この章では、プライマリ・レポータ・システムが使用できなくなった場合に、ネットワーク・トラフィックの監視をすぐに引き継ぐフェイルオーバー・レポータ・システムの構成手順を説明します。記載されている手順では、プライマリ・レポータ・システムのインストールと構成が完了しており、完全に機能していることを想定しています。プライマリ・レポータのインストール手順は、スタンドアロン・レポータの場合と同一である点に注意してください。フェイルオーバー・コレクタ・システムの構成手順は、第8章「フェイルオーバー・コレクタ・システムの構成」を参照してください。
セカンダリ(すなわちフェイルオーバー)・レポータ・システムの構成によって、プライマリ・レポータ・システムが使用できなくなった場合に、監視対象トラフィックの処理をシームレスに引き継げるという利点があります。これにより、高度な運用信頼性が確保できます。フェイルオーバー・レポータ・システムの構成を図7-1に示します。
サーバー・レベルでは、クロスオーバー・ネットワーク・ケーブルでプライマリとセカンダリのレポータ・システムを接続します。プライマリとセカンダリ・サーバー間で通常の「ハートビート」が継続している限り、セカンダリ・サーバーがトラフィックの処理を開始することはありません。ただし、プライマリ・サーバーの「ハートビート」に変更があったことを検出すると、セカンダリ・サーバーはプライマリ・サーバーの処理をすぐに引き継ぎます。このプロセスはフェイルオーバーと呼ばれます。
フェイルバック(すなわちRUEIのインストールを元の状態に戻す作業)は手動で行う必要がある点に注意してください。手順は「レポータのフェイルバックの実施」を参照してください。
前提条件
フェイルオーバー・レポータのインストールを構成するには、次の条件を満たす必要があります。
プライマリおよびセカンダリ・レポータ・システムは、クロスオーバー・ケーブルで直結する必要があります。さらに、両方のシステムをローカルまたはパブリック・ネットワークに接続して、リモート・コレクタとデータベース・システムと接続する必要があります。
RUEIのインストールで使用するデータベースとコレクタは、両方ともリモートになければなりません。
プライマリおよびセカンダリ・レポータ・システムは、同じストレージ(SANまたはNFS)を共有する必要があります。RUEI_DATA/processor/data
およびRUEI_DATA/processor/data/sslkeys
ディレクトリについては、特にその必要があります。
RUEI_DATA/processor/data
およびRUEI_DATA/processor/sslkeys
ディレクトリが、共有ストレージ場所にあることを確認します。
次のコマンドをRUEI_USER
ユーザーとして発行して、プライマリ・レポータ・システム上のすべての処理を停止します。
project -stop wg
プライマリ・レポータ・システム上に共有レポータの場所をマウントします。そのためには、/etc/fstab
ファイルがboot
にマウントされるように編集します。例:
10.6.5.9:/home/nfs /reporter_share
nfs rsize=1024,wsize=1024 0 0
既存のdata
およびsslkey
ディレクトリを共有レポータの場所に移動します。例:
mv RUEI_DATA/processor/data /reporter_share
mv RUEI_DATA/processor/sslkeys /reporter_share
ここでreporter_share
は、プライマリおよびセカンダリ・レポータ・システム上のデータとSSLキーの共有場所を示します。
セカンダリ・レポータ・システムのインストール手順は、スタンドアロン・レポータ・システムの場合とほとんど同じです。初期設定ウィザードは実行しない点に注意してください。次を実行します。
セカンダリ・レポータ・システムのインストール手順を開始する際、/etc/ruei.conf
ファイルがプライマリ・レポータ・システムのものと同一であることを確認してください。
セカンダリ・レポータ・システムに、Linuxオペレーティング・システムとRUEIレポータ・ソフトウェアをインストールします。その手順は、第2章「RUEIソフトウェアのインストール」を参照してください。特に、
第2章「RUEIソフトウェアのインストール」の「Zend Optimizerのインストール」の終わりまでの手順に従います。
プライマリ・レポータ・システム上のRUEI_DATA
ディレクトリから、セカンダリ・レポータ・システムに、cwallet.sso
、ewallet.p12
