダ登録が行われます。

2回目のインポートでは、ターゲットで選択したモードによって次のように動作します。

「インポート時に置換」モード: ソースのPortal DB プロバイダのプロパティによって、ターゲットのプロパティが置き換えられます。Portal DBプロバイダ内のコンポーネントはすべて、それらが存在するかどうかに応じて作成または更新されます。

「再使用」モード: ターゲットにPortal DBプロバイダがすでに存在する場合は、そのプロパティが再使用され、更新されません。Portal DBプロバイダ内の新しいコンポーネントは作成され、既存のコンポーネントは再使用されます。


注意:

Portal DBプロバイダを移行する場合は、Portal DBプロバイダをインポートする前に、次の作業を実行します。
  1. エクスポートするPortal DBプロバイダによって使用されているスキーマがターゲット・データベースのインスタンスに存在することと、そのスキーマへのCONNECTとRESOURCEロールが付与されていることを確認します。

  2. ターゲットでprovsyns.sqlスクリプト(MID_TIER_ORACLE_HOME/portal/admin/plsql/wwcディレクトリにある)を実行します。SQL*Plusを使用して、Portalスキーマの所有者としてログインし、次のようにSQLプロンプトからスクリプトを実行します。

    SQL> @provsyns.sql <db_provider_schema_name>
    

provsyns.sqlスクリプトは、Portal DBプロバイダのスキーマに対して複数回実行できます。


11.8.3.3 Portal DBプロバイダのコンポーネント

Portal DBプロバイダのコンポーネントは次のとおりです。

  • メニュー

  • フォーム

  • レポート

  • チャート

  • カレンダ

  • 値リスト

  • リンク

  • 階層

  • 動的ページ

  • XML/URLコンポーネント

  • データ・コンポーネント

エクスポートおよびインポートの最初の実行時には、ターゲット・システムにコンポーネントが作成されます。

  • 指定されたPortal DBプロバイダの下に最初のコンポーネントが作成され、これが本稼働バージョンになります。

  • Portal DBプロバイダに関連付けられているスキーマの下に、コンポーネントと同じ名前のパッケージが作成されます。

2回目のインポートでは、ターゲットで選択したモードによって次のように動作します。

「インポート時に置換」モード: 既存のバージョンの上に最新バージョンのコンポーネントが作成され、これが本番バージョンになります。ターゲットに既存のバージョンがある場合は、それらがアーカイブされます。本番バージョンから取得された情報を使用して、パッケージが再生成されます。

「再使用」モード: ターゲットにコンポーネントが存在しない場合は、作成されます。

注意:

  • 値リストとリンクのコンポーネントには、バージョンまたはパッケージが関連付けられません。そのため、上書きモードでは、これらのコンポーネントがターゲット上で削除され、再作成されます。

  • 値リストおよびリンクのコンポーネントは、それ自体ではレンダリングできないか、またはポートレット・フォームに含まれないため、これらのコンポーネントに付加されるパーソナライズはありません。

  • 値リスト(LOV)は外部オブジェクトとして表示され、選択して明示化できます。LOVがターゲットに存在しない場合でもインポートは続行されます。ただし、属性に関連するLOVがリセットされ、後でLOVを取得して再度関連付けできることを知らせるメッセージがログに記録されます。

11.8.3.4 共有コンポーネント

共有コンポーネントは次のとおりです。

  • フォント

  • イメージ

  • JavaScript

  • UIテンプレート(構成済、非構成済)

エクスポートおよびインポートの最初の実行時、共有コンポーネントが存在しないときはターゲット・システムに作成されます。

2回目のインポートでは、ターゲットで選択したモードによって次のように動作します。

「インポート時に置換」モード: 共有コンポーネントが削除され、ソース情報を使用して再作成されます。

「再使用」モード: ターゲットに共有コンポーネントがすでに存在する場合は、そのプロパティが再使用され、更新されません。新しい共有コンポーネントは作成され、既存のコンポーネントは再使用されます。

注意: システムの色、フォント、テンプレートはターゲットで再使用され、エクスポートおよびインポートされることはありません。

11.8.3.5 登録済データベース・プロバイダ

登録済データベース・プロバイダに関連するスキーマは、マニフェストの外部オブジェクトのマークが付けられます。インポートで注意する内容は、次のとおりです。

  • プロバイダとスキーマがターゲットに存在しない場合は、スキーマが事前チェックで失敗します。その結果としてプロバイダが失敗し、さらに明示オブジェクトが失敗します。

  • プロバイダが存在するものの、スキーマがソースとターゲットで異なる場合は、プロバイダに警告状態が割り当てられ、ログにスキーマ上の差異が存在することが示されます。

注意: データベース登録エラーを回避するには、ソースからターゲットへのスキーマの移行後に、すべてのオブジェクトが有効であることを確認する必要があります。

11.8.4 Portal DBプロバイダ・レポートのオブジェクト・タイプの動作

Report Security Accessオブジェクトは常に、Portal DBプロバイダのエクスポートおよびインポートの一部としてエクスポートまたはインポートされます。

注意:

  • Report Security Accessコンポーネントの詳細なエクスポートおよびインポートはサポートされていません。

  • バージョン管理については、Report Security AccessコンポーネントはDBプロバイダのコンポーネントと同じ動作をします。

  • DBプロバイダのコンポーネントと同様、レポート定義ファイル(RDF)アクセス・コンポーネントのパッケージが作成または再生成されます。

11.8.5 Webプロバイダの動作

この項では、次のWebプロバイダについて説明します。

Webプロバイダのエクスポートおよびインポートの有効化と無効化

OmniPortletプロバイダおよびWebクリッピング・プロバイダの移行を有効または無効にするには、DOMAIN_HOME\servers\WLS_PORTAL\tmp\_WL_user\portalTools_11.1.1.1.0\kjdcke\war\WEB-INF\web.xmlファイルで次の変数を編集します。

<env-entry>
<env-entry-name>oracle/portal/provider/global/transportEnabled</env-entry-name>
   <env-entry-value>true</env-entry-value>
   <env-entry-type>java.lang.String</env-entry-type>
</env-entry>

この値をfalseに設定すると、OmniPortletプロバイダおよびWebクリッピング・プロバイダのエクスポートとインポートが無効になります。

11.8.5.1 OmniPortlet

独自のデフォルト・パーソナライズと関連情報を含み、トランスポート・セットから参照されるOmniPortletプロバイダは、ページとともに自動的にエクスポートおよびインポートされます。

OmniPortletインスタンスに関連する接続情報(データベース、ユーザー名、パスワード、URL、HTTP認証ユーザー名、パスワードなど)は、デフォルトで自動的に移行されます。

セキュリティ上の理由から、接続情報のエクスポートとインポートを無効にする場合は、DOMAIN_HOME\servers\WLS_PORTAL\tmp\_WL_user\portalTools_11.1.1.1.0\1pwj8k\war\WEB-INF\providers\omniPortlet\provider.xmlファイルを編集して、exportConnectionInfoパラメータをfalseに設定します。たとえば、次のようになります。

<provider class="oracle.webdb.reformlet.ReformletProvider">
   <exportConnectionInfo>false</exportConnectionInfo>
   ...
</provider> 

接続情報を移行しない場合、インポートされるOmniPortletでは、ターゲットの同名の接続情報が使用されます(存在する場合)。また、「デフォルトの編集」ページまたは「パーソナライズ」ページで、インポートされたOmniPortletインスタンスの接続情報を入力することもできます。

インポートされる接続情報が、ターゲットにあるプロバイダの既存の接続情報と同じ名前の場合、ソース・プロバイダの接続情報は、上書きモードを指定しないかぎりインポートされません。接続情報のインポートに失敗すると、トランスポート・ログにメッセージが書き込まれます。

「再使用」モード: OmniPortletプロバイダが常に再使用されます。

注意:

  • プロバイダの登録時に権限の不足によってエラーが発生した場合は、プロバイダ・オブジェクトの事前チェックに失敗します。これは、明示的に選択されたオブジェクトにも連鎖します。プロバイダが失敗すると、明示的に選択されたオブジェクトも必ず失敗します。

  • 「デフォルトの編集」でのカスタマイズは、移行されます。ユーザーのパーソナライズが存在する場合、その設定は維持されます。

重要:

  • ソースのOmniPortletプロバイダとターゲットのOmniPortletプロバイダでlocalePersonalizationLevelが異なる場合、ページをインポートした後、一部のパーソナライズにアクセスできなくなる可能性があります。たとえば、現在のロケールが日本語であり、ソースのOmniPortletプロバイダではlocalePersonalizationLevellocaleに設定されており、ターゲットのOmniPortletプロバイダではnoneに設定されている場合、インポート後は、日本語のパーソナライズにアクセスできません。

    DOMAIN_HOME\servers\WLS_PORTAL\tmp\_WL_user\portalTools_11.1.1.1.0\1pwj8k\war\WEB-INF\providers\omniPortletディレクトリにあるprovider.xmlファイルで、localePersonalizationLevelを設定します。

    localePersonalizationLevelの詳細は、MID_TIER_ORACLE_HOME/portal/pdkjava/v2/pdkjava.v2.release.notes.htmlのリリース・ノートを参照してください。

  • OmniPortletポートレットがSSL URLを使用してデータを取得するように構成されている場合は、これらのファイルを手動でコピーする必要があります。デフォルトでは、SSL URLの証明書がエクスポートおよびインポートされないためです。次の手順を実行して、証明書ファイルをターゲット・インスタンスに手動でコピーします。

    1. SSL URLの証明書を、OmniPortletプロバイダが使用する証明書ファイル(デフォルトはORACLE_HOME\portal\conf/ca-bundle.crt)に追加します。

    2. DOMAIN_HOME\servers\WLS_PORTAL\tmp\_WL_user\portalTools_11.1.1.1.0\1pwj8k\war\WEB-INF\providers\omniPortletディレクトリにあるOmniPortletのprovider.xmlファイルで、<trustedCertificateLocation>タグを更新します。

    3. WLS_PORTALを再起動します。

11.8.5.2 Webクリッピング・プロバイダ、WSRPプロデューサとその他のWebプロバイダ

トランスポート・セットが参照するWebクリッピング・プロバイダ、WSRPプロデューサとその他のWebプロバイダは、ターゲット・システムにすでに存在しているか、ターゲット・システムへのインポート時に正常に登録できる必要があります。

「再使用」モード: Webクリッピング・プロバイダ、WSRPプロデューサとその他のWebプロバイダは常に再使用されます。

重要: Webクリッピング・ポートレットがSSL URLを使用してデータを取得するように構成されている場合は、これらのファイルを手動でコピーする必要があります。デフォルトでは、SSL URLの証明書がエクスポートおよびインポートされないためです。次の手順を実行して、証明書ファイルをターゲット・インスタンスに手動でコピーします。