、sqlnet.ora
、およびtnsnames.ora
の各ファイルをコピーします。各ファイルの所有権と権限が、両方のレポータ・システムで同一であることを確認する必要があります。
「レポータ・ソフトウェアのインストール」の手順1~5の指示に従います。
「ネットワーク・インタフェースの構成」の指示に従います。
「マルチバイト・フォントの有効化(オプションですが推奨)」から「ブラウザの自動転送の構成(オプション)」までの手順をプライマリ・レポータ・システムに対して実行したら、セカンダリ・レポータ・システムに対しても繰り返し実行する必要があります。
次のようにします。
まだ行っていない場合は、プライマリ・レポータ・システムにRUEI_USER
ユーザーとしてログインし、次のコマンドを発行して、監視対象トラフィックのすべての処理を停止します。
project -stop wg
「レポータ通信の構成(分割サーバー設定のみ)」の手順を実行中に作成した、プライマリ・レポータ・システム上のRUEI_USER
ユーザーの.ssh
ディレクトリを、セカンダリ・レポータ・システムにコピーします。同じ場所にコピーする必要がある点に注意してください。
RUEI_USER
ユーザーのuid
およびgid
設定が、次のようにプライマリおよびセカンダリ・レポータの両方で同一であることを確認します。
id moniforce uid=501(moniforce) gid=502(moniforce) groups=502(moniforce)
両方のレポータ・システムでクロスオーバー・ケーブルに使用する静的IPアドレスを構成します。system-config-network
などのユーティリティを使用して行えます。
/etc/fstab
ファイルを編集して、RUEI_DATA/processor/data
およびRUEI_DATA/processor/sslkeys
ディレクトリがboot
にマウントされるようにします。例:
10.6.5.9:/home/nfs /reporter_share
nfs rsize=1024,wsize=1024 0 0
ここでreporter_share
は、プライマリおよびセカンダリ・レポータ・システム上のデータとSSLキーの共有場所を示します。
次のコマンドを発行して、セカンダリ・レポータ・システムのローカルなdata
およびsslkeys
ディレクトリを、共有レポータの場所に移動します。
rm -rf RUEI_DATA/processor/data rm -rf RUEI_DATA/processor/sslkeys ln -s /reporter_share
/data RUEI_DATA/processor/data ln -s /reporter_share
/sslkeys RUEI_DATA/processor/sslkeys
セカンダリ・レポータ・システムにRUEI_USER
ユーザーとしてログインして、次のコマンドを発行します。
project -new -fromdb UX wg
その結果、プライマリ・レポータのデータベース構成を使用して、セカンダリ・レポータのディスク上の構成ファイルが作成されます。
プライマリおよびセカンダリ・レポータの両方で/etc/ruei.conf
ファイルを編集して、仮想、プライマリ、およびスタンバイIPアドレスを指定します。例:
export RUEI_REP_FAILOVER_PRIMARY_IP=192.168.56.201 export RUEI_REP_FAILOVER_STANDBY_IP=192.168.56.202 export RUEI_REP_FAILOVER_VIRTUAL_IP=10.11.12.23 export RUEI_REP_FAILOVER_VIRTUAL_DEV=eth0 export RUEI_REP_FAILOVER_VIRTUAL_MASK=255.255.255.0
RUEI_REP_FAILOVER_PRIMARY_IPおよびRUEI_REP_FAILOVER_STANDBY_IP設定で、2つのレポータ・システム間のクロスオーバー・ケーブルのIPアドレスを指定する必要があります。これらの設定に関する説明は、「RUEIの構成ファイル」を参照してください。両方のレポータ・システムで指定された設定は、RUEI_REP_FAILOVER_VIRTUAL_DEVの設定を除き、同一の必要があります。
次のコマンドを発行して、プライマリ・レポータ・システム上の監視対象トラフィックの処理を再開します。
project -start wg
ruei-reporter-failover.sh
スクリプトを両方のレポータ・システムにインストールします。たとえば/usr/local/sbin
ディレクトリなどです。これはRUEI zipファイル内にあります(「RUEIソフトウェアの解凍」を参照)。
次の入力内容を、プライマリおよびセカンダリ・レポータ・システムのroot
ユーザーのcrontab
ファイルに追加します。
* * * * * /usr/local/sbin/ruei-reporter-failover.sh
これによって、セカンダリ・レポータがハートビート信号をプライマリ・レポータに60秒間隔で送信し、プライマリ・レポータが使用できなくなった場合に、RUEIの監視対象トラフィックの処理を引き継ぎます。
60秒以上待機します。
レポータGUIへのすべてのユーザー・アクセスが、指定された仮想IPアドレス経由で行われていることを確認します。これは、プライマリ・レポータが使用できなくなった場合に、セカンダリ・レポータに自動的にフェイルオーバーを行うために必要です。
両方のレポータ・システム上のRUEI_DATA/processor/log/failover.log
ファイルを確認します。これらのファイルには、"ping"コマンドの結果が含まれています。エラー・メッセージがないことを確認してください。たとえばフェイルオーバー構成設定の漏れに関するものなどです。
プライマリ・レポータ上の/sbin/ifconfig
コマンド出力をチェックし、仮想IPアドレスが正しく構成されていることを確認します。例:
/sbin/ifconfig eth0 Link encap:Ethernet HWaddr 08:00:27:F7:B0:14 inet addr:192.168.56.201 Bcast:192.168.56.255 Mask:255.255.255.0 inet6 addr: fe80::a00:27ff:fef7:b014/64 Scope:Link UP BROADCAST RUNNING MULTICAST MTU:1500 Metric:1 RX packets:80 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0 TX packets:311 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0 collisions:0 txqueuelen:1000 RX bytes:12793 (12.4 KiB) TX bytes:26268 (25.6 KiB) eth0:0 Link encap:Ethernet HWaddr 08:00:27:F7:B0:14 inet addr:10.11.12.23 Bcast:192.168.56.255 Mask:255.255.255.0 UP BROADCAST RUNNING MULTICAST MTU:1500 Metric:1
プライマリ・レポータからリモート・コレクタの登録をすべて解除し、仮想IPアドレスを使用して再度登録します。
プライマリ・レポータ・システムをシャットダウンし、セカンダリ・レポータが監視対象トラフィックの処理を開始したことを確認します。プライマリ・システムに到達できず、セカンダリ・システムが起動されているという警告がイベント・ログに報告されます。その後、フェイルバックを実行して、RUEIのインストールを元の状態に戻す必要があります。
仮想レポータのホスト名またはIPアドレスが反映されるように、レポータURLを更新します(システム、メンテナンス、メール設定の順番に選択)。
RUEIのインストールを元の状態に戻すためには、プライマリ・レポータ・システムへのフェイルバックを手動で行う必要があります。次を行ってください。
root
ユーザーとして次のコマンドを使用して、グローバルRUEI構成設定をロードします。
. /etc/ruei.conf
プライマリおよびセカンダリ・レポータ・システム間のハートビート・メカニズムが正しく機能していることを確認します。そのために、RUEI_REP_FAILOVER_PRIMARY_IPおよびRUEI_REP_FAILOVER_STANDBY_IP IPアドレスでお互いに'ping'が行えることを確認してください。
フォールバックを起動するには、active-failover-server
ファイルを削除し、次のコマンドを発行してセカンダリ・サーバー上の仮想インタフェースをシャットダウンします。
rm $RUEI_DATA/processor/data/active-failover-server
ifconfig $RUEI_REP_FAILOVER_VIRTUAL_DEV:0 down