  1. SSL URLの証明書を、Webクリッピング・プロバイダが使用する証明書ファイル(デフォルトはMID_TIER_ORACLE_HOME/portal/conf/ca-bundle.crt)に追加します。

  2. DOMAIN_HOME\servers\WLS_PORTAL\tmp\_WL_user\portalTools_11.1.1.1.0\1pwj8k\war\WEB-INF\providers\omniPortletディレクトリにあるOmniPortletのprovider.xmlファイルで、<trustedCertificateLocation>タグを更新します。

  3. WLS_PORTALを再起動します。

注意:

  • プロバイダの登録時に権限の不足によってエラーが発生した場合は、プロバイダ・オブジェクトの事前チェックに失敗します。これは、明示的に選択されたオブジェクトにも連鎖します。プロバイダが失敗すると、明示的に選択されたオブジェクトも必ず失敗します。

  • WSRPポートレットがインポートされる場合、ポートレットのパーソナライズはインポートされません。

11.8.6 共有ポートレット・インスタンスの動作

表11-13のシナリオは、移行時の共有ポートレット・インスタンスの動作をまとめたものです。

表11-13 移行時の共有ポートレット・インスタンスの動作

ソース ターゲット
  1. 共有ポートレットのユーザー・ページを(ポートレット・リポジトリ情報なしで)エクスポートします。

  1. 共有ポートレットの最初のインポートを実行します。

  2. 共有ポートレット・インスタンスの表示名を使用して、ポートレット・リポジトリの下に登録します。

  1. 共有ポートレット・インスタンスの名前を変更します。

    これらの変更はポートレット・リポジトリ・アイテムには反映されず、アイテムにはまだ元の名前/表示名が残ることに注意してください。

  2. ユーザー・ページをエクスポートします。

  1. 名前を変更した共有ポートレット・インスタンスがすでにターゲットに存在すれば、それをインポートします。

    ポートレット・インスタンスはターゲットで再利用されるため、ソースでの表示名の変更は移行されません。


11.9 エクスポートおよびインポート時の推奨方法

次に、Oracle Portalのエクスポートおよびインポート機能を使用して、開発またはテスト環境から本稼働インスタンスにポータル・コンテンツを移行する際の、重要な推奨事項と最善の実施例について概説します。

11.9.1 レプリケートされたタブのネーミング規則

以前のリリースでは、テンプレートに基づくページ上でタブをレプリケートした場合、ターゲットでレプリケートされたタブの名前は、ソースのタブの名前と異なっていました。その結果、後でページを取得すると、ソースのタブとターゲットのタブが一致せず、追加のタブがターゲットに作成されていました。

Oracle Portalの今回のリリースでは、レプリケートされるテンプレート・タブについて予測可能なネーミング規則が採用されたため、タブの重複を避けることができます。ページ名は階層内でのみ一意である必要があるため、レプリケートされたタブは、テンプレート・タブと同じ名前を継承します。ただし、必ずレプリケートされたタブの名前を変更していないことを確認してください。

11.9.2 ページ・グループおよびコンポーネントの移行

ページ・グループおよびそれに関連付けられたコンポーネントは、このドキュメントで説明しているエクスポート・ユーティリティとインポート・ユーティリティを使用して、開発環境から本稼働環境に移行できます。ターゲット・システムにページ・グループ全体がすでにインポートされている場合のみ、ページ・グループ全体だけでなく、ページ・グループ内の個々のコンポーネント(サブページ、カテゴリ、パースペクティブ、ページ・スタイルなど)をターゲット・システムに個別に移動できます。

  • 重要な考慮事項と推奨方法:

    • ターゲット・システムへの最初のエクスポートでは、ソース・ポータルからターゲット・ポータル・インスタンスに、ページ・グループ全体を移行します。以降のトランスポート・セットでは、個別のページをエクスポートすることも、ターゲット・ポータル・インストールの他のページ・グループ・コンポーネントをエクスポートすることもできます。


      注意:

      ページ・グループがターゲットに存在していない場合は、オブジェクトの事前チェック・プロセスに失敗します。ページ・グループ・オブジェクトがエクスポートされるときは、必ずそのオブジェクトを所有しているページ・グループが外部の依存性として含められます。ページ・グループがターゲットに存在しているかどうか不明で、事前チェックに失敗する可能性がある場合は、ページ・グループを明示化できます。

      これは、階層に含まれている他のオブジェクトにも当てはまります。カテゴリ、パースペクティブおよびページがエクスポートされると、それらが所属するページ・グループだけでなく、親のカテゴリ、パースペクティブまたはページが外部の依存性として表示されます。データベース・プロバイダ・コンポーネントが単独でエクスポートされると、外部の依存性としてプロバイダが表示されます。

      ページ・グループのデフォルトの設定(デフォルトのテンプレート、スタイル、ナビゲーション・ページなど)も依存性マネージャによって抽出され、参照または外部(ローカルまたは共有)として分類されます。


    • 同じ名前のページがターゲットに再インポートされた場合は、そのページの新規および既存のすべてのコンテンツが置き換えられます。

    • ページ・グループ内のオブジェクトは、ターゲット・ポータルで同じ名前を持つ同じページ・グループにしか移動できません。

    • ページは、サブページとともに移行されます。

    • ターゲット・システムへの最初のインポートの終了後に、ターゲット・システムでページ・グループの名前を変更した場合は、以降に同じページ・グループをインポートしようとすると失敗します。

    • ソースで構成されているカテゴリ、アイテム・タイプ、パースペクティブおよびページ・タイプは、ターゲットでは自動的に構成されません。ページ・グループをエクスポートしていない場合は、これらのオブジェクトを明示的に構成する必要があります。

  • ページURLの動作: ポータル・ページへのリンクを作成する場合は、必ず、ページ・リンクのアイテム・タイプまたはパスベースのURLを使用します。ポータル・ページのURLをそのまま使用しないでください。

    デフォルトでは、Oracle Portalで生成されたポータル・ページのURLにはインストール固有のID番号が含まれ、これらの番号はオブジェクトがエクスポートされると変更されます。このため、ページが他のサイトにインポートされるとリンクが壊れます。

    ページに対して生成されたURLの例を次に示します。ページが他のサイトにインポートされると、このページIDが変わります。

    http://my.portal.com/servlet/page?_pageid=47,49&_dad=portalr2&_schema=portal
    

    このようなURLを手動入力のリンクとして使用している場合は、パスベースのURLまたはページ・リンクのアイテム・タイプを使用することをお薦めします。

    同じページのパスベースURLは次のようになります。

    http://my.portal.com/portal/pls/portal/url/PAGE/HRPAGEGROUP/HRHOME/HRBENEFITS
    

    ページのパスベースURLを検索するには、ページのプロパティ・シートを調べます。プロパティ・シートへのリンクを表示するには、ページにプロパティ・シートのスマート・リンク・アイテムを追加します。

    「ページ・リンク」アイテム・タイプを使用して、ページへのリンクを作成することもできます。「ページ・リンク」アイテム・タイプは、実行時に正しいリンクを動的に生成します。

  • ページ・ポートレット: ページを置き換えると、ターゲットのコンテンツと構造が置き換えられます。


    注意:

    • このリリースでは、Oracle Portalのサーベイ・コンポーネントおよび「お気に入り」ポートレットをインポートおよびエクスポートできません。ソースに追加された新規の「お気に入り」または「グループ」は、トランスポート・セットに表示されることはなく、ターゲットに移行されることもありません。

    • このリリースでは、汎用ページ・ポートレットのエクスポートとインポートが可能です。任意のページを指すように汎用ページ・ポートレットを構成できるようになりました。ページ・ポートレットが指すページは、そのページがページ・ポートレットと同じページ・グループに属しているかどうかに応じ、依存性マネージャによって参照または外部としてマークされます。インポート時に、この情報は解決され、プリファレンス・ストアに格納されます。インポート時にページがターゲットに存在しない場合、ポートレットはリセットされます。

    • このリリースでは、Webプロバイダおよびそのデフォルト・パーソナライズをエクスポートおよびインポートできます。『Oracle Fusion Middleware Oracle Portal開発者ガイド』で、ポートレット・パーソナライズのエクスポートとインポートの制御に関する項を参照してください。


    ターゲットのページのコンテンツ(アイテム、ポートレット)はそのまま保持し、ソースのスタイル・レイアウトまたはレンダリングの変更内容をインポートするには、連携型Portalアダプタ・ポートレットを介してコンテンツを公開します。ページ構造のコンテンツを、2つの異なるページ・グループに分けることが重要です。一方はコンテンツのみのページ・グループで、連携型Portalアダプタを介して公開されます。もう一方は表示用のページ・グループです。ユーザーはこれを使用して、ポータルのアクセス、表示およびカスタマイズを行うことができます。次の手順を実行します。

    1. ソース・システムで、後で他のページに公開する単一のリージョンがあるページのみを含むページ・グループを作成します。このリージョンには、ポートレットまたはアイテムのいずれかが挿入されます。このページ・グループに、「コンテンツ・ページ・グループ」という名前を付けます。

    2. このコンテンツ・ページ・グループをターゲット・システムにエクスポートします。

    3. ターゲット・システムで、連携型Portalアダプタを介してコンテンツ・ページ・グループを登録します。ターゲット・システムの連携型Portalアダプタ・プロバイダを介して、これらのページをポートレットとして公開します。

    4. ソース・システムで、連携型Portalアダプタ・プロバイダと同じ名前を使用して、同じプロバイダを登録します。

    5. ソース・システムで、「表示ページ」という別のページ・グループを作成します。このページ・グループには、連携型Portalアダプタ・プロバイダからポートレットを公開するリージョンが含まれるページを作成します。必要に応じて、このページ・グループにタブおよび他のポートレット・リージョンを含めることもできます。

    6. 「表示ページ」グループをターゲット・システムにエクスポートします。

    7. ターゲット・システムから、連携型Portalアダプタ・プロバイダを介して公開されたコンテンツ・ページ・グループのページに対して、更新、削除、修正およびリージョンへの新しいアイテムの追加を行います。

    8. ソース・システムで、「表示ページ」ページ・グループに対して、ページ構造(タブ、新しいリージョンなど)の変更を行います。

    9. 最新の「表示ページ」ページ・グループをターゲット・システムにエクスポートします。

    10. ステップ7でターゲット環境で行った変更が、コンテンツ・ページ・グループに反映されていることを確認します。

    11. ターゲット・システムに、最後に変更した「表示ページ」ページ・グループのページに対する最新の変更が反映されていることを確認します。


      注意:

      アダプタ・レンダリング・プロバイダ(ループバックの場合)からのポートレットが含まれているページがインポートされており、プロバイダが新しいポータルに自動的に登録されている場合は、URLが古く、以前のポータルを参照しています。

      新しいポータルで、ループバック・プロバイダが必要な場合は、新しく作成するか、またはデフォルトのプロバイダを更新する必要があります。


  • ページとポートレットのパーソナライズおよびデフォルトの移行の編集: ターゲット・システム上のページまたはポートレットでユーザーが指定したカスタマイズは、そのページまたはポートレットの編集プロパティを置換または再使用する場合でも、保持しておくことができます。


    注意:

    現時点では、Webポートレットのパーソナライズは保持されません。デフォルトの編集の移行は、OmniPortletプロバイダおよびWebクリッピング・プロバイダで利用できます。他のプロバイダでこの機能を実装している場合、デフォルトの編集も移行できます。このサポートの実装方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Portal開発者ガイド』を参照してください。

    ソース・ポータルのページ上に存在しないベース・オブジェクトは、その後のインポートが終了した後でターゲット・ページから削除されます。これによって、ベース・ポートレット・リージョンのすべてのパーソナライズも必ず削除されます。ベース・オブジェクトとは、ページの中核となる定義の一部としてインポートされるリージョン、ポートレット、アイテムおよびタブのことで、ページの構造とコンテンツを定義します。

    ページにすでに存在しているポートレットは、そのページが「インポート時に置換」モードでインポートされると、次のように動作します。

    • デフォルトの編集は移行されます。

    • ユーザーのパーソナライズは保持されます。

    ページのプロパティは、そのページが「インポート時に置換」モードでインポートされると、次のように動作します。

    • プロパティの編集は置き換えられます。

    • ユーザーのパーソナライズは保持されます(ユーザーのカスタマイズが有効であることが前提)。


      注意:

      ポートレットとタブは、パーソナライズ、追加、表示/非表示の切り替え、削除および移動が可能です。ページには、少なくとも1つのポートレット・リージョンとそのリージョン内の1つのタブ(カスタマイズに関連するタブ)を定義する必要があります。カスタマイズされたオブジェクトは、ページのプロパティを継承します。リージョンを削除すると(2回目のインポートでページからリージョンまたはタブを削除する場合など)、カスタマイズされたオブジェクトも削除されます。

    ページのポートレット数を増やしてページをインポートするときは、ターゲットのページをカスタマイズしてポートレットを削除した場合でも、ソースの内容が優先されます。次に同じページをインポートするとき、削除されたポートレットは、ターゲットの構造に追加される新しいポートレットとみなされます。これはタブにも当てはまります。

    これらのポートレット(パーソナライズ)およびページのコンテンツを構成するポートレットの表示順序は、ソースおよびインポートのモードによって決まります。

    • 「インポート時に置換」モード: ソースのポートレットはソース内と同じ順序で配置され、その後にターゲットのポートレット(パーソナライズ)が配置されます。

    • 「再使用」モード: パーソナライズが保持され、ターゲット・ページは変更されません。

11.9.3 Portal DBプロバイダとコンポーネントの移行

Portal DBプロバイダおよびそれに関連付けられたコンポーネントは、この章で説明しているエクスポート・ユーティリティとインポート・ユーティリティを使用して、開発環境から本稼働環境に移動できます。Portal DBプロバイダ全体だけでなく、Portal DBプロバイダ内の個々のコンポーネント(フォーム、レポート、チャート、カレンダなど)をターゲット・システムに個別に移動することができます。これは、Portal DBプロバイダ全体が、ターゲット・システムへすでにインポートされている場合のみ可能です。

Portal DBプロバイダのコンポーネントの移行において考慮すべき事項と最善の実施例は次のとおりです。

  • Portal DBプロバイダのポートレットIDの再配置をprovider.xmlファイルで直接行うと、移行後に問題が発生する可能性があるため、行わないでください。

  • Portal DBプロバイダのコンポーネントまたはコンポーネントが参照するデータベース・オブジェクトを格納するためにポータル・スキーマを使用するのを避けます。

    • ソース環境で、Portal DBプロバイダのコンポーネント用の別のスキーマ(ポートレット・スキーマと呼ばれます)を作成します。これは、Portal DBプロバイダが作成されるときに登録情報で参照されるスキーマです。

      OTNを参照

      詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Portal開発者ガイド』のOracle Portalのスキーマの作成に関する項を参照してください。

    • ソース環境で、コンポーネントが参照するデータベース・オブジェクトの別のスキーマ(データベース・オブジェクト・スキーマと呼ばれます)を作成します。データベース・オブジェクトが特定のスキーマにすでに存在する場合は、Portal DBプロバイダの作成時にこのスキーマが参照されないことを確認します。これは、Portal DBプロバイダのコンポーネントの作成に使用されるデータベース・オブジェクト(テーブル、ビュー、プロシージャなど)を保持するスキーマです。たとえば、テーブル、ビューまたはプロシージャに基づくフォームを構築するときは、そのテーブル、ビューまたはプロシージャがデータベース・オブジェクト・スキーマに格納されます。

    • Portal DBプロバイダとそのコンポーネントをインポートする前に、コンポーネントが参照するデータベース・オブジェクト・スキーマがターゲット環境で利用できることを確認します。データベース・オブジェクト・スキーマは、ソース環境のものと同じ名前である必要があります。データベース・オブジェクトとデータベース・オブジェクト・スキーマが、ソース環境のものと同じ権限付与および権限を持っていることを確認します。また、すべてのデータベース・オブジェクトの状態が有効であることを確認します。データベース・オブジェクト・スキーマは、データベースのエクスポートまたはインポート・ユーティリティを使用してエクスポートまたはインポートできます。

    • Portal DBプロバイダとそのコンポーネントをインポートする前に、ターゲット環境に、ソース環境と同じ名前で空のポートレット・スキーマを作成します。

  • Portal DBプロバイダに、編集モードまたはアーカイブ・モードのコンポーネントが含まれていないことを確認します。インポート後にターゲット環境に有効なコンポーネントが含まれるようにするために、エクスポートする各コンポーネントには、1つの有効な本稼働バージョンのみが格納されている必要があります。

  • ページ・グループに、Portal DBプロバイダからのポートレットが含まれている場合は、エクスポートするトランスポート・セット内にそのプロバイダを明示的に含める必要があります。かわりに、プロバイダをあらかじめエクスポートまたはインポートしておくこともできます。

  • 登録済Portal DBプロバイダに関連するスキーマは、マニフェストの外部オブジェクトとして抽出されます。


注意:

データベース・オブジェクト・スキーマをインポートする場合、スキーマに関連するACL(ロールと権限)がターゲット・システムにすでに存在することを必ず確認してください。これにより、コンポーネントの生成またはデータベース・プロバイダの登録が、インポート中に失敗しないようにします。

11.9.4 検索コンポーネントの移行

ページに検索コンポーネントを追加する場合は、いくつかの選択肢があります。検索フィールドに入力された検索条件と照合するための基本検索、拡張検索、および自動実行される検索を作成するためのカスタム検索を追加できます。

11.9.4.1 「基本検索」および「拡張検索」ポートレット

「基本検索」ポートレットおよび「拡張検索」ポートレットは、エクスポートおよびインポートできます。インポート後、ポートレットは、ユーザー設定項目を含め、ソース・ポータルで表示されていたとおりに表示されます(ユーザー設定項目がインポートされた場合)。

11.9.4.2 「カスタム検索」ポートレット

「カスタム検索」ポートレットでは、ポータルにある他のオブジェクトを参照する多数のカスタマイズを定義できます。この参照先オブジェクトとして、検索するページ・グループ、検索する属性、送信フォームの図、結果のスタイル、結果のページ、結果の属性、カテゴリのデフォルト値、パースペクティブ、アイテム・タイプの属性などがあります。これらは依存性とみなすことができます。「カスタム検索」ポートレットをエクスポートおよびインポートすると、その依存性が計算され、外部依存性としてマニフェストに表示されます。これをトランスポート・セットに追加して、エクスポートおよびインポートできるようにするかどうかはユーザーが決定できます。

含めない場合、「カスタム検索」ポートレットがソースでカスタマイズできるのにターゲットに依存性がないという状況になることもあります。また、ソースの「カスタム検索」ポートレットがカスタマイズされており、その後、依存性がポータルから削除され、「カスタム検索」ポートレットのカスタマイズが更新されていないという状況も考えられます。このような場合、検索で「カスタム検索」ポートレットを使用すると、見つからない参照は無視されます。「カスタム検索」ポートレットが再度カスタマイズされ、カスタマイズが保存されると、見つからない参照は削除されます。

エクスポート時には、エクスポート用に選択したすべての「カスタム検索」ポートレットがチェックされ、見つからない参照がすべて削除されます。その後、カスタマイズがトランスポート・セットに含められます。

インポート時には、事前チェックによって、インポート後にターゲットで依存性が欠落していないかどうかが判断されます。依存性が欠落している「カスタム検索」ポートレットでは、ログにメッセージが書き込まれます。ログには、「カスタム検索」ポートレットの参照パス、欠落している依存性、およびインポート時に何が発生したかが示されます。

「カスタム検索」ポートレットがあるページには、警告のフラグが設定されます。実際のインポートでは、ターゲット内の同じ依存性のIDがすべて正しくなるように「カスタム検索」ポートレットのカスタマイズが修正され、カスタマイズがターゲットにコピーされます。


注意:

「保存された検索」ポートレットを使用して保存された検索結果は、インポートまたはエクスポートされません。新しいターゲットで同じ検索を送信し、検索結果の最新セットを保存する必要があります。

11.9.5 アップグレードされたOracle Portalインスタンス間でのコンテンツの移行

2つのポータルが9.0.2より前のリリースからアップグレードされている場合、それらのポータル間ではエクスポートおよびインポートできません。たとえば、ソース側の開発ポータル・インスタンスとターゲット側の本稼働ポータル・インスタンスが両方ともリリース3.0.9だとします。この2つのインスタンスをそれぞれリリース9.0.4にアップグレードし、その後でリリース11.1.1にアップブレードすることはできますが、11.1.1にアップグレードした開発インスタンスと本稼働インスタンスの間で、コンテンツをエクスポートおよびインポートすることはできません。

9.0.2より前のリリースのOracle Portalからアップグレードすると、アップグレード処理の過程で、オブジェクト(スタイル、属性、アイテム・タイプ、ページ・タイプ)に新しいグローバル一意識別子(GUID)が付与されます。2つのOracle PortalインスタンスのオブジェクトのGUIDが一致しない場合、これらのオブジェクトの事前チェックは失敗します。たとえば、ソース開発インスタンスとターゲット本稼働インスタンスがある場合に事前チェックの失敗を避けるには、Oracle Portalインスタンスを再同期化する必要があります。これを行うには、次の手順を実行します。

  1. 空のポータル・インスタンスを作成します(このインスタンスが、新しいソース開発インスタンスになります)。

  2. ターゲットの本稼働ポータル・インスタンスのコンテンツをエクスポートします。

  3. ソース側の新しい開発ポータル・インスタンスにコンテンツをインポートします。

これで、ターゲット側の本稼働ポータル・インスタンスとソース側の新しい開発ポータル・インスタンスとの間で、コンテンツをエクスポートおよびインポートすることができました。

生成済のページ・グループ・オブジェクト(トップ・レベル・ページ、設計時ページなど)への参照は、2つのインスタンスにわたる正しいGUIDに解決できません。エクスポートするオブジェクトからこれらの参照を削除してください。または、生成済ページ・グループ・オブジェクトの機能をコピーする新しいオブジェクトを作成します。


注意:

開発インスタンスの新規コンポーネントはすべて、開発ポータル・インスタンスを再作成する際に失われます。本稼働インスタンスのアップグレードは、開発インスタンスのすべての新規コンポーネントを本稼働インスタンスに移行してから行ってください。部分的に開発したコンポーネントがある場合は、新しい開発ポータル・インスタンスの作成後に、それらのコンポーネントを再作成する必要があります。

11.9.6 ホスト環境でのエクスポートとインポート

Oracle Portalのエクスポートおよびインポートでは、新規サブスクリプションのコンテンツと構造のレプリケートに使用可能な分類コンテンツを作成できます。この処理は、トランスポート・セットのコンテンツをシステム表にインポートするときに、ポータル・インスタンスでサブスクリプション情報を設定することで行われます。これは、ホスト環境で、任意のサブスクリプションからエクスポートし、他の任意のサブスクリプションにインポートできることを意味します。このインポート処理の対象は、1つのサブスクリプションに限定されません。次のように、1つのトランスポート・セットのコンテンツを複数のサブスクリプションにインポートできます。

  1. コマンドライン・ユーティリティをインポート・モードで実行します。

  2. サブスクリプションにログインします。

  3. トランスポート・セットのコンテンツをサブスクリプションにインポートします。

例11-1に、Oracle Portalのエクスポートおよびインポート機能を使用して、トランスポート・セットのコンテンツを複数のサブスクリプションにインポートする手順を示します。

例11-1 複数のサブスクリプションへのコンテンツのインポート

  1. デフォルトのシード・サブスクリプションを作成します(各種オブジェクトは、このサブスクリプション上に作成し管理します)。

    このサブスクリプションでは、分類コンテンツと構造を作成します。作成する内容としては、ページ・グループ、ページ、その他のページ・グループ・オブジェクト、Portal DBプロバイダとそのコンポーネント(ページ内のポートレットとして公開)、Webプロバイダのポートレットなどがあります。

  2. コンテンツと構造をトランスポート・セットにエクスポートします。これがシード・トランスポート・セットになります。

  3. トランスポート・セットのコンテンツをダンプ・ファイルにエクスポートします。

  4. 先に定義した構造とコンテンツを持つサブスクリプションを、次の手順で新規に作成します。

    1. サブスクリプションを新規に作成します。

    2. ダンプ・ファイルのコンテンツをポータル・インスタンスにインポートします。

    3. 作成したサブスクリプションにログインします。

    4. トランスポート・セット」ポートレットで、トランスポート・セットを選択してインポートします。

    5. 新しいサブスクリプションに、必要な構造とコンテンツが含まれていることを確認します。

  5. 前述の手順を、ステップ1で作成した構造とコンテンツに基づく各新規サブスクリプションに対して繰り返します。

この手順は、複数の分類カテゴリを作成する際に利用できます。カテゴリごとにトランスポート・セットを作成し、先の手順に従って新規サブスクリプションにデータを設定してください。


注意:

複数のサブスクライバが存在するホスト環境では、トランスポート・セットをOracle Portal内の特定のサブスクリプションに固定することはできません。エクスポートおよびインポート用としてトランスポート・セットを作成した場合、Oracle Portalにログインする他のすべてのユーザーは、そのポータル内のすべてのサブスクリプションで、作成したトランスポート・セットの内容を表示できます。

11.9.7 Oracle Text索引の同期をオフにしたデータのインポート

サイズの大きいデータ・セットをターゲットのOracle Portalインスタンスにインポートする場合、Oracle Text索引の同期が有効になっていると、通常よりインポート処理に時間がかかることがあります。インポート時はOracle Text索引の同期を無効にしておくと、インポート処理に要する時間が短縮されます。Oracle Text索引の同期を無効にするには、次の手順を実行します。

  1. インポート処理を開始する前に、ターゲットのOracle Portalインスタンスで、ポータル・スキーマ所有者(PORTAL)として次のコマンドを実行します。

    @textjsub.sql STOP
    

    テキスト索引の同期のスケジュール設定、開始方法、停止方法については、第9.3.5.4項「索引の同期化のスケジューリング」を参照してください。

  2. wwv_context.syncジョブがdba_jobs表に存在しないことを確認します。

  3. データ・セットをインポートします。詳細は、第11.6.1.2項「データのインポート」を参照してください。

  4. ポータル・スキーマ所有者(PORTAL)として、textjsub.sqlスクリプトを実行します。

    @textjsub.sql START
    
  5. 必要であれば、Oracle Text索引を同期するためのコマンドを実行します。そのための手順は、第9.3.5.1項「Oracle Text索引の同期化」を参照してください。

11.9.8 ユーザーおよびグループの移行

エクスポートおよびインポートを実行する場合は、次の手順に従うことをお薦めします。

  • ソース側の開発システムでポータル・オブジェクト(ページ・グループ、コンテンツ、ポートレットなど)を開発します。

  • エクスポートおよびインポートのタスクを簡略化するため、ユーザー、グループおよび権限は本稼働システムでのみ割り当てます。

  • エクスポートおよびインポートを使用して、ポータル・オブジェクトをターゲット側の本稼働システムに移行します。

  • 必要に応じて、インポート済ポータル・オブジェクトにユーザーおよび権限を適用します。

ユーザーとグループは、Oracle Internet Directoryで定義します。Oracle Portalのエクスポートにアクセス制御リストおよびユーザーとグループのプリファレンスを含めることを選択すると、ポータル・スキーマに格納されているユーザーとグループのプロファイルがトランスポート・セットに含まれます。ただし、Oracle Internet Directoryに格納されているユーザーとグループの定義は移行されません。

ユーザーとグループのプロファイルをターゲット・ポータルに適切にインポートするには、参照されているユーザーとグループがターゲット・ポータルの関連するOracle Internet Directoryに存在する必要があります。

ポータルのコンテンツをテスト・サーバーまたは開発サーバーで構築しており、後で本稼働サーバーへの移動を予定している場合は、テスト・サーバーでセキュリティ権限を割り当てた後、コンテンツとともにこれらの権限を本稼働サーバーに移行できます。

この場合は、グループにセキュリティ権限を割り当て、テスト・インフラストラクチャと本稼働インフラストラクチャ間でユーザー・グループの一貫性について確認する必要がないようにします。

本稼働サーバーとテスト・サーバーの両方におけるユーザー・グループを正確にモデル化する必要がある場合は、Oracle Directory Integration and Provisioning機能を使用して、本稼働ディレクトリ・サーバーのデータをテスト・サーバーのデータに同期化するのが最適な手段です。本稼働サーバーのデータをテスト・サーバーと同期化すると、本稼働サーバーに影響を及ぼすことなくテスト・ユーザーとグループをOracle Internet Directoryのテスト・サーバーに追加できます。


注意:

ディレクトリ同期化の設定の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Internet Directory管理者ガイド』を参照してください。本稼働サーバーからテスト・サーバーへのデータの同期化は自動的に行うのが最適です。反対にテスト・サーバーのデータを本稼働サーバーに同期化することはお薦めできません。

ユーザーとグループの移行の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Internet Directory管理者ガイド』を参照してください。


テスト・サーバーに本稼働グループも存在している場合は、テスト・サーバーですべてのアクセス権限をモデル化およびテストし、エクスポートしたオブジェクトを含むポータル・アクセス制御リストを本稼働システムに安全に移行できます。

テスト・システムの新しいグループおよびそのグループのアクセス権限を本稼働システムに移行する場合は、ポータル・コンテンツおよびアクセス制御リストを本稼働システムに移動する前に、グループの定義を本稼働システムに必ず移行してください。グループは最初に本稼働システムで作成し、テストのアクセス制御エントリを適用する前に、同期化プロセスによってテスト・システムに反映させることができます。グループを最初にテスト・インスタンスに作成する必要がある場合は、テスト・システムでのグループの作成に使用した方法で本稼働システムにグループを作成できます。これを手動で実行した場合、本稼働システムで同じ手順を手動で繰り返さないようにするには、テスト・インスタンスでLDAP問合せを発行してLDIFファイルを生成し、このファイルを本稼働インスタンスにロードします。たとえば、次のようになります。

%ldapsearch –h testoid.domain.com –p 389 –D cn=fmwadmin –w password123 -b 'cn=portal.iasdb.domain.com,cn=groups,dc=domain,dc=com' –s sub –L 'cn=groupname' > newgroup.ldif

注意:

グループ情報を含むLDIFファイルを本稼働のOracle Internet Directoryインスタンスにロードする前に、ファイルを編集し、ポータル・インスタンス名を本稼働のOracle Internet Directoryインスタンスのポータル・インスタンス名と同じにする必要があります。通常、テスト・インスタンスと本稼働インスタンスではこの名前が異なっており、名前はグループDNの一部であるため、ファイルのロード前に変更する必要があります。

この例では、cn=portal.iasdb.dbserver.domain.dcom, cn=groups, dc=us, dc=oracle, dc=comはポータル・グループが存在する場所です。Oracle Internet Directoryのディレクトリ情報ツリーのエントリを編成する方法の詳細は、第7章「Oracle Portalの保護」を参照してください。これによって、グループ定義を含む、newgroup.ldifというファイルが作成されます。このファイルは次のようにldapaddを使用して、本稼働のOracle Internet Directoryインスタンスにロードできます。

%ldapadd –h prodoid.domain.com –p 389 –D cn=fmwadmin –w password123 –v -f newgroup.ldif

一部の生成済ポータル・グループに付与されたデフォルトの権限のみを配置するか、または権限をまったく配置しないことを選択できます。権限をまったく配置しない場合は、インポートを実行するユーザーがオブジェクトを所有します。このユーザーは、特定の配置に対して、必要に応じてターゲット・システムに権限を付与できます。

権限がPortal内の生成済グループに付与されており、これらの生成済グループがターゲット・システムにも存在するかぎり、生成済グループまたはユーザーを同期化する必要はありません。権限はこれらの生成済グループに正しく関連付けられます。

グループ・プロファイルをソース側からターゲット側に移行するとき、エクスポート済プロファイルがソース側のローカル・グループ用であった場合は、インポートによってグループのDNがターゲット・システムのローカル・グループ・ベースに再マップされます。ローカル・グループは、ポータル・グループのコンテナ(グループ・インストール・ベース)にあるグループです。グループ・インストール・ベースにないグループに対しては、DNは変更されません。


注意:

wwuディレクトリに含まれていたssoexpおよびssoimpスクリプトは、Oracle Fusion Middleware 9.0.xでは廃止されており、9.0.xログイン・サーバーとの互換性がありません。これらのスクリプトは使用しないでください